JPH0252037B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、抄紙原料工程において、処理量増大
を図る同時に動力の削減ができる精選スクリーン
に関する。

〔従来の技術及びその課題〕

従来より、抄紙原料工程における精選スクリー
ンは、抄紙原料を選別（精選）するスクリーンプ
レートが１箇所のみで処理されているものであつ
た。その代表的なものとして、セントリフユーガ
ルフロースクリーンやセントリピータルフロース
クリーンが存在している。このように１箇所のみ
でのスクリーンプレートでは、入口圧と出口圧の
圧力差にかかわりなく、抄紙原料の脈動を起こす
重大な問題点があり、これによつて、抄紙の坪量
の変動が生じる欠点があつた。

また、このようなスクリーンプレートが１箇所
のみの精選スクリーンでは、抄紙量に対して動力
がかかりすぎ、省エネギー、省力化ができない問
題点もあつた。

〔課題を解決するための手段〕

そこで発明者は、前記課題を解決すべく、鋭
意、研究を重ねた結果、その発明を、駆動軸ケー
スと円筒状の内側スクリーンプレートとの間隔部
を内側選別室として形成し、且つ本体ケースの円
筒状側壁と円筒状の外側スクリーンプレートとの
間隔部を外側選別室として形成し、その内側スク
リーンプレートと外側スクリーンプレートとの適
宜の間隔部を、原料出口に連通した円筒状空隙の
攪拌室とし、該攪拌室内を仕切り周壁にて内側攪
拌室、外側攪拌室に仕切り形成し、該内側攪拌
室、外側攪拌室内に、本体ケースに軸着した駆動
軸にて回転する攪拌体をそれぞれ設け、前記内側
選別室と外側選別室の各軸方向端箇所に、原料入
口が連通するように本体ケースに設け、その内側
選別室、外側選別室の各軸方向端にドーナツ状空
隙のリジエクトルームを形成した精選スクリーン
としたことにより、本発明は抄紙原料工程におい
て、処理量増大を図る同時に動力の削減ができ、
前記の課題を解決し、その目的を達成したもので
ある。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を第１図乃至第８図に基
づいて説明する。

本発明の精選スクリーンは、第１図，第２図に
示すような竪立のもの、第７図に示すような水平
型のもの、第８図に示すような傾斜型のもの等が
存在する。まず、説明では、竪型で、内側攪拌室
８ａ、外側攪拌室８ｂなる攪拌室８を有する精選
スクリーンについて、第１図乃至第６図について
説明すると、１は円筒状の本体ケースで、この上
部に鏡板状の蓋体２がフランジを介して密閉固着
されている。

Ａは内側スクリーンプレート３を有する円筒状
空隙の内側選別室であつて、駆動軸ケース１４ａ
と円筒状の内側スクリーンプレート３との間隔部
として形成され、本体ケース１の中心側に固定さ
れている。具体的には、後述する駆動軸ケース１
４ａと後述するリジエクトルーム６の環状天板６
ａと、本体ケース１の中間板１ｂと、筒状の内側
スクリーンプレート３とで厚肉円筒状で、本体ケ
ース１の略同軸心上に形成されている。その内側
スクリーンプレート３にはスリツト３ａ又は丸孔
がその抄紙原料の種類に応じて適宜の大きさに穿
孔されている。その内側スクリーンプレート３は
内側選別室Ａの外周を覆うように設けられてい
る。

Ｂは外側スクリーンプレート４を有する円筒状
空隙の外側選別室であつて、本体ケース１の円筒
状側壁と円筒状の外側スクリーンプレート４との
間隔部として形成され、本体ケース１の外周側に
固定されている。具体的には、本体ケース１の内
壁部と、本体ケース１の上部板１ｃと、後述する
リジエクトルーム６の環状天板６ａと、筒状の外
側スクリーンプレート４とで、厚肉円筒状で、本
体ケース１の略同軸心上に形成されている。その
外側スクリーンプレート４にもスリツト４ａ又は
丸孔がその抄紙原料の種類に応じて適宜の大きさ
に穿孔され、その外側スクリーンプレート４は外
側選別室Ｂの内周を覆うように設けられている。

５は原料入口で、前記その内側選別室Ａと、外
側選別室Ｂの各軸方向端（内側選別室Ａ及び外側
選別室Ｂを円筒部として）に連通するようにして
本体ケース１に設けられている。竪型では本体ケ
ース１の下端に、且つ本体ケース１を平面的に見
て、本体ケース１に接線方向から流入するように
取り付けられているが、これに限定されない。

６はドーナツ状空隙のリジエクトルームで、前
記内側選別室Ａ及び外側選別室Ｂの下端側（軸方
向端）で、本体ケース１の底部板１ａとの間に設
けられている。即ち、リジエクトルーム６の環状
天板６ａは、駆動軸ケース１４ａの直径よりも大
きな拡大孔が形成され、その本体ケース１の周壁
寄りには、外側選別室Ｂに連通する孔部６ｂが穿
設されている。これによつて、リジエクトルーム
６は、前記内側選別室Ａ及び外側選別室Ｂの下端
側でそれぞれ連通している。そのリジエクトルー
ム６の本体ケース１の１箇所よりテール出口７が
設けられている。該テール出口７は前記原料入口
５と本体ケース１を平面的にみて対称的な位置に
設けられている。

８は攪拌室であつて、前記内側スクリーンプレ
ート３と外側スクリーンプレート４との適宜の厚
みを有した筒状の間隔部として形成されている。

さらに、具体的には、第４図乃至第６図に示す
ように、竪型の精選スクリーンとして、２槽の攪
拌室８を有したものであり、該攪拌室８の中間に
仕切り周壁１７が形成され、これによつて、内側
攪拌室８ａと外側攪拌室８ｂとに２槽に分離形成
されている。

以上のように、その内側攪拌室８ａと外側攪拌
室８ｂとの総称として攪拌室８が存在している。

該攪拌室８は本体ケース１の上部の原料出口９
に連通している。具体的には、本体ケース１の原
料出口９箇所の精選原料ストツクルーム１０に連
通している。

Ｃは攪拌体であつて、本体ケース１の中心に上
部及び下部の軸受１５，１５にて軸着した、駆動
軸１４の上端に固着した孔あき円板１６の外周端
に固着され、前記攪拌室８内、即ち、内側攪拌室
８ａと外側攪拌室８ｂとをそれぞれ独立して回転
可能に設けられている。

その攪拌体Ｃの実施例は複数存在し、第１実施
例は、第１図乃至第３図等に示すように、主に、
複数の内側スクリーンブレード１１ａと複数の外
側スクリーンブレード１１ｂとで形成されてい
る。具体的には、上部取付リング１２と下部補強
リング１３とに、この内周又は内周寄りを内側ス
クリーンブレード１１ａが、その外周又は外周寄
りを外側スクリーンブレード１１ｂがそれぞれ千
鳥状に合計４本づつ等分に固着されている。

その内側スクリーンブレード１１ａ、外側スク
リーンブレード１１ｂの断面もそれぞれ翼状をな
し、内側スクリーンブレード１１ａは、第５図の
白抜き矢印方向に回転すると、その翼面内側面
で、内側スクリーンプレート３面側に抄紙原料を
押し出す作用をなし、この通過直後に負圧にて、
内側スクリーンプレート３のスリツト３ａ又は丸
孔側から抄紙原料を、攪拌室８内に吸引する作用
を呈するような屈曲線又は曲線が形成されてい
る。具体的には、抄紙原料の種類や、精選スクリ
ーンの容量、回転数等によつて実験的に求められ
る。

また、外側スクリーンブレード１１ｂも、第５
図の白抜き矢印方向に回転すると、その翼面外側
面で、外側スクリーンプレート４のスリツト４ａ
又は丸孔側に抄紙原料を押し出す作用をなし、こ
の通過直後に負圧にて、外側スクリーンプレート
４のスリツト４ａ又は丸孔側から抄紙原料を、攪
拌室８内に吸引する作用を呈するような屈曲線又
は曲線が形成され、この具体的数値曲線も、抄紙
原料の種類や、精選スクリーンの容量、回転数等
によつて実験的に求められる。

特に、内側スクリーンブレード１１ａの翼面内
側と、内側スクリーンプレート３との各々の距離
と、外側スクリーンブレード１１ｂの翼面内側
と、外側スクリーンプレート４との各々の距離と
が、略等しく形成することが好ましい。

以上のように、その複数の内側スクリーンブレ
ード１１ａは、内側攪拌室８ａのみを旋回し、複
数の外側スクリーンブレード１１ｂは、外側攪拌
室８ｂのみを旋回するように構成されている（第
４図参照）。

第４図の実施例では、その仕切り周壁１７は固
定されているが、その仕切り周壁１７を、図示し
ないが、攪拌体Ｃに固着してこれと一体的に回転
させる構成にすることもある。この場合には、第
３図において、上部取付リング１２と下部補強リ
ング１３との間に、筒状の仕切り周壁１７を設
け、且つ内側スクリーンブレード１１ａ，１１
ａ，…と複数の外側スクリーンブレード１１ｂ，
１１ｂ，…とが内部、外部に分離するように設け
られるものである。

図中１８は駆動軸１１下端に固着されたプーリ
ー、１９はモータ、２０はベルト、２１はベース
である。

第７図に示した精選スクリーンは、横型であ
り、前記竪型の精選スクリーン（第１図参照）と
略同様の構成である。特に、テール出口７が、前
記リジエクトルーム６の下端位置に設けられてい
る。

第８図に示した精選スクリーンは、傾斜型であ
り、竪型の精選スクリーン（第１図参照）と同様
の構成であるが、テール出口７が、リジエクトル
ーム６の傾斜下端位置に設けられ、原料出口９
も、そのテー出口７付近に設けられている。

以上の説明における精選スクリーンは、圧力式
であるが、開放式にし、内側攪拌室８ａ、外側攪
拌室８ｂに攪拌体Ｃを旋回可能に設けることもあ
る。

〔作用〕

紙料の調整された抄紙原料は、本体ケース１の
原料入口５に送られ、内側選別室Ａ、外側選別室
Ｂに入る。ここに入つた抄紙原料は、内側攪拌室
８ａ、外側攪拌室８ｂにそれぞれ独立した攪拌体
Ｃの回転により、内側スクリーンプレート３及び
外側スクリーンプレート４にて選別される。

選別された良原料は、内側スクリーンプレート
３を通過して攪拌室８から本体ケース１の精選原
料ストツクルーム１０に、外側スクリーンプレー
ト４を通過して攪拌室８から本体ケース１の精選
原料ストツクルーム１０にそれぞれ運ばれる。該
精選原料ストツクルーム１０に運ばれた良原料
は、原料出口９を通じて精選原料となる。

内側スクリーンプレート３及び外側スクリーン
プレート４を不通過の原料及び不純物（ホツトメ
ルト・異物・結束繊維）は、原料入口５に近い箇
所で、内側スクリーンプレート３及び外側スクリ
ーンプレート４を通過せず、リジエクトルーム６
に運ばれテール出口７を通じてテール処理機器に
ブローされる。

〔発明の効果〕 本発明においては、前記のような構成とした精
選スクリーンとしたことにより、第１に処理量増
大を図ることでき、しかも同時に動力の削減が可
能であり、第２に原料を無理にスクリーンプレー
トを通過させないようにでき、これにより処理さ
れた精選原料の中に不純物が大巾に除去でき、第
３に独立した内側攪拌室８ａ、外側攪拌室８ｂ内
で層流状態で攪拌でき、第４に脈動が微少の為、
抄紙への影響がなくなり抄紙機械での製品の均一
化ができ、第５に重量異物等を初期段階で除去で
きるために、スクリーンプレート等の破損を防止
できる等の効果を奏する。

これらの効果について詳述すると、まず、内側
スクリーンプレート３及び外側スクリーンプレー
ト４の２箇所を設け、これを攪拌体Ｃにて旋回さ
せつつ選別させたことにより、抄紙原料の処理量
を単純に２倍又はこれと同程度に増加させること
ができても、即ち、開口面積が増大し、処理量が
増加しても、これによるモータ１９のトルクは、
略一定の圧力差（入口圧と出口圧との差）、しか
し略一定の原料濃度（約２％乃至約３％程度）で
は殆ど変わらないため、同一の動力消費量に対し
ての抄紙原料の処理量が著しく増加し、結果的に
は、単位処理量に対しての動力消費量の削減を図
ることができる。

このようなことから、同一機種を小型にして
も、これと同程度の効果を得ることができ、設備
費用の低減化を図る効果がある。

また、同一機種にて、抄紙原料の処理量を著し
く増加させうる効果を奏することは勿論である。

なお、第１図に示すように、その原料入口５が
下部で、原料出口９が上部の場合には、重力に逆
らう流れになるため、動力消費量は、入口と出口
が逆の場合に比較してある程度増加することは否
めない。

さらに、内側スクリーンプレート３及び外側ス
クリーンプレート４の２箇所を設けたことによ
り、その精選面積が倍加したので、圧力差（入口
圧と出口圧との差）を小さくしても、精選が可能
となる。従つて、抄紙原料を、内側スクリーンプ
レート３及び外側スクリーンプレート４にて無理
に通過させない圧力差で嫁動でき、これにより処
理された精選原料の中に不純物が大巾に除去でき
る利点がある。即ち、スクリーンニング効果が極
めて大きいものにできる。

特に、その攪拌室８を、仕切り周壁１７にて内
側攪拌室８ａ、外側攪拌室８ｂに仕切り形成し、
該内側攪拌室８ａ、外側攪拌室８ｂ内に、本体ケ
ース１に軸着した駆動軸１４にて回転する攪拌体
Ｃをそれぞれ設けたことにより、その内側攪拌室
８ａ、外側攪拌室８ｂはそれぞれ独立した構成に
することができ、これによつて、抄紙原料は内側
選別室Ａから内側攪拌室８ａ内へと専ら遠心方向
に流れる、層流状態にでき、同時に、外側選別室
Ｂ内の抄紙原料も外側攪拌室８ｂ内へと専ら求心
方向に流れる、層流状態にできる。従つて、各攪
拌室８ａ，８ｂ内の抄紙原料の流れが極めてスム
ーズとなり、より精選をより好適にできる。

また、本発明では、内側スクリーンプレート３
と外側スクリーンプレート４から、周上中間位置
の攪拌室８に、抄紙原料が精選されて流入される
ため、この流入したときに、その攪拌室８内で
は、略乱流状態となり、ここから精選原料ストツ
クルーム１０を介して、原料出口９に流出するこ
ととなつて、吐出工程が長くなるのと、両方から
の抄紙原料が混ざつたときの攪拌室８内での乱流
により、脈動圧を互いに打ち消す作用をなし、こ
れらによつて、原料出口９からの脈動が極めて微
少となり、抄紙原料への影響が殆どなくなり、抄
紙機械での製品の均一化ができる大きな効果を奏
する。

また、本発明では、内側選別室Ａと外側選別室
Ｂの各軸方向端箇所に、原料入口５が連通するよ
うに本体ケース１に設け、その内側選別室Ａ、外
側選別室Ｂの各軸方向端にドーナツ状空隙のリジ
エクトルーム６を形成したことにより、即ち、該
リジエクトルーム６は原料入口５に近接した位置
となり、不純物（ホツトメルト・異物・結束繊
維）を、内側選別室Ａ、外側選別室Ｂに入る前に
除去できる。これによつて、特に、重量異物等を
最初に除去できるため、内側選別室Ａ、外側選別
室Ｂの内側スクリーンプレート３及び外側スクリ
ーンプレート４の重量異物の衝突等による破損、
磨滅等を防止できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであつて、そ
の第１図は本発明の一部切除した斜視図、第２図
は本発明の一部縦断した側面図、第３図は仕切り
周壁を除いた攪拌体の斜視図、第４図は攪拌室を
内側攪拌室と外側攪拌室とに仕切つた状態の要部
斜視図、第５図は精選状態図、第６図は第５図の
一部拡大断面図、第７図，第８図は本発明の別の
実施例の一部断面とした側面図である。 １…本体ケース、Ｃ…攪拌体、３…内側スクリ
ーンプレート、４…外側スクリーンプレート、Ａ
…内側選別室、Ｂ…外側選別室、５…原料入口、
６…リジエクトルーム、８…攪拌室、８ａ…内側
攪拌室、８ｂ…外側攪拌室、９…原料出口、１４
…駆動軸、１４ａ…駆動軸ケース、１７…仕切り
周壁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 駆動軸ケースと円筒状の内側スクリーンプレ
   ートとの間隔部を内側選別室として形成し、且つ
   本体ケースの円筒状側壁と円筒状の外側スクリー
   ンプレートとの間隔部を外側選別室として形成
   し、その内側スクリーンプレートと外側スクリー
   ンプレートとの適宜の間隔部を、原料出口に連通
   した円筒状空隙の攪拌室とし、該攪拌室内を仕切
   り周壁にて内側攪拌室、外側攪拌室に仕切り形成
   し、該内側攪拌室、外側攪拌室内に、本体ケース
   に軸着した駆動軸にて回転する攪拌体をそれぞれ
   設け、前記内側選別室と外側選別室の各軸方向端
   箇所に、原料入口が連通するように本体ケースに
   設け、その内側選別室、外側選別室の各軸方向端
   にドーナツ状空隙のリジエクトルームを形成した
   ことを特徴とした精選スクリーン。