JPH0245727Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この考案は鉛直方向に取り付けられた真空の伝
熱管の内壁に沿つて冷媒液を流下させ、伝熱管を
介して機外の空気と熱の授受を行なうことによつ
て冷房用の冷風或いは給湯、暖房用の温水や温風
などを得られるようにした吸収冷熱機の蒸発器に
関する。

(ロ) 従来技術 冷媒吸収剤の密閉循環サイクルによつて冷却し
た流体、或いは加熱された流体を得る吸収冷凍サ
イクルと吸収冷凍機、吸収冷温水機、吸収ヒート
ポンプ（これらをまとめて吸収冷熱機という）が
ある。この吸収冷熱機はいずれも冷媒を吸収した
吸収液から冷媒の再分離をするために、吸収液を
加熱する発生器と、この発生器で得られた冷媒ガ
スを冷却し凝縮液化させて蒸発器に送る凝縮器及
び、蒸発器で気化した冷媒を吸収して再び発生器
に還流する吸収器を有している。

このような吸収冷熱機の蒸発器には、伝熱管が
鉛直方向に配設された縦型の蒸発器と同じく水平
方向に配設された横型の蒸発器とがあり、更に、
縦型の蒸発器には上部に冷媒液分散器を設け、各
伝熱管の上部から冷媒液を流下させることによ
り、機外の空気と熱の授受を行なわせて冷房時の
放熱、或いは暖房時の吸熱をする空気熱交換式の
蒸発器がある。

しかし、従来のこの種の縦型の蒸発器は空気と
熱交換するフインに水滴が付着するとこの水滴に
よつて空気の流通が妨げられ、蒸発器としての所
期の機能を充分に発揮させにくい欠点があつた。

特に、熱交換フインが平板式のものでは、伝熱
管に対して垂直にフインが固着されているため、
伝熱管を鉛直方向に立設したときはフインが水平
方向となり、空気中の水蒸気が凝縮してできる水
滴が水平なフインに溜り、フインとフインとの間
の空間をふさいでしまう欠点があつた。

(ハ) 考案の目的 このような点に鑑みなされたこの考案は空気と
熱交換する伝熱管フインに凝縮する水滴をすみや
かに除去し、熱交換フインへの空気の流通を常に
良好に保ち、安定した性能の吸収冷凍機を得るこ
とを目的としたものである。

(ニ) 考案の構成 この考案に蒸発器は、鉛直に取り付けられた伝
熱管の表面に、管の表面から約15゜の上向き角度
で放射方向に向つて形成されると共に、表面にシ
リカ、アクリル樹脂、アミノ樹脂などの界面活性
剤を用いた被膜を形成した多数の針状熱交換フイ
ンを立設したものであり、フインの表面に凝集し
た空気中の水蒸気を逐一、伝熱管に向つて流下さ
せ、これを伝熱管の表面に集めてすみやかに流出
させ、水滴がフインの表面に付着して生じる空気
流通の妨げを減少するようにしたものである。

(ホ) 実施例 以下に図面に従い本案を説明する。第１図にお
いて、１は吸収液を加熱して吸収液中の冷媒を加
熱分離する発生器、２はガス状の冷媒を冷却液化
して蒸発器３に供給する凝縮器、４は蒸発器３で
気化した冷媒ガスを吸収剤で吸収して発生器１に
還流する吸収器であり、これらの器体は冷媒管
５、吸収液管６で気密に接続された後、器内の空
気を排出して低圧の吸収冷凍サイクルを構成して
いる。蒸発器３は外面に多数の熱交換フイン７を
有した伝熱管８，８……を上の分散器１９、と下
方のヘツダ１０間に鉛直方向に立設したものであ
り、それぞれの伝熱管８，８……の内面には、液
分散器１９で略等量に分散された冷媒液が流下さ
れ、熱交換フイン７、伝熱管の壁を介して管内へ
与えられる熱で冷媒を加熱し気化させるように構
成されている。

この蒸発器の熱交換フイン７は第２図に拡大し
て示すように、針状のフイン７を伝熱管８の表面
から放射方向に向かつて形成したものである。

すなわち、伝熱管８は、管の軸線に対して約
25゜の傾斜をもつ細かい螺旋溝（図示省略）を内
面に有した約10mmの外径の鋼管に第３図で示すよ
うな切込み９付きのアルミニウムの帯材１０を折
曲げて巻回したものであり、帯材１０の巻回時に
切り込み部９を起こしつつ、銅管８′に巻くと
（第４図）、第２図のように放射状に針状フインを
有する伝熱管８が得られる。

尚、第３図及び第５図において、７のスリツト
の加工はフイン高さｈが約11mm、フインの巾ｂが
0.76mmとなるよう、厚さｔが約0.2mmのアルミ材
にスリツト９を入れたものであり、管８へはフイ
ン間隔ｄが約2.5mmとなるように成形し、フイン
ピツチｆが１cm当り５巻以下になるように巻回し
たものであり、鉛直方向に伝熱管８が立設された
蒸発器として使用の結果水切れの良い空気熱交換
器が得られたものである。

この場合において、第３図と同様な寸法条件の
もとでのアルミの帯材の加工時に第７図又は第８
図のように隙間１１をあけてフイン７が生じるよ
うに加工し、上記と同様に伝熱管８に巻回し、更
に、この伝熱管のフイン７に軽いしごきを与え
（第６図参照）、上向き角度θが約15度になるよう
にした伝熱管８を用いて蒸発器３を形成すると、
放射方向でのフインの数が空気熱交換器として使
用するときに凝縮する水をより効果的に除き、空
気との熱交換効率の著しく良い蒸発器を得られる
ものである。

更に又、上述のようにして形成されたフインに
シリカ、アクリル樹脂、アミノ樹脂などの界面活
性剤を用いて被膜を形成させると、理想的な水切
れの縦型蒸発器が得られることも確認できた。

（親水性処理の実施例） アルミフインに対して、アルコール系溶剤にシ
リカ、アクリル樹脂、アミノ樹脂等の界面活性剤
を溶かし、これ（例えば、関西ペイント製の
KP9811−Ｄ）の８％程度の濃度のペイントを用
い、弱アルカリ性、常温の浴中に約１分浸漬した
後、加熱硬化させ、約1.5μmの被膜をフインの表
面に形成し、これを縦型蒸発器のフインに使用す
る。

尚、以上の説明は、伝熱管にフインを巻回する
実施例に基づいて説明したが、本案の針状フイン
の形成はその他の方法、例えば、伝熱管の表面に
切り込みを入れて針状フインを切り起こし形成し
ても本案の技術的範囲を逸脱するものではない。

(ヘ) 考案の効果 本案の蒸発器は、鉛直に取り付けられた管の上
部から流下する冷媒液を管の外部から与えられる
熱で加熱して気化させるようにした伝熱管におい
て、そのフインを表面にシリカ、アクリル樹脂、
アミノ樹脂などの界面活性剤を用いた被膜が形成
されると共に、管表面から約15゜の上向き角度で
放射方向に向う針状フインとして形成したので、
フインの表面に付着する水滴は被膜が形成され上
向きに傾斜したフインの表面に沿つて流れ、すみ
やかにフインを離れて下方へ滴下し、従来のよう
に凝縮した水滴がフイン部分への空気の流通を妨
げることの殆どない、水切れの良い蒸発器、フイ
ン表面への結露による蒸発器の性能低下を生じな
い蒸発器の実現を可能にしたものである。

又、この種蒸発器は強制的な冷媒流を作り難い
吸収冷熱機の蒸発器、なかでも冷媒に２−２−２
トリフルオロエタノールを用いた吸収冷熱機にお
いて特に実用的価値の高いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の蒸発器の一使用例を示す吸収冷
熱機の説明図、第２図は本案の蒸発器に使用され
る伝熱管の要部拡大側面図、第３図はフインの加
工の一実施例を示す説明図、第４図は伝熱管の形
成過程を示す斜視図、第５図は要部の切欠断面
図、第６図は本案による蒸発器の他の実施例にお
ける伝熱管の例を示す縦断面図、第７図及び第８
図は針状フイン加工の他の実施例を示す説明図で
ある。 ３……蒸発器、７……針状フイン、８……伝熱
管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鉛直に取り付けられた管の上部から管内を流下
   される冷媒液をこの管の外部から与えられる熱で
   加熱して気化させるようにした伝熱管を有した蒸
   発器において、この伝熱管の外面には伝熱管の表
   面から約15゜の上向き角度で放射方向に向つて形
   成されると共に、表面にシリカ、アクリル樹脂、
   アミノ樹脂などの界面活性剤を用いた被膜を形成
   した多数の針状フアンを有していることを特徴と
   する吸収冷熱機の蒸発器。