JPH028697Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、配管用の管用ねじや、その他ボルト
ナツト等のねじ部材を回転操作するためのレンチ
に関するものである。

〔従来の技術〕

例えば管用ねじ部材の回転操作具として所謂パ
イプレンチがあり、ボルトやナツトの回転操作具
として所謂モンキーレンチがある。

しかし、これらは何れも鋳造製品であつてコス
ト的に高く、しかも、重量物であつて取り扱いが
不便であつた。

そこで本考案者は、コスト的に安価で且つ軽便
に使用できるレンチとして、次なる構成のものを
製作し使用してみたのである。

そのレンチの具体構造は次の通りである。即
ち、ねじ部材の相対応する外面部に嵌脱自在な挟
持具を一対の板金製レバーの先端に連設すると共
に、前記一対のレバーの相対面する板部の夫々
に、少なくとも一方のみが長手方向に長い雄ねじ
挿通用長孔を形成し、かつ、該両孔に挿通の雄ね
じとこれに螺着の雌ねじとによつて相対摺動自在
の前記レバーを挟着固定するようにしたものであ
る。

上記の構成によれば、前記雌ねじに対する緊締
ならびに弛緩の操作によつて挟持具間の寸法を変
更設定することができ、而して、呼び径の異なる
各種のねじ部材に対応でき、しかも、板金製であ
るから軽量で取り扱いが良くコスト的に安価で、
従来の問題を全て解消できる利点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、前記レバーの挟着固定は、雌ねじの
締め付けのみによるレバー面間の摩擦力に依存し
ており、一方、ねじ部材を回転操作する際には、
前記挟持具間に、当該挟持具（延いては、両レバ
ー）を相対離間させる方向の力が強力に作用する
ために、かなりの力で前記雌ねじを強力に締め付
けても、ねじ部材の回転操作に伴つて両レバーが
相対的に位置ずれして、挟持具間の間隔が拡がつ
てしまい、ねじ部材を強固に締め付け操作するこ
とができない点で改善の余地があつたのである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、かかる不都合を解消して、ねじ部材
を強固に締め付けられるようにしたのであり、即
ち、本考案によるレンチは、ねじ部材の相対応す
る外面部に嵌脱自在な挟持具を一対の板金製レバ
ーの先端に連設すると共に、前記一対のレバーの
相対面する板部の夫々に、一方のみが長手方向に
長い雄ねじ挿通孔を形成し、かつ該両孔に挿通の
雄ねじとこれに螺着の雌ねじとによつて相対摺動
自在の前記レバーを挟着固定すると共に、前記雄
ねじ挿通用長孔を形成した一方の板部の外面を、
前記挟持具の相対離間に伴つて雄ねじ頭部と雌ね
じとの間に喰い込むテーパー面に形成した点に特
徴がある。

〔作用〕

上記の特徴構成によれば、ねじ部材の回転操作
に伴つて挟持具が拡がり気味になると、テーパー
面を形成した一方の板部が雌ねじと雄ねじの頭部
（延いては他方の板部）との間に喰い込み、前記
テーパー面によるクサビ作用によつて両レバーが
互いに強く圧着され、而して、当該両レバーの挟
持具離間方向への相対位置ずれが強固に防止され
る。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、第１図及び第２図は本考案にかかる一実施
例の板金製のレンチを示し、図において、１及び
２は夫々Ｌ字状の屈曲部３，４を連設した第１及
び第２レバーで、一方の第１レバー１の長手方向
両側には、長手方向の長孔ａ，ａが略同長に形成
され、他方の第２レバー２には、前記長孔ａ，ａ
に臨む四角形の孔ｂ，ｂが形成されている。

５，６は挟持具で、ねじ部材７の相対応する外
面部に嵌脱し得るように、前記屈曲部３，４の
夫々に相対応させて折曲連設され、かつ、当該挟
持具５，６どうしを当接させた状態で、前記角孔
ｂ，ｂが長孔ａ，ａのエンド部分に位置するよう
になつている。

そして第３図に示すように、前記第１レバー１
の長手方向中間部にクランク状の屈折部Ａを設け
て、前記第１レバー１の挟持具５，６近くにおけ
る長孔形成板部１ａを、自由状態において第２レ
バー２の角孔形成板部２ａから離間させるように
し、かつ、第２図に一部を取り出して拡大図示す
るように、手元側の板部１ｂ，２ｂの当接面ｉ，
ｉを粗面に加工して、該当接面間の摩擦抵抗を大
にしてある。

次に、８，８は、ねじ式固定機構であつて、頭
付きの雄ねじ９とこれに螺合する蝶雌ねじ１０と
から成り、かつ前記雄ねじ９は、前記第２レバー
２の角孔ｂに略密に嵌合する角形部分９ａを首下
部分に有し、該第２レバー２に対して相対回転が
不能になつている。

而して、上記ねじ式固定機構８，８の雄ねじ９
を第２レバー２の角孔ｂから第１レバー１の長孔
ａに挿通し、これに前記雌ねじ１０を螺合し練締
め付けることで、前記挟持具５，６の挟持面間の
寸法が変更可能な状態で両レバー１，２を挟着固
定できる。

そして、前記挟持具５，６近くのねじ式固定機
構８をより一層強固に締め付けると、第１レバー
１の角孔形成板部１ａと第２レバー２の角孔形成
板部２ａとが撓み変形しながら互いに接近し、前
記角孔形成板部２ａに対して前記長孔形成板部１
ａの外面がテーパー面Ｓになる。

このテーパー面Ｓは、前記挟持具５，６が拡が
り気味になつて両レバー１，２が相対応に位置ず
れし始めると、前記雌ねじ１０と雄ねじ９の頭部
９ｂ（延いては、第２レバー２の角孔形成板部２
ａ）との間に喰い込むもので、かかるテーパー面
Ｓのクサビ作用で両レバー１，２を強力に圧着
し、当該両レバー１，２の相対位置ずれを強固に
防止するものであつて、従つて、ねじ部材７を強
固に締め付け操作することができる。

尚、図中のｃは、前記両挟持具５，６の面間寸
法設定用のマークで、前記第１レバー１の長孔形
成板部１ａに付してあり、かつ、該マークｃに対
する指針ｄを第２レバー２に付してある。

第４図に第１別実施例のレンチを示す。かかる
実施例では、第２図に示すような屈曲部Ａを形成
することなく、挟持具５，６近くの長孔形成板部
１ａの外面をテーパー面Ｓに面取り加工した点に
特徴がある。

第５図に第２別実施例のレンチを示す。かかる
実施例では、第１レバーの挟持具５近くと、第２
レバー２の挟持具６とは反対側の端部の夫々に、
長手方向の長孔ｅ，ｆを形成すると共に、第２レ
バー２の挟持具６近くに角孔ｇを形成し、かつ、
前記第１レバー１の挟持具５とは反対側の端部を
第２レバー２側に屈曲させてテーパー面Ｓを形成
すると共に、第６図に示すように、その屈曲板部
１ｃの屈曲端に、前記第２レバー２の長孔ｆに嵌
入する舌片ｈを形成し、そして、前記角孔ｇとこ
れに対応する長孔ｅとに雄ねじ９を挿通すると共
に、この雄ねじ９に雌ねじ１０を螺合したもの
で、ねじ式固定機構８を１組にした点に特徴があ
る。

第７図に第３別実施例のレンチを示す。この実
施例では、第１レバー１の挟持具５とは反対側の
部分と第２レバー２の挟持具６側の部分に、夫々
長孔ｍ，ｊを形成すると共に、該長孔ｍ，ｊに臨
む角孔ｎ，ｋを第１及び第２レバー１，２に形成
し、かつ、第２レバー２の挟持具６近くの長孔形
成板部２ｃの外面をテーパー面Ｓにするように、
当該第２レバー２の長手中間部を屈曲したもので
ある。

尚、上記の各別実施例において、実施例に示す
ものと同じ構成部品には同符号を付して、その説
明を省略する。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案のレンチによれば、
ねじ部材の相対応する外面部に嵌脱自在な挟持具
を一対の板金製レバーの先端に連設すると共に、
前記一対のレバーの相対面する板部の夫々に、一
方のみが長手方向に長い雄ねじ挿通孔を形成し、
かつ、該両孔に挿通の雄ねじとこれに螺着の雌ね
じとによつて相対摺動自在の前記レバーを挟着固
定するようにしたので、而して、挟持具の面間寸
法を変更設定することで、各種呼び径のねじ部材
を締め付け対象にすることができると共に、板金
製であるから軽量で取り扱いが良く且つコスト的
に安価にレンチを製作できる。

そして、前記雄ねじ挿通用長孔を形成した一方
の板部の外面を、前記挟持具の相対離間に伴つて
雄ねじ頭部と雌ねじとの間に喰い込むテーパー面
に形成したことによつて、ねじ部材の回転操作に
伴つて挟持具が拡がり気味になつたとしても、前
記テーパー面を形成した一方の板部が雌ねじと雄
ねじ頭部（延いては他方の板部）との間に喰い込
むことで、該テーパー面によるクサビ作用によつ
て両レバーを互いに強く圧着させることができ、
而して、当該両レバーの挟持具離間方向への相対
位置ずれを強固に防止できるもので、延いてはね
じ部材を強固に締め付けることができ、全体とし
て、機能的に従来のものと遜色のない、使い勝手
の良いレンチを安価に提供できるに至つたのであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はレンチ
の全体図、第２図はレンチの水平断面図、第３図
はレンチの水平断面分解図、第４図及び第５図は
夫々第１及び第２別実施例のレンチの水平断面
図、第６図は第５図における要部の斜視図、第７
図は第３別実施例のレンチの水平断面図である。 １，２……レバー、１ａ，２ａ……相対面する
板部、５，６……挟持具、７……ねじ部材、９…
…雄ねじ、１０……雌ねじ、ａ，ｅ，ｊ……長
孔、ｂ，ｇ，ｋ……孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ねじ部材の相対応する外面部に嵌脱自在な挟持
   具を一対の板金製レバーの先端に連設すると共
   に、前記一対のレバーの相対面する板部の夫々
   に、一方のみが長手方向に長い雄ねじ挿通孔を形
   成し、かつ、該両孔に挿通の雄ねじとこれに螺着
   の雌ねじとによつて相対摺動自在の前記レバーを
   挟着固定すると共に、前記雄ねじ挿通用長孔を形
   成した一方の板部の外面を、前記挟持具の相対離
   間に伴つて雄ねじ頭部と雌ねじとの間に喰い込む
   テーパー面に形成してあることを特徴とするレン
   チ。