JPH0237999B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は沸騰水形原子炉の核燃料集合体に関す
る。

［発明の技術的背景］ 第１図は沸騰水形原子炉の核燃料集合体を示す
もので、この核燃料集合体は燃料棒１を格子状に
並べた燃料バンドル２と、これを囲むチヤンネル
ボツクス３とにより主体部分が構成されている。

燃料バンドル２は、上部タイプレート４および
下部タイプレート５によつて支持されており、ス
ペーサ６により燃料棒１の間隔が一定に保持され
ている。チヤンネルボツクス３の上部にはフアス
ナー７およびパツド８が配設され、上端にはハン
ドル９が形成されている。そして燃料バンドル２
を囲むチヤンネルボツクス３は、例えばジルカロ
イ製の長尺管からなり、下記の機能を有してい
る。

(1) 核燃料集合体ごとに隔離された冷却材流路を
形成することにより、核燃料集合体内を流れる
冷却材流量を確保する。

(2) 制御棒を核燃料集合体間に挿入および引き抜
く際の案内面を形成する。

(3) 核燃料集合体の剛性を確保し取扱いを容易に
する。

そしてこのチヤンネルボツクス３は、従来第２
図および第３図に示すように、左右対称とされる
断面コの字形状の部材１０ａ，１０ｂを突き合せ
溶接１１して構成されている。

第４図はこのような核燃料集合体１２を炉心内
に収容した状態を示すもので、断面十字形状の制
御棒１３を各コーナーには、タイロツド１４に連
結されるシース１５と一定間隔をおいてチヤンネ
ルボツクス３が配設されている。なおシース１５
内には中性子吸収棒が挿入されている。なお、符
号１６は上部格子を示している。

［背景技術の問題点］ しかしながら、以上のように構成された核燃料
集合体１２では、これを炉心内に挿入し、長期間
使用するとチヤンネルボツクス３に曲がりが生ず
ることが知られている。

従来、このチヤンネルボツクス３の曲がりは、
原子炉内の高速中性子束の分布に起因すると考え
られていたが、ごく最近の研究からチヤンネルボ
ツクス３の製作時の構成および原子炉内での使用
時における高速中性子照射に伴う照射成長の金属
学的差異に基づく差異の方がむしろ主要な原因で
あり、高速中性子束分布の影響は比較的少ないこ
とが明らかにされた。

すなわち、第５図および第６図は、チヤンネル
ボツクス３の曲がりを示すもので、このように左
右対称とされる断面コの字形状の部材１０ａ，１
０ｂを突き合せ溶接１１したチヤンネルボツクス
３では、突き合せ溶接部１１の存在しない辺が図
の矢印Ａ方向に、例えば第６図に２点鎖線で示す
ように変形する。これは図の左右にそれぞれ位置
する断面コの字形状の部材１０ａ，１０ｂの金属
学的な僅かな差異に基づいて高速中性子の炉内照
射により、部材１０ａ，１０ｂの伸び（照射成
長）に差異が生ずるためであり、高速中性子の照
射量、すなわち核燃料集合体の燃焼度にほぼ比例
して曲がりを生ずることになる。なお現段階で
は、高速中性子の照射によりチヤンネルボツクス
３が左右のどちら方向に曲がるかは解明されてい
ない。

第７図および第８図はこのようなチヤンネルボ
ツクス３を炉心内に挿入したときの状態を示すも
ので、図の下側に配設され上下方向に突き合せ溶
接部１１を有するチヤンネルボツクス３では、そ
れぞれが同一方向、逆方向および片方が追いかけ
片方が逃げるような方向に曲がることが予想でき
る。そして例えばチヤンネルボツクス３ａがそれ
ぞれ逆方向に変形した場合には、第８図に示すよ
うに、制御棒１３のシース１５はこの２つのチヤ
ンネルボツクス３ａにより挟まれるような形とな
り、制御棒１３が走行するのに必要な水ギヤツプ
の幅が狭くなり、制御棒１３の挿抜に支障をきた
すおそれがある。そして最悪の場合には原子炉の
安全停止に支障をきたすおそれがある。

［発明の目的］ 本発明はかかる従来の事情に対処してなされた
もので、チヤンネルボツクスの曲りを従来より大
幅に減少することができ、制御棒の走行する水ギ
ヤツプの幅を適正な値に保つことのできる核燃料
集合体を提供しようとするものである。

［発明の概要］ すなわち本発明は、横断面四角形状のチヤンネ
ルボツクス内に多数の燃料棒を収容してなる核燃
料集合体において、前記チヤンネルボツクスは横
断面積の大とされる主材と、この主材より横断面
積の小さい補助材とを突き合せ溶接して構成され
ていることを特徴とする核燃料集合体である。

［発明の実施例］ 以下本発明の詳細を図面に示す一実施例につい
て説明する。

第９図は本発明の一実施例の核燃料集合体を示
すもので、図において符号２０は核燃料集合体を
構成するチヤンネルボツクスを示しており、この
チヤンネルボツクス２０は横断面積の大とされる
主材２１と、この主材２１より横面積の小さい補
助材２２とを突き合せ溶接２３して構成されてい
る。

すなわちこの実施例ではコの字形状の主材２１
の両辺はほぼチヤンネルボツクス２０の一辺に相
当する長さを有しており、コの字形状の補助材２
２はその二辺をできる限り短く構成されている。
なお主材２１の角部にはフアスナ７が配設され、
側面にはパツド８が配設されている。

以上のように構成された核燃料集合体では、矢
符Ｂ方向への変形を従来に比較して大幅に低下す
ることができる。

すなわち、以上のように構成された核燃料集合
体のチヤンネルボツクス２０では、主材２１の部
分がチヤンネルボツクス２０の大部分をしめるこ
ととなるため、チヤンネルボツクス２０の高速中
性子照射に伴う照射成長は主材２１により決定さ
れることとなり、主材２１と補助材２２との照射
成長の差に基づくチヤンネルボツクス２０の曲が
りは極微小なものとなる。

すなわち、従来のチヤンネルボツクス３では、
左右対称のコの字形状の２つの部材１０ａ，１０
ｂを突き合せ溶接１１していたため、照射成長に
よる部材の伸びの差が直ちに曲がりとなつて現れ
ていたが、上述の実施例の核燃料集合体では、補
助材２２の力が弱いためチヤンネルボツクス２０
の曲がりは主材２１の照射成長による伸びにより
決定されることとなる。

第１０図は本発明の他の実施例を示すもので、
この実施例ではフアスナ７の配設される隅部に対
向する隅部が突き合せ溶接２４により接続されて
いる。

以上のように構成された核燃料集合体では、第
９図に示す実施例とほぼ同様な効果を得ることが
できる。なお、この場合にはチヤンネルボツクス
２５の曲がりは矢符Ｃで示すように、対角線方向
に発生するが極小さなものである。

第１１図は本発明のさらに他の実施例を示すも
ので、この実施例ではフアスナ７の配設される隅
部が主材２６に突き合せ溶接２７されている。こ
の実施例では第１０図に示す核燃料集合体と同様
の効果を得ることができる。

第１２図は本発明のさらに他の実施例を示すも
ので、この実施例ではチヤンネルボツクス２８の
一辺において補助材２９が主材３０に突き合せ溶
接３１されている。

以上のように構成された核燃料集合体では、図
の矢符Ｄ方向に微小な曲がりが生ずることとなる
が、第９図に示す核燃料集合体とほぼ同様の効果
を得ることができる。

第１３図は第９図に示した核燃料集合体を炉心
内に装着した状態を示すもので、これらの核燃料
集合体は、断面十字形状の制御棒１３の各隅部に
配置され、炉心を構成している。そして核燃料集
合体を構成するチヤンネルボツクス２０のそれぞ
れの突き合せ溶接部２３の方向は、制御棒１３の
シース１５を介して隣接する他の２体のチヤンネ
ルボツクス２０の突き合せ溶接部２３の方向と異
なる向きに配置されている。

すなわち、図の右上および左下に配設される核
燃料集合体では、そのチヤンネルボツクス２０の
突き合せ溶接部２３が上下方向に形成され、また
図の左上および右下に配設される核燃料集合体の
チヤンネルボツクス２０では、その突き合せ溶接
部２３が左右方向になるように配置されている。

以上のように構成された炉心では、それぞれの
核燃料集合体のチヤンネルボツクス２０は図の矢
符Ｂ方向に極小量変形することとなるが、第８図
に示したように、制御棒１３のシース１５を介し
て隣接するチヤンネルボツクス３ａがそれぞれシ
ース１５方向へ変形することはないため、制御棒
１３の走行する水ギヤツプの幅を十分確保するこ
とができる。

［発明の効果］ 以上述べたように本発明の核燃料集合体によれ
ば、チヤンネルボツクスの曲がりを、従来に比較
して大巾に減少することができ、この結果、制御
棒の走行する水ギヤツプの幅を常に十分確保する
ことができ、制御棒とチヤンネルボツクスとの接
触を完全に防止することができる。この結果制御
棒の挿抜を確実に行なうことができ、原子炉の安
全性を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の核燃料集合体の外観図、第２図
は従来のチヤンネルボツクスの外観図、第３図は
第２図の横断面図、第４図は制御棒および核燃料
集合体の収容された炉心を示す上面図、第５図お
よび第６図は従来のチヤンネルボツクスの曲がり
を示す説明図、第７図および第８図は炉心内に挿
入された従来の核燃料集合体の曲がりを示す説明
図、第９図は本発明の一実施例の核燃料集合体を
示す上面図、第１０図ないし第１２図はそれぞれ
本発明の他の実施例の核燃料集合体を示す上面
図、第１３図は第９図に示した核燃料集合体を炉
心内に装着した説明図である。 １３……制御棒、２０，２５，２８……チヤン
ネルボツクス、２３，２４，２７，３１……突き
合せ溶接部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 横断面四角形状のチヤンネルボツクス内に多
   数の燃料棒を収容してなる核燃料集合体におい
   て、前記チヤンネルボツクスは横断面積の大とさ
   れる主材と、この主材より横断面積の小さい補助
   材とを突き合せ溶接して構成されていることを特
   徴とする核燃料集合体。