JPH0251475A - 繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラミックスおよびその製造方法

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JPH0251475A
JPH0251475A JP63268110A JP26811088A JPH0251475A JP H0251475 A JPH0251475 A JP H0251475A JP 63268110 A JP63268110 A JP 63268110A JP 26811088 A JP26811088 A JP 26811088A JP H0251475 A JPH0251475 A JP H0251475A
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calcium phosphate
fiber
phosphate compound
reinforced
ceramics
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JP63268110A
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Akira Enomoto
亮 榎本
Kichiya Matsuno
吉弥 松野
Masato Yokoi
横井 真人
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラミッ
クスおよびその製造方法に関し、特に強度と靭性がとも
に優れた繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラミック
スとそれを製造する方法について提案する。
〔背景技術〕
近年、水酸化アパタイト(Ca l O(PO4) 6
 (OH) ! )やりん酸三カルシウム(Ca:+(
PO4)z )などのりん酸カルシウム系化合物セラミ
ックスは、その優れた生体親和性の故に、人工歯根や人
工骨などのインブラント材料として期待されている。と
ころが、これらのりん酸カルシウム系化合物セラミック
スは、それ単独では人工骨や人工歯根として用いる際に
生じる機械的な衝撃や応力に対して、充分な強度や靭性
を具えているとは言えず、実用化されるに至っていない
のが実情である。
〔従来の技術〕
従来、このような実情に鑑み、生体組織との親和性に優
れると共に強度や靭性にも優れたインブラント材料を得
ることを目的として多くの研究。
開発が行われたが、なかでもりん酸カルシウム系化合物
セラミックスにウィスカー等の耐熱性無機繊維を複合化
する技術が有効なものの1つとして脚光を浴びるに至っ
ている。
例えば、関連する技術を挙げると、特公昭59−219
号公報の「人工歯、人工骨及びその製造方法」、特公昭
61−41876号公報の「炭素繊維−アパタイト系焼
成複合体」、特開昭59−57971号公報の「鉱物系
繊維−アパタイト系焼成複合体」などが提案されており
、また窯業協会、年会講演要旨集、講演番号3GO9,
1987には「ミルド炭素繊維が長軸方向に配向するよ
うに加圧焼結を行った繊維強化アパタイトについて」の
飯田、飯島らによる研究がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した従来技術の場合、アパタイトの靭性を若干改善
はしたものの、人工骨、人工歯根などのインブラント材
料として必要な条件;すなわち、強度と靭性がともに優
れた高密度の繊維強化アパタイトは未だ開発されていな
い。
すなわち、これらの既知技術のもとで製造された高密度
の繊維強化アパタイトは、比較的低密度の生成形体を出
発原料として、これを加圧焼結によって強制的に高密度
化したものであるために、焼結時に大きな収縮がおこり
、添加されている、例えばウィスカーなどの耐熱性無機
繊維が著しく変形を受けたり、極端な場合には折損した
りする。
さらに粉体と繊維の混合物がただ単に焼成されたという
だけのものであるから、繊維と粉体マトリックスとの密
着性が乏しい。従って、耐熱性無機繊維を複合させた割
に靭性の向上もまた強度もそれ程改善されているわけで
はなかった。
さらに、上記各従来技術は、原料が耐熱性無機短繊維と
アパタイト微粉末の混合物からなる2次粒子の状態であ
ることから、次のような欠点があった。すなわち、この
技術は、原料を湿式で調整し、その後乾式で成形するよ
うな場合では、たとえ加圧成形であっても、成形体中の
各2次粒子間に繊維が連続して絡み合わない粒界がどう
しても残り、これが破壊発生源を与えることになってい
た。したがって、この従来技術は、耐熱性無機織維を複
合させた割に靭性や強度の向上につながらないという欠
点があった。
本発明の目的は、前記各従来技術の欠点を有利に解決で
きる繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラミックスお
よびその製造方法を提案することにある。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者らは、上述の如゛き欠点を解決するこ
とのできる、いわゆる強度と靭性がともに優れた繊維強
化りん酸カルシウム系化合物セラミックスについて、そ
の製造技術を含めて種々共同で研究した結果、次の事項
を骨子とする新しいセラミックスとその製造方法に想到
した。すなわち、本発明の繊維強化りん酸カルシウム系
化合物セラミックスは、主として、りん酸カルシウム系
化合物と耐熱性無機短繊維とからなる加圧焼成複合体で
あって、しかもこの複合体はりん酸カルシウム系化合物
で構成されるマトリックス中に前記耐熱性無機短繊維が
3次元的に均一分散したものであって、前記マトリック
スは、その少なくともその一部がりん酸カルシウム系化
合物前駆体を焼成する際に生成するセラミックスで構成
されたものであることを特徴とするものである。
一方、本発明は上記繊維強化りん酸カルシウム系化合物
セラミックスを製造する方法として、(1)  主とし
て、りん酸カルシウム系化合物微粉末と耐熱性無機短繊
維とからなる混合スラリーを調整し、このスラリーを湿
式成形しその後乾燥することにより、生成形体を得る工
程。
ただし、この工程における前記混合スラリーは、水の如
き溶剤の他、結合剤や分散剤を加えたり、さらに必要に
応じて凝集剤をも添加することによって調整する。
(2)前記生成形体に、りん酸カルシウム系化合物前駆
体溶液を含浸させた後乾燥することにより、予備成形体
を得る工程。
そして、この工程では、含浸と乾燥とを繰返してもよく
、さらには引続き温度を上げて予備焼成したり、それま
での処理の少なくともその一部を繰返して行うことによ
り、予備成形体とする。
(3)上記工程での処理によって得られた予備成形体を
600℃以上の温度で焼成する工程。
を経ることを特徴とする。
このようにして得られる本発明の繊維強化りん酸カルシ
ウム系化合物セラミックスは、複合化されている耐熱性
無機短繊維が全く傷ついておらず、しかもりん酸カルシ
ウム系化合物からなるマトリックス中に耐熱性無機短繊
維が3次元的に均一に分散していると共にそれらが強固
に密着しているため、高い強度ならびに靭性を兼ね具え
ており、人工歯根や人工骨などのインブラント材料とし
て好適な複合体を形造っている。
〔作 用〕
次に、本発明の内容についてその詳細を以下に説明する
ここに提案する本発明の第1のものは、りん酸カルシウ
ム系化合物と耐熱性無機短繊維とからなり、りん酸カル
シウム系化合物からなるマトリックス中に前記耐熱性無
機短繊維が3次元的に均一分散した焼成複合体であって
、前記マトリックスは、少なくともその一部がりん酸カ
ルシウム系化合物前駆体を焼成する際に、生成するセラ
ミックスで構成された繊維強化りん酸カルシウム系化合
物セラミックスである。
本発明において、繊維強化りん酸カルシウム系化合物セ
ラミックスの、いわゆるりん酸カルシウム系化合物から
なるマトリックスのうちの少なくともその一部は、成形
体の空隙にりん酸カルシウム系化合物前駆体溶液を含浸
し乾燥した後焼成することにより生成させたものが占め
ている。このようなマトリックスにすると、高密度の成
形体になるから、加圧下で焼成する場合であっても焼成
時に大きな収縮がなくなり、その結果として耐熱性無機
短繊維を著しく変形したり、折損したりすることがなく
なる。従って、本発明は単に高密度化されているという
だけでなく、前記短繊維とマトリックスとの密着性にも
極めて優れたものを得るのに好都合である。
かかる本発明繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラミ
ックスは、気孔率が10%以下のものが望ましく、さら
に5%以下のものがより好適な範囲といえる。
本発明の繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラミック
スは、強度と靭性がともに優れていることが特徴であり
、JIS R−1601にもとづいて測定される曲げ強
度が180MPa以上であり、インデンテーション法に
より測定され新涼の式を用いて算出される破壊靭性値が
2.3MPa−m”2以上のものである。
また、本発明の繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラ
ミックスは、前記耐熱性無機短繊維がりん酸カルシウム
系化合物からなるマトリックス中に3次元的に均一分散
してなるものであり、強度および靭性はともに異方性が
なく、使用の際に異方性を考慮する必要の全く無いもの
である。
そして、本発明の繊維強化りん酸カルシウム系化合物セ
ラミックスには、マトリックス中に含まれる耐熱性無機
短繊維の含有量が1〜45容量%であることが好ましい
。その理由は、1容量%よりも少ない含有量だと、強度
および靭性を実質的に向上させる効果がなく、一方45
容量%よりも多いと、耐熱性無機短繊維のりん酸カルシ
ウム系化合物からなるマトリックス中への均一分散性が
低下して強度および靭性が悪くなるからであり、5〜2
5容量%がより好適な範囲と言える。
上記耐熱性無機短繊維としては、平均長さが10鶴以下
で、平均アスペクト比が10〜10000のものが好ま
しく、例えばS+C−5i3Na、Zr0z、A1.0
.、SiO□、炭素、シリカ・アルミナなどのウィスカ
ーやチョツプドファイバーから選択されるいずれか少な
くとも一種のものを用いる。
次に、上述のような本発明のりん酸カルシウム系化合物
セラミックスの製造方法について詳細に説明する。
本発明製造方法は、主として以下に示す3つの工程を経
ることが特徴である。
第1の工程は、主として、りん酸カルシウム系化合物微
粉末と耐熱性無機短繊維とを溶剤を使って混合スラリー
とし、この混合スラリーを湿式成形、乾燥して成形体と
する工程である。
上記りん酸カルシウム系化合物微粉末としては、ハイド
ロキシアパタイト、炭酸アパタイト、フッ素アパタイト
、塩素アパタイトなど各種のアパタイト、りん酸三カル
シウムなどから選ばれる少なくとも1種を用いることが
できるが、とくに生体親和性の良いハイドロキシアパタ
イト単独あるいは、ハイドロキシアパタイトを主体に用
いるものが好ましい。該微粉末は、平均粒径が3μm以
下のものが好ましく、111n以下がより好適である。
なお、このりん酸カルシウム系化合物微粉末には焼結助
剤を添加してもよい。
前記耐熱性無機短繊維としては、平均長さが10mm以
下で、平均アスペクト比が10〜10000のものが好
ましく、例えば、SiC,Si3N、 、 Zr0z、
AhOz、SiO□、炭素、シリカ・アルミナなど高強
度で耐熱性に優れたウィスカーやチョツプドファイバー
から選ばれるいずれか少なくとも一種を用いる。
次に、混合スラリーの調整に当っては、まずりん酸カル
シウム系化合物微粉末と耐熱性無機短繊維を所定の割合
で混合し、水、各種有機溶媒などの溶剤(分散媒)を用
いて湿式でよく混合する。
この混合スラリー調整に当たっては、なるべく繊維を傷
めないような方法が理想であり、例えば高速ミキサー、
ボールミル、超音波分散機などによる方法を適用する。
なお、上記混合スラリーには、必要に応じて後に示すよ
うな結合剤や分散剤を加えることができ、また、均一分
散させた後にさらに凝集剤を添加することができる。
まず、結合剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール
、ポリビニルブチラール、ポリエチレンオキサイド、ポ
リメタクリル酸エステル、メチルセルロース、ウレタン
などの有機結合剤や各種りん酸カルシウム系化合物前駆
体溶液であり、いわゆる結合剤としての作用を有するも
ののうちから選ばれるいずれか少なくとも一種を用いる
分散剤としては、例えばトリオレイン、オレイン酸メチ
ル、天然魚油、合成界面活性剤、ベンゼンスルホン酸、
了りルスルホン酸、りん酸塩、ポリカルボン酸などから
選択されるいずれか少なくとも一種からなるものを用い
る。
また、凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミド、
ポリメタクリル酸エステル、硫酸アルミニウム、ポリ塩
化アルミニウムなどから選択されるいずれか少なくとも
一種のものを用いる。
この工程では、前述のように調整された混合スラリーを
湿式成形して生成形体とする。まず、このような生成形
体を準備することが必要な理由は、スラリー中の耐熱性
無機短繊維を殆ど痛めることなく3次元的に均一に分散
させた状態の成形体を製造するためであり、強度ならび
に靭性が極めて優れた繊維強化りん酸カルシウム系化合
物セラミックスを得るためである。
次に、こうして得られる混合スラリーを湿式成形する方
法としては、例えば、抄造成形法や鋳込み成形法を用い
ることができるが、特に抄造成形法は本発明の場合好適
である。こうして湿式成形した前記生成形体は、空気中
や水蒸気中、窒素ガス中もしくは不活性ガス雰囲気中に
おいて乾燥あるいは仮焼成する。この場合の乾燥あるい
は仮焼成は、成形体を保形する程度のものである。
なお、前記成形された成形体の密度をさらに高めるため
に、耐熱性無機短繊維を傷めない程度でラバープレスな
どのプレスを施してもよい。
さて、前記生成形体は、耐熱性無機短繊維を1〜45容
量%含有しているものであることが好ましく、特に3〜
25容量%含有しているものが好適である。前記成形体
が、耐熱性無機短繊維を1〜45容量%含有しているも
のであることが好ましい理由は、最終的に製造される繊
維強化アパタイトの強度ならびに靭性を極めて優れたも
のとすることができるからである。
次に第2の工程は、湿式成形して得られた前記生成形体
に、りん酸カルシウム系化合物前駆体溶液を含浸させて
から乾燥する処理である。この処理は、生成形体にアパ
タイト前駆体溶液を含浸させ乾燥すると、前記生成形体
の空隙中に、りん酸カルシウム系化合物前駆体が充填さ
れるため、成形体中の耐熱性無機短繊維を変形させたり
、折損させたりするようなことがなくなる。
すなわち、本発明においては、成形体焼成前に高密度化
させるので、たとえ加圧下で焼成しても収縮が少なく、
ひいては耐熱性無機短繊維の変形や折損が防止でき、ま
たマトリックスとの密着性も良くなるため、強度ならび
に靭性がともに極めて優れた繊維強化アパタイトを得る
ことができる。
この工程で用いるりん酸カルシウム系化合物前駆体溶液
としては、この工程での乾燥、焼成処理により、マトリ
ックスの一部を構成するりん酸カルシウム系化合物セラ
ミックスを生ずるものであり、例えば、CaC1,、C
a(NO3)z H4H,o、Ca (CHCOO) 
z、Ca(PH202)、CaHPO3・HzO、Ca
t(Po4’ 2HzO1Ca (lbPOa)z・1
1□0、各種カルシウムのアルコキシドなどの水溶液、
各種有機溶媒溶液のなかから選ばれるいずれか少なくと
も一種と、1I3PO,、P2O3、各種りんのアルコ
キシドなどの水溶液、各種有機溶媒溶液のなかから選ば
れるいずれか少なくとも一種との混合溶液を用いる。
なお、このりん酸カルシウム系化合物前駆体溶液は、乾
燥焼成することにより生ずるセラミックスに換算して1
0〜45重量%のりん酸カルシウム系化合物を含有する
ものであることが好ましく、また粘度はlO〜700 
cpであることが好ましい。
この第2の工程におけるりん酸カルシウム系化合物前駆
体溶液の含浸、乾燥の処理は、少なくとも1回、好まし
くは複数回繰返して行いミこれによって得られる予備成
形体の気孔率を40%以下とし、特に気孔率が25%以
下の予備成形体となるようにすることが有利である。
この段階の予備成形体の気孔率を40%以下とする理由
は、気孔率が40%よりも大きいと、その後に行う焼成
時において収縮率が大きくなるため、添加されている耐
熱性無機短繊維が痛むおそれが多いため、強度ならびに
靭性がともに極めてすぐれた繊維強化セラミックスを製
造することが困難になるからである。
なお、本発明のこの第2の工程では、前記りん酸カルシ
ウム系化合物前駆体溶液を含浸し乾燥するだけでなく、
含浸し乾燥した後さらに常圧下ないしは、加圧下にて予
備的に焼成することや、含浸、乾燥を繰返した後に常圧
下もしくは加圧下にて予備的に焼成すること、あるいは
含浸、乾燥、常圧下もしくは加圧下での予備的な焼成を
複数回繰返して行ってもよい。
次に、本発明の第3の工程は、前記第2の工程で得られ
た予備成形体を焼成する処理である。この段階において
、“りん酸カルシウム系化合物微粉末”と、“りん酸カ
ルシウム系化合物前駆体溶液から生じたりん酸カルシウ
ム系化合物”、および“耐熱性無機短繊維”とは互いに
強固に結合する。
この焼成は、少なくとも600℃以上の温度で行うこと
が必要である。すなわち、この温度以上にすると、りん
酸カルシウム系化合物微粉末と、りん酸カルシウム系化
合物前駆体溶液の焼成時に生じるりん酸カルシウム系化
合物セラミックスと、耐熱性無機短繊維とを、互いに強
固に結合密着させることができるからである。さらに、
残存している空隙を焼成収縮により減少させるのに必要
であって、その結果得られたセラミックスは、強度なら
びに靭性が極めて優れた繊維強化りん酸カルシウム系化
合物セラミックスとなるのである。
この工程での焼成は、無加圧または加圧下で行う。とく
に、加圧下で行うのが好ましく、その理由は、生成形体
中に残存している空隙を、低温でしかも短時間で減少さ
せ、結晶の成長を抑制する上で有効であり、この条件を
満足すれば高密度で、強度ならびに靭性がともに優れた
繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラミックスを短時
間で得ることができるからである。この加圧下での焼成
力としては、加圧焼結、静水圧加圧焼結などの方法を通
用する。この焼成時の雰囲気としては、空気中、水蒸気
中、窒素ガス中、不活性ガス中などを用いることができ
る。
以上説明したような本発明製造方法に従えば、強度なら
びに靭性がともに優れた繊維強化りん酸カルシウム系化
合物セラミックスが得られる。
その理由は、第1に、スラリーを湿式成形することによ
って、りん酸カルシウム系化合物微粉末と耐熱性無機短
繊維とを3次元的に極めて均一に分散した構造を有する
生成形体が得られるからである。
第2に、その生成形体に、りん酸カルシウム系化合物前
駆体溶液を含浸させ、引続き乾燥および/または予備焼
成することに由来する。このような処理を経ると、生成
形体の空隙中に、りん酸カルシウム系化合物あるいはそ
の前駆体が充填され、高密度になる。そのため、その後
に行う焼成もとくに加圧下の場合では低温ででき、しか
も短時間ですむことになる。その結果として、製造工程
において大きく収縮するようなことがな(なり、それが
耐熱性無機短繊維を著しく変形させたり、折損させたり
することを防いで、高強度、高靭性にするのである。い
わゆる、このことによって耐熱性無機短繊維とマトリッ
クスとの密着性の優れた、結晶粒径の小さい高密度の繊
維強化りん酸カルシウム系化合物セラミックスを製造す
ることができるのである。
なお、本発明者らが知り得たところでは、耐熱性無機短
繊維のみからなる成形体に、りん酸カルシウム系化合物
前駆体溶液を含浸させてから乾燥し、その後焼成する方
法については、含浸回数が少ないと密度が上がらず、ま
た、高密度にするためには含浸と乾燥の回数が多くなけ
ればならず、製造に手間がかかるという問題があり好ま
しくなかった。
〔実施例〕
実施例1 (1)  平均粒径が0.5μmのハイドロキシアパタ
イト微粉末100重量部、平均長さが46μmで平均ア
スペクト比が153のSiCウィスカー17重量部、ポ
リエチレングリコール1重量部及び水500重量部をボ
ールミルにて24時間混合してスラリーを調整した。
次いで、このスラリーを目開きが0.04mmのスクリ
ーンを張った型に流し込み吸引濾過して抄造した後乾燥
し、その後3 t/1fflの面圧にてラバープレスを
施してから、空気中において700℃の温度で2時間仮
焼成して成形体を作成した。
得られた成形体は、嵩密度が1.74g/crlで、該
成形体に含まれるSiCウィスカーの量は14.5容量
%であった。
(2)一方、硝酸カルシウム100重量部を45℃に加
熱し溶融させた後、無水りん酸18重量部を撹拌しなが
ら加えて無水りん酸を完全に溶融させて均一溶液とし、
さらにこの溶液に水44重量部を加えてハイドロキシア
パタイト (ハイドロキシアパタイトに換算して)を2
5重量%含有するセラミックス前駆体溶液を調整した。
このセラミックス前駆体溶液の粘度は、B型粘度計によ
り測定したところ約170cpであった。
(3)上記(11で得られた成形体に上記(2)で調整
したセラミックス前駆体溶液を含浸させた後、60℃で
4時間、100℃で2時間、120℃で2時間乾燥し、
さらに空気中にて700℃の温度で2時間仮焼成した。
(4)  上記成形体への含浸およびそれに続く乾燥お
よび仮焼成を10回繰り返してハイドロキシアパタイト
を充填し、気孔率15.8%の成形体とし、その後アル
ゴンガス雰囲気下、1050℃の温度で12時間焼成し
て繊維強化セラミックスを得た。
このようにして得られた繊維強化セラミックスは、気孔
率が4.3%、JIS−R1601に基づいて測定した
曲げ強度が388 M Pa、インデンテーション法に
より測定し新涼の式を用いて求めた破壊靭性値が3.8
MPa −m ””であり、人工骨、人工歯11すどの
生体硬組織代替材料として必要な高い強度と靭性の繊維
強化セラミックスが得られることが確かめられた。
実施例2 この実施例では、前記実施例1における工程(1)のラ
バープレスによる加圧処理を省略し、他は同じ条件で繊
維強化セラミックスを製造した。
得られた繊維強化セラミックスは、気孔率が7.2%、
実施例1と同じ方法によって測定した曲げ強度が317
MPa、破壊靭性値が4.7MPa−m ””であり、
人工骨、人工歯根などの生体硬組織代替材料として必要
な高い強度と靭性の繊維強化セラミックスが得られるこ
とが確かめられた。
実施例3 この実施例では、前記実施例1における工程(4)の成
形体へのセラミックス前駆体溶液の含浸およびそれに続
く乾燥および仮焼成の繰り返しを5回として作成した気
孔率が22.7%の成形体を、アルゴンガス雰囲気下、
1000℃の温度で1時間加圧焼結し、他は同じ条件で
繊維強化セラミックスを製造した。
得られた繊維強化セラミックスは、気孔率が0.2%、
実施例1と同じ方法によって測定した曲げ強度が416
MPa、破壊靭性値が3.6MPa−m””であり、人
工骨、人工歯根などの生体硬組織代替材料として必要な
高い強度と靭性の繊維強化セラミックスが得られること
が確かめられた。
実施例4 この実施例では、前記実施例1における工程(11で調
整された混合スラリーにさらにポリアクリルアミド系凝
集剤(固形分0.04重量%)32重量部を添加混合し
て混合スラリーを調整し、他は実施例3と同じ条件で繊
維強化セラミックスを製造した。
得られた繊維強化セラミックスは、気孔率が063%、
実施例1と同じ方法によって測定した曲げ強度が390
MPa、破壊靭性値が3.7MPa−m”であり、人工
骨、人工歯根などの生体硬組織代替材料として必要な高
い強度と靭性の繊維強化セラミックスが得られることが
確かめられた。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の繊維強化りん酸カルシウ
ム系化合物セラミックスは、複合化されている耐熱性無
機短繊維がほとんど変形したり折損しておらず、しかも
繊維強化りん酸カルシウム系化合物マトリックス中に耐
熱性無機短繊維が3次元的に均一に分散し、かつ相互に
絡み合っており、さらにマトリックスとの密着性にも優
れているため、高い強度ならびに高い靭性を兼ね具えて
おり、インブラント材料として、とりわけ好適なものが
得られた。
一方、本発明の繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラ
ミックスの製造方法によれば、耐熱性無機短繊維を変形
させたり折損させることなく、しかも繊維強化りん酸カ
ルシウム系化合物セラミックス中に耐熱性無機短繊維が
3次元的に均一に分散し、かつ相互に絡み合いマトリッ
クスとの密着性の優れた結晶粒径の小さい高密度の成形
体を容易に製造することができ、高い強度ならびに破壊
靭性値を兼ね具えたインブラント材料用繊維強化りん酸
カルシウム系化合物セラミックスを確実に得ることがで
きる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.主として、りん酸カルシウム系化合物と耐熱性無機
    短繊維とからなり、りん酸カルシウム系化合物で構成さ
    れるマトリックス中に前記耐熱性無機短繊維が3次元的
    に均一分散した焼成複合体であって、前記マトリックス
    は、少なくともその一部がりん酸カルシウム系化合物前
    駆体を焼成する際に生成するセラミックスで構成された
    ものであることを特徴とする繊維強化りん酸カルシウム
    系化合物セラミックス。 2.請求項1に記載のものは、マトリックス中に1〜4
    5容量%の耐熱性無機短繊維を含み、かつ気孔率が10
    %以下、曲げ強度が180MPa以上、破壊靭性値が2
    .3MPa・m^1^/^2以上であることを特徴とす
    る繊維強化りん酸カルシウム系化合物セラミックス。 3.セラミックスに繊維を複合化させることにより、繊
    維強化りん酸カルシウム系化合物セラミックスを製造す
    る際、 (1)主として、りん酸カルシウム系化合物微粉末と耐
    熱性無機短繊維とからなる混合スラリーを調整し、この
    スラリーを湿式成形した後乾燥することにより生成形体
    を得る工程、 (2)前記生成形体に、りん酸カルシウム系化合物前駆
    体溶液を含浸させた後乾燥することにより、予備成形体
    を得る工程、 (3)上記工程での処理によって得られた予備成形体を
    600℃以上の温度で焼成することにより繊維強化セラ
    ミックスを得る工程、 を経ることを特徴とするを繊維強化りん酸カルシウム系
    化合物セラミックスの製造方法。 4.前記セラミックスを得る上記第(3)の工程におい
    て、前記予備成形体を加圧焼成することを特徴とする請
    求項3に記載の製造方法。 5.セラミックスに繊維を複合化させることにより、繊
    維強化セラミックスを製造する際、 (1)主として、セラミックス微粉末と耐熱性無機短繊
    維とからなる混合スラリーを調整し、このスラリーを湿
    式成形した後乾燥することにより、生成形体を得る工程
    、 (2)前記生成形体に、セラミックス前駆体溶液を含浸
    させた後乾燥するか、または引続き予備焼成するまでの
    処理について、少なくともその一部の処理を繰返すこと
    により、予備成形体を得る工程、 (3)上記工程での処理によって得られた予備成形体を
    焼成することにより、繊維強化セラミックスを得る工程
    、 を経ることを特徴とする繊維強化りん酸カルシウム系化
    合物セラミックス。 6.前記セラミックスを得る上記第(3)の工程におい
    て、前記予備成形体を加圧焼成することを特徴とする請
    求項5に記載の製造方法。
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