JPH028151B2

JPH028151B2 -

Info

Publication number: JPH028151B2
Application number: JP57177504A
Authority: JP
Inventors: Kenichiro Futamura; Keiichiro Ootsu
Original assignee: Taiho Kogyo Co Ltd
Current assignee: Taiho Kogyo Co Ltd
Priority date: 1982-10-12
Filing date: 1982-10-12
Publication date: 1990-02-22
Also published as: JPS5968576A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は斜板式コンプレツサーに関するもので
あり、さらに詳しく述べるならばアルミニウム合
金よりなる斜板を用いた斜板式コンプレツサーに
関するものである。斜板式コンプレツサーは例えば本出願人の提出
に係る米国特許第4037522号及び第4224679号にて
公知であり、その構造は、シリンダー内に、回転
軸により回転させられる斜板が配置されており、
斜板の回転に応じて上下又は両頭部よりなるピス
トンがシリンダーボア内で前記回転軸の方向に往
復運動せしめられることを骨子とするが、前記斜
板と前記ピストンの間に嵌合保持されて斜板の回
転運動をピストンの往復運動に変換するために、
シユーとボールが斜板両側の所定位置に配置さ
れ、シユーの一側面は前記斜板側面と摺接し、他
側面は球状凹部が形成されて前記ボールの一部を
嵌合保持し、さらにボールの一部はピストン内側
の凹部にも嵌合保持されている。上記米国特許第4244679号公報においては斜板
は球状黒鉛鋳鉄又は合金鋼であり、この斜板に対
して組合わせて使用された時に最も優れた負荷能
力、高速摺動性、耐衝撃性及び耐摩耗性をもつシ
ユーとして錫2.5〜５％、鉛20〜25％、残部が実
質的に銅よりなる焼結層を斜板との摺接両側に形
成したシユーが用いられている。また、本出願人の提出に係る特開昭53−129311
号公報によるとシユーとして、斜板との摺動面で
ある平面側に銅系ライニングが施こされ、ボール
との摺動面側の球状凹面に、鋼との焼付を生じ難
い材料からなる被覆層が形成された鋼を基材とす
る材料を用いることが知られている。同じく本出願人の提出に係る特願昭54−40263
号（特開昭55−133493号）によると、斜板式コン
プレツサーの軽量化を図るためにシリコン含有ア
ルミニウム合金を斜板に用いた場合に、この斜板
に対して優れた摺動性をもつシユーとしてホウ素
含有鉄族金属の焼成した層を斜板との摺動面側に
形成することが公知である。本発明の目的は、斜板がシリコン含有アルミニ
ウム合金からなる斜板を用いた斜板式コンプレツ
サーにおいて、シユーの耐焼付性能及び摺動性能
を公知のものよりさらに向上させることを目的と
する。シリコン含有量が15〜20％のアルミニウム合金
からなる斜板（以下、Al斜板と称する）に対し
て摺動するシユーの問題点は、Al斜板中の硬い
初晶ケイ素のために、シユーの耐焼付性が不十分
な場合例えば米国特許第4037522号のCu−Sn−
Pb焼結層を表面に有するシユーでは瞬時のうち
にシユーが焼付いてしまうところにある。そこ
で、本出願人は上記特願昭54−40263号において、
ホウ化物分散表面層と機械的強度が高い基体を組
合わせたシユー（以下ホウ化物分散シユーと称す
る）とすることによつて、耐焼付性能及び摺動性
能をシリコン含有アルミニウム斜板に対して良好
なものとすることを提案した。但し、最近の研究によるとホウ化物分散シユー
の焼付性能は未だ十分でなく、しかもホウ化物分
散層形成のための焼成工程が必要であるために、
シユーのコストが嵩む欠点がある。本出願人はシユーの研究を行なつて、一体構造
乃至単一材料からなるシユーが十分な強度と耐摩
耗性を有する鉄系合金材料すなわち、軸受鋼及び
高速度鋼よりなると優れた性能が得られることを
見出した。本出願人は斜板式コンプレツサーに係る米国特
許第4244679号の所有者であり、本発明完成以前
に、斜板として球状黒鉛鋳鉄又は合金鋼を用いた
場合、シユーとしてケイ素含有アルミニウム合金
（アルジル合金）を用いると、瞬時に焼付が生じ
るとの知見を得ていた。したがつて、上記特許に
おいては硬質のリン化物及び金属間化合物と軟質
の鉛が分散した銅合金をシユーに用いることを提
案した。ところが、斜板がシリコン含有アルミニ
ウム合金、例えばアルジル合金、よりなる場合、
予想外に、合金鋼のはんちゆに含まれる軸受鋼及
び高速度鋼製シユーが極めて高い耐焼付性が得ら
れた。本発明に係るカークーラー用斜板式コンプレツ
サーは、シリンダー内に配置され且つ回転軸によ
り回転される斜板であつて、シリコン含有アルミ
ニウム合金よりなる斜板と、この斜板の回転に応
じてシリンダーボア内を前記回転軸の方向に往復
運動されるべく該斜板に作動的に接続されたピス
トンと、前記斜板と前記ピストンの間に嵌合保持
されたシユー及びボールとを含んでなり、前記シ
ユーは軸受鋼及び高速度鋼からなる群より選択さ
れた１種の材料よりなり、シユーの前記斜板と接
する一側面は少なくとも中央部がほぼ平面であ
り、一方他側面は球状凹部が形成されて前記ボー
ルの一部を嵌合保持してなり、さらにボールの一
部はピストン内側の球状凹部にも嵌合保持される
ものである。以下、本発明の斜板式コンプレツサー、特に、
シユーをAl斜板に対して良好な耐焼付性をもつ
ホウ化物分散シユーと比較して詳しく説明する。先ず、ホウ化物分散シユーの表面層はHv650−
1200程度の高硬度を有し、本発明に係るシユーは
硬度上はホウ化物分散シユーとは区別されない。
然しながら、組織的にみると、ホウ化物分散シユ
ーの表面層は結合ホウ化物粒子の周りに粒子間の
境界面がかなり存在するため特に疲労強度が低く
またホウ化物自体の粒子大きさは、ホウ化物粉末
製造法により制限されかなり粗粒となるのに反
し、本発明の軸受鋼及び高速度鋼の場合はこれら
の材料は溶製後、鍛造圧延、押出、引抜等の塑性
加工を受けているので、材料の密度が理論密度に
一致し且つ炭化物が塑性加工中に分断され均一微
細に分布している。よつて、ホウ化物分散シユー
よりも本発明のシユーは均質性が優れていること
がより優れた耐焼付性能に寄与していると判断さ
れる。次に、ホウ化物分散シユーは前述のとおり基体
と表面層よりなる複合構造であるが、本発明のシ
ユーは一体構造である。複合構造と一体構造の何
れが摺動性能及び耐焼付性が良好かは、一概には
いえないが、本発明において軸受鋼又は高速度鋼
を使用した一体構造としたことにより、ホウ化物
分散シユーより優れた性能が得られた。これは軸
受鋼及び高速度鋼はHv700以上の高硬度及び十分
な強度を有しているので、摺動中において相手材
であるAl斜板が及ぼす荷重に十分に耐えること
が寄与していると考えられる。なお、硬度自体は
ホウ化物分散シユーの表面層が本発明による軸受
鋼又は高速度鋼より高い場合があるが、本発明の
シユーは全体としての強度が十分に高いので、炭
化物が摺動中にAl斜板の硬い初晶シリコンによ
つてシユー表面から脱落せしめられることなく、
マトリツクスに強固に保持され長期間にわたつて
良好な耐摩耗性が保持される。本発明においてシユー用鉄合金として軸受鋼及
び高速度鋼を用いた理由は、これらが硬い炭化物
を焼入もしくは焼もどしマルテンサイト主体のマ
トリツクス中に微細に分散した組織を呈し、耐摩
耗性に優れた炭化物とじん性・強度に優れたマト
リツクスが望ましいバランスを保つている塑性加
工材料であるためである。かかる軸受鋼としては
炭素0.95〜1.10％及びクロム0.9〜1.6％を主要合
金成分とし、必要によりモリブデン0.1〜0.25％
を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる
公知の塑性加工材料を用いることができる。また
高速度鋼としては公知のタングステン系及びモリ
ブデン系高速度鋼を用いることができる。その例
はSHK2（Ｃ：0.70〜0.85％、Cr：3.8〜4.5％、
Ｗ：17〜19％、Ｖ：0.8〜1.2％）、SKH5（Ｃ：0.2
〜0.4％、Cr：3.8〜4.5％、Ｗ：17〜22％、Ｖ：１
〜1.5％、Co：16〜17％）、SKH9（Ｃ：0.8〜0.9
％、Cr：3.8〜4.5％、Mo：4.5〜5.5％、Ｗ：5.5〜
6.7％、Ｖ：1.6〜2.2％）、及びSKH55（Ｃ：0.8〜
0.9％、Cr：3.8〜4.5％、Mo：4.8〜6.2％、Ｗ：
5.5〜6.7％、Ｖ：1.7〜2.3％、Co：７〜９％）で
ある。以下、本発明の実施態様を図面に基づいて説明
する。第１図において、シリンダー１内において回転
軸２より回転されるAl斜板５と、ピストン４と
の間に、シユー３及びボール８が嵌合保持されて
おり、Al斜板５の回転に応じてピストン４の両
頭部がシリンダーボア内で回転軸２の方向に往復
運動せしめられる。シユー３のAl斜板側の側面
は粗さ0.8〜1.6ミクロンに研摩されたほぼ平坦面
となつており、一方シユー３のボール８側にはボ
ール８の一部を嵌合保持する球状凹部が形成され
ている。本発明の斜板式コンプレツサーではAl
斜板５は直径60〜90mmの小型でありまた15〜20％
のシリコンを含有し、またシユー３は全体として
軸受鋼又は高速度鋼よりなる。シユー３は厚さ
（球状凹部が形成されていない部分の最大厚さ）
は３〜５mm、直径13〜20mmの円盤状であり、球状
凹部の深さは２〜４mmである。上記シユー３は第２図イ−ニに示されているよ
うにAl斜板（図示せず）側が中央部が平面であ
り、残部が面取り３ｂされたものであつてよい。
なお、かかる面取りシユーは特開昭54−64714号
にて公知のものである。以下、本発明の実施例を説明する。第１表の如きシユーを次に記した如き条件で摺
動試験を行い、シユーと相手材が焼付に至つた荷
重を求めた。Ａ摺り速度：15ｍ／secで一定。Ｂ荷重：20Kg／cm²づつ漸増、各荷重段階は30分
間継続。Ｃ潤滑油：冷凍機油１容量に対して軽油９容量
の混合潤滑油。Ｄ潤滑方法：フエルト塗布、約0.8c.c.／分。Ｅ相手材試験片：規格値で19〜21％Si、５〜６
％Cu、0.45〜0.65％Mg残部Alよりなるアルジ
ル合金の真直度１mm以下、表面粗さ0.4〜0.6S
のデイスク。Ｆシユー：真直度１ミクロン以下、粗さ0.4〜
0.6S。

【表】

【表】なお、上記ホウ化物分散材はNi20％、残部鉄
よりなる合金粉末、フエロボロン粉末、鉛粉末及
びフエロフオスフオル粉末を、Ｂ含有量20％、
Pb含有量５％、Ｐ含有量８％、残り鉄になるよ
うに混合し、厚さ２mmの鋼板に塗布し、そして水
素還元雰囲気中で1100〜1000℃で焼成して調製し
たものである。上記説明特に実施例より本発明によればAl斜
板に対して従来公知のシユーより高い耐焼付性を
有する斜板式コンプレツサーが提供されることが
明らかとなるであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図はカークーラー用斜板式コンプレツサー
の縦断正面図である。第２図イ−ニはシユーの一
態様を示す正面図（但し、ロ，ハは断面図）であ
る。１……シリンダー、２……回転軸、３……シユ
ー、４……ピストン、５……Al斜板、８……ボ
ール。

Claims

【特許請求の範囲】

１シリンダー内に配置され且つ回転軸により回
転される斜板であつて、シリコン含有アルミニウ
ム合金よりなる斜板と、この斜板の回転に応じて
シリンダーボア内を前記回転軸の方向に往復運動
されるべく該斜板に作動的に接続されたピストン
と、前記斜板と前記ピストンの間に嵌合保持され
たシユー及びボールとを含んでなり、前記シユー
は軸受鋼及び高速度鋼からなる群より選択された
１種の材料よりなり、シユーの前記斜板と接する
一側面は少なくとも中央部がほぼ平面であり、一
方他側面は球状凹部が形成されて前記ボールの一
部を嵌合保持してなり、さらにボールの一部はピ
ストン内側の球状凹部にも嵌合保持されるカーク
ーラー用斜板式コンプレツサー。