JPH029813B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、超音波映像装置に関し、詳しくは被
検体に送波する超音波を多周波とし、近距離ほど
より高い周波数の超音波でかつ高ラインレートと
なるようにしてエコー信号を得て画像表示するよ
うにした超音波映像装置に関するものである。 通常の超音波映像装置では、超音波探触子から
発生される超音波の中心周波数は固定で一定とな
つている。このような装置において、探査深度を
上げようとすると、被検体内での音速に制限され
て、ラインレートしかしてまた画像表示に係るフ
レームレートが低下するという問題があつた。こ
れは線順次エコグラフイーの本質質的な問題であ
る。広帯域送波に基づく反射波を周波数分割処理
する等により浅い部位から深い部位までにわたつ
て一様に良質の画像が得られるようになつたとは
言うものの、ラインレートやフレームレートにお
いては何ら解決されていない。特にパルスドプラ
等（観測可能なドプラシフトのアリアジング限界
を高くとりたいために高ラインレートが要求され
る）と併用しようとすることと、ラインレートを
落として深い部位まで一望のもとに観察しようと
することは、両立し得ない事項であつた。 本発明の目的は、このような点に鑑み、探査深
さの浅い領域は高ラインレートで、深い領域は従
来どおりの普通のラインレートで、各々異なる周
波数域で同期関係を保つて走査し、パルスドプラ
等との併用が可能な多周波超音波映像装置を提供
することにある。 このような目的を達成するための本発明は、超
音波探触子からは互いに異なる周波数の超音波を
発生し、近距離に対してはより高域の周波数の超
音波によりより高いラインレートで、また中距離
ないし遠距離に対しては抵域の周波数の超音波に
より前記高いラインレートの１／ｎ（ｎ２）の
ラインレートで画像を得るようにすると共に、そ
れらの送波超音波パルスは１対ｎの関係で送波の
タイミングが同期するように構成したことを特徴
とするものである。 以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。第
１図は本発明に係る多周波超音波映像装置の一実
施例の要部を示す構成図である。同図において、
１０は超音波を発生させるために振動子２０を付
勢する駆動回路である。振動子２０は広帯域振動
子であり、これに適した駆動回路１０を示せば第
２図のようなものである。すなわち、コントロー
ラ１１の制御の下にパルサー１２および１３を適
宜のタイミングで付勢し、そこから発生した広帯
域の周波数成分を有する駆動パルスをそれぞれ高
域用のバンドパスフイルタ１４および低域用のバ
ンドパスフイルタ１５を通して所定の周波数帯の
もののみ取り出し、これを加算器１６経由で振動
子２０に与えるようにしている。第３図は駆動回
路１０の他の実施例を示す構成図で、ここでは１
つの広帯域のパルサー１２をコントローラ１１′
で付勢し、コントローラ１１′によつて切換えら
れるスイツチ１７によつてパルサー１２の出力を
直接に、あるいは高域用のバンドパスフイルタ１
４を介してそれぞれ取出し、これを振動子２０に
与えるようにしている。反射波は振動子２０で受
波され電気信号に変換された後低域チヤンネルと
高域チヤンネルとに、並列的に導かれる。低域チ
ヤンネルは、TGC（Time Gain Control）付アン
プ３１、可変フイルタ３２及び処理回路４０より
構成される。TGC付アンプ３１では被検体の深
さに応じて、換言すれば経過時間に対応して受波
信号が減少するのを補償しつつ滴度に増幅する。
更に可変フイルタ３２では受波信号が被検体の深
さや組織細胞の差異などによつて周波数の下るの
を補正する。このように補正されたエコー信号は
処理回路４０において対数圧縮、検波、高周波分
のカツト及び増幅などの通常の処理が施される。
他方、高域チヤンネルはバンドパスフイルタ３
３、TGC付アンプ３４及び処理回路５０より構
成されている。TGC付アンプ３４及び処理回路
５０は低域チヤンネルのアンプ３１及び処理回路
４０と同様の機能を発揮するものである。バンド
パスフイルタ３３はエコー信号の中で高域の周波
数信号のみ抽出するためのものである。 処理回路４０および５０の出力はマルチプレク
サ６１を介して択一的に適宜選択されてAD変換
器６２に導かれ、ここでデイジタル信号に変換さ
れ一旦フレームメモリ６３に蓄えられる。フレー
ムメモリ６３に格納された画像データは表示に適
した順序で読出し、DA変換器６４でアナログ化
したのちビデオ信号としてCRT表示装置７０に
与え、テレビジヨン方式で画像表示するようにな
つている。 なお、広帯域の振動子２０として約1.5〜10M
Hzの帯域を有するものを選んだ場合、パルサーと
しても少なくとも約1.5〜10MHzの周波数成分を
有するものとし、同時にまた高域のバンドパスフ
イルタ１４および３３はその周波数帯域幅を例え
ば約3.5〜10MHzとする。そして、高域チヤンネ
ルでは約3.5MHz以上のエコー信号を受信処理し、
低域チヤンネルでは約2MHz以下のエコー信号を
受信して信号処理する。 なお、振動子２０としては、高域用（例えば、
約3.5〜10MHz）の振動子と低域用（例えば約1.5
〜2MHz）の振動子を合体し、アニユラー状など
に形成された複合型の振動子としてもよい。 このような構成において超音波の送受に係る動
作を次に説明する。なお、ここでは駆動回路１０
としては第３図に示す構成のものを例にとつて説
明する。コントローラ１１′は、第４図イに示す
ように一定周期のトリガパルスを発生する。パル
サー１２はこのトリガにより付勢されて約1.5〜
10MHzの周波数成分を有する駆動パルスを発生す
る。このときスイツチ１７での選択により、第４
図のロに示すように、偶数番目（2n、2n＋２、
…）の駆動パルスはそのままで、一方奇数番目
（2n＋１、…）の駆動パルスはバンドパスフイル
タ１４を介して高域の駆動パルスのみとしてそれ
ぞれ振動子に与えられる。これにより振動子２０
からは第４図のハに示すように偶数番目のトリガ
時には広帯域（1.5〜10MHz）の超音波が、また
奇数番目のトリガ時には高域（3.5〜10MHz）の
超音波が発生する。このような送波によれば第４
図のニに示すようなエコー波が振動子に帰投され
る。このエコー波は、第４図のホに示す低域のエ
コー波（低域の超音波は２トリガ間隔で送波され
るので低域のエコー波は２トリガ期間にわたる）
と、第４図のヘに示す高域のエコー波（１トリガ
期間ごとに得られる）との合成波である。 TGC付アンプ３１以下の低域チヤンネル用の
回路では第４図ホに示す低域（1.5〜2MHz）のエ
コー波によるエコー信号を処理し、他方のバンド
パスフイルタ３３以下の高域チヤンネル用の回路
においては第４図のヘに示す高域（３〜10MHz）
のエコー波に基づくエコー信号を処理する。 このような送受信によれば、高域の超音波の送
受によつては低域の超音波のそれよりも２倍の速
さで被検体を探査できる。すなわち、第５図に示
すようなセクタ走査面に対し、低域チヤンネルに
おいては全範囲の画像を得、高域チヤンネルにお
いては低域の場合の２倍のラインレートないし２
倍のフレームレートで浅い部位（最大探査深度ｌ
の半分の深さｌ／２までの部位）いわゆる近距離
の画像を得ることができる。 この同時に得られる２種類の画像データはマル
チプレクサ６１により適宜に切換えられ、近距離
用には高域チヤンネルのデータが、それ以遠の深
い部位用すなわち遠距離用には低域チヤンネルの
画像データがAD変換された後フレームメモリ６
３に格納される。 なお、浅い部位とのラインレートの比は２に限
らず３以上の整数であつてもよい。また、超音波
走査はセクタ走査のみならずリニヤ走査のもので
もよい。更に、Ｂモード画像獲得にとどまること
なく、第６図に示すように全体をＢモード画像と
してとらえると共に浅い部位においてはより高速
のラインレートで走査されることを利用してパル
スドプラを行なうこともできる。この場合のＢモ
ード画像はパルスドプラのサンプルボリユーム
SVの位置の判定に使えればよい程度のもので、
あまり高分解は要求されない。 また、第４図のハに示される高域、低域いずれ
の送波に対してもそれぞれ一つおきに極性を反転
し（極性インターリープ）、第７図に示すような
デイレーラインキヤンセラー７０を用いてエコー
信号を分離抽出すれば本質的に相互に妨害のない
低域及び高域チヤンネルにおける各目的の出力を
独立に得ることができる。すなわち第７図の２つ
のデイレーラインDL₁，DL₂をともに第４図イの
トリガパルスの周期にしておくと、エコー信号は
増幅器AMPを経由した後、出力１からはとなり
あうトリガパルスに関する、また出力２からはそ
の更に先の〓（１つおきの）ものに関する、各々
のエコー信号と目下のものとが、加減算器７１，
７２でそれぞれ加算および減算されて出現する。
このような構成において、４つの連続するトリガ
パルスを周期として表のように極性の異る各高、
低域の送波パルスを送出するならば（ただしｎは
自然数）、

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 多周波で広帯域の超音波を送受する振動子を
   使用し、近距離に対しては高域の周波数により高
   ラインレートで、遠距離に対しては低域の周波数
   により前記高ラインレートの１／ｎのラインレー
   トにより互いに同期関係をもつて同時並行的に送
   受信しつつ各々の画像を獲得できるようにし、か
   つ得られた各々の画像データは一旦フレームメモ
   リに蓄えた後画像表示に用いられるようにしたこ
   とを特徴とする多周波超音波映像装置。 ２ 前記高域及び低域の多周波超音波を発生させ
   るため、及び得られた多周波のエコー信号を高域
   及び低域の周波数信号に分波するために、それぞ
   れフイルタ手段を利用したことを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の多周波超音波映像装置。 ３ 前記振動子は高域の周波数帯で励振する高域
   用振動子と低域の周波数帯で励振する低域用振動
   子よりなることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の多周波超音波映像装置。 ４ 前記振動子付勢において、高域の周波数で付
   勢するときと低域の周波数で付勢するときとで、
   極性インターリーブを行ない、かつ受波時にはデ
   イレーラインキヤンセラーで相互の干渉が低減さ
   れるようにして受信するようにしたことを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載の多周波超音波映
   像装置。