JPH0315031Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、水産加工業界において、かつお等の
魚体の頭部と、腹腔部すなわち「はらも」とを連
続的で自動的に切除するために用いる装置に係る
もので、詳しくは、魚体の尾を持つて把持具へ乗
せるだけで魚体を妄動させることなく確実に把持
させ、魚体の移送に伴つて、まず、直立刃物によ
り頭部が切り落され、次に、上下動しつつ前進す
る水平刃物により、前記「はらも」だけを正確で
高歩留りに切除することができて、次工程におけ
る後処理が簡便となつて、省力化を計ることがで
きる魚体の頭部および腹腔切除装置に関する。

（従来の技術） 従来より、魚体の採肉処理、例えば、鰹節等を
製造する際には、魚肉を有効利用すること。加工
された形が美しい形態であること。加工されたも
の加熱などによる変形を起こさないこと。等が重
要なポイントとされている。

そのためには、高度の熟練を有する技術者によ
り、魚体における脊椎骨41ケのうち頭部に１〜２
ケ残して該頭部を切断し、内臓を取るためのはら
も取りは、腹部内面より15〜20mmを残して腹内面
の微妙な曲線に沿つて切除するいわゆる理想的な
技術によりなされるものである。

しかし、大量消費される魚体の処理には、人手
による作業ではその処理量も十分に得られないの
で、前記作業の一部を機械化することにより解消
する試みがなされている。

このものは、コンベアにより間欠移送される魚
体の腹部へ、回転刃物を切り込ませてこれを取り
出し易くさせた後、内臓除去場へ搬出して、人手
により腹腔内の内臓を除去および清掃していたも
ので、その魚腹の自動切込み装置は、 コンベアの上側にその進行方向と直交する多数
の魚体受を間欠的に取り付け、この魚体受に腹部
を上向きとした魚体を乗せて間欠移送すると共
に、その進行上方に魚体と平行するか、あるい
は、斜交する揺動ガイドに沿つてクランプ機構に
より進退され、前進時は魚体の腹部に切込む位置
まで降下し、後退時は魚体に触れない位置まで上
昇する回転刃物を設け、該刃物をガイドの下部へ
魚体が移動して、停止する都度下降前進させてそ
の回転により魚腹に切込みを入れさせ、魚体が移
動するときこれから離隔させて上昇復帰させる構
成のものである。（特公昭46−28128号公報参照） （考案が解決しようとする課題） 前記した従来の装置は、頭付の魚体の腹腔部へ
該腹腔部内の曲面形状に合わせて、垂直の回転刃
物を移動させながら切り込ませるだけのもので、
この腹腔に納まつている内臓は次工程において内
臓除去場へ搬送し、人手で除去作業を行なわなけ
ればならず、また、頭部は別の切断装置に移送し
て処理しなければならないから、作業性が著しく
低下して、大量の魚体処理を短時間で高なうこと
ができないため、鮮魚の加工ではその魚体の鮮度
を大きく損なつたり、凍結魚では魚体の一部が解
凍して、後処理に不都合を来したり、単なる切り
込みだけでは凍結された内蔵の取り出しが行なえ
ない問題点を有するもので、当業界にあつては、
一台の処理機械で前記した採肉に適した理想形と
なるように、頭部と腹腔と腹腔すなわち「はら
も」の切除を一度で簡単に行なえる装置の出現を
強く要望されていた。

本考案は前記要望にかんがみなされたもので、
魚体の尾を持つて把持具へ乗せるだけで魚体を妄
動させることなく確実に把持させ、魚体の移送に
伴つて、まず、直立刃物により頭部が切り落さ
れ、次に、上下動ししつつ前進する水平刃物によ
り、前記「はらも」だけを正確で高歩留りに切除
することができて、次工程における後処理が簡便
となつて、省力化を計ることができる魚体の頭部
および腹腔切除装置を提供することを目的として
いる。

（課題を解決するたための手段） 前記した目的を達成するための本考案の手段
は、 フレームへ水平に懸張した移送手段と、 該移送手段へ間隔的に多数取り付けて、開閉
手段により開閉手段により開閉自在とし、移送
時、魚体の腹腔を上向きに把持する把持具と、 前記移送手段の上部一側おいて前記フレーム
へ、えら部に切り込みながら下部へ及ぶにした
がつて外側へ傾斜するように支承させた縦向き
の頭部切除刃物と、 この頭部切除刃物に隣接させ前記移送手段の
上部において前記フレームへ取り付けて、該移
送手段を跨いで斜交させ、揺動手段により上下
動するガイドと、 該ガイドに係合させて進退手段により前記移
送手段上を往復する往復台と、 該往復台へ水平に軸支し、前記切除されたえ
ら部から尾部へ向かつて腹腔を切除する刃物
と、 を備えさせた魚体の頭部および腹腔切除装置の構
成にある。

（作用） 前記のように構成される本考案の魚体の頭部お
よび腹腔切除装置は、以下述べる作用を奏する。

移送手段を運転してその始端側で適当に高さ調
整されている把持具の間の受皿へ、魚体の腹を上
に向けて該魚体を供給すると、把持具は移送手段
の進行に伴い、開閉手段により閉じられて魚体を
把持し、通常の他力例えば切除力受けても妄動し
ないもので、この状態で移送手段により頭部切除
刃物の位置へ進ませる。

移送手段の運転に伴つて頭部切除刃物位置に達
した魚体は、該刃物によりその傾斜に沿つてえら
部から切り込まれて斜めに、すなわち、脊椎骨１
〜２ケを頭部に残した採肉上高歩留りで切断され
る。

頭部の切除を終えた魚体は、前記頭部切除刃物
と隣接する腹腔切除刃物位置に移送されるもの
で、この位置において、該腹腔切除刃物を支承す
る往復台を進退手段および揺動手段の連動によつ
て作動させ、前記刃物を前記切除されたえら部か
ら切り込ませて、進退手段により尾部へ向かつて
移動させる共に、揺動手段により該刃物を徐々に
上昇させると、腹腔部は、第１１図に示す切断線
ｃを通る理想的、すなわち、歩留りと形状が最高
な切除がなされる。

こうして、刃物が切断を終り、魚体が後方へ移
るときは、進退手段と揺動手段が復帰動作を行な
い、刃物を待機位置に戻すと、移送手段が把持具
に把持された次の魚体を頭部切除刃物の位置へ送
り、この刃物による切断を行なつてこれに隣接す
る腹腔切除刃物位置へ移送し、また、これに伴い
該刃物は前記同様の作用を行なうため、魚体にお
ける頭部と腹腔の切除は連続かつ自動的に行なわ
れる。

（実施例） 次に本考案に関する魚体の頭部および腹腔切除
装置の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１〜２図において１はフレームで、その中段
の前後に駆動と従動の鎖車２，２と３，３とを軸
４と５とに支持させて設け、これら鎖車２，２と
３，３とに一対のコンベアチエーン等の移送手段
６，６を懸張して、前記した軸４にモータ７の回
転を減速機８により所定減束して伝達し、前記コ
ンベアチエーン６，６が後記する魚体の移送方向
へ所定速度で回転されるようにしてある。

９，９は前記コンベアチエーン６，６へ一定間
隔で対応的に取り付けた多数組の取付片で、これ
ら取付片９，９に両側の縦片ｄ，ｄを魚体の断面
形状に合うように曲げ、これら縦片ｄ，ｄをつな
ぐ横片ｅを魚体１０の長手方向の形状に合わせて
曲げた、一対宛の把持具１０，１０を下部の枢軸
１２，１２により枢着し、これら枢軸１２，１２
にそれぞれ連動片１３，１３を対設して、その一
方の先端を他方の先端に重ならせてある。

更に、一方の枢軸１２の下方には操作腕１４を
突出させてあつて、その先端にローラ１５を取り
付け、該ローラ１５を前記したフレーム１の前部
において抑えバー等の開閉手段１６に係合させて
抑えると、一方の把持部材１１が他方の把持部材
１１へ向かつて回動し、この動きを連動片１３，
１３により他方の把持具１１へ伝えるため、一対
の把持具１１，１１がそれぞれ内方へ回動して魚
体１０を把持するが、前記ローラ１５がフレーム
１の後部において抑えバー１６から外れると、把
持具１１，１１は開いて魚体１０を離脱するよう
にしてある。

この際、把持具１１，１１の開き過ぎを防止す
るため、前記枢軸１２，１２に規制片１７，１７
が取り付けられている。

１８，１８は前記した抑えバー１６を前記フレ
ーム１に取り付けたレバーで、一方のレバー１８
の軸１９にハンドル２０を取り付け、このハンド
ル２０によりレバー１８，１８を倒すと、抑えレ
バー１６が下降してローラ１５の抑えを強くし、
ハンドル２０によりレバー１８を起こすと、抑え
バー１６を上昇させてローラ１５の抑えを弱くす
るようにしてある。

２１は前記した把持具１１，１１の間に配設し
て魚体１０を乗せる受皿で、その両端を昇降軸２
２により前記取付片９へ取り付け、下部に前後２
個のローラ２３，２３を支持させて、これらロー
ラ２３，２３を案内板２４の上を転動させ、把持
具１１，１１による魚体１０の把持位置を決めさ
せるもので、この受皿２１の高さの調整は、前記
した案内板２４をレバー２５，２５に支持させ
て、一方のレバー２５の軸２６にハンドル２７を
取り付けて、このハンドル２７によりレバー２
５，２５を起こすと、案内板２４が上昇して受皿
２１を高くし、ハンドル２７を倒すと案内板２４
が下降して受皿２１を低くして、魚体１０の大小
に関係なく、腹腔の切断箇所を一様に後記する刃
物に対応させ得るようにしてある。

２８は魚体１０から頭部を切り落とす刃物で、
第１〜２図に示すように、円板状の回転刃物が用
いられ、魚体１０におけるえら部に沿つて頭部を
歩留り良く切除、すなわち、脊椎骨１〜２ケを頭
部へ残して切り落とす理想形切断のため、フレー
ム１に斜めに支持される軸２９へ取り付けてモー
タ３０により回転され、把持具１１，１１により
把持移送される魚体１０の頭を切断される。

３１は前記した頭部切除刃物２８の下部に設け
た頭部の支持体で、該刃物２８が魚体に切り込む
とき、頭部を押し上げ気味に支えて切断途中で頭
部が重量により垂れ下がり、魚体１０のはな部に
身割れを生じさせないようにするもので、この支
持体３１は前記した受皿２１を昇降させる前記レ
バー２５，２５と連動するレバー３２，３２によ
り受皿２１と同様に昇降される。

３３は前記魚体把持具１１，１１の上方に該把
持具１１，１１と斜交させてフレーム１に支持さ
せたガイドで、往復台３４を進退自在に係合さ
せ、この往復台３４に腹腔を切除させる刃物３５
を横、すなわち、水平に取り付けてモータ３６に
より回転させてある。

そして、この刃物３５を後記する進退手段によ
り魚体１０の到達前は待機位置に保持させ、魚体
１０が到達すると頭部から尾部へ進ませて魚体１
０の腹腔を切断させ、切断を終ると尾部から頭部
に戻らせて次の切断動作に対処させるようにして
あり、前記したガイド３３の把持具１１，１１に
対する斜交は、魚体１０の進行に刃物３５が追随
して、腹腔の切断部全体を確実に切断させるのに
有効である。

Ａは前記した往復台３４の進退手段で、第２図
に示すように、前記ガイド３３の一側においてフ
レーム１に支持され、前記減速機８よりの伝動に
よりコンベアチエーン６，６と同調回転される縦
軸３７にクランク３８を取り付け、該クランク３
８をロツド３９により前記往復台３４と連結し
て、魚体１０がガイド３３の下部に達するまで
は、往復台３４を待機位置に保持し、ガイド３３
の下に達すると、往復台３４を魚体１０の頭部か
ら尾部に進ませて腹腔を切断させ、切断を終ると
待機位置へ戻らせる。

Ｂは前記した刃物３５による腹腔の切断線軌跡
を規制させる揺動手段で、第２図および第５図に
示す例では、前記したクランク３８を取り付けた
縦軸３７に円筒カム４０を取り付け、この円筒カ
ム４０に一端を前記フレーム１へ枢着して、他端
を昇降自在としたガイド３３の先に取り付けたロ
ーラ４１を係合させ、往復台３４が魚体１０の頭
部から尾部へ進むにつれて、ガイド３３が円筒カ
ム４１により徐々に押し上げられ、往復台３４の
位置を高めて刃物３５による切断線が第１１図に
示す理想的な切断線ｃと一致するように規制動作
を行なう。

また、第８図に示す例は、往復台３４を係合さ
せたガイド３３を両端固定し、同図に示す理沈想
の切断線ｃに適合するように形成したもので、こ
の例のものは往復台３４が魚体１０の頭部から尾
部へ移動するにしたがつてガイド３３の位置が高
くなり、往復台３４の位置を高めて切断線を理想
的なものに規制する動作を行なう。

次に、第９図に示す例は、第２図および第５図
における円筒カム４０を円板カム４２に変換し、
この円板カム４２を前記縦軸３７から受動してこ
れと同調回転する横軸４３に取り付け、この円板
カム４２に一端をフレーム１へ枢着して他端を昇
降自在としたガイド３３の先端のローラ４４を係
合させたもので、前記した円筒カム４０と同様の
規制動作を行なう。

更に、第１０図に示す例は、往復台３４に昇降
体４５を支持させ、この昇降体４５に刃物３５を
取り付けてモータ３６により回転させるように
し、前記昇降体４５にローラ４６を取り付けて、
このローラ４６を固定ガイド３３の下部にこれと
平行させて設け、第１１図に示す理想の切断線ｃ
に適合する形状に形成した型板４７に係合させ
て、往復台３４が魚体１０の頭部から尾部に進む
に従い、昇降体４５が型板４７により徐々に押し
上げられて、刃物３５による切断線を理想のもの
と一致させるように規制する動作を行なうもので
ある。

なお、前記した理想の切断線ｃは、魚体１０が
まぐろのような大型のものの場合は、当然その形
状が変わるので、この場合には前記したカム４
０，４２やガイド３３、型板４７等の形状を変更
すれば、まぐろ等の大形魚の腹腔切断を行なうこ
とができるものである。

（考案の効果） 前述のように本考案の魚体の頭部および腹腔切
除装置は、魚体の尾を持つて把持具へ乗せるだけ
で魚体を妄動させることなく確実に把持させるこ
とができるので、頭部切除および腹腔切除刃物に
よる切断圧が、この魚体へ掛かつても確実に把持
させておくことができて、あらかじめ設定した希
望切除位置で頭部および腹腔が取り除かれる。

また、頭部と腹腔部とが一台の機械によつて、
移送手段の運転に伴いその移送路において次々と
処理されるので、作業能率が飛躍的に向上して短
時間で大量の魚体処理が行なえて、後工程におい
て内臓等の取り出し作業が省略され、鮮度を最重
視される鮮魚はもちろんのこと、冷凍魚であつて
も同様に連続かつ自動的になされる。

腹腔切除刃物を進退手段と揺動手段とによつ
て、理想の切断線を通るように運動させるから、
製品の歩留り、形状が熟練者の手作業に匹敵する
最高のものになる。

揺動手段を形状の変えれば、まぐろのような大
型魚の内臓除去も歩留り良くできる。

等の格別な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に関する魚体の頭部および腹腔
切除装置の一実施例を示す側面図。第２図は同上
の平面図、第３図は同上における把持具と受皿操
作系統を示す拡大正面図。第４図は同上の平面
図。第５図は刃物による切断線の規制を行なう揺
動手段の構造と伝動系を示す拡大側面図。第６図
は同上における把持具が魚体を把持する状態の説
明図。第７図は同上における受皿が魚体を受けた
状態の説明図。第８〜１０図は同上における揺動
手段の他の例を示す線図的正面図。第１１図は魚
体とその腹腔の理想的切断線を示す側面図であ
る。 図において、１はフレーム、６，６は移送手
段、１６は開閉手段、１０は魚体、１１，１１は
把持具、２８は頭部切除刃物、Ｂは揺動手段、３
３はガイド、Ａは進退手段、３４は往復台、３５
は腹腔切除刃物である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フレームへ水平に懸張した移送手段と、該移送
   手段へ間隔的に多数取り付けて、開閉手段により
   開閉自在とし、移送時、魚体の腹腟を上向きに把
   持する把持具と、前記移送手段の上部一側におい
   て前記フレームへ、えら部に切り込みながら下部
   へ及ぶにしたがつて外側へ傾斜するように支承さ
   せた縦向きの頭部切除刃物と、この頭部切除刃物
   に隣接させ前記移送手段の上部において前記フレ
   ームへ取り付けて、該移送手段を跨いで斜交さ
   せ、揺動手段により上下動するガイドと、該ガイ
   ドに係合させて進退手段により前記移送手段上を
   往復する往復台と、該往復台へ水平に軸支し、前
   記切除されたえら部から尾部へ向かつて腹腔を切
   除する刃物とを備えせたことを特徴とする魚体の
   頭部および腹腔切除装置。