JPH0245627Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、器体の前面を除く全周が壁に開設し
た凹部の中に埋設して設置される形式（以下、ビ
ルトイン形という）の強制通風燃焼器に関するも
のである。

〔従来の技術〕

従来の強制通風燃焼器は、第４図に示すよう
に、器体１の内部に内胴２により構成された燃焼
室を内蔵し、その燃焼室３の下部にはバーナ４
を、上部には熱交換器５を配設し、その熱交換器
５の上部に排気筒６を接続し、さらに前記内胴２
の下部にフアン７を配設し、フアン７を駆動する
と、該フアンより器体１に開設した空気取入口８
から取入れた空気を燃焼室３中に強制的に送つて
バーナ４を燃焼させ、排気筒６から排ガスを排出
するように構成されている。

そして、壁掛形の場合は、係止金具９で器体１
を壁掛状に係止する。このようにすると、器体１
の奥行き寸法をＢ、可燃壁Ｗの壁面と器体１の背
面との隔離距離をＬとすると、機器の設置スペー
スはＢ＋Ｌとなる。なお、燃焼室３の輻射熱によ
つて、器体１の背面の表面温度はT₁、可燃壁Ｗ
の壁面温度はT₂となる。

ところで、ガス用品の検定等に関する省令また
は日本工業規格の技術上の基準において、前記器
体表面温度T₁および壁面温度T₂には規定が設け
られている。すなわち、器体１を都市ガス用瞬間
湯沸器とした場合には、ガス用品の検定等に関す
る省令の「ガス瞬間湯沸器検定規定」の中の別表
における技術上の基準(A)の25(1)項において、通常
の使用状態において手のふれるおそれのある部分
（すまみ類及び廃ガス排出部を除く）の表面の室
温を加えた温度（ここでは器体表面温度T₁に相
当する）が105℃以下、また、器具の天上面（床
の上に配置するものにあつては床面）、背面及び
側面に面した木壁の表面の室温を加えた温度（こ
こでは壁面温度T₂に相当する）が65℃以下と規
定されている。一方、JIS S2129「都市ガス用瞬
間湯沸器」の表４性能における温度上昇（平常温
度上昇）の項において、操作時に手の触れるおそ
れのある部分の表面温度（器体表面温度T₁）に
相当する）が室温＋105℃以下、器体後面及び側
面の木壁の表面温度（壁面温度T₂に相当する）
が室温＋65℃以下とそれぞれ規定されている。

さらに、火炎予防例準則の別表第３において、
不燃材料以外の材料による仕上げ又はこれに類似
する仕上げをした建築物の部分及び可燃性物品か
らの後方距離より近接して設置する構造のもので
あつて、壁に掛けて設置する形態の瞬間湯沸器で
は、器体１の背面と可燃壁Ｗの壁面との隔離距離
Ｌは45mm以上と規定されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、第４図に示す従来例では、燃焼
室３からの輻射熱によつて器体表面温度T₁およ
び壁面温度T₂を前述のガス用品の検定等に関す
る省令や日本工業規格で規定する規格内におさめ
ることは極めて困難であつて、このため、従来か
ら燃焼室３と器体１の背面板との遠隔距離Ｌを十
分にとると共に、その空間に不燃性の断熱材を介
在させて器体表面温度T₁および壁面温度T₂を前
述の技術基準の規格値内におさまるまで低下させ
るようにしているが、断熱材の厚さも断熱効果を
発揮する寸法が必要となり、それだけ器体１の奥
行き寸法Ｂが大きくなり、ひいては設置スペース
Ｂ＋Ｌも大きくなるという問題がある。

上記の如き問題点は、燃焼器を壁の中に埋込む
ビルトイン形の場合には壁掛形よりさらに一層重
要な問題となる。すなわち、ビルトイン形の場合
には、器体の前面を除く全周が壁に開設した凹所
の中に埋設された状態で設置するので、それだけ
器体１の高さ、幅、奥行寸法とも大きくなり、設
置スペースが大きくなるという問題があり、この
ため、現在のところビルトイン形の強制通風燃焼
器は実用化されていない。

本考案は、前記の如き従来技術の問題点を改善
し、器体の左右両側面、上下面、背面の表面温度
を低下させると共に、器体の寸法および器体をと
り囲む凹所の寸法をできるだけ小さくして、設置
スペースを小さくすることができるビルトイン形
強制通風燃焼器を提供せんとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、前記の如き目的を達成せんがため、
燃焼室を内蔵した器体の前面を除く全周が壁に開
設した凹所の中に埋設して設置されるビルトイン
形強制通風燃焼器において、器体の前面を除く外
囲板と燃焼室との間に燃焼室をとり囲む遮熱板を
張設してその遮熱板と器体外囲板との間に前面を
除く全周をとり囲む空気遮熱室を形成し、かつ、
器体のフロントカバーの前記遮熱板と対応する上
下および左右両側部に空気流入孔を開設すると共
に、前記遮熱板のフアンと対応する背面位置に吸
気孔を設け、前記フロントカバーの上下および左
右両側部の空気流入孔から流入して遮熱板の背面
に設けた吸気孔を経てフアンに吸入される強制対
流空気流により前記燃焼室からの輻射熱を遮断す
べくなしたことを特徴とする。

〔作用〕

本考案のビルトイン形強制通風燃焼器は、前記
の如く構成されているので、バーナに点火すると
共にフアンを駆動すれば、燃焼用空気はフロント
カバーの上下および両側部に形成した複数の空気
流入孔から流入し、燃焼室を経て吸気孔からフア
ンに吸入され、バーナを燃焼させた後熱交換器を
通過して排気筒から廃ガスを器外に排出し、その
間、空気遮熱室中の空気がフロントカバーの上下
および左右両側部の空気流入口から流入して遮熱
板の背面に設けた吸入孔から吸入される空気流に
よつて強制的に対流することによつて燃焼室から
の輻射熱を極めて効果的に遮断して器体の表面温
度をを規格内におさめることができる。

〔実施例〕

以下、本考案を第１図および第２図に示す一実
施例により説明する。

１は奥行き寸法B′を有する器体で、その内部
に内胴２で区劃された燃焼室３を内蔵し、その燃
焼室３の下部にバーナ４を、上部に熱交換器５を
配設し、熱交換器５の上部に排気筒６が接続され
ている。内胴２の下部には、送風口が内胴２中に
開口したフアン７が配設されている。

９および９′は器体の背面板１ａと壁Ｗに形成
した凹所の底壁面Wa、および器体の左右両側板
１ｂ，１ｃと壁Ｗに形成した凹所の左右側壁面
Wb，Wcならびに器体の上面板１ｄと壁Ｗに形
成した凹所の上壁面Wdとの間にそれぞれ所定の
離間距離Ｌを保ち、かつ、器体の下面板１ｅと壁
Ｗに形成した底壁面Weとの間に配管の接合など
に必要とする離間距離L′を保つて器体を係止する
ための係止金具である。

本考案においては、前記器体の背面板１ａ、左
右両側板１ｂ，１ｃ、上面板１ｄ、下面板１ｅと
により構成された器体の外囲板と燃焼室との間に
燃焼室をとり囲む遮熱板１０を張設して、その遮
熱板１０と器体の外囲板との間に前面に除く全周
をとり囲む空気遮熱室１１を形成する。すなわ
ち、遮熱板１０は、器体の背面板１ａと対向する
背面板１０ａと、器体の左右両側板１ｂ，１ｃと
対向する左右両側板１０ｂ，１０ｃと、器体の上
面板１ｄと対向する上面板１０ｄと、器体の下面
板１ｅと対向する下面板１０ｅとよりなる前面が
解放された箱形のものである。そして、器体１の
前面を覆うフロントカバー１ｆには、前記空気遮
熱室１１に面する上下および左右両側部に任意所
要数の空気流入孔１２を形成する。また、前記遮
熱板１０の背面板１０ａには、フアン７と対応す
る位置に吸気孔１３を形成する。

本考案の強制通風燃焼器は、上記の如く構成さ
れているので、適宜の点火手段（図示を省略し
た）によりバーナ４に点火すると共にフアン７を
駆動すれば、燃焼用空気はフロントカバーの上下
および両側部に形成した複数の空気流入孔１２か
ら流入し、遮熱板１１を経て吸気孔１３からフア
ン７に吸入され、バーナ４を燃焼させた後熱交換
器５を通過して排気筒６から廃ガスを器体１外へ
排出する。

このとき、燃焼室３からの輻射熱が遮熱板１０
に伝導されて遮熱板１１中の空気が加熱されよう
とするが、本考案においては、前記の如く、フロ
ントカバーの上下および左右両側部に形成された
空気流入孔１２から流入した空気が、燃焼室の前
面を除く全周をとり囲むように形成された遮熱室
１１中を通つて吸気孔１３からフアン７に空気が
吸入されるので、空気遮熱室１１中にはフアン７
の駆動による強制的対流空気流があつて、これに
よりきわめて効果的な断熱作用を行なわせること
ができる。すなわち、第３図のように遮熱板１０
と背面板１ａとの間に空気流が存在するとき、そ
の空気流による放熱量Ｑは次式であらわされる。

Ｑ＝Ｋ（t₀−t₁）Ｓ ただし、Ｋ：熱通過率 Ｓ：隔壁の面積 t₀，t₁：壁面の温度 一般に、自然対流の熱通過率K₁は３〜
10Kcal／m²ｈ℃であり、強制対流における熱通
過率K₂はレイノズル数の0.8乗にほぼ比例する
（レイノズル数は流速ｖに比例）。従つて、強制対
流における熱通過率K₂をK₁と比べると、自然対
流のｖを0.5ｍ／ｓ、強制対流のｖを４ｍ／ｓと
仮定すると、 （4/0.5）^0.8＝5.27 となり、自然対流による放熱に比べてはるかに大
きい放熱効果を発揮する。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案によれば、器体１を
壁の中に埋設するビルトイン形の燃焼器であつて
も、燃焼室３からの輻射熱を、前面を除く全周に
形成された空気遮熱室１１中の空気がフロントカ
バーの上下および左右両側部の空気流入口から流
入して遮熱板の背面に設けた吸入孔から吸入され
る空気流によつて強制的に対流することによつて
極めて効果的に遮断して、器体１の表面温度T₁
をガス用品の検定等に関する省令または日本工業
規格の技術上の基準で規定する規格内に十分おさ
めることができ、このため結果として機器の設置
スペースが極めて少なくてすみ、ビルトイン形の
強制通風燃焼器としての実用的価値を向上させる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すビルトイン形
強制通風燃焼器の正面図、第２図は同じく断面
図、第３図はその放熱量の説明図、第４図は従来
の壁面近接壁掛形強制通風燃焼器の断面図であ
る。 １……器体、１ａ……背面板、１ｂ，１ｃ……
側面板、１ｄ……上面板、１ｅ……下面板、１ｆ
……フロントカバー、２……内胴、３……燃焼
室、４……バーナ、５……熱交換器、６……排気
筒、７……フアン、９……係止金具、１０……遮
熱板、１１……空気遮熱室、１２……空気流入
孔、１３……吸気孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃焼室を内蔵した器体の前面を除く全周が壁に
   開設した凹所の中に埋設して設置されるビルトイ
   ン形強制通風燃焼器において、前記器体の前面を
   除く外囲板と燃焼室との間に燃焼室をとり囲む遮
   熱板を張設してその遮熱板と器体外囲板との間に
   前面を除く全周をとり囲む空気遮熱室を形成し、
   かつ、器体のフロントカバーの前記遮熱室と対応
   する上下および左右両側部に空気流入孔を開設す
   ると共に、前記遮熱板のフアンと対応する背面位
   置に吸気孔を設け、前記フロントカバーの上下お
   よび左右両側部の空気流入孔から流入して遮熱板
   の背面に設けた吸気孔を経てフアンに吸入される
   強制対流空気流により前記燃焼室からの輻射熱を
   遮断すべくなしたことを特徴とするビルトイン形
   強制通風燃焼器。