JPH0312874Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は現位置混合工法を採り得るアースオー
ガーのオーガースクリユーに関するものである。

〈従来の技術〉 従来、一般に用いられているこの種のオーガー
スクリユー（中空軸型）の構造は、単なるオーガ
ースクリユー同様に正進掘削のスクリユーを配し
た所謂正進掘削専用の軸を適宜本数連結し掘削を
行なうものとしてなる。しかし、このような正進
スクリユーだけを備えたアースオーガーでは、近
時とみに用いられる現位置混合工法に最適となら
ない。即ち、アースオーガーを用いて基礎杭を構
築するに際し、現位置土砂を骨材とみなし、これ
にセメント溶液を混合撹拌し排出泥土を最小とす
る現位置混合工法の使用が多くなつてきた。この
場合、オーガースクリユーのスクリユーを正進方
向だけをもたせたものでは、回転に伴う撹乱度が
悪く、掘孔周壁への押圧による締め固めもあま
い。このため、いまだにかなりの量の排土が生ず
る。この排土にはセメント溶液も一緒となつて繰
出されるため、この排土にて二次的公害を招く結
果となつている。しかも、上記のように排土中に
セメント溶液をみると言うことは、セメントを必
要以上に使うことで経済的にもよくないものであ
る。また、一方向（正進）のスクリユー使用で
は、例えば多少堅い地盤等で時間を掛けて掘削を
した場合、スクリユー上に揚土させる排土は、所
謂ダンゴ状となつて現われるため、このダンゴ状
排土を崩し戻すのにも時間がかかり非能率的とな
つている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 本考案は上記実情に鑑み、撹乱度を最大とする
練り返し作用を得る正、逆進のスクリユー配列を
採り、排土量を皆無状とするオーガースクリユー
を提供するものである。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は、中空軸型オーガースクリユーにおい
て、正進スクリユーを適宜ピツチ数配設した一定
長さの正回転軸部と、逆転機構を有する逆進スク
リユーを適宜ピツチ数配設した一定長さの逆回転
軸部を、下端より正、逆回転軸部と順次連結し全
体として１本軸としたものである。

〈作用〉 上記のような構成のため、この１本軸となるオ
ーガースクリユーの上端をリーダー上端に吊り下
がつたアースオーガー駆動装置部に取付け、且つ
下端にヘツドを配する。この状態でオーガースク
リユーを降下し接地させれば、この掘削負荷に起
因して交互に連続した正回転軸部と逆回転軸部が
夫々の回転をもつて廻り、正進スクリユーの正回
転軸部で掘削作用を、逆進スクリユーの逆回転軸
部で押え練り返し及び掘削壁面への押圧作用を果
すため、掘削口部へセメントを含んだ排土の排出
は極少量にとどまる。

〈実施例〉 以下、本考案を実施例の図面に基づいて詳述す
れば、次の通りである。

第１図乃至第４図は逆回転軸部の芯軸を正回転
軸部に直接取付けるタイプを示す。１は所定のピ
ツチ数をもつ正進スクリユー２を外周に配し中心
に中空３を有する正回転軸部で、該正回転軸部１
の上端に設けたピン連結となる連結溝４へ逆回転
軸部５の下端に設けた連結突部６を嵌合する構造
としてなる。この逆回転軸部５は、前記正回転軸
部１と一体的となる中空３を有する芯軸５ａと、
この外周に突設した原動歯車５ｂと、芯軸５ａに
固定の支持板５ｃに取付けた伝達歯車５ｄを、芯
軸５ａと同芯上に配された外筒５ｅの内歯歯車５
ｆに噛合し、この外筒５ｅ部に実質的な逆回転を
させる伝達構成を採つてなり、且つこの外筒５ｅ
の外周に所定のピツチ数をもつ逆進スクリユー７
を一体突出してなる。５ｇは外筒５ｅと芯軸５ａ
の上下端部に介在したベアリングである。このよ
うな構成の正回転軸部１と逆回転軸部５を、下段
より正、逆と順次交互に連結し１本軸のオーガー
スクリユー８とする。

いまこの作用を説明すると、先ず正回転軸部１
と逆回転軸部５を適宜個数連結した１本軸のオー
ガースクリユー８の上端を、公知のアースオーガ
ー機のリーダー部（図示せず）の上端に支持され
た駆動装置９のカツプリング部に取付け、且つオ
ーガースクリユー８の下端に溶液噴出孔１０ａ付
きのオーガーヘツド１０を配す。但し、このとき
最下位の回転軸は正回転軸部１が位置する。

ここにおいて、オーガースクリユー８の下端を
掘削すべき所定位置の地盤へ押下げて正回転を与
えれば、このオーガーヘツド１０の爪により地盤
を掘進するものである。この場合、最下位となる
正回転軸部１では正進スクリユー２を配してなる
ため、従来のオーガースクリユー同様に掘削作用
のみを得る。しかも、このときオーガーヘツド１
０の溶液噴出孔１０ａよりセメント液を噴出させ
る。

この状態で最下位の正回転軸部１に続く逆回転
軸部５が接地され、この逆進スクリユー７に掘削
負荷が掛ると（逆回転軸部５は、宙吊りとなる無
負荷状態下では正回転を呈している）、先ず負荷
が逆回転軸部５の逆進スクリユー７及びこれと一
体の外筒５ｅの内歯歯車５ｆ部が固定歯車状とな
るため、該内歯歯車５ｆに噛合の原動歯車５ｂで
回転する伝達歯車５ｂが一種の遊星歯車機構を呈
するので、芯軸５ａの正回転が内歯歯車５ｆには
逆回転として伝わる。即ち、逆回転軸部５は実質
的に逆回転をし、この逆進スクリユー７も逆回転
するため、該逆進スクリユーの箇所では上方へ繰
出される排土を押え練り返す作用に変換され、こ
のため、ダンゴ状の排土が揚土されても、この逆
進スクリユー７部で切り崩すことにもなる。従つ
て、この掘孔中にあつては、土砂とセメント溶液
が最大に混合撹拌され最大の撹乱度を得ると共
に、この押圧抵抗が撹拌液を掘削壁へ押付ける結
果となり、圧密のソイルセメント壁を造成する。
このように、混合撹拌用逆回転軸部５位置が一定
間隔ごとに現われるため、掘削された排土はセメ
ント溶液と共に順次掘削壁に押圧締め固められ、
この圧密壁の拡大分だけ掘削排土の揚土量が減じ
られる。

第５図、第６図は逆転機構をジヨイント構成と
した他の実施例を示す。この場合は、正進スクリ
ユー２を配す正回転軸部１と逆進スクリユー７を
配す逆回転軸部５の連結位置に逆転用ジヨイント
１１を介在する。即ち、ジヨイント１１は正回転
軸部１の連結溝４を嵌合する連結突部６′を有す
る原動歯車１１ｂと、該原動歯車１１ｂに噛合す
る伝達歯車１１ｄは外筒１１ｅの基盤部１１ｃ側
に支承し、該伝達歯車１１ｄの一方は外筒１１ｅ
の内歯歯車１１ｆに噛合させ、回転入力、回転出
力を逆転としてなる。この外筒１１ｅの連結溝
４′に逆進スクリユー７を配す逆回転軸部５を連
結する。このときも、前記実施例同様に最下位に
はオーガーヘツド１０を取付けた正回転軸部１を
位置せしめ、この上端に逆転用ジヨイント１１を
介し逆回転軸部５、正回転軸部１、逆転用ジヨイ
ント１１、逆回転軸部５……と順次交互に配設
し、全体として１本軸となるオーガースクリユー
８を構成する。

この状態で、最下位の正回転軸部１の下端が接
地し、この掘削負荷が正回転軸部１に加われば、
この上の逆転用ジヨイント１１の芯軸１１ａ部と
なる原動歯車１１ｂ部が一瞬固定状となるため、
該正回転軸部１の上位置の逆回転軸部５は介在の
伝達歯車１１ｄのもつ遊星歯車機構にて逆転を始
める。以下、順次連結された順に正回転軸部１の
正回転、逆回転軸部５の逆回転がなされる。従つ
て、正回転軸部１では掘削作用を得、逆回転軸部
５で排土及びセメント溶液の押圧撹拌が行なわ
れ、掘削壁への撹拌液の押付けがなされ、上方
（掘削口）への排土、セメント溶液の繰出しを最
小とし得る。

〈考案の効果〉 上述のように本考案のアースオーガーのオーガ
ースクリユーは、中央にセメント溶液を注入し得
る中空軸型オーガースクリユーを、正進スクリユ
ーの正回転軸部と逆進スクリユーの逆回転軸部を
順次下段より正、逆と配し１本軸とする構成とし
たことにより、逆回転軸部位置にて排土とセメン
ト溶液の撹乱度を高め得ると共に、掘削壁面に対
する押付けがなされ、掘削口に対するセメントを
含む残土の排出を最小とし、残土処理に伴う二次
公害をなくし得るものである。しかも、正進スク
リユーと逆進スクリユーが交互にあるため、スク
リユー部にダンゴ状揚土をみても自動的に切り崩
し、地上へダンゴ状排土を招く虞もなく、この点
からも高能率な掘削を得る等の実用的効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
正面図、第２図は逆回転軸部の拡大断面図、第３
図は同要部横断面図、第４図は使用状態の説明
図、第５図、第６図は逆回転軸部の逆回転機構の
他の実施例を示す拡大断面図及び横断面図、第７
図は同逆回転機構を備えた正面図である。 １……正回転軸部、２……正進スクリユー、３
……中空、５……逆回転軸部、７……逆進スクリ
ユー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中空軸型オーガースクリユーにおいて、中空軸
   の軸心方向に中空軸の外周に間隔をおいて配置し
   た正進スクリユー付き正転オーガーと、その間隔
   内に配置され、且つ、中空軸と歯車で係合して中
   空軸と反対方向に回転する逆進スクリユー付き逆
   転オーガーとよりなるアースオーガーのオーガー
   スクリユー。