JPH0248417B2 - - Google Patents
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- JPH0248417B2 JPH0248417B2 JP59196736A JP19673684A JPH0248417B2 JP H0248417 B2 JPH0248417 B2 JP H0248417B2 JP 59196736 A JP59196736 A JP 59196736A JP 19673684 A JP19673684 A JP 19673684A JP H0248417 B2 JPH0248417 B2 JP H0248417B2
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- film
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- polyethylene
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- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
Description
産業上の利用分野
本発明は、架橋度がフイルムの厚さ方向におい
て、中方向に低下したポリエチレン延伸フイルム
に関する。 従来の技術 従来、ポリエチレンフイルムの透明性や熱収縮
性を改良するために、架橋ポリエチレンフイルム
の製造方法が種々提案されている。例えば特公昭
37−18893号公報にはポリエチレンなどのエチレ
ン系樹脂フイルムを、電子線、放射線などで均一
に架橋して加熱し二軸延伸する方法が記載されて
いる。 しかしながら、従来の方法で得られる架橋延伸
ポリエチレンフイルムは、その透明性、熱収縮性
などは改良されるものの防湿性については十分で
はなく、防湿性の要求される用途においてはフイ
ルムの厚さを増したり、バリヤー性樹脂層を設け
ることが必要である。このためフイルムの透明性
や包装特性を損い、また製造コストも高くなる。 発明が解決しようとする問題点 本発明は、透明で、かつ防湿性に優れるポリエ
チレン延伸フイルムを提供することを目的とす
る。 問題点を解決するための手段 本発明の要旨は、密度が0.935g/cm3未満のポ
リエチレン系樹脂からなり、架橋度がフイルムの
厚さ方向において、中方向に低下したポリエチレ
ン延伸フイルムに関し、その延伸フイルムはポリ
エチレン系樹脂からなるシートまたはチユーブ状
の成形物を、該成形物の厚さ方向において、中方
向に架橋度が低下するように両側から架橋し、次
いで好ましくは樹脂の融点以下の温度で少くとも
一方向に延伸することによつて製造することがで
きる。 次に、本発明のポリエチレン延伸フイルムにつ
いて説明する。 本発明におけるポリエチレン系樹脂としては、
密度が0.935g/cm3未満、好ましくは0.910〜0.935
g/cm3未満で、メルトフローインデツクス(JIS
K6760により温度190℃、荷重2.16Kgで測定、以
下MIという)が0.05g/10分以上、好ましくは
0.1〜20g/10分の結晶性のエチレン単独重合体
またはエチレン共重合体があげられる。具体例と
しては中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、線状低密度ポリエチレンの如きポリエチレ
ン、またはエチレン含量が50重量%以上であるエ
チレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、
1−オクテンなどのα−オレフインもしくは酢酸
ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸
エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、
スチレン、塩化ビニルなどのビニル単量体との共
重合体などがあげられる。これらポリエチレン系
樹脂は単独または2種以上の混合物で用いる。な
お、これらポリエチレン系樹脂には必要に応じて
酸化防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロツキング
剤、滑剤、中和剤、核剤、顔料、染料などの公知
の添加剤を加えることができる。 本発明のフイルムの製造におけるポリエチレン
系樹脂は、通常使用されている押出機に供給し、
溶融押出し冷却固化してシート状またはチユーブ
状の原反を成形する。溶融押出成形は、通常使用
されているTダイから押出してフラツトな原反と
する方法、環状ダイから押出してチユーブ状原反
とする方法、チユーブ状原反を切り開いてシート
状原反とする方法、またはチユーブ状原反の両側
を切断して二枚のシート状原反とするなど何れの
方法を用いてもよい。この場合の各原反の厚さ
は、原反の厚さ方向において両側から架橋度が中
方向に低下するように架橋できる厚さであれば良
く、延伸倍率と延伸後のフイルムの厚さにより決
るものであるが、通常は210〜2000μm、好ましく
は400〜1000μmの範囲が取り扱いおよび前記の架
橋を構成させるうえからも望ましい。 本発明におけるポリエチレン系樹脂からなるシ
ート状またはチユーブ状の原反の架橋は、原反の
厚さ方向において架橋度が中に向つて低下するよ
うに両側から架橋することが必要である。その架
橋度は、ゲル分率で表わされるが、本発明の目的
を達成させるためには、上記の原反の架橋構成に
おいて架橋度最低のゲル分率が0〜5%未満で、
両側各架橋表層のゲル分率が5%以上、特に10〜
80%の範囲であることが好ましい。特に、架橋度
最低のゲル分率が0%で、原反の厚さ方向に架橋
層/未架橋層/架橋層を構成するものが好ましく
この場合は、各層の構成割合が架橋層:未架橋
層:架橋層=1:0.1〜10:1の範囲であること
が望ましく、特に両側各架橋層の架橋度が同一で
あることが好ましい。 上記の架橋が、原反の厚さ方向において中方向
に架橋度が低下するように架橋が行われない場
合、特に架橋度最低のゲル分率が5%を越える場
合は、延伸加工は均一に行われ、透明性は改善さ
れるものの本発明の主目的である防湿性の改善さ
れたフイルムは得られない。また、両側各架橋表
層の架橋度は、ゲル分率が5%未満の場合は延伸
加工が均一に行なわれずフイルムの透明性は改善
されない。一方、ゲル分率が80%を越える場合
は、延伸加工においてフイルムが破断し易く円滑
な延伸ができない。さらに、原反の厚さ方向全層
に均一に架橋が行われた場合には延伸加工は均一
に行われ透明性は改善されるが防湿性が改善され
ず、一方、原反の厚み方向の片側のみの架橋では
延伸加工においてフイルムが破断しやすく、また
原反の厚さ方向の一方から架橋度が低下するよう
に全層に架橋した場合は、得られるフイルムの防
湿性の改善が十分ではなく共に好ましくない。 なお、上記のゲル分率は、試料を沸とうp−キ
シレンで抽出し不溶部分を示したものである。 このような架橋を行う方法としては、例えば、
原反の両側から電子線を照射する方法、または架
橋剤を配合したポリエチレン樹脂の多層共押出に
よる方法などがあげられる。 電子線を照射する方法は、原反の厚さ、樹脂の
種類、分子量、分子量分布によつても異なるが、
通常は電子線の照射量を3〜50メガラツド
(Mrad)、好ましくは5〜30メガラツドとすれば
よい。また、照射は原反シートの表裏もしくは原
反チユーブの内外に同時、または表裏もしくは内
外に分けて、さらには数回に分けて行つてもよ
い。この場合、原反への照射線量は、原反の表裏
もしくは内外が同一一線量であることが特に好ま
しい。また、照射はポリエチレン系樹脂の原反
が、押出溶融の状態または押出冷却固化後の状態
のいずれで行つてもよい。さらに、電子線の透過
能の調整は、原反の厚さに対する印加電圧の調
整、遮へい物例えばフイルム、シート、板などに
よるマスキングなどがあげられる。 次に、電子線照射量を調整する一例をあげる
と、例えば照射する原反の厚さが500μmの場合に
は、20μm厚さの25枚の薄いフイルムを緊密に重
ね合せてほゞ500μm厚さの試験片とし、これに厚
さ方向の両側より同量の電子線を照射し、架橋せ
しめた試験片を20μmの25枚のフイルムに分離し、
それぞれの架橋度を測定すれば試験片の厚さ方向
の架橋度の分布状態を知ることができる。この結
果から原反の厚さと電子線照射量による架橋度と
の関係を知ることができる。 また、架橋剤を配合したポリエチレン系樹脂の
多層共押出しにより架橋する方法としては、例え
ば有機過酸化物などの架橋剤をポリエチレン系樹
脂に配合したものを、シート状原反においては厚
さ方向の両側外層とし、チユーブ状原反において
は厚さ方向の内外層とし、有機過酸化物を配合し
ないか、または前記の最低架橋度以下となるよう
に有機過酸化物を配合したものを原反厚さ方向の
中間層となるように多層共押出機に供給し、樹脂
の融点以上の温度で架橋共押出する方法があげら
れる。 延伸は、架橋された原反を加熱し、通常のロー
ル法、テンター法、チユーブラー法もしくは圧延
法またはこれらの方法の組合せによつて所定の倍
率で一軸または二軸方向に延伸してフイルムを得
る。二軸延伸では、同時または逐次延伸のどちら
であつてもよい。 延伸温度は、ポリエチレン系樹脂の軟化点以
上、特に軟化点から結晶融点迄の範囲が好まし
い。具体的には70〜150℃、好ましくは100〜130
℃である。延伸温度が軟化点未満では樹脂の軟化
が不十分で均一で安定な延伸を行うことができな
い。一方、温度が融点を越えると樹脂が過度に溶
融するので安定な延伸が行えず、また得られるフ
イルムの防湿性の改善が不十分である。 また、延伸倍率は、引張り延伸において、縦方
向(MD)および/または横方向(TD)に3倍
以上、好ましくは4〜8倍で行うことが望まし
い。延伸倍率が3倍未満では延伸が不均一で透明
性に優れる延伸フイルムが得られない。また、
MD方向を圧延し、TD方向を引張り延伸する場
合の延伸倍率は、MD方向に1.5倍以上、好まし
くは2〜6倍、TD方向に3倍以上、好ましくは
4〜8倍で行うことが望ましい。TD方向の圧延
倍率が1.5倍未満では防湿性の改良効果が不十分
である。 発明の効果 以上の構成による本発明のポリエチレン延伸フ
イルムは、均一に全層架橋したポリエチレン延伸
フイルムに比べ防湿性および剛性に優れ、また未
架橋ポリエチレンフイルムに比べ透明性にも優れ
るものである。 本発明のポリエチレン延伸フイルムは、上記の
ような優れた特性により、透明な防湿性包装フイ
ルムとして好適である。 実施例 以下、本発明の実施例を示す。なお、実施例に
おける試験法は次の通りである。 (1) ヘイズ:ASTM D1003 (2) 透湿度:JIS Z0208B法(温度40℃、相対湿
度90%で測定) (3) 剛 性:ASTM D882 (4) ゲル分率:ASTM D2765、A法 実施例 1 低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3、MI3.0
g/10分、以下LDPEという)をTダイ押出シー
ト成形機により厚さ0.6mmのシート状原反に成形
した。 このシート状原反に、電子線照射装置(ESI社
製)を用い、窒素ガス雰囲気下で表裏それぞれに
165kV−45mAの条件下で10メガラツドの電子線
を照射した。この架橋シートの照射面およびシー
トの厚さ方向の内部の架橋度を知るため、上記
LDPEからなる厚さ20μmの薄いフイルム30枚を
重ねて厚さ0.6mmの試験片とし、同一条件で電子
線を照射して各々の薄いフイルムの架橋度を調べ
たところ、照射面両側の薄いフイルムの架橋度は
ゲル分率30%、厚さ方向内部の最低架橋はゲル分
率0%であつた。また、架橋層および未架橋層の
厚さの構成比は、架橋層:未架橋層:架橋層=
1:1.8:1であつた。 この架橋シートを温度105℃でMD方向に4倍、
TD方向5倍に延伸して厚さ30μmの二軸延伸
LDPEフイルムを得た。このフイルムの特性を表
−1に示した。なお、このフイルムの1cm2を実体
顕微鏡で100倍に拡大し、フイルム面を鋭利なピ
ンセツトではつると表面の架橋層は柔らかく剥が
れるが、未架橋の中部層はフイプリル化した。ま
た、フイルムの反対面も同様であつた。 実施例 2〜10 実施例1のLDPE、LDPE(密度0.922g/cm3、
MI6.0g/10分)、線状低密度ポリエチレン(密
度0.924g/cm3、MI2.0g/10分、以下LLDPEと
いう)および中密度ポリエチレン(密度0.934
g/cm3、MI1.0g/10分、以下MDPEという)を
用いて、原反の厚さ、原反厚さ方向の架橋度の調
整および延伸を表−1に示すような条件で行つた
以外は、実施例1と同様の方法で各延伸フイルム
を得た。この各フイルムの特性を表−1に併記し
た。 比較例 1,2 実施例1および7において、電子線照射装置の
印加電圧を上げて電子線の透過能を増大し、原反
シート厚さ方向の架橋度を均一とし、ゲル分率を
それぞれ65%および45%としたものを用い、表−
1に示す条件で延伸を行い延伸フイルムを得た。
このフイルムの特性を表−1に併記した。 比較例 3,4 実施例1および7において、電子線による架橋
を原反の厚さ方向片側から行い、原反厚さ方向の
架橋層および未架橋層の比をそれぞれ1:0.9と
し、原反シートの照射面および非照射面のゲル分
率をそれぞれ65%と0%および45%と0%とした
ものを用い、表−1に示す条件で延伸を行い延伸
フイルムを得た。このフイルムの特性を表−1に
併記した。
て、中方向に低下したポリエチレン延伸フイルム
に関する。 従来の技術 従来、ポリエチレンフイルムの透明性や熱収縮
性を改良するために、架橋ポリエチレンフイルム
の製造方法が種々提案されている。例えば特公昭
37−18893号公報にはポリエチレンなどのエチレ
ン系樹脂フイルムを、電子線、放射線などで均一
に架橋して加熱し二軸延伸する方法が記載されて
いる。 しかしながら、従来の方法で得られる架橋延伸
ポリエチレンフイルムは、その透明性、熱収縮性
などは改良されるものの防湿性については十分で
はなく、防湿性の要求される用途においてはフイ
ルムの厚さを増したり、バリヤー性樹脂層を設け
ることが必要である。このためフイルムの透明性
や包装特性を損い、また製造コストも高くなる。 発明が解決しようとする問題点 本発明は、透明で、かつ防湿性に優れるポリエ
チレン延伸フイルムを提供することを目的とす
る。 問題点を解決するための手段 本発明の要旨は、密度が0.935g/cm3未満のポ
リエチレン系樹脂からなり、架橋度がフイルムの
厚さ方向において、中方向に低下したポリエチレ
ン延伸フイルムに関し、その延伸フイルムはポリ
エチレン系樹脂からなるシートまたはチユーブ状
の成形物を、該成形物の厚さ方向において、中方
向に架橋度が低下するように両側から架橋し、次
いで好ましくは樹脂の融点以下の温度で少くとも
一方向に延伸することによつて製造することがで
きる。 次に、本発明のポリエチレン延伸フイルムにつ
いて説明する。 本発明におけるポリエチレン系樹脂としては、
密度が0.935g/cm3未満、好ましくは0.910〜0.935
g/cm3未満で、メルトフローインデツクス(JIS
K6760により温度190℃、荷重2.16Kgで測定、以
下MIという)が0.05g/10分以上、好ましくは
0.1〜20g/10分の結晶性のエチレン単独重合体
またはエチレン共重合体があげられる。具体例と
しては中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、線状低密度ポリエチレンの如きポリエチレ
ン、またはエチレン含量が50重量%以上であるエ
チレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、
1−オクテンなどのα−オレフインもしくは酢酸
ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸
エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、
スチレン、塩化ビニルなどのビニル単量体との共
重合体などがあげられる。これらポリエチレン系
樹脂は単独または2種以上の混合物で用いる。な
お、これらポリエチレン系樹脂には必要に応じて
酸化防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロツキング
剤、滑剤、中和剤、核剤、顔料、染料などの公知
の添加剤を加えることができる。 本発明のフイルムの製造におけるポリエチレン
系樹脂は、通常使用されている押出機に供給し、
溶融押出し冷却固化してシート状またはチユーブ
状の原反を成形する。溶融押出成形は、通常使用
されているTダイから押出してフラツトな原反と
する方法、環状ダイから押出してチユーブ状原反
とする方法、チユーブ状原反を切り開いてシート
状原反とする方法、またはチユーブ状原反の両側
を切断して二枚のシート状原反とするなど何れの
方法を用いてもよい。この場合の各原反の厚さ
は、原反の厚さ方向において両側から架橋度が中
方向に低下するように架橋できる厚さであれば良
く、延伸倍率と延伸後のフイルムの厚さにより決
るものであるが、通常は210〜2000μm、好ましく
は400〜1000μmの範囲が取り扱いおよび前記の架
橋を構成させるうえからも望ましい。 本発明におけるポリエチレン系樹脂からなるシ
ート状またはチユーブ状の原反の架橋は、原反の
厚さ方向において架橋度が中に向つて低下するよ
うに両側から架橋することが必要である。その架
橋度は、ゲル分率で表わされるが、本発明の目的
を達成させるためには、上記の原反の架橋構成に
おいて架橋度最低のゲル分率が0〜5%未満で、
両側各架橋表層のゲル分率が5%以上、特に10〜
80%の範囲であることが好ましい。特に、架橋度
最低のゲル分率が0%で、原反の厚さ方向に架橋
層/未架橋層/架橋層を構成するものが好ましく
この場合は、各層の構成割合が架橋層:未架橋
層:架橋層=1:0.1〜10:1の範囲であること
が望ましく、特に両側各架橋層の架橋度が同一で
あることが好ましい。 上記の架橋が、原反の厚さ方向において中方向
に架橋度が低下するように架橋が行われない場
合、特に架橋度最低のゲル分率が5%を越える場
合は、延伸加工は均一に行われ、透明性は改善さ
れるものの本発明の主目的である防湿性の改善さ
れたフイルムは得られない。また、両側各架橋表
層の架橋度は、ゲル分率が5%未満の場合は延伸
加工が均一に行なわれずフイルムの透明性は改善
されない。一方、ゲル分率が80%を越える場合
は、延伸加工においてフイルムが破断し易く円滑
な延伸ができない。さらに、原反の厚さ方向全層
に均一に架橋が行われた場合には延伸加工は均一
に行われ透明性は改善されるが防湿性が改善され
ず、一方、原反の厚み方向の片側のみの架橋では
延伸加工においてフイルムが破断しやすく、また
原反の厚さ方向の一方から架橋度が低下するよう
に全層に架橋した場合は、得られるフイルムの防
湿性の改善が十分ではなく共に好ましくない。 なお、上記のゲル分率は、試料を沸とうp−キ
シレンで抽出し不溶部分を示したものである。 このような架橋を行う方法としては、例えば、
原反の両側から電子線を照射する方法、または架
橋剤を配合したポリエチレン樹脂の多層共押出に
よる方法などがあげられる。 電子線を照射する方法は、原反の厚さ、樹脂の
種類、分子量、分子量分布によつても異なるが、
通常は電子線の照射量を3〜50メガラツド
(Mrad)、好ましくは5〜30メガラツドとすれば
よい。また、照射は原反シートの表裏もしくは原
反チユーブの内外に同時、または表裏もしくは内
外に分けて、さらには数回に分けて行つてもよ
い。この場合、原反への照射線量は、原反の表裏
もしくは内外が同一一線量であることが特に好ま
しい。また、照射はポリエチレン系樹脂の原反
が、押出溶融の状態または押出冷却固化後の状態
のいずれで行つてもよい。さらに、電子線の透過
能の調整は、原反の厚さに対する印加電圧の調
整、遮へい物例えばフイルム、シート、板などに
よるマスキングなどがあげられる。 次に、電子線照射量を調整する一例をあげる
と、例えば照射する原反の厚さが500μmの場合に
は、20μm厚さの25枚の薄いフイルムを緊密に重
ね合せてほゞ500μm厚さの試験片とし、これに厚
さ方向の両側より同量の電子線を照射し、架橋せ
しめた試験片を20μmの25枚のフイルムに分離し、
それぞれの架橋度を測定すれば試験片の厚さ方向
の架橋度の分布状態を知ることができる。この結
果から原反の厚さと電子線照射量による架橋度と
の関係を知ることができる。 また、架橋剤を配合したポリエチレン系樹脂の
多層共押出しにより架橋する方法としては、例え
ば有機過酸化物などの架橋剤をポリエチレン系樹
脂に配合したものを、シート状原反においては厚
さ方向の両側外層とし、チユーブ状原反において
は厚さ方向の内外層とし、有機過酸化物を配合し
ないか、または前記の最低架橋度以下となるよう
に有機過酸化物を配合したものを原反厚さ方向の
中間層となるように多層共押出機に供給し、樹脂
の融点以上の温度で架橋共押出する方法があげら
れる。 延伸は、架橋された原反を加熱し、通常のロー
ル法、テンター法、チユーブラー法もしくは圧延
法またはこれらの方法の組合せによつて所定の倍
率で一軸または二軸方向に延伸してフイルムを得
る。二軸延伸では、同時または逐次延伸のどちら
であつてもよい。 延伸温度は、ポリエチレン系樹脂の軟化点以
上、特に軟化点から結晶融点迄の範囲が好まし
い。具体的には70〜150℃、好ましくは100〜130
℃である。延伸温度が軟化点未満では樹脂の軟化
が不十分で均一で安定な延伸を行うことができな
い。一方、温度が融点を越えると樹脂が過度に溶
融するので安定な延伸が行えず、また得られるフ
イルムの防湿性の改善が不十分である。 また、延伸倍率は、引張り延伸において、縦方
向(MD)および/または横方向(TD)に3倍
以上、好ましくは4〜8倍で行うことが望まし
い。延伸倍率が3倍未満では延伸が不均一で透明
性に優れる延伸フイルムが得られない。また、
MD方向を圧延し、TD方向を引張り延伸する場
合の延伸倍率は、MD方向に1.5倍以上、好まし
くは2〜6倍、TD方向に3倍以上、好ましくは
4〜8倍で行うことが望ましい。TD方向の圧延
倍率が1.5倍未満では防湿性の改良効果が不十分
である。 発明の効果 以上の構成による本発明のポリエチレン延伸フ
イルムは、均一に全層架橋したポリエチレン延伸
フイルムに比べ防湿性および剛性に優れ、また未
架橋ポリエチレンフイルムに比べ透明性にも優れ
るものである。 本発明のポリエチレン延伸フイルムは、上記の
ような優れた特性により、透明な防湿性包装フイ
ルムとして好適である。 実施例 以下、本発明の実施例を示す。なお、実施例に
おける試験法は次の通りである。 (1) ヘイズ:ASTM D1003 (2) 透湿度:JIS Z0208B法(温度40℃、相対湿
度90%で測定) (3) 剛 性:ASTM D882 (4) ゲル分率:ASTM D2765、A法 実施例 1 低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3、MI3.0
g/10分、以下LDPEという)をTダイ押出シー
ト成形機により厚さ0.6mmのシート状原反に成形
した。 このシート状原反に、電子線照射装置(ESI社
製)を用い、窒素ガス雰囲気下で表裏それぞれに
165kV−45mAの条件下で10メガラツドの電子線
を照射した。この架橋シートの照射面およびシー
トの厚さ方向の内部の架橋度を知るため、上記
LDPEからなる厚さ20μmの薄いフイルム30枚を
重ねて厚さ0.6mmの試験片とし、同一条件で電子
線を照射して各々の薄いフイルムの架橋度を調べ
たところ、照射面両側の薄いフイルムの架橋度は
ゲル分率30%、厚さ方向内部の最低架橋はゲル分
率0%であつた。また、架橋層および未架橋層の
厚さの構成比は、架橋層:未架橋層:架橋層=
1:1.8:1であつた。 この架橋シートを温度105℃でMD方向に4倍、
TD方向5倍に延伸して厚さ30μmの二軸延伸
LDPEフイルムを得た。このフイルムの特性を表
−1に示した。なお、このフイルムの1cm2を実体
顕微鏡で100倍に拡大し、フイルム面を鋭利なピ
ンセツトではつると表面の架橋層は柔らかく剥が
れるが、未架橋の中部層はフイプリル化した。ま
た、フイルムの反対面も同様であつた。 実施例 2〜10 実施例1のLDPE、LDPE(密度0.922g/cm3、
MI6.0g/10分)、線状低密度ポリエチレン(密
度0.924g/cm3、MI2.0g/10分、以下LLDPEと
いう)および中密度ポリエチレン(密度0.934
g/cm3、MI1.0g/10分、以下MDPEという)を
用いて、原反の厚さ、原反厚さ方向の架橋度の調
整および延伸を表−1に示すような条件で行つた
以外は、実施例1と同様の方法で各延伸フイルム
を得た。この各フイルムの特性を表−1に併記し
た。 比較例 1,2 実施例1および7において、電子線照射装置の
印加電圧を上げて電子線の透過能を増大し、原反
シート厚さ方向の架橋度を均一とし、ゲル分率を
それぞれ65%および45%としたものを用い、表−
1に示す条件で延伸を行い延伸フイルムを得た。
このフイルムの特性を表−1に併記した。 比較例 3,4 実施例1および7において、電子線による架橋
を原反の厚さ方向片側から行い、原反厚さ方向の
架橋層および未架橋層の比をそれぞれ1:0.9と
し、原反シートの照射面および非照射面のゲル分
率をそれぞれ65%と0%および45%と0%とした
ものを用い、表−1に示す条件で延伸を行い延伸
フイルムを得た。このフイルムの特性を表−1に
併記した。
【表】
Claims (1)
- 1 密度が0.935g/cm3未満のポリエチレン系樹
脂からなり、架橋度がフイルムの厚さ方向におい
て、中方向に低下したポリエチレン延伸フイル
ム。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19673684A JPS6174820A (ja) | 1984-09-21 | 1984-09-21 | ポリエチレン延伸フイルム |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19673684A JPS6174820A (ja) | 1984-09-21 | 1984-09-21 | ポリエチレン延伸フイルム |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6174820A JPS6174820A (ja) | 1986-04-17 |
| JPH0248417B2 true JPH0248417B2 (ja) | 1990-10-25 |
Family
ID=16362739
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP19673684A Granted JPS6174820A (ja) | 1984-09-21 | 1984-09-21 | ポリエチレン延伸フイルム |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6174820A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0470506U (ja) * | 1990-10-31 | 1992-06-23 |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4605527B2 (ja) * | 2006-05-09 | 2011-01-05 | 積水フイルム株式会社 | 太陽電池用接着シート |
| JP4605528B2 (ja) * | 2006-05-17 | 2011-01-05 | 積水フイルム株式会社 | 太陽電池用接着シートの製造方法 |
| KR101139088B1 (ko) * | 2010-05-26 | 2012-04-30 | 삼성토탈 주식회사 | 태양전지 봉지재용 eva 시트 및 그 제조방법 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0247334B2 (ja) * | 1983-03-23 | 1990-10-19 | Toa Nenryo Kogyo Kk | Enshinhoriechirenfuirumu |
-
1984
- 1984-09-21 JP JP19673684A patent/JPS6174820A/ja active Granted
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0470506U (ja) * | 1990-10-31 | 1992-06-23 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6174820A (ja) | 1986-04-17 |
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