JPH0249223B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、一般に、それ自体にヒートシールし
て袋、小物入れその他の容器を形成せしめること
ができる熱収縮性熱可塑性包装フイルムにおける
改良に関するものである。特に、本発明はグリー
スの存在及び不在の何れにおいても高い温度にお
けるシール強度において、並びに本発明によらな
ければ粘度性表面を有するフイルムの加工性にお
いての、改良に関するものである。

かなりの工業的な成功を収めた熱収縮性、熱可
塑性、多層包装フイルムは、H.J.ブラツクスらに
対し1973年６月26日に公告された米国特許第
3741253号に記されている。ブラツクスらの特許
に開示されたフイルムは、エチレン―酢酸ビニル
共重合体の第一すなわち基層を、未延伸の管とし
て押出し、次いで管を平らにし且つそれを一連の
通路中で電子線下に移動させることにより共重合
体の分子を架橋することによつて、製造すること
ができる。次いで、フイルムを実質的に延伸させ
ずにインフレーシヨンさせ且つ環状のコーテイン
グダイを通過させて、それによつて塩化ビニリデ
ンの共重合体である第二の層を与える。かくして
得た重合体層の壁ら成る管を冷却し、つぶしたの
ち熱水浴中に送つて管を十分に軟化させることに
よつて間隔を置いた２対のピンチローラー間にト
ラツプされるバツブル状に膨張させることができ
るようにする。

インフレーシヨンはバツブルが熱水浴から出て
迅速に冷却されるときに管の延伸フイルムへの延
伸を生じさせる。バツブルをつぶしたのち、フイ
ルムを平らにした、継目のない、管状の、後に袋
の製造のために用いることができる管状のフイル
ムとして巻き取る。たとえば末端シールの袋は典
型的には管の幅を横切つて横方向にヒートシール
したのち、管を切断することによつて製造され
る。かくして、横方向のシールが袋の底を形成す
る。

平らにしたシール壁を加熱したシール棒によつ
て相互に押付けることによる急速な工業的操作に
おける上記の如き袋の製造においては、シール棒
の滞留時間は、できる限り短かいものとするが、
しかし管の内側表面層を、それ自体に対して、平
滑な、連続的な強いシールとして溶融及び結合さ
せるに十分な長い時間でなければならない。強い
信頼性のあるシールの重要性は袋の用途と機能を
考察すると容易に理解することができる。この種
の袋は、主としては、たとえば肉を袋中に入れ、
袋を真空とし、ひだをよせ且つ袋の口に対して金
属クリツプを使用してそれを気密に封じ、次いで
袋をフイルムの延伸配向に用いた温度とほぼ同じ
温度の熱水浴中に浸漬することによつて、広い種
類の新鮮及び加工肉、チーズ並びに魚を包装する
ために用いられる。この温度は典型的には160〜
200〓である。この場合に遭遇する問題は、袋を
肉の周りで収縮させるときの袋の底におけるシー
ルの失敗及び収縮力がシールを引きはなす傾向が
あることである。熱水中に浸漬した膨らませた袋
は、肉を入れてない袋がシールに対する力と同じ
力を繰返す圧力まで膨張させてあつたとしても、
肉を詰めたその袋よりも信頼性の大きいシールを
有している。動物脂肪、特に加工した肉からの脂
肪は、シールの区域においてエチレン―酢酸ビニ
ル共重合体層を溶解し、可塑剤と同様に作用する
傾向があり、且つシールを軟化及び弱化する。こ
の問題を解決するための一手段は、シール棒の滞
留時間を増大させて強いシールを生じさせること
及びより幅の広いシールを用いることである。し
かしながら、これは袋の製造速度を低下させ且つ
袋の材料のむだ使いとなる。それ故、本発明の一
目的は、袋の製造に対して用いることができ且つ
高い温度において破れたりまたははがれたりする
ことのない加良したフイルムを提供することにあ
る。

低融点を有する熱可塑性材料の袋の取扱いと加
工において遭遇する別の問題は、粘着性、すなわ
ち、袋材料がそれ自体に対して粘着する傾向であ
る。かくして、本発明の別の目的は、最大の粘着
性を有する層が外層すなわち表皮層ではなく内側
の層となつている多層積層物を製造することにあ
る。

本発明の更に他の目的は、多層フイルム中で低
融点樹脂を用いる場合にシールの信頼性を向上さ
せることにある。

ブラツクスらの特許のフイルムにおいては、塩
化ビニリデンが中間層を構成している。この層
は、塩化ビニリデンがきわめて低い気体透過性を
有しているのに対して、収縮及びシーリング層を
提供するエチレン―酢酸ビニル共重合体はそうで
はないために、重要である。かくして、本発明の
もう一つの目的は、少なくとも従来のフイルムと
ほぼ等しい収縮及び気体透過性を提供し且つ同時
に改良したシール及び加工特性を有するフイルム
を提供することにある。

上記の諸目的は以下に要約する本発明によつて
達成することができる。

前記の従来からのフイルムの問題点は、本発明
のフイルム及び方法によつて、望ましい収縮性を
保持しながら、解決することができるということ
が見出された。いいかえれば、本発明の目的は、
少なくとも２層から成り、第一の層は表面層であ
り且つ第二の層はそれに隣接しており；該第一及
び第二の層はエチレン―酢酸ビニル共重合体から
成り、第一の層の共重合体は第二の層の共重合体
よりも高い融解温度まではより高い結晶性を有
し；該第二の層は第一の層の厚さの少なくとも１
1/2倍であり；両層における共重合体は架橋して
あり；且つ各層は延伸配向してあることを特徴と
する、多層、熱収縮性フイルムによつて達成する
ことができる。これらの両層は他の層を付加させ
ることができる基層を形成する。収縮温度におけ
るグリースによる攻撃に対する抵抗性を提供する
ことを目的とする一好適実施形態においては、フ
イルムはそれに付加した第三及び第四の層を有し
ており、その第三の層はたとえば塩化ビニリデン
共重合体または加水分解したエチレン―酢酸ビニ
ル共重合体のような低い気体透過性を有する熱可
塑性材料から成り且つ第四の層はエチレン―酢酸
ビニル共重合体から成つている。

別の局面において、本発明は、比較的高い融点
のエチレン―酢酸ビニル共重合体フイルムを比較
的低い融点の層の表面に対して結合させ、それに
よつて融点の高いほうの共重合体を表面層とし且
つ融点の低いほうの共重合体層を融点の高いほう
の共重合体層よりも大きな粘着性を有するものと
することによつて、比較的低い融点のエチレン―
酢酸ビニル共重合体フイルムの取扱い特性を改良
し且つ収縮温度におけるそのヒートシール性を改
良するための方法である。

フイルムは、平らにし、横方向でシールし且つ
切断して袋とすることができる継目なしの管の形
態にあることもまた好適である。本発明の更に他
の局面においては、フイルムはケーシングとして
成形せしめることができる。

脂肪やグリースの存在下に高い温度においてシ
ールがその完全性を維持しながら最高のシール生
成速度を与えるフイルム構造物を見出すために多
数のフイルム構造物を試験した。

最初に、外層に対して各種のエチレン―酢酸ビ
ニル共重合体樹脂を使用して３プライの構造物を
試験したが、シール生成速度、収縮性、収縮温度
におけるシール強度、及び耐グリース性の満足で
きる組合わせを与える構造物は認められなかつ
た。次いで４プライの構造物を考察して、シーリ
ング表面への他の層の付加を調べた。意外なこと
に、従来用いられた表面シーリング層よりも高い
結晶性を有するエチレン―酢酸ビニル共重合体
は、高いシール生成速度において耐グリース性を
提供し、しかも全構造物が従来の材料の望ましい
収縮性を保持するということ、すなわち第二の層
が多層フイルムの収縮性を支配するということが
見出された。

高い温度におけるシールの完全性を調べるため
に用いる試験は、袋を製造するときにシールすべ
き表面に対して、グリースの薄いコートを塗布
し、次いで袋を製造したのちに、それを所定の制
御圧力までふくらまし、次いで熱水中に浸漬し、
且つ180〜185〓の温度に保つというものである。
熱水からの熱は袋材料に収縮する傾向を生じさ
せ、かくしてシール区域に対する力を増大させ
る。静的な試験に対しては、次いで袋を、更にイ
ンフレーシヨンを与えることなく、所定の時間保
持する。その時間の終りに袋がなお完全である場
合には圧力を破裂が生じるまで除々に増大させ
る。次いで破裂圧力を袋のシール強度の尺度とし
て記録する。シールを攻撃するグリース媒体とし
ては加工肉からの脂肪を用いる。

前記のように、ここに言及するシールは、たと
えば袋のような入れ物を形成させるために用いら
れる。これらの袋は２部類に属するが、その一つ
は末端シール袋と呼ばれ他のものは側面シール袋
と呼ばれる。末端シール袋は既述のようにして製
造する、すなわち、平らにした管を横方向にシー
ルし且つその横方向のシールが一つの袋の底とな
るように切断し、且つシールの直後で切断した管
が引続く次の袋の口となる。側面シール袋の場合
には、やはり管を平らにし、その平らにした管を
横切つて間隔を置いた横方向の２平行シールを与
える。この平行なシール間の間隔が袋の幅とな
る。管の一側縁を切取つて袋に対する口を提供し
たのち、管を切断することによつて袋を管から分
離することができる。

一好適実施形態においては、本発明の多層フイ
ルムは、基層を単一層としてではなく２層として
共押出しすることを除けば、前記のブラツクスら
の特許について記した方法と類似の方法によつて
製造する。いいかえれば、好適フイルムの製造の
第一段階において、２押出機から単一の環状共押
出しダイに仕込み、ここで内側すなわち第一の層
は約6.2％の酢酸ビニル含量と約2.0のメルトフロ
ーを有するエチレン―酢酸ビニル共重合体とす
る。外層すなわち第二の層もまたエチレン―酢酸
ビニル共重合体とするが、この場合は９％の酢酸
ビニル含量と約2.0のメルトフローを有している。
第二の層は第一の層の約２倍の厚さであることが
好ましく且つ約9.5ミルの厚さであることが好ま
しいのに対して、第一の層は約5.0ミルの厚さと
する。この共押出しした管は約4.5インチの直径
を有している。冷却後にそれらを平らにし且つ遮
蔽した放射室中に導き、その中を電子加速装置の
ビーム下で通過させて約５メガラツドの線量を与
える。重合体材料中の分子を架橋するための電子
線による照射は公知の技術である。

この時点で、管を熱水浴中に通じ且つトラツプ
ドバツブル方法によつて膨張させて、高い温度に
おける良好な耐グリース性を有する２層フイルム
とすることができる。しかしながら、低い気体透
過性を有するフイルムが望ましいことから、管に
延伸を加えずにそれを膨張させ、次いでコーテイ
ングダイ中を通過させることによつて管に塩化ビ
ニリデンと塩化ビニルの共重合体のコーテイング
を与える。好適な共重合体は、僅かに可塑化した
塩化ビニリデンと塩化ビニルの共重合体で、懸濁
重合による共重合体10％と乳化重合による共重合
体90％の混合物から成るものである。乳化重合し
た共重合体は約70％の塩化ビニリデンと約30％の
塩化ビニルから成り、懸濁重合した共重合体は約
80％の塩化ビニリデンと20％の塩化ビニルから成
つている。好適実施形態においては、この塩化ビ
ニリデン共重合体層の厚さは3.5〜4.0ミルであ
る。

塩化ビニリデン共重合体層を与えたのち、被覆
した管を別のコーテイングダイ中に送り、そこ
で、第一すなわち内側層を構成するものと同一の
基本的共重合体である6.2％の酢酸ビニル含量を
有するエチレン―酢酸ビニル共重合体の6.0ミル
の最終層を与える。いうまでもなく、この層は照
射してない。

最終層を与え、再びフイルムを冷却し、つぶし
たのち、約190〓の水を含有する熱水槽中に送り、
そこでピンチロール間を通過させ、次いで膨張さ
せ且つ厚さが約２ミルとなるまで延伸する。これ
は好適実施形態の多層フイルムの最終厚さであ
る。バツプルが熱水槽から出るときに、それを空
気中で迅速に冷却したのち、つぶし且つ平らにし
た管として巻き取る。この管から前記のようにし
て袋を製造することができる。

平らにした管から、側縁シールの袋に対しては
１分間当り120袋に至るまでの速度で袋を製造す
ることができるのに対して、従来の技術による袋
は１分間当り60〜65袋の速度で具合良く袋を製造
しうるに過ぎない。かくして、シール棒滞留時間
及びシールと切断の間の冷却時間が著るしく低下
する。

本発明のフイルムを製造するために押出機に供
給する樹脂すなわち基本的重合体材料は、多くの
供給者から購入することができ且つこれらは、た
とえばモダンプラスチツクスエンサイクロペジ
ア、1980〜1981の815〜826頁における“樹脂及び
成形配合物”の題目下に記されているように、コ
ンサルタント商業出版物によつて見出すことがで
きる。袋は、フイルム品級のエチレン―酢酸ビニ
ル共重合体から製造することが好ましい。

第一の層は比較的結晶性の大きいエチレン―酢
酸ビニル共重合体を含有すべきこと、すなわち、
比較的低い酢酸ビニル含量を有し且つその分子構
造中に比較的僅かな分岐鎖を有しているものでな
ければならないということが見出された。どれか
一層中の酢酸ビニルの含量は絶体的なものではな
く、他の層に対して相対的なものである。たとえ
ば、適度な収縮張力を有するフイルムをチーズブ
ロツクのような製品の包装に用いることを望む場
合には、第一の層は約15％の酢酸ビニル含量を有
し且つ第二の層は約18％の酢酸ビニル含量を有し
ているべきである。たとえば魚のような商品の場
合には第一の層は重量で12％の酢酸ビニル含量を
有し且つ第二の層は約18％の酢酸ビニル含量を有
している。このように、食料包装用としては、第
一の層の酢酸ビニル含量は10〜16％の範囲とし、
第二の層は17〜20％の範囲とすることができる。
第二の層は、最終フイルムの収縮を支配するため
には、第一の層の厚さの約２倍、少なくとも1.5
倍の厚さでなければならないということもまた認
められている。第一の層は比較的結晶性が高いか
ら、第二の層よりも高い温度で溶融する傾向があ
る。かくして、第二の層は比較的低い温度で配向
させることができ、それ故、第二の層は同様に比
較的低い温度で収縮する。かくして、熱水浴中に
入れるときは、フイルムの加熱につれて先ず第二
の層が収縮し始め、且つ第二の層が比較的厚いた
めに、それが全多層フイルムの収縮を支配する。
第一の層はそのシール強さのためにより大い結晶
性とより高い融点範囲が必要であるが、その比較
的高い収縮温度は望まれず且つ第二の層によつて
圧倒される。かくして、本発明は望ましい収縮特
性とシール強度を達成する。

本発明のフイルムから製造することができるも
う一つの容器は、１枚のフイルムの両方の縁をヒ
ートシールすることによつて管を形成させ、次い
でその管材料にギヤザーを寄せ且つ金属またはプ
ラスチツクのクリツプを用いて気密に閉じた状態
に保つことにより管の一端を閉じることによつて
形成せしめるケーシングである。このようなクリ
ツプの使用は公知である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ａ） 少なくとも２層から成り、第一の層は
   表面層であり且つ第二の層はそれに隣接してお
   り； ｂ） 該第一及び第二の層はエチレン―酢酸ビニ
   ル共重合体を含んで成り、第一の層の共重合体
   は第二の共重合体よりも高い融解温度を有し； ｃ） 該第二の層は第一の層の少なくとも１ 1/2
   倍の厚さであり；且つ ｄ） 両層中の共重合体は架橋してある ことを特徴とする、収縮温度における改良したシ
   ール強度及び耐グリース性を有するヒートシール
   を生じる、多層、熱収縮性、熱可塑性包装フイル
   ム。 ２ 該第一及び第二の層は、その間で接着剤なし
   に溶融結合してある、特許請求の範囲第１項記載
   のフイルム。 ３ 第二の層に結合させた少なくとも１の付加的
   な層を包含する、特許請求の範囲第１項記載のフ
   イルム。 ４ 第一の層中の共重合体は重量で5.0％乃至7.5
   ％の酢酸ビニル含量を有し且つ第二の層中の共重
   合体は8.5％乃至12.0％の酢酸ビニル含量を有す
   る、特許請求の範囲第１項記載のフイルム。 ５ 第一の層の共重合体は10％乃至16％の酢酸ビ
   ニル含量を有し且つ第二の層は15％乃至20％の酢
   酸ビニル含量を有する、特許請求の範囲第１項記
   載のフイルム。 ６ ） 低い気体透過性を有する熱可塑性材料
   を含んで成り且つ該第二の層に結合せしめた第
   三の層； 及び ） 第三の層に結合せしめ且つエチレン―酢酸
   ビニル共重合体を含んで成る第四の層 を包含する、特許請求の範囲第１項記載のフイル
   ム。 ７ ４層全部の合計の厚さは約２ミルであり、第
   二の層は厚さが第一の層の約２倍であり、且つ第
   一及び第二の層は約5MRの線量と同等な程度に
   架橋してある、特許請求の範囲第６項記載のフイ
   ルム。 ８ エチレン―酢酸ビニル共重合体を含んで成る
   表面または第二の層を有する熱収縮性フイルムの
   収縮温度における改良したヒートシール特性およ
   び耐グリース性を有する多層、熱収縮性、熱可塑
   性包装フイルムの製造方法であつて、 ａ） 第一の層のためのエチレン―酢酸ビニル共
   重合体を用意し、但し第一の層のための共重合
   体は第二の層の共重合体よりも高い融解温度を
   有するものとし； ｂ） 該第二の層の表面上に第一の層を形成せし
   め、それによつて該第一の層は生成する多層フ
   イルムのための表面層となり、該第二の層は第
   一の層よりも厚いものとする、 の段階を含んで成ることを特徴とする、該方法。 ９ 段階(b)は該第一及び第二の層を共押出しする
   ことによつて遂行する、特許請求の範囲第８項記
   載の方法。