JPH0240777Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は海、湖、河川に設置して魚類を養殖、
一時捕捉する生簀の改良に関する。

〔従来の技術〕

従来の生簀は底面及び外周を網で囲つた構造で
あつて、これを単に海、湖に沈設して使用してい
た。又、空気の注入具合によつて生簀を浮沈させ
るものとしては、エアチユーブを網製生簀底面の
対向辺に配設した構造の順次浮上式箱網装置が特
開昭59−162828号公報に、又養殖生簀体の底面に
フロートタンクを設けた浮沈・移動式養殖用生簀
が実開昭51−161396号公報に開示されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この従来の生簀では大型になつてくれば生簀内
の魚を穫つて回収するための網揚げ及びその後の
網おろしに労力と時間を要するという問題点があ
つた。従来の特開昭59−162828号公報記載の順次
浮上式箱網装置では、エアチユーブに空気を注入
すると注入側のエアチユーブから順次膨れて浮力
を発生していくもので、網製の生簀の底面は注入
側から順次上昇し、魚はそれに伴つて反対側の非
浮上部分の生簀部分に集められる。そのため魚が
一方端の狭い所に集められ、互いに接触するよう
になつて魚体損傷がきわめて多くなり、魚の商品
価値を落とすという問題点があつた。

又実開昭51−161396号公報に記載の浮沈・移動
式養殖用生簀は網で密閉され、海底面から海面ま
でフロートタンクの空気注入量によつて生簀全体
を浮沈させるものであるため、上面を開放した網
製生簀では水中に全体が沈すること及び形が崩れ
ることから採用できるものではなかつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案はかかる問題点を解決して網揚げ及び網
おろし作業が迅速且つ省力化でき、且つ魚体の損
傷も少ないという優れた生簀を提供せんとするも
のであり、その要旨は底面及び外周を網で囲い、
上面を開放した定置式生簀に於いて、底面所要個
所に充分な浮力を発生する膨縮自在なエアホース
を取り付け、同エアホースの空気導入口を生簀の
海面上縁部に設け、しかも生簀底面隅部を伸縮自
在なラバーロープで係留したことを特徴とする生
簀にある。ここでエアホースの底面での位置、配
列、形状、寸法は生簀の大きさ、用途、魚種によ
つて適宜決定する。

〔作用〕

この考案では魚類を養殖、捕捉する場合はエア
ホースを収縮させて、内部の空気を放出させ浮力
のない状態にして、エアホースの自重及び網、そ
の他付属部品の重さあるいは伸縮性の係留ロープ
の引張力によつて網底面を海底方向押し下げて広
い生簀空間を確保して生簀として使用する。

次に魚を穫るため網揚げをする時は生簀の海面
上縁部に設けた空気導入口から高圧空気を送気す
る。高圧空気がエアホースが注入されエアホース
が空気で膨張すれば大きな浮力が発生して生簀網
底面を海面方向に上昇させ、魚を海面近くまで追
い上げて海面上から魚を穫ることを容易にする。
網おろしする時は空気導入口を開放すればエアホ
ースの収縮力あるいは水圧によつてエアホース内
の空気は空気導入口より放出され、エアホースは
収縮した状態で沈下して生簀として使用できる様
になるものである。エアホースに空気を注入して
もエアホースは空気導入口から順次膨らんで浮力
を増大させるが、生簀底面隅部を伸縮自在なラバ
ーロープで係留されているので、空気が注入され
ても直ちにその膨張部分が上昇することを抑えら
れ、空気が全体に注入されて所定浮力状態になつ
てから底面全体がラバーロープの引張力に抗して
略均一に上昇する。従つて底面の一部のみが上昇
することがないので魚の活動できる底面積はあま
り変化せず、魚同志が接触することがなく単に浅
くなつていくのである。よつて魚の損傷が少なく
できるという利点がある。

〔実施例〕

図面に示す実施例は、はまち等の大型魚のため
の養殖用生簀の例で生簀本体１は大型で直方体形
状をしており、エアホース２，２′，２″は網底面
の対向する二辺周縁とその中間に配置され、各エ
アホース２，２′，２″は圧力ホース３，３′，
３″によつて生簀本体１の海面上縁部に設けた一
つに集約された空気導入口のバルブ４に接続され
ている。生簀本体１の周縁にはフロート５を多数
取付け、係留ロープ６によつて生簀形状を保持し
ながら生簀を定着させている。更に本実施例では
酸欠になりやすい生簀中央部から魚を排除し、外
周に分散させ、魚の酸欠死と魚同志の衝突を防
ぎ、しかも回遊しやすいという良好な環境を作り
出すために長円状の分離囲網７を設けている。図
中８は伸縮自在なラバーロープ、９はアンカーで
ある。

この実施例ではエアホース２，２′，２″の空気
を放出させた時は網、エアホース２，２′，２″自
体の重みとラバーロープ８の引張力で直方体形状
を保持している（第２図参照）。魚を穫るときは
船で生簀まで来て、船中のエアコンプレツサーに
よつて高圧空気をバルブ４から注入してエアホー
ス２，２′，２″を膨張させ同エアホースに浮力を
発生させ網底面を持ち上げて魚を追い上げる（第
３図参照）。網おろしはバルブ４を開放してエア
ホース２，２′，２″から空気を放出させればよ
い。

〔考案の効果〕

以上の様に本考案によれば網揚げ、網おろしを
海面上での簡単なエアの注入、放出操作によつて
できるので、一人で迅速にこれら作業が行えると
いう効果がある。又生簀の底面はラバーロープに
よつて均等に上昇するので、魚が一方に集められ
ることがなく魚の損傷が少なくできるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案生簀の実施例を示す斜視図、第
２図は同実施例の網揚げ状態を示す説明図、第３
図は生簀としての使用状態を示す説明図である。 １：生簀本体、２，２′，２″：エアホース、
３，３′，３″：圧力ホース、４：バルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底面及び外周を網で囲い、上面を開放した定置
   式生簀に於いて、底面所要個所に充分な浮力を発
   生する膨縮自在なエアホースを取り付け、同エア
   ホースの空気導入口を生簀の海面上縁部に設け、
   しかも生簀底面隅部を伸縮自在なラバーロープで
   係留したことを特徴とする生簀。