JPH0310435Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は歯付ベルト、特にベルトの歯付プーリ
との噛合駆動時プーリのフランジ部との接触によ
る、局部摩耗に伴うベルト損傷の多発々生個所た
るベルトの伸張ゴム層部を特に補強せしめたこと
を特徴とする歯付ベルトに関する。

（従来の技術） ロープ抗張体を伸張ゴム層内に埋設し、その下
面に一定のピツチにて歯部を設けた歯付ベルトは
確動を主目的とする動力伝導ベルトとして多用さ
れている。

歯付ベルトは近年その普及に伴い使用条件も多
様化し、２軸駆動から発展して多軸駆動にも使用
されつゝある。また設備機械や装置のコンパクト
化傾向によりプーリの軸も自然細身化し、ために
その分、軸は脆弱化の傾向にある。しかも片持軸
がその主流を占める傾向にあり、ために軸にかか
る負荷も増大する。又多軸で用いると軸個々の負
荷は小さくても全体としては大きな負荷となり、
それに伴いベルトに加わる張力は増大し、相対的
に軸に加わる荷重が増大する。

以上のとおり軸荷重の上昇により駆動中の軸部
に撓みが発生する機会も増加し、そのためベルト
がプーリの片側に寄つて走行する傾向は増々増大
する。このベルトのプーリ上での片寄り走行が長
く続くと、プーリのフランジ部との接触によりベ
ルトに側圧が加わり、ベルトがプーリに噛合する
時、剛性の大きいロープ抗張体上の伸張ゴム層部
分はプーリの外周方向に押し上げられる応力が強
く作用する。

（考案が解決しようとする問題点） 前述のとおり各種機器のコンパクト化傾向に伴
い、プーリ軸は細くなりその分脆弱化することは
否定できず、又軸の片持ち式傾向はその分、軸荷
重により軸には撓みの発生する機会も当然増加す
る。この結果軸の平行度が損われ、ミスアライメ
ント現象が発生する。一方歯付ベルトは噛合伝動
であるため歯のピツチずれを極端に嫌い、抗張体
は特に低伸度かつ高強力でヤング率の大きい材料
が選択される。この抗張体の保有する剛性は、軸
間にミスアライメント現象が発生するとベルトは
必らず軸間を結ぶ長さの短い方向、具体的には片
持軸の場合自由端方向へ片寄つて走行する傾向に
あり、これによりベルトの一部分はプーリのフラ
ンジ部に局部的に強く擦られる。

この結果剛性の大きいベルトのロープ抗張体部
分、又帆布などをもつてその表面を被覆され、補
強された歯部に比べ、その剛性の小さい伸張ゴム
層部分はベルトの他部に比べ大きく変形して該部
の亀裂、引裂き、欠落などの結果となりベルトの
寿命を短縮化する主因の一つとなつている。

（問題点を解決するための手段） 本考案の構成はロープ抗張体を伸張ゴム層内に
埋設し、その下面に一定のピツチにて歯部を設け
た歯付ベルトにおいて、前記伸張ゴム層のうし、
その両側部寄り部分のみ剛性の大きい繊維製補強
部材をベルト横方向に埋設せしめたことを特徴と
し、歯付ベルト駆動時駆動軸と従動軸間に生じる
僅かなアライメント（配置）の狂によつてプーリ
のフランジ部との不自然な反復接触により発生す
るベルトの軟弱部たる伸張ゴム層に集中する極端
な摩耗、亀裂、引裂きの発生を効果的に抑止せし
めることを意図したものである。

（実施例） つぎに本考案を実施した歯付ベルトの具体的実
施例を図面を用いて説明する。

図中、１はポリエステル、ナイロン、芳香族ポ
リアミド、レーヨン、ガラス繊維、ステイールワ
イヤなどの低伸度高強力のロープ抗張体で、該ロ
ープ抗張体１は天然ゴム、スチレン、ブタジエン
ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチル
ゴム、ポリウレタンゴムなどの単一材又はこれら
数種のゴムを適宜ブレンドしてなる伸張ゴム層２
の下部寄りに埋設されている。ロープ抗張体１の
下面には一定のピツチにて前記伸張ゴム層２と同
一材質からなる歯部３，３が一体に形成され、こ
の歯部３の表面はウーリー加工した捲縮ナイロン
縦糸と通常のナイロン横糸で織製したゴム付伸縮
性帆布４をもつて被覆されている。

以上の構成からなる歯付ベルトにあつて、前記
伸張ゴム層２内にはその伸張ゴム層２の両側寄り
にのみ、具体的にはその一端部を伸張ゴム層に露
出せしめ、あるいは露出に近い状態にて繊維製補
強部材５が埋設されている。この補強部材５はベ
ルト横方向に一乃至複数層の剛性の大きい織布、
編布、すだれ、あるいはベルト横方向に配向埋設
した短繊維群又は不織布などをもつて構成され、
これらを単独にて、あるいは適宜組合せて構成さ
れ、その材質はポリアミド、ポリエステル、アラ
ミド、カーボン繊維などの合成繊維、綿、レーヨ
ンなどのセルローズ繊維及び金属繊維からなり、
又フイラメント糸、スパン糸なども適宜採用する
ことができる。

以上の織布をもつて補強部材５を形成する折に
はベルトがプーリ部を通過する折ベルトの屈曲性
を大きく損わないよう比較的薄手のものを用い、
第１図、又は第２図に示すように短繊維をベルト
横方向への配向性を保ちつつ、かつ伸張ゴム層２
のうち両側部寄り部分にのみ埋設せしめる。

（考案の効果） 本考案は歯付ベルト使用の多様化に伴う歯付ベ
ルトの使用態様も多角化し、その苛酷な状況下で
の駆動時、歯付ベルトはプーリの片側フランジと
局部的に接触を繰り返えし、ベルトはこの不自然
な形態での稼動に伴い、ベルトの障害は最も剛性
に欠ける柔軟な伸張ゴム層、特にその両側壁部分
に集中する傾向がある。よつて本考案は歯付ベル
トの伸張ゴム層のうち、両側部寄り部分のみに剛
性の大きい補強部材を部分的に埋設せしめること
により、ベルトの屈曲性を大きく損うことなく歯
付ベルトの脆弱部たる伸張ゴム層の両側部を強化
せしめることにより、該部を中心に発生する亀
裂、摩耗、引裂きなどの欠陥を未然に防止し、ベ
ルトライフの延長に大きく寄与することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を実施した歯付ベルトの一部
の斜視図、第２図は他の実施例を示す第１図に相
当する図である。 図中、１は抗張体、２は伸張ゴム層、３は歯
部、５は補強部材を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロープ抗張体を伸張ゴム層内に並列状に配して
   ベルト長手方向に埋設し、その下面に一定のピツ
   チにて歯部を設けた歯付ベルトにおいて、前記伸
   張ゴム層のうち、その両側部寄り部分にのみ剛性
   の大きい繊維製補強部材をベルト横方向に埋設せ
   しめたことを特徴とする歯付ベルト。