JPH0238240B2 - Tsuinsaikuronsentakusochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、洗濯装置に関するものであり、２
つの旋回流（即ちツインサイクロン）を生ぜしめ
て洗濯するツインサイクロン洗濯装置を提供する
ものである。

従来の洗濯装置は、次の２種類に分類される。
第１種の洗濯装置は、水を回転させ、回転させた
水でもつて洗濯物を洗うやり方のものである。第
２種の洗濯装置は、円筒形をしたドラムを横たえ
た外枠を有し、その内部に外枠と相似形の網状の
回転ドラムを設置する。そして、回転ドラム中に
ある洗濯物を回転ドラムを回転させることによつ
て上部へ移動させる。この時、洗濯物は自重で外
枠の下部にはられた水面に落下する。この際の衝
撃力を利用して洗濯物を洗濯するやり方のもので
ある。

第１種の洗濯装置は、主に家庭用として使用さ
れているものである。この洗濯装置によると、約
１Kgの洗濯物を洗濯するのに、50の水量、重量
にして50Kgという約50倍の水を必要とするという
欠点がある。さらに、洗剤を水に溶かす訳である
から、大量の洗剤を必要とし、洗剤液の処理に困
り現在は公害問題にまで発展している。効率の面
では、水を回転させることによつて洗濯物を洗う
のであるから、効率は極めて悪い。また、洗濯物
をねじることになるので、布地をいためやすいと
いう欠点もある。

第２種の洗濯装置は、主にクリーニング店で使
用されているものである。この洗濯装置は、大量
の洗濯物を処理できる点と、洗濯物を回転ドラム
の回転により上部に移動させ、洗濯物が自重で落
下した時に生じる衝撃力を利用している点で、第
１種のものより優れている。しかし、水を含んだ
洗濯物を上部に移動させるには、非常に大きな動
力が必要であるという欠点がある。実際、大型の
洗濯装置では大きな動力を得るのに三相交流を用
いている。また、洗剤の量、洗濯物のねじれ、洗
濯に要する時間等については、第１種のものと同
じ欠点を有する。

この発明の目的は、従来の洗濯装置がもつ以上
のような欠点を除去した洗濯装置を提供すること
にある。

この発明の別の目的は、２つの旋回流（即ちツ
インサイクロン）を生ぜしめて洗濯するツインサ
イクロン洗濯装置を提供することにある。

以下、この発明の実施例について図面を参照し
て説明する。

第１図ないし第３図に参照すると、この発明の
一実施例によるツインサイクロン洗濯装置は、洗
濯槽１と、洗濯槽１内に並べられた２つの円板２
及び３とを有する。２つの円板２及び３は、洗濯
槽１の底板１ａのやや上方に、互いの上面が実質
同一レベルをなすように、並べられている。そし
て、それぞれの円板２，３の中心下部に取り付け
られた回転中心軸４，５はそれぞれ洗濯槽１外に
導かれている。一方、洗濯槽１の内壁１ｂは、２
つの円板２，３の最も近接した部分（即ち、平板
６上の部分）を除いて、２つの円板２，３の外周
に沿つて形成されている。そして、回転中心軸
４，５をそれぞれ回転させることによつて、それ
ぞれの円板２，３上に乗つている、洗濯物を収容
した球状の穴あき容器７を、運動させ、かつ２つ
の円板２，３の最も近接した部分（即ち、平板６
上の部分）にて衝突させ、該衝突によつて得られ
る衝撃力を利用して、球状の穴あき容器７内の洗
濯物を洗濯するのである。なお、洗濯槽１の底板
１ａ上に設けられている平板６の上面は、円板２
及び３の上面と実質同一レベルをなしている。ま
た、洗濯槽１の上部には、洗濯物を収容した穴あ
き容器７や洗剤を洗濯槽１内に入れるためのオー
プンハツチ８が設けられている。

次にこの洗濯装置を作動させる過程を説明す
る。回転中心軸４及び５を動力によつて回転させ
ることにより、円板２及び３が同一方向（第２図
の矢印Ａの方向）に回転する。円板２及び３上に
ある容器７は、円板２及び３の回転とともに回転
を始める。円板２及び３の回転によつて容器７が
回転し始めれば、容器７には円板２及び３の中心
からの遠心力が働き、容器７は洗濯槽１の内壁１
ｂに沿つて運動する。洗濯槽１の内壁１ｂをなめ
らかにしておくことによつて、容器７と洗濯槽１
の内壁１ｂとの間の動摩擦係数を小さくする。こ
の動摩擦係数をさらに小さい値にしようとするな
ら、洗濯槽１の内壁１ｂに摩擦係数の小さな物質
をコーテイングする。

容器７と洗濯槽１の内壁１ｂとの間の動摩擦係
数が小さければ、円板２及び３の回転速度をω、
円板２及び３の半径をｒとすれば、容器７は速度
ｖ＝rωで内壁１ｂに沿つて運動し、内壁１ｂが
ない部分、つまり平板６上の部分で、もう一方の
円板上を運動していた容器７と衝突することにな
る。これらの２つの容器７はそれぞれ速度ｖで運
動しているのであるから、衝突する時にはそれぞ
れ2vの速度で衝突することになる。つまり、円
板２あるいは３の回転によつて得られる容器７の
速度はｖであるが、衝突によつて容器７が獲得す
る衝突時の速度はその２倍となる訳である。以上
が本実施例の洗濯装置を作動させ、どのような衝
撃力が得られるかの説明である。

実際に洗濯する場合、水や洗剤を用いた第１の
方式と、揮発性液体を用いたドライクリーニング
による第２の方式とがある。

第１の方式の場合、穴のあいた球状の容器７の
直径をｌとすれば、この容器７の直径ｌの1/3位
の程度に、洗剤を含んだ水（以下、洗剤液とい
う）を洗濯槽１内に入れれば、（即ち、円板２及
び３を回転させた時に容器７が洗剤液中にかくれ
る程度で、）充分であろう。この際、水はオープ
ンハツチ８から入れてもよいし、洗濯槽１の側壁
の上方位置に導入口を設けてここから水を入れる
ようにしてもよい。球状の容器７には多数の穴が
あいており、洗剤液はこの容器７の穴を介して洗
濯物に入る。また、この容器７は、円板２あるい
は３の回転や平板６上での衝突によつて、種々の
回転をするであろうから、洗剤液は洗濯物の中に
容易にしみ込むことになる。この容器７がゴム状
のもので出来ているとすれば、平板６上の衝突に
よつて球状からつぶされた形のものに変形し、こ
の際洗濯物のよごれを含んだ洗剤液は容器７の外
へ排出される。即ち、よごれを含んだ洗剤液は、
容器７の衝突による衝撃力で洗濯物の繊維から離
れ、容器７の変形により容器７の外部に放出され
る。

衝突でつぶされた容器７は、再び回転している
円板２あるいは３上に乗り、そこできれいな洗剤
液を、容器７の形の復元に伴つて吸収することに
なる。

このように容器７は、衝突によつて形が変形
し、衝突後再び元の形に復元するものが好ましい
が、網状のものであつても実用上さしつかえな
い。このことは、本発明の洗濯装置の原理があく
までも、洗濯物のパツクとパツクとが衝突する際
に生じる衝撃力を利用して洗濯するというたたき
洗い方式を採用した装置であるという点から、明
らかであろう。

このようにして洗濯物を洗つた後の濯ぎは、洗
剤液を洗濯槽１から排出口９を介して排出した後
に、排出口９を塞ぎ、新たに濯ぎ用の水を前述と
同様に入れ、前述の洗い過程と同様の過程を行
う。

このような濯ぎの後の脱水は、洗濯槽１から濯
ぎ用の水を排出し、円板２及び３の回転速度を上
げて容器７を互いに衝突させる。

また、この脱水の後の乾燥は、回転速度を下げ
て洗濯槽１内に温風を送入すればよいであろう。

揮発性液体を用いたドライクリーニングによる
第２の方式も、上述した第１の方式の場合とほぼ
同様に行うことができる。ただし、第１の方式に
おける濯ぎの過程は短縮され、また第１の方式に
おける乾燥の過程も省略されよう。

従来の洗濯装置は多量の水、洗剤、または揮発
性液体を用い、さらには不必要に大きな動力を要
し、かつ洗濯に要する時間が長いという欠点があ
つた。従つて、洗濯に要する経済的費用、人的労
働力は大変なものであつた。これは、従来の洗濯
方法、洗濯機械が極めて効率の悪いものであると
いうことを示している。この発明は、最も効率が
よいと考えられるたたき洗いの方式を連続的に行
わせるようにした洗濯装置であり、原理的に最も
効率の良い洗濯方式を採用しているが故に、従来
の洗濯装置には見られない多くの利点を備えてい
るわけである。

この発明の具体的利点を挙げれば、遠心力で
容器７も水も外側に集まるので、使用する水量が
少なくてすむ、従つて、洗剤の量が少なくてす
む、使用する揮発性液体も少なくてすむ、円
板の回転が重力に対して垂直な平面内で行われる
ので、角運動量保存則が使え、動力を大幅に減少
できる、ねじりによる布地のいためがない、
大量に洗濯物を処理できる、洗濯時間を短縮で
きる、同一装置で洗い、濯ぎ、脱水、乾燥を行
える、装置の構造が簡単なので製作コストが割
安となる、等である。

また、この発明の洗濯装置の応用としては、衝
撃に強いゴム製品等の洗浄、消毒等にも使われよ
う。さらに、将来の可能性としては、この装置と
風呂とを兼用する可能性もあろう。この装置は浴
槽１を備えているから、この装置を風呂にも使用
可能な強度にすれば風呂としても使える。もう一
つの将来の可能性としては、この装置を自動車の
シヤーシに搭載してクリーニング自動車を作るこ
とが可能である。動力としてはエンジンの回転を
用い、温水もこの自動車から取ることが可能だか
らである。

なお、本発明が上記実施例に設計変更したもの
をも含むことはもちろんである。具体例を挙げれ
ば、洗濯槽１の内壁１ｂの上下方向の形状を波
形や凹凸形にして摩擦面を減らす、円板２や３
の上面にきざみを入れたり、ゴム等をはつたりし
て、摩擦を大きくする、洗濯槽１の内壁１ｂの
下部に上方に延びた長さｌの回転自在円筒を内壁
１ｂに沿つて設け、容器７との摩擦を小さくす
る、回転中心軸４，５と洗濯槽１の底板１ａと
の間にベアリングを設ける、平板６上にベアリ
ングを設け平板６上に洗濯物がたまらないように
する、円板２及び３の上面中央部に等分配用の
人手形のパルセータを設け、容器７の一箇所への
集中を防ぐ、円板２，３及び平板６に排水のた
めの穴をあける、球状のから容器によつて両円
板上の容器の個数をそろえる、上記球状のから
容器に糸くず収集手段を設ける、円板２及び３
の一方を第２図の矢印Ａの方向に回転し、他方を
矢印Ａと逆の方向に回転し、衝突後の容器にスピ
ンをかける、洗濯槽１の底板１ａを排出口９に
向つて傾斜させ、排水をはやめる、等である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の一部切断斜視
図、第２図及び第３図は第１図の断面図である。 １……洗濯槽、１ａ……洗濯槽１の底板、１ｂ
……洗濯槽１の内壁、２及び３……円板、４及び
５……回転中心軸、６……平板、７……容器、８
……オープンハツチ、９……排出口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 洗濯用液体が入れられた洗濯槽と、該洗濯槽
   内に並べられた２つの円板とを有し、該２つの円
   板は、前記洗濯槽の底板のやや上方に、互いの上
   面が実質同一レベルをなすように、並べられてお
   り、それぞれの円板の中心下部に取り付けられた
   回転中心軸はそれぞれ前記洗濯槽外に導かれ、前
   記洗濯槽の内壁は、前記２つの円板の最も近接し
   た部分を除いて、該２つの円板の外周に沿つて形
   成されており、前記回転中心軸をそれぞれ回転さ
   せることによつて、それぞれの円板上に載つてい
   る、洗濯物を収容した穴あき容器を、運動させ、
   かつ前記２つの円板の最も近接した部分上にて衝
   突させ、該衝突によつて得られる衝撃力を利用し
   て、前記穴あき容器内の洗濯物を洗濯することを
   特徴とするツインサイクロン洗濯装置。