JPH028989B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、ポルトランドセメント系モルタル組
成物の型枠成形物であつて、所謂セラミツクタイ
ルのような焼成品ではなく、未焼成の型枠成形物
であるにも拘わらず、セラミツクタイル様の優れ
た且つ魅力的な表面光沢を有し、更に、優れた硬
度、低減された吸水性を示し、強度、耐酸性、耐
熱性、耐候性などの点でも優れ、広い建材分野に
おいて極めて有用なセラミツクタイル様のポルト
ランドセメント系未焼成建材に関する。 更に詳しくは、本発明は、合計100重量部中、
下記(1)〜(6) (1) ポルトランドセメント 93〜73重量部 (2) モンモリロナイト、酸性白土及びベントナイ
トよりえらばれた少なくとも一種 ３〜10重量部 (3) ジルコニア及びマグネシアより選ばれた少な
くとも一種 ２〜８重量部 (4) ステアリン酸アルカリ金属塩及びアルカリ土
類金属塩よりえらばれた少なくとも一種
0.5〜３重量部 (5) ナフタリンスルホン酸アルカリ金属塩
0.5〜３重量部 (6) 重炭酸アルカリ金属塩及び塩化カルシウムよ
りえらばれた少なくとも一種 １〜３重量部 から成る組成物Ａと、該組成物Ａの１容量部に対
し約１〜約４容量部の骨材Ｂを含有するモルタル
組成物の型枠成形物であつて、未焼成成形物であ
ることを特徴とするセラミツクタイル様のポルト
ランドセメント系未焼成建材に関する。 従来、所謂セラミツクタイルは優れた表面光沢
を有し、硬度、耐水性、強度その他の物性にも優
れているため広い建材用途に利用されている。し
かしながら、焼成工程を経てはじめて製品となる
ため、焼成操作及び製造装置上、煩雑且つ高価に
つくことは避けられないし且つ大形の製品や複雑
な形状のセラミツクタイル製品においては、一層
煩雑且つ高価につく不利益を伴う点で、その利用
に多くの制約をうける。 本発明者等は、セラミツク建材類の宿命である
上記諸不利益を回避できて、しかも満足し得るセ
ラミツクタイル様建材を開発すべく研究を行つて
きた。 その結果、特定の組成から成る組成物Ａと骨材
Ｂを含有するポルトランドセメント系モルタル組
成物が、型枠成形するだけで、未焼成物であるに
も拘わらず、セラミツクタイル様の優れた且つ魅
力的な表面光沢を有する硬化物となり、その上、
優れた硬度、低減された吸水性を示し、強度、耐
酸性、耐熱性、耐候性などの点でも満足すべき物
性を兼ね備えたセラミツク様の未焼成建材を形成
できることを発見した。 本発明者等の研究によれば、該セラミツク様の
未焼成建材は、通常のモルタル組成物の型枠成形
硬化物と同様の手法で容易に製造できるため、セ
ラミツク建材類に比して、製造操作、装置及び価
格のいづれの面においても著るしく容易且つ安価
に提供できる利益があり、セラミツクタイルにお
いては一層煩雑且つ高価につくことの避けられな
かつた大形の製品や煩雑な形状の製品も、工業的
に極めて容易且つ安価に製造できる利益もあるこ
とがわかつた。 又更に、適当な顔料を配合するだけで所望の色
調に自由に着色された型枠成形物を提供できるた
め、セラミツク建材類におけるような焼成による
色調の変化に制約を受けることがなく、更に強度
や単位体積重量などを、必要に応じて、或る範囲
内で所望に応じて変化調節することが容易である
など、建材としての利用目的に応じて、強度や重
量を選択変更することも可能であるなどの点でも
利点があることがわかつた。 従つて、本発明の目的はモルタル組成物の型枠
成形物であつて、未焼成成形物であるにも拘わ
ず、セラミツクタイル様の優れた且つ魅力的な表
面光沢を有し且つ優れた諸物性を具備したポルト
ランドセメント系のセラミツクタイル様の未焼成
建材を提供するにある。 本発明の上記目的及び更に多くの他の目的なら
びに利点は、以下の記載から一層明らかとなるで
あろう。 本発明のポルトランドセメント系のセラミツク
タイル様未焼成建材は、合計100重量部中、下記
(1)〜(6)からなる組成物Ａと、該組成物Ａの１容量
部に対して約１〜約４容量部の骨材Ｂを含有する
ポルトランドセメント系モルタル組成物の型枠成
形物であつて、未焼成成形物であることを特徴と
する。 (1) ポルトランドセメント 93〜73重量部 (2) モンモリロナイト、酸性白土及びベントナイ
トよりえらばれた少なくとも一種 ３〜10重量部 (3) ジルコニア及びマグネシアより選ばれた少な
くとも一種 ２〜８重量部 (4) ステアリン酸アルカリ金属塩及びアルカリ土
類金属塩よりえらばれた少なくとも一種
0.5〜３重量部 (5) ナフタリンスルホン酸アルカリ金属塩
0.5〜３重量部 (6) 重炭酸アルカリ金属塩及び塩化カルシウムよ
りえらばれた少なくとも一種 １〜３重量部 合 計 100重量部 上記組成物に於て、(1)ポルトランドセメントの
量が上記範囲を離れて少なすぎると、圧縮強度、
曲げ強度などの物性の減少が目立ち、また、多す
ぎると、上記組成物(2)〜(6)のいずれかが減少する
ことによる悪影響を生ずるので、上記範囲におい
て適宜に選択すべきである。又、上記組成物Ａに
於て、(2)成分の量が上記範囲を離れて少なすぎる
と、特に鏡面反射率が低下する減向があり、ま
た、多すぎると、上記組成物(1)および(3)〜(6)のい
ずれかが減少することによる不都合を生ずるの
で、上記範囲において適宜に選択される。 更に、上記組成物Ａに於て、(3)成分の量が上記
範囲を離れて少なすぎると、特に硬度の低下が目
立ち、また、多すぎると、上記組成物(3)成分以外
の成分が減少することに伴なう悪影響を生ずるの
で、上記範囲において適宜に選択される。又更
に、上記組成物Ａに於て、(4)成分の量が上記範囲
を離れて少なすぎると、特に吸水性が増加し、消
泡性が減少する不都合があり、また、多すぎる
と、(4)成分以外の成分が減少することに伴なう不
利益を生ずるので、上記範囲において適宜に選択
される。 さらに、上記組成物Ａに於て、(5)成分は組成物
Ａに於ける(4)成分とほぼ同量共存することが好ま
しく、上記範囲量を離れると(4)成分の場合と同様
な不利益を生ずる傾向がある。又、上記組成物Ａ
に於て、(6)成分の量が上記範囲を離れて少なすぎ
ると、硬化時間が甚だ遅くなり実用上不利益であ
り、また、多すぎると、硬化時間が早くなり過ぎ
て、操作に不都合が生じたり、他の成分が減少す
ることによる不利益も生ずるので、上記範囲で適
当に選択するのがよい。 更に、これら成分(1)〜(6)は互いに共同して本発
明のセラミツクタイル様のポルトランドセメント
系未焼成建材の優れた諸性質の兼備に互いに影響
し且つ助長し合うので、これら成分の作用を一義
的に説明することはできないが、上記各成分量範
囲内で選択組み合わせて、所望する諸性質の兼備
に適した好適組成を予め実験的に容易に選択設定
することができる。 組成物Ａにおいて成分(2)〜成分(6)は一種に限ら
ず、夫々、複数種併用することができるが、複数
種併用する場合には、その各成分の合計について
上記した範囲量を逸脱しない合計量で用いるべき
である。たとえば(2)成分として二種併用する場合
には、それら２種の合計量が３〜10重量部の範囲
となるように併用される。(4)成分の例としては、
たとえば、ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸カ
リ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カ
ルシウムなどを例示することができる。又、(5)成
分の例としては、ナフタリンスルホン酸ソーダ、
ナフタリンスルホン酸カリなどを例示でき、(6)成
分における重炭酸アルカリ金属塩の例としては、
重炭酸ソーダ、重炭酸カリなどを例示することが
できる。 本発明において、モルタル組成物は、上述のよ
うな組成物Ａと、該組成物Ａの１容量部に対して
約１〜約４容量部の骨材Ｂを含有する。このよう
な骨材Ｂとしては、モルタル組成物に一般に使用
される各種の骨材が利用でき、天然及び人工の任
意の骨材が利用できる。通常の骨材のほかに軽量
骨材を利用して、本発明セラミツクタイル様未焼
成建材の重量調節を行なうこともできる。このよ
うな骨材それ自体はよく知られており本発明で利
用できる。例えば、膨張頁岩を主体とする軽量骨
材、フライアツシユ、高炉水さい等を混合した軽
量骨材、パーライト（人工軽量骨材）、火山灰
（天然軽量骨材）等を例示でき、これらと川砂、
砕石等の一般骨材を適宜混合して、本発明セラミ
ツクタイル様未焼成建材の重量調節を行なうこと
ができる。 本発明において、モルタル組成物は更に他の添
加成分を含有することができる。このような他の
添加成分の例としては、顔料の如き着色剤、ガラ
スウール、ロツクウールなどの如き鉱物質繊維、
などを例示することができる。その添加量は、本
発明のセラミツクタイル様未焼成建材の優れた表
面光沢及び物性に悪影響を与えないかぎり、適当
に選択変更できるが、例えば、組成物Ａの重量に
基いて、約0.5〜約5.0重量％の着色剤、約0.5〜約
３重量％の鉱物質繊維、の如き添加量を例示する
ことができる。鉱物質繊維の配合は曲げ強度の改
善に役立つ。その際、約３重量％をこえて添加し
ても差支えないが、これによつて更に曲げ強度が
向上するわけではないので、約３重量％程度まで
で充分である。 本発明のセラミツクタイル様のポルトランドセ
メント系未焼成建材は、上述のようなポルトラン
ドセメント系組成物Ａの１容量部に対し約１〜約
４容量部の骨材Ｂを含有し、さらに他の添加成分
を含有していてもよいモルタル含有していてもよ
いモルタル組成物に、適当量の水、たとえば、組
成物Ａの１容量部に対し、約３容量部の骨材Ｂ、
約1.5容量部の水を加えて混練し、適当な型枠に
流し込んで成形することにより形成することがで
きる。型枠成形手段それ自体はよく知られてお
り、本発明において利用できる。一般に型枠へ流
し込みたとえば８時間静置して置けば脱型が可能
である。 本発明のセラミツクタイル様のポルトランドセ
メント系未焼成建材の成形に際しては、成形物表
面に接する型枠面を滑面仕上げした型枠を利用す
ることがとくに好ましい。たとえば板ガラス板上
に任意の枠を置き、この枠の中に本発明モルタル
組成物を適当な厚さに流し込めば、養生後セラミ
ツクタイル様のポルトランドセメント系未焼成建
材を得ることができる。 本発明のセラミツクタイル様のポルトランドセ
メント系未焼成建材は広い建材分野において有用
であり、例えば、練瓦、瓦、タイル（特に大型タ
イルが有利）門塀のブロツク、家屋の内外装建
材、敷石、花壇用ブロツク、植木鉢その他の用途
から高層ビル建築用材までの広範囲に及ぶもので
ある。 以下、比較例と共に、実施例により本発明実施
の数態様について更に詳しく例示する。 実施例１〜５及び比較例１〜５ 後掲第一表に示した組成物Ａのそれぞれに、普
通骨材Ｂ（粒度０〜５mm切り込み砕石、比重1.5以
上）をＡ：Ｂ＝２：８（容量部）の割合に混合し、
混合物100重量部に対して水20重量部を加えて混
練し、一軸圧縮強度及び曲げ強度の測定のために
は、各々たて：４cm×横：４cm×長さ：10cmの三
連型枠に流し込み、鏡面反射率、吸水率、硬度及
び表面に表わした気泡の数の測定のためには、た
て：８cm×横：13cm×長さ：２cmのタイル型枠
（底面滑面をもつプラスチツク製）に流し込み、
養生して、タイル形状の硬化成形物を得た。得ら
れた成形物の一軸圧縮強度（３日及び７日）、鏡
面反射率（成形物表面）、吸水率、硬度及び表面
に現われた気泡数についての試験の結果を、後掲
第１表に示した。

【表】 実施例６〜10及び比較例６〜10 前記実施例１〜５及び比較例１〜５において、
普通骨材Ｂの代りに、軽量骨材Ｂ（パーライト、
比重1.0以下）を、Ａ：Ｂ＝25：75（容量部）の割
合で用いたほかは、実施例１〜５及び比較例１〜
５と同様に行つて、タイル形状の硬化成形物を得
た。その結果は、下掲第２表に示すとおり、軽量
骨材Ｂを用いたため一軸圧縮強度が低下したほか
は、第１表の結果とほぼ同様であつた。

【表】 実施例 11〜14 前記実施例３のモルタル組成物にグラスウール
を組成物Ａ及び骨材Ｂの合計重量に基いて、それ
ぞれ下掲第３表に示した量で添加したほかは、実
施例３と同様に行つた。曲げ強度（７日）の試験
の結果は下掲第３表に示すとおりであつた。

【表】 実施例 15〜18 前記実施例８のモルタル組成物にグラスウール
を組成物Ａ及び骨材Ｂの合計重量に基いて、それ
ぞれ下掲第３表に示した量で添加したほかは、実
施例８と同様に行つた。曲げ強度（７日）の試験
の結果は下掲第４表に示すとおりであつた。

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 合計100重量部中、下記(1)〜(6) (1) ポルトランドセメント 93〜73重量部 (2) モンモリロナイト、酸性白土及びベントナイ
   トよりえらばれた少なくとも一種 ３〜10重量部 (3) ジルコニア及びマグネシアより選ばれた少な
   くとも一種 ２〜８重量部 (4) ステアリン酸アルカリ金属塩及びアルカリ土
   類金属塩よりえらばれた少なくとも一種
   0.5〜３重量部 (5) ナフタリンスルホン酸アルカリ金属塩
   0.5〜３重量部 (6) 重炭酸アルカリ金属塩及び塩化カルシウムよ
   りえらばれた少なくとも一種 １〜３重量部 から成る組成物Ａと、該組成物Ａの１容量部に対
   し約１〜約４容量部の骨材Ｂを含有するモルタル
   組成物の型枠成形物であつて、未焼成成形物であ
   ることを特徴とするセラミツクタイル様のポルト
   ランドセメント系未焼成建材。 ２ 該モルタル組成物が、該組成物Ａ及び骨材Ｂ
   の合計重量に基いて、0.5〜３重量％の鉱物質繊
   維を更に含有する特許請求の範囲第１項記載のセ
   ラミツクタイル様の未焼成建材。