JPH029426B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はカラーブラウン管用シヤドウマスク構
体に関するものである。

一般に、シヤドウマスク構体は第１図に示す工
程によつて製造される。まず、鉄板１をフオトエ
ツチングにより中央部に電子ビームが通過する孔
をあけてシヤドウマスク原板２を製作する。次
に、孔があけられた有効面２ａを曲面にその周囲
の有効面外２ｂをほぼ垂直にプレス成形し、曲面
有効部３ａとスカート部３ｂを有する整形マスク
３にする。一方、パネルの内面に組合せるための
スプリング４を取付けたサポートフレーム５を準
備しておく。そして、前記整形マスク３をサポー
トフレーム５に×印で示す溶接点６で溶接し、シ
ヤドウマスク構体７を得る。その後、シヤドウマ
スク構体７をパネルに組合せて熱処理を施して安
定化させる。

このように、整形マスク３は平板のシヤドウマ
スク原板２を箱型に絞つてプレス成形されるの
で、第２図に示すようにスカート部３ｂにしわ３
ｃが発生する。そこで、このしわ３ｃを有する整
形マスク３を用いたシヤドウマスク構体７は、熱
処理工程で第３図に示すように変形３ｄが発生す
る。この変形３ｄはスカート部３ｂの上方で特に
長辺中央に発生し易い。

この変形３ｄの発生について更に詳細に説明す
る。例えば板厚0.16mmの整形マスク３と例えば板
厚2.0mmのサポートフレーム５を用いると、両者
の板厚差により熱膨張速度に応答差ができる。ま
た整形マスク３のスカート部３ｂの高さとサポー
トフレーム５の高さが異なるため熱膨張による全
伸長量が異なる。一方、サポートフレーム５と整
形マスク３は溶接されているため、この溶接点６
が固定点となり、前記した熱膨張の２つの要因に
より両部品３，５に力が加わる。他方、前記した
ように板厚の薄い整形マスク３のスカート部３ｂ
にはしわ３ｃが存在するために、スカート部３ｂ
は機械的強度が強い部分と弱い部分とを有する不
均一構造となつている。このため、熱膨張によつ
て発生した力によりスカート部３ｂの弱い部分、
特に長辺中央の上方部分に変形３ｄが発生する。

このように変形３ｄが生じると、正しいけい光
面の形成や電子ビームが正しいけい光面に射突す
ることを妨げ、カラーブラウン管の色純度が悪化
する欠点を有する。

またカラーブラウン管の作動時に電子ビームは
シヤドウマスク構体７に衝突し、一部は熱エネル
ギーに転換し、この熱によつてシヤドウマスク構
体７は熱膨張を起す。この熱膨張に基づくカラー
ブラウン管の色純度の劣化を防ぐために、有効面
外２ｂには第４図に示すように矩形、丸型などの
形状で約80μｍ程度の深さでハーフエツチング８
を施している。しかしながら、このハーフエツチ
ング８はカラーブラウン管作動時における熱膨張
による色純度の劣化を防ぐためで、前記したよう
にカラーブラウン管製造中における熱処理によつ
てシヤドウマスク構体７に発生する変形３ｄを防
止する効果はない。

本発明は上記従来技術の欠点に鑑みなされたも
ので、シヤドウマスク構体の熱処理による変形を
防止してカラーブラウン管の画像再現性を向上さ
せることができるシヤドウマスク構体を提供する
ことを目的とする。

以下、本発明を図示の実施例により説明する。

第５図は本発明になるシヤドウマスク構体に用
いるシヤドウマスク原板の一実施例を示す平面図
である。シヤドウマスク原板１０には有効面１１
に電子ビーム通過孔を形成し、有効面外１２には
長辺の中央部にほぼ長方形状の部分１３を残して
ハーフエツチングを施してなる。そこで、このシ
ヤドウマスク原板１０を２点鎖線で示す折曲げ部
１４で折曲げてプレス成形すると、第６図に示す
ようにハーフエツチング未実施部分１３を囲むよ
うに周りがハーフエツチングされたスカート部１
５を有する整形マスク１６が得られる。この場
合、ハーフエツチング未実施部分１３はハーフエ
ツチングを施した部分より機械的強度が強いの
で、前記整形マスクプレス成形時にはハーフエツ
チング未実施部分１３の両端から外側にしわ１７
が発生し、ハーフエツチング未実施部分１３には
しわ１７は発生しない。

そこで、この整形マスク１６にサポートフレー
ムをハーフエツチング未実施部分１３のスカート
部下面側の溶接固定点１８で溶接固定してシヤド
ウマスク構体を形成する。このようにして形成さ
れたシヤドウマスク構体はカラーブラウン管製造
中の熱処理によつて熱膨張して溶接固定点１８に
力が加わつても、溶接固定点１８の上方のハーフ
エツチング未実施部分１３にはしわ１７が存在し
なく均一な厚さとなつているので、整形マスク１
６のスカート部１５の上部に変形が生じない。実
験の結果、従来のシヤドウマスク構体は８℃／分
の昇温速度でも変形が発生していたが、本発明に
なるシヤドウマスク構体では４℃／分の昇温速度
でも変形が抑制できた。

なお、ハーフエツチング未実施部分１３は図示
の実施例に限定されるものではない。まず、幅お
よび長さは、サポートフレームと整形マスクの板
厚の差、整形マスクのスカート部とサポートフレ
ームの高さの差、プレス成形条件、ハーフエツチ
ングの実施面積などの諸条件により各々適した大
きさにとるべきで、一般には幅４〜８mm、長さ40
〜100mm範囲でとればよい。また幅が狭く、その
一つではしわの発生防止効果がなくても近傍に並
列させれば、幅が大きくなつたと同じ効果を得
る。更にハーフエツチング未実施部分１３は整形
マスクとサポートフレームとの溶接位置毎に設け
て複数個となつてもよいが、熱処理による変形は
長辺の中央に発生し易いので、スカート部の各長
辺に設ければよく、特に長辺の中央に設けた場合
に最も効果がある。次に形状については、長方形
に限らず、楕円、方形幅が不規則な変化をしてい
るものなどでもハーフエツチングのない部分があ
る大きさをもつて連続していればよい。またハー
フエツチング未実施部分１３内には前記の如くハ
ーフエツチングを施さないのが最も好ましいが、
しわの発生防止効果に影響しない程度の小さい面
積であればハーフエツチングを施してもよい。

次にハーフエツチング未実施部分１３の整形マ
スク１６のスカート部１５の高さ方向に対する相
対位置について述べる。この位置が下方で上方に
幅広のハーフエツチング部分が存在すると、しわ
が上方部で左右に拡がり易い。一方、上方に設け
整形マスクの折曲げ部にあると、板厚の不均一に
よつて折曲げが不均一となり好ましくない。よつ
て、ハーフエツチング未実施部分１３はスカート
部１５の上端または下端になく、中間位置が好ま
しい。

最後にサポートフレームと整形マスク１６の溶
接固定点１８とハーフエツチング未実施部分１３
の相対位置について述べる。一般に溶接点は他の
特性を配慮することから、整形マスク１６のスカ
ート下端近くに設ける。また溶接点には熱膨張に
基づく力が加わるので、その上方にしわが存在す
ると整形マスク１６の変形が生じるので、ハーフ
エツチング未実施部分１３のスカート部下面側に
溶接固定点１８を設けるのが最も効果的である。
また溶接固定点１８にハーフエツチングが施され
ていると溶接強度に信頼性が乏しくなる可能性が
あるので、溶接固定点１８の近傍は幅５mm、長さ
10mm程度にハーフエツチングを施さないでおいて
もよい。

以上の説明から明らかな如く、本発明になるシ
ヤドウマスク構体によれば、カラーブラウン管製
造工程中の熱処理によるシヤドウマスク構体の変
形は防止され、カラーブラウン管の色純度の向上
が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図はシヤドウマスク構体の製造工程図、第
２図は従来の整形マスクの斜視図、第３図は従来
のシヤドウマスク構体の斜視図、第４図は整形マ
スクのスカート部に施されたハーフエツチングの
説明図、第５図は本発明になるシヤドウマスク構
体に用いるシヤドウマスク原板の一実施例を示す
平面図、第６図は第５図のシヤドウマスク原板に
よつて得られた整形マスクの斜視図である。 １３……ハーフエツチング未実施部、１５……
スカート部、１６……整形マスク、１８……溶接
固定点。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 整形マスクのスカート部にハーフエツチング
   を施し、この整形マスクのスカート部にサポート
   フレームを溶接固定してなるシヤドウマスク構体
   において、前記整形マスクのスカート部にハーフ
   エツチング部分にか込まれたハーフエツチング未
   実施部分を設けておき、整形マスクとサポートフ
   レームとの固定は、ハーフエツチング未実施部分
   のスカート部下面側で溶接してなるシヤドウマス
   ク構体。