JPH0314253Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は例えば工作機械等から排出される切粉
等を細かに分断し、これをコンパクトに処理する
ようにした切断装置に関する。 （従来の技術） 旋盤等の工作機械から排出された切粉は、一般
に機械周辺に散乱して作業環境を悪化させ、作業
の安全性を害するばかりかその定期的な清掃作業
を作業者に課すため、作業能率が低下する等の問
題があつて、予てよりその改善が望まれていた。 出願人はこのような点に鑑み、一対の回動軸に
多数のカツターを配列し、かつこれらのカツター
を互いに噛合させて、カツターに搬入した切粉を
細かに分断し、コンパクトに処理するようにした
種々の切粉切断装置とその搬送装置を開発し、こ
れらを既に出願している。 （考案が解決しようとする問題点） 本考案はこの既に出願した切断装置を更に改良
して、切粉等の被処理片を更に高確度かつ高精密
に分断し、そのコンパクトな処理を増進させると
ともに、被切断片切断の量産化とチツプカツター
の強度強化を図るようにした切断装置を提供する
ことを目的とする。 （問題点を解決するための手段） このため、本考案の切断装置は、複数のカツタ
ーと該カツターよりも小径のスペーサを交互に装
着した回転可能なカツターシヤフトと、上面が内
側へ下降するテーパ面に形成され、かつその内側
端部にカツターとスペーサの外周部を収容可能な
凹溝と係入突起とを交互に形成した略櫛歯状のガ
イドを備え、上記カツター間に位置する係入突起
の上部にチツプカツターを固定した切断装置にお
いて、上記チツプカツターの断面形状を、刃先か
ら刃元側に向かつて刃厚が漸増する略くさび形に
形成し、上記チツプカツターの上面を内側へ下降
するテーパ面に形成して、その刃先角度を鈍角に
形成するとともに、上記チツプカツターの刃先
を、スペーサの下側周面に近接配置したことを特
徴としている。 （実施例） 以下、本考案を工作機械から排出される被処理
片としての切粉切断に適用した図示実施例につい
て説明すると、第１図乃至第５図において１は旋
盤等の工作機械に設置されたチツプコンベヤで、
その搬出端側の側板２，２の間には搬出ローラ３
が回転可能に軸支され、搬送した切粉を切断装置
４に搬出するようにされている。 切断装置４は前記搬出ローラ３の下方に配置さ
れ、前記側板２，２間に回転可能に軸支したカツ
ターシヤフト５を備えている。このカツターシヤ
フト５はスプラインで構成され、その軸上に多数
のカツター６とスペーサ７とを交互に配列し、か
つそれらを着脱可能に装着している。８，９は前
記カツター６列の両側に隣接して配設された櫛歯
状のガイドで、それらの上面はカツター６方向に
下降するテーパ面８ａ，９ａに形成され、それら
の先端側対向面には、相隣接するカツター６，６
間に挿入可能な係入突起１０，１１と、それらの
間に形成され、かつその間にカツター６を受け入
れる凹溝１２，１３とが、交互に配列されてい
る。この場合、実施例では係入突起１０，１１を
各ガイド８，９と一体に構成しているが、係入突
起１０，１１を別設し、これをガイド８，９にビ
ス止め等により固定して、一体的に構成してもよ
い。 １４，１５は係入突起１０，１１の上端部に形
成された切欠で、その開口端面にはねじ孔１６，
１６が形成されており、この切欠１４，１５内に
硬質のチツプカツター１７，１８がボルト１９を
介して固定されている。このチツプカツター１
７，１８は係入突起１４，１５と同幅で、その断
面形状が、刃先から刃元側に向かつて刃厚が漸増
する略くさび形をしており、その上面には前記テ
ーパ面８ａ，９ａと同一面を形成するテーパ面１
７ａ，１８ａが形成され、このテーパ面１７ａ，
１８ａにボルト１９を収容可能な段付孔２０が開
口されている。２１，２２は凹溝１２，１３に面
するガイド８，９の上端部に形成された切欠で、
その開口端面にはねじ孔２３が形成されており、
この切欠２１，２２内に硬質のチツプカツター２
４，２５がボルト２６を介して固定されている。
このチツプカツター２４，２５は凹溝１２，１３
と略同幅の略くさび形をしており、かつその大き
さは前記チツプカツター１７，１８よりも小形に
形成されていて、その上面に前記テーパ面８ａ，
９ａと同一面を形成するテーパ面２４ａ，２５ａ
が形成され、該面２４ａ，２５ａにボルト２６を
収容可能な段付孔２７が開口されている。 このうち、チツプカツター１７，１８の尖端は
第３図に示すように、これと対向するスペーサ７
の直径方向の周面より下方に位置付けられ、他方
のチツプカツター２４，２５の尖端は、対向する
カツター６の略直径方向の周面に位置付けられ、
それらの効率的な分断作用が図られている。 この他、図中２８はカツターシヤフト５の軸端
部にカツプリング２９を介して連結されたモータ
３０の駆動軸、３１は減速機、３２は側板２，２
を連結したタイロツド、３３は搬出ローラ３の駆
動用スプロケツトで、チエーン３４が巻き掛けら
れている。３５はカツター６の周面に形成された
捕捉溝、３６はガイド８，９の側端面に形成され
たねじ孔、３７は側板２に設けられた段付孔で、
前記ねじ孔３６に螺合するボルト３８を収容可能
にしている。 第６図乃至第１０図は本考案の他の実施例を示
し、前述の実施例と対応する構成部分には同一の
符号を用いている。このうち、第６図に示す本考
案の第二実施例では、係入突起１０．１１と凹溝
１２，１３の各内側端面を、下方にしたがいカツ
ター６から離間する急峻なテーパ面に形成し、か
つチツプカツター１７，１８，２４，２５の内側
端面も、前記テーパ面と同一面を形成する急峻な
テーパ面に形成して、チツプカツター１７，１
８，２４，２５の分断能率を高めるようにした点
を特徴としている。 第７図に示す第三実施例では、カツター６とス
ペーサ７を前述のように装着した２つのカツター
シヤフト５，５を側板２の上下位置に配置し、こ
のうち下側に配置したカツターシヤフト５の直下
位置には、一対のローラ３９，３９を互いに反対
方向に回転可能に設けて、切粉の分断を高確度か
つ高精度に行なう一方、このようにして分断した
切粉をローラ３９，３９間で押し潰し、そのコン
パクト化を増進させるようにした点を特徴として
いる。 第８図および第９図に示す第四実施例では、カ
ツター６とスペーサ７を前述のように装着した一
対のカツターシヤフト５，５′を具備し、これら
のカツターシヤフト５，５′を具備し、これらの
カツターシヤフト５，５′を側板２，２間の同高
位置に平行配置して、各カツターシヤフト５，
５′に装着したカツター６とスペーサ７とを交互
に噛合配列する一方、カツターシヤフト５，５′
の軸端部に駆動ギヤ４０と被動ギヤ４１を固設
し、カツターシヤフト５の動力をカツターシヤフ
ト５′に伝達させるとともに、前記駆動ギヤ４０
のピツチ円を被動ギヤ４１のそれよりも小径に構
成して、駆動ギヤ４０のトルクを被動ギヤ４１の
それよりも小さくさせ、切粉切断時に駆動ギヤ４
０に課されるトルクの低減を図つて、カツターシ
ヤフト５に直結したモータ３０の過負荷を防止す
るとともに、小径ギヤ側のカツターシヤフト５に
装着したカツター６およびスペーサ７の周速度を
低速にさせて、切粉の捕捉量を増量させ分断処理
の量産化を図るようにした点を特徴としている。 第１０図に示す第五実施例では、本考案に使用
するカツター６またはスペーサ７の他の例を示
し、これらは共にスプライン係合孔４２を中央に
形成し、その外周面には複数のカツター歯４３と
捕捉溝３５を交互に形成して、切粉切断の高確度
かつ高精密化を図るとともに、前述のような円筒
面を有するスペーサ７に代えて、同図ａ，ｂ，ｃ
に示すようなカツター６の形状と相似形状または
互いに異形状のスペーサ７を使用し、このスペー
サ７にも切粉の捕捉機能と切断機能を併有させ
て、カツター６と共に切粉切断の高精密かつ高速
処理を図るようにした点を特徴としている。 （作用） このように構成した切断装置において、工作機
械から排出された切粉がチツプコンベヤ１に搬送
され、搬出ローラ３位置から搬出されて、切断装
置４上に落下すると、それらはカツター６および
スペーサ７の上部周面に収容され、また一部の切
粉はガイド８，９の上面に落下した後、そのテー
パ面８ａ，９ａに案内されてチツプカツター１
７，１８，２４，２５の各テーパ面上に収容され
る。この場合、ガイド８，９に形成した係入突起
１０，１１と凹溝１２，１３に対し、互いに咬合
し合うカツター６およびスペーサ７との隙間は、
微小に設定されているから、前記の咬合部から切
粉が抜け落ちるということはない。 こうしてカツター６、スペーサ７およびチツプ
カツター１７，１８，２４，２５の上部周面に収
容された切粉は、カツター６に形成した捕捉溝３
５に捕捉されてガイド９方向に運ばれ、捕捉溝３
５とともに凹溝１３内に搬入されて、その内部で
圧潰される。すなわち、凹溝１３内に係入した捕
捉溝３５は、カツター６の回転に伴なつて、その
開口部を次第に凹溝１３の内端面に移行させなが
ら閉塞し始め、内部に捕捉した切粉や周辺の切粉
を巻き込んで圧潰し、これを引きちぎる。そし
て、捕捉溝３５がチツプカツター２５の位置に達
すると、その開口部が完全に閉塞されて、切粉の
圧潰が強力に行なわれるとともに、それらの隙間
を潜り抜けようとする切粉が鋭敏なチツプカツタ
ー２５の尖端または上端縁に触れて、切断され
る。この場合、チツプカツター１７，１８，２
４，２５の刃先は、それらの上面のテーパ面によ
つて鈍角に形成されているから、刃先強度が強化
され、刃こぼれが防止される。 一方、前記の切粉に随伴してスペーサ７の上部
周面をガイド９方向に移動した切粉は、スペーサ
７の上部周面とチツプカツター１８の上面との谷
間に収容され、その一部がスペーサ７とチツプカ
ツター１８の隙間に巻き込まれ、その際チツプカ
ツター１８の鋭敏な尖端または上端縁によつて分
解される。この場合、チツプカツター１７，１８
はスペーサ７の直径方向周面より下方に位置し
て、その上面とスペーサ７の周面との谷間に多量
の切粉を収容し得る一方、上記カツター１７，１
８はその断面形状が、刃先から刃元側に向かつて
刃厚が漸増する略くさび形をしていて、これが矩
形断面のものに比べて、その断面係数が大きく形
成されているから、上記のように多量の切粉を切
断する場合でも、その切断荷重ないしは応力に十
分堪えられる。 このようにカツター６およびスペーサ７上の切
粉は、仮に係入突起１１や凹溝１３の咬合部の隙
間に巻き込まれても、チツプカツター１７，１
８，２４，２５によつて確実に切断されるから、
これらの間に生じ易い所謂かじりの発生が回避さ
れ、カツターシヤフト５に直結したモータ３０の
過負荷運転を防止し得るものとなる。また、カツ
ターシヤフト５に装着したカツター６と、チツプ
カツター１７，１８，２４，２５による固定刃の
複合的な切断によつて、従来のような一対のカツ
ターシヤフトを噛合配列したものと同等の切粉処
理能力が得られ、しかもカツターシヤフト５の単
一構成分、切断装置４の小型軽量化が図れるか
ら、その分モータ３０の動力を低減し得ることと
なる。 この場合、切粉切断には主としてカツター６の
回転方向に関係するガイド、実施例ではガイド９
側のチツプカツター１８，２５が関与するため、
ガイド８側のチツプカツター１７，２４、更には
ガイド８自体も省略することが可能である。ま
た、このような切粉切断の状況は、第６図に示す
実施例では、チツプカツター１８，２５の尖端が
鋭角をなして切断能力を高めているから、切粉の
切断を円滑かつ効率良く行なえるとともに、その
チツプカツター１８，２５に作用する切断時の撃
力を軽減して、その破損を防止し得るものとな
る。 また、第８図および第９図に示す実施例では、
一対のカツターシヤフト５，５′を噛合配列させ
ているが、その駆動ギヤ４０のピツチ円を被動ギ
ヤ４１のそれよりも小径にして、駆動側のトルク
を低減し、モータ３０に課される負担を軽減させ
ているから、モータ３０の省能力化と過負荷運転
の防止を図れるとともに、駆動ギヤ４０側のカツ
ター６およびスペーサ７の周速度を低速にさせて
いるから、切粉の捕捉量が増量され、切粉切断の
量産化を図り得るものとなる。 （考案の効果） 本考案の切断装置は以上のように、複数のカツ
ターと該カツターよりも小径のスペーサを交互に
装着した回転可能なカツターシヤフトと、上面が
内側へ下降するテーパ面に形成され、かつその内
側端部にカツターとスペーサの外周部を収容可能
な凹溝と係入突起とを交互に形成した略櫛歯状の
ガイドを備え、上記カツター間に位置する係入突
起の上部にチツプカツターを固定した切断装置に
おいて、上記チツプカツターの断面形状を、刃先
から刃元側に向かつて刃厚が漸増する略くさび形
に形成したから、これを矩形断面にしたものに比
べて、断面係数が大きくなり、多量の被切断片を
切断する場合でも、その切断荷重ないしは応力に
十分堪えられる。 また、本考案は、上記チツプカツターの上面を
内側へ下降するテーパ面に形成して、その刃先角
度を鈍角に形成したから、被切断片の滑落を促
し、これをチツプカツターの刃先へ間断無く供給
できるとともに、刃先の強度が強化され、その刃
こぼれを防止できる効果がある。 更に本考案は、上記チツプカツターの刃先を、
スペーサの下側周面に近接配置したしたから、こ
れをスペーサの軸心と同位置に配置したものに比
べて、チツプカツターの上面とスペーサの外周
面、および両カツターの側周面とで区画される谷
間、つまり被切断片の収容ないしは滞留スペース
を大きく確保でき、それだけ被切断片をチツプカ
ツターへ間断無く供給して、切断能率を高められ
る等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第一実施例を示す断面図、第
２図は第１図上Ａ−A′線に沿う横断平面図、第
３図は第１図の要部を示す側面図、第４図は第１
図の要部を分解して示す斜視図、第５図は第４図
の要部を更に分解して示す斜視図、第６図および
第７図は本考案の第二、第三実施例の要部を拡大
して示す正面図、第８図および第９図は本考案の
第四実施例を示す平面図と、その側面図、第１０
図ａ，ｂ，ｃは本考案の第五実施例を示す正面図
である。 ６……カツター、９……ガイド、１３……凹
溝、１８……チツプカツター。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数のカツターと該カツターよりも小径のスペ
   ーサを交互に装着した回転可能なカツターシヤフ
   トと、上面が内側へ下降するテーパ面に形成さ
   れ、かつその内側端部にカツターとスペーサの外
   周部を収容可能な凹溝と係入突起とを交互に形成
   した略櫛歯状のガイドを備え、上記カツター間に
   位置する係入突起の上部にチツプカツターを固定
   した切断装置において、上記チツプカツターの断
   面形状を、刃先から刃元側に向かつて刃厚が漸増
   する略くさび形に形成し、上記チツプカツターの
   上面を内側へ下降するテーパ面に形成して、その
   刃先角度を鈍角に形成するとともに、上記チツプ
   カツターの刃先を、スペーサの下側周面に近接配
   置したことを特徴とする切断装置。