JPH0314797B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はケイ酸カリ肥料をカリ源とした緩効性
複合肥料とその製造法に関するものである。 従来、緩効性窒素肥料として、ウレアホルム、
２−オキソ−４−メチル−６−ウレイドヘキサヒ
ドロピリミジン（OMUP）、イソブチリデンウレ
ア（iso−BDU）など、緩効性リン酸肥料として
は熔成リン肥、重焼リンなどがあり、配合肥料お
よび複合肥料の原料、または単肥として実用化さ
れている。緩効性カリ肥料としては、メタリン酸
カリカルシウムが知られているが製法が困難で経
済的な理由から実用化さていない。 最近石炭の微粉炭燃焼灰とカセイカリもしくは
炭酸カリウム、および水酸化マグネシウムを混合
し焼成して得られるケイ酸カリ肥料が水に難溶で
緩効性であり、土壌を酸性化する塩素根や硫酸根
を含まず、含有するケイ酸分が植物の根の活性を
うながし、土壌中に養分流失の防止にも役立つ等
の長所を持つていることが知られ、産業廃棄物を
有効に利用した緩効性カリ肥料として実用化され
るようになつた。しかしながら、このケイ酸カリ
肥料は化学的にアルカリ性（PH＝10〜12）で硫
安、リン酸アンモニウム、尿素、OMUP、およ
びiso−BDUなどの窒素肥料と混合するとわずか
の水分の共存で窒素肥料が分解されアンモニアガ
スや炭酸ガスを発生し配合肥料や複合肥料の原料
としては不都合な欠点を有する。一般的にアルカ
リ性肥料を配合肥料または複合肥料の原料として
使用する場合は、あらかじめ鉱酸により中和して
使用すれば前記のアンモニアや炭酸ガスの発生な
どの欠点は容易に解消されるが、ケイ酸カリ肥料
の場合、単に塩酸、硫酸、硝酸などで中和すると
ケイ酸カリ肥料中の難水溶性でかつクエン酸可溶
性のカリ成分が水溶化しケイ酸カリ肥料の特徴が
失われる。本発明者らはリン酸および／または酸
性リン酸塩で中和し、PHを調整することによりケ
イ酸カリのカリ成分の難溶性を維持できることを
見出し、鋭意研究を重ねた結果本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、これら従来の問題点を
解決するためのものであり、ケイ酸カリ肥料の特
徴を維持し、緩効化された窒素、リン酸、カリの
三成分を含有している肥効のすぐれた新規な緩効
性複合肥料および該緩効性肥料の製造法を提供す
ることが目的である。 本発明の緩効性複合肥料はケイ酸カリ肥料およ
び２−オキソ−４−メチル−６−ウレイドヘキサ
ヒドロピリミジンを主原料とし、リン酸液およ
び／または酸性リン酸塩によりPH＝5.0〜7.5とさ
れたことを特徴とする。また、本発明の製造法は
ケイ酸カリ肥料と２−オキソ−４−メチル−６−
ウレイドヘキサヒドロピリミジンを主原料とする
混合物にリン酸液および／または酸性リン酸塩を
混合してPH＝5.0〜7.5に調整して後、造粒、乾燥
することを特徴とする。 本発明に用いるケイ酸カリ肥料は、石炭の微粉
炭燃焼灰にカセイカリもしくは炭酸カリウム、お
よび水酸化マグネシウムを混合焼成して得られた
ものであり、これに粒状化を促進する材料を使用
したものなども含み通常ケイ酸カリ肥料と呼ばれ
るものである。カリ源としては必要によつては塩
化カリ、硫酸カリなどの速効性カリも用いること
ができる。緩効性窒素肥料としてはOMUPの合
成窒素肥料が用いられ、必要によつては、前記緩
効性肥料を主成分とし、硫安、硝安、塩安、リン
酸アンモニユウム、尿素などの通常の速効性窒素
肥料を添加したものも用いることができる。酸性
リン酸塩としては、通常用いられる酸性リン酸肥
料たとえば、リン酸−アンモニウム、過リン酸石
灰、重過リン酸石灰などが使用できる。リン酸液
は通常肥料用湿式リン酸、工業用リン酸が用いら
れる。 リン酸液および／または酸性リン酸塩の使用量
は目的とする複合肥料に必要な全原料を混合した
混合物のPHが5.0〜7.5好ましくは5.5〜7.0になる
ごとく使用すればよい。PHが7.5以上になると長
期間保存の場合、緩慢な窒素肥料の分解によるア
ンモニアが揮散し、PHが5.0以下になるとケイ散
カリ肥料の水難溶性のカリ成分が50％以上水難溶
性のカリ成分が50％以上水溶化されて緩効性カリ
成分としての特徴が失なわれる。 本発明の緩効性複合肥料は、ケイ酸カリ肥料お
よび２−オキソ−４−メチル−６−ウレイドヘキ
サヒドロピリミジンの主原料と他の肥料などの原
料を混合しリン酸液および／または酸性リン酸塩
によりPH＝5.0〜7.5好ましくは5.5〜7.0とし造粒
乾燥などの処理を施したものである。 本発明の緩効性複合肥料の製造法におけるリン
酸液および／または酸性リン酸塩の添加の具体的
な実施態様としては、つぎの方法をあげることが
できる。 (1) ケイ酸カリ肥料と２−オキソ−４−メチル−
６−ウレイドヘキサヒドロピリミジンを主成分
とする混合物にリン酸液を添加する。 (2) ケイ酸カリ肥料と２−オキソ−４−メチル−
６−ウレイドヘキサヒドロピリミジンを主成分
とする混合物に酸性リン酸塩の水溶液またスラ
リーを添加する。 (3) ケイ酸カリ肥料と２−オキソ−４−メチル−
６−ウレイドヘキサヒドロピリミジンを主成分
とする混合物に酸性リン酸塩およびリン酸液の
溶液またはスラリーを添加する。 (4) ケイ酸カリ肥料、２−オキソ−４−メチル−
６−ウレイドヘキサヒドロピリミジン、酸性リ
ン酸塩を混合し、水を添加する。 (5) ケイ酸カリ肥料、２−オキソ−４−メチル−
６−ウレイドヘキサヒドロピリミジン、酸性リ
ン酸塩を混合し、リン酸液を添加する。 本発明の緩効性複合肥料の製造法の特徴は、リ
ン酸液または／および酸性リン酸塩を用いること
である。これによつてケイ酸カリ肥料の特徴であ
る緩効性カリ成分を有する肥効のすぐれた複合肥
料を得ることができる。この理由はケイ酸カリ肥
料中の主成分であるケイ酸カリウムのリン酸によ
るケイ酸ゲルと、他に含有する酸化カルシウム、
酸化マグネシウム、酸化鉄およびアルミナなどと
リン酸との反応によるゲル状難溶性リン酸塩とが
同時に生成し、ケイ酸カリ肥料の中和と難溶化が
行われるためと推察される。 本発明の緩効性複合肥料の特徴は、カリおよび
窒素成分が緩効性であるため、濃度障害が小さく
多量施肥が可能で施肥の省力化に効果があり、成
分の流亡が少く省資源化に役立つものである。そ
の肥効特性は、従来の高度化成肥料に比較し植物
の根の張りが助長され、健全な作物が生育し、作
物の品質、収量が向上する。また、本発明の製造
法によつて得られる肥料は水溶性リン酸分（Ｗ−
P₂O₅）とクエン酸可溶性リン酸分（Ｃ−P₂−O₅）
の比率すなわちＷ−P₂O₅／Ｃ−P₂O₅が0.3〜0.6に
あつて作物のリン酸利用率が改善される。 以下、実施例にて本発明の緩効性複合肥料とそ
の製造法について説明する。 実施例 １ ケイ酸カリ肥料粉末495ｇ、OMUPが有効成分
の肥料粉末280ｇ、肥料用リン酸−アンモニウム
粉末155ｇを混合し試験用小型パン造粒機に入れ
リン酸液（P₂O₅28％）80ｇを散布しながら造粒
する。造粒品を乾燥して緩効性複合肥料を得た。
製造時アンモニア臭がなかつた。 得られた肥料は、成分がN₂＝10.54％、P₂O₅＝
10.76％、K₂O＝10.39％PHは6.3また、水溶性カリ
は0.53％でケイ酸カリ肥料中のクエン酸カリ成分
の５％に相当するものであつた。この肥料は４ケ
月放置後アンモニア臭はなく、水溶性カリの増加
はなかつた。また、牧草栽培試験の結果は表１で
あり、この肥料は標準区、無肥料区に比べて溶脱
が少く、緩効性があり、４番刈り後の根は白く活
性力があつた。 比較例 １ OMUPが有効成分の肥料の代りにiso BDUが
有効成分の肥料を用いる他は実施例１と同様に行
ない。緩効性複合肥料を得た。 得られた肥料の成分はN₂＝10.39％、P₂O₅＝
10.92％、K₂O＝10.41％であり、牧草栽培試験の
結果は表１であり、この肥料は標準区、無肥料区
にくらべて溶脱が少く、緩効性があり、４番刈り
後の根は白く活性力があつた。

【表】 試験規模：ａ／5000ポツト３連 土 砂：砂状火山灰土 沖積砂状土 作 物：イタリアン・ライグラス 栽培期間：昭和53年10月11日〜同年12月26日ガラ
スハウス栽培 試験法 試験肥料（４ｇ）をＮ＝P₂O₅＝K₂O0.4ｇ／ポ
ツト相当量を土砂2500ｇと混合してａ／5000ポツ
トに充填してイタリアン・ライグラウを播種し生
育させ約20日ごとに刈取り乾燥重量を測定した。
なお10日ごとに１の水を故意に溶脱条件下をつ
くつて栽培した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケイ酸カリ肥料および２−オキソ−４−メチ
   ル−６−ウレイドヘキサヒドロピリミジンを主原
   料とし、リン酸液および／または酸性リン酸塩を
   添加してなり、PH＝5.0〜7.5であることを特徴と
   する緩効性複合肥料。 ２ ケイ酸カリ肥料と２−オキソ−４−メチル−
   ６−ウレイドヘキサヒドロピリミジンを主原料と
   しリン酸液および／または酸性リン酸塩を添加し
   PH＝5.0〜7.5に調整して後、造粒、乾燥すること
   を特徴とする緩効性複合肥料の製造法。 ３ ケイ酸カリ肥料と２−オキソ−４−メチル−
   ６−ウレイドヘキサヒドロピリミジンを主成分と
   する混合物にリン酸液を添加する特許請求の範囲
   第２項記載の製造法。 ４ ケイ酸カリ肥料と２−オキソ−４−メチル−
   ６−ウレイドヘキサヒドロピリミジンを主成分と
   する混合物に酸性リン酸塩の水溶液またはスラリ
   ーを添加する特許請求の範囲第２項記載の製造
   法。 ５ ケイ酸カリ肥料と２−オキソ−４−メチル−
   ６−ウレイドヘキサヒドロピリミジンを主成分と
   する混合物に酸性リン酸塩およびリン酸液の溶液
   またはスラリーを添加する特許請求の範囲第２項
   記載の製造法。 ６ ケイ酸カリ肥料、２−オキソ−４−メチル−
   ６−ウレイドヘキサヒドロピリミジン、酸性リン
   酸塩を混合し、水を散布する特許請求の範囲第２
   項記載の製造法。 ７ ケイ酸カリ肥料、２−オキソ−４−メチル−
   ６−ウレイドヘキサヒドロピリミジン、酸性リン
   酸塩を混合しリン酸液を添加する特許請求の範囲
   第２項記載の製造法。