JPH0237617Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「技術分野」 本考案は、自動車用ドアガラスのガイド装置に
関する。

「従来技術およびその問題点」 昇降操作可能な自動車用ドアガラスは一般に、
その前後端部がドアサツシユの上下ガイド溝内に
摺動可能に嵌まつている。この上下ガイド溝は従
来、ランチヤンネルを考慮して、ドアガラスの厚
さに見合う略コ字状の一定断面を有し、ドアガラ
スをその全長に渡り実質的に隙間なくガイドする
ように構成されている。

他方ドアパネルは、横方向の強度を向上させる
ために、そのアウタパネル内面に、インパクトバ
ー（インパクトビーム）を固定することが行なわ
れている。ところがこのようにドアパネル内面に
インパクトバーを固定すると、ドアガラスの移動
空間、つまりドアサツシユの配置位置がこのイン
パクトバーによつて制限される。また最近では走
行抵抗を低減する目的で、自動車外周面の凹凸を
極力無くす傾向にあり、その一環として、ドア構
造としては、ドアサツシユの外面とドアガラスの
外面を面一にする、いわゆるフラツシユドア化が
図られる傾向にある。この結果、ドアガラスは該
ドアガラスの曲率に合つた曲率で加工されたドア
サツシユのガイド部を単に上下に摺動させるのみ
でなく、ドアパネルの厚さ方向にも複雑に移動さ
せねばならないため、ガイド機構も複雑とならざ
るを得ない。

「考案の目的」 本考案は、このような従来のドアパネルへのイ
ンパクトバーの設置、あるいはドアのフラツシユ
化に対しても、ドアガラスを他の部材と干渉させ
ることなく、簡単な構造でガイドすることができ
るドアガラスのガイド装置を得ることを目的とす
る。

「考案の概要」 本考案のドアガラスのガイド装置は、ドアガラ
スの最も重要な機能は、自動車の車室内を外側と
確実に密封することと、必要に応じてその密封を
解くことであるとの知見に基づき、ドアガラスを
ドアサツシユの一定曲率で形成されたガイド部に
常時摺動させる必要はなく、上死点においてドア
ガラスが確実に自動車の車室内を密封すればよい
と判断し、ドアサツシユのガイド構造を見直し
て、これを上下方向の幅が広く、上下端部側にい
くに従い幅を狭くした不定断面とし、このドアサ
ツシユの上下方向の中央部を外方に突出させると
ともに、略コ字状断面の上下ガイド溝の外側内面
に、ドアガラスの前後の上下端部を摺接させるよ
うにしたことを特徴としている。この構成による
と、ドアガラスの上下を、上下ガイド溝の外側内
面の形状に従つて異なる移動軌跡で移動させるこ
とができ、よつてドアガラスの移動軌跡の設定に
自由度が得られる。上下ガイド溝の内側内面は、
中央部程幅が広くなつているため、ドアガラスの
上記移動を妨げることがない。

「考案の実施例」 以下図示実施例について本考案を説明する。自
動車用ドアＤのドアサツシユ１１は、第２図に示
すように、ドアパネル１２の前部に位置する前部
ガイド１３、後部に位置する後部ガイド１４、お
よびこの前部ガイド１３と後部ガイド１４の上部
間を接続する上縁ガイド１５を一体に有し、前部
ガイド１３と後部ガイド１４は、その下半分をド
アパネル１２の内部に位置させている。

ドアサツシユ１１の前部ガイド１３と後部ガイ
ド１４は、ドアガラスＧの前後端部を嵌入させる
断面略コ字状の上下ガイド溝１６，１７を有して
いる。この上下ガイド溝１６，１７は、第１図に
示すように、その長さ方向の中央部の幅Ｈが最も
広く、上下端部にいくに従い幅ｈを狭くした不定
断面を有している。別言すると、前部ガイド１
３、後部ガイド１４をその長さ方向の中央部の仮
想分断線ｓで上部ガイド１３Ｕ，１４Ｕと下部ガ
イド前部ガイド１３Ｌ，１４Ｌとに分けたとき、
上部ガイド１３Ｕ，１４Ｕは、その下端部の幅Ｈ
が最も広くて上方にいくに従いその幅ｈが狭くな
り、下部ガイド１３Ｌ，１４Ｌは、その上端部の
幅Ｈが最も広くて下方にいくに従いその幅ｈが狭
くなつている。ここで、上部ガイド１３Ｕ，１４
Ｕのガイド溝１６，１７の外側の曲率は、ドアガ
ラスＧの曲率と略同一に形成されている。しかし
下部ガイド１３Ｌ，１４Ｌのガイド溝１６，１７
の外側の曲率はドアガラスＧの曲率と同一にしな
ければならないことはなく、必要に応じて設定す
ることが可能である。また下部ガイド１３Ｌ，１
４Ｌは上部ガイド１３Ｕ，１４Ｕの外周面の延長
線よりドアパネル１２内側に位置しており、この
ため前部ガイド１３および後部ガイド１４の中央
部が外方へ突出した状態になつている。

ドアパネル１２は、アウタパネル１８とインナ
パネル１９からなつており、アウタパネル１８内
面にはインパクトバー２０が固定されている。前
部ガイド１３と後部ガイド１４の下部、すなわち
下部ガイド１３Ｌ，１４Ｌは、上部ガイド１３
Ｕ，１４Ｕを外周面の延長線よりドアパネル内側
に位置しているので、その上下ガイド溝１６，１
７にガイドされるドアパネルＧは、このインパク
トバー２０に干渉しない。なおドアガラスＧの下
部は、昇降機構（ウインドレギユレータ）に支持
され、この昇降機構によつて上下に移動させられ
るが、この昇降機構は、周知であり、本考案の要
旨に関係がないので、図示を省略している。また
ドアパネル１２のインナパネル１９には、ドアガ
ラスＧの内面に弾接する振れ止め（図示せず）が
支持されている。この振れ止めは、ドアガラスＧ
を外方に押し、その上下端部を常時上下ガイド溝
１６，１７の外側内面に弾接させる作用をする。

上記構成の本装置は、ドアガラスＧを昇降させ
ると、ドアガラスＧの上端は、仮想分断線ｓより
上部（上部ガイド１３Ｕ，１４Ｕ）の上下ガイド
溝１６，１７の外側内面に摺接し、同下端は、仮
想分断線ｓより下部（下部ガイド１３Ｌ，１４
Ｌ）の上下ガイド溝１６，１７の外側内面に摺接
しつつ昇降する。第３図は、ドアガラスＧの上端
の移動軌跡ukと下端の移動軌跡lkを示したもの
である。ドアガラスＧは、ドアガラスＧの上下位
置に応じ、傾斜角度を変えつつ上下ガイド溝１
６，１７内を移動するが、上下ガイド溝１６，１
７は、上下方向の中央部の幅が広くつているた
め、このドアガラスＧの移動が妨げられることは
ない。つまり、上下ガイド溝１６，７の中央部の
幅Ｈは、前部ガイド１３と後部ガイド１４の下部
を、インパクトバー２０との干渉を避けるため、
内方に屈曲させた状態において、上記ドアガラス
Ｇの動きを妨げることがないような幅に設定する
のである。また上下ガイド溝１６，１７の上下端
部の最小幅は、ドアガラスＧの全閉位置および全
開位置で、ドアガラスＧとの間にガタがないよう
に定める。

前部ガイド１３と後部ガイド１４は、上記説明
において、仮想分断線ｓによつて上下に分けて考
えたが、これを第４図に示すように、実際に上下
の二部材、上部ガイド１３Ｕ，１４Ｕと下部ガイ
ド１３Ｌ，１４Ｌに分断してもよい。また上記実
施例では、上下ガイド溝１６，１７の曲率を上下
方向の中央部で不連続としたが、要は、上下ガイ
ド溝１６，１７がその中央部において、外方に突
出した状態となつており、その結果、ドアガラス
Ｇの上下端部が上下ガイド溝１６，１７の外側内
面に摺接する形状であればよい。上部ガイド１３
Ｕ，１４Ｕと下部ガイド１３Ｌ，１４Ｌの上下ガ
イド溝１６，１７を連続した曲面から構成した
り、あるいは逆に直線状にしても、この関係を成
立させることができる。

ドアガラスＧには、その前後の上下端部に、第
４図、第５図に示すように、合成樹脂製のスライ
ドピース２３を固定し、上下ガイド溝１６，１７
との摺動抵抗を減ずることができる。

またドアサツシユ１１（前部ガイド１３、後部
ガイド１４、上縁ガイド１５）は、通常、第６図
に示すように、上下ガイド溝１６，１７だけでな
く、ウエザーストリツプ２４の取付部２５等を有
するが、本考案は、上下ガイド溝１６，１７以外
のドアサツシユ１１の形状を問わない。

「考案の効果」 以上のように本考案のドアガラスのガイド装置
によれば、ドアガラスをガイドするドアサツシユ
の上下ガイド溝の形状に簡単な変更を加えること
により、ドアガラスをドアサツシユの上下ガイド
溝の中で傾斜方向を異ならせながら昇降させるこ
とができる。このためドアサツシユの全体をドア
ガラスの曲率に沿わせる必要がなく、よつて、ド
アサツシユをドアパネル内のインパクトバー等障
害物と干渉しない位置に設置することができる。
このため、特にフラツシユドアのように、ドアガ
ラスをドアサツシユの外側に接近させるドアのド
アガラスのガイド装置として好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のドアガラスのガイド装置の実
施例を示す、第２図の矢視図、第２図は本考案
の実施例を示すドア全体の側面図、第３図はドア
ガラスの上下端部の移動軌跡を示す移動軌跡図、
第４図は本考案の他の実施例を示す要部の断面
図、第５図は同要部の斜視図、第６図、第７図は
それぞれ第２図の−線、−線に沿う断面
図である。 １１……ドアサツシユ、１２……ドアパネル、
１３…前部ガイド、１４……後部ガイド、１６，
１７……上下ガイド溝、２０……インパクトバ
ー、Ｈ，ｈ……幅、Ｇ……ドアガラス。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 自動車用ドアガラスの前後端面を、ドアサツ
   シユの略コ字状断面の上下ガイド溝内に摺動可
   能に嵌めたドアガラスのガイド装置において、
   上記ドアサツシユの上下ガイド溝を、上下方向
   の中央部の幅が広く、上下端部側にいくに従い
   幅を狭くした不定断面とし、このドアサツシユ
   の上下方向の中央部を外方に突出させ、略コ字
   状断面の上下ガイド溝の外側内面を、ドアガラ
   スの前後の上下端部の摺接面としたことを特徴
   とするドアガラスのガイド装置。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項において、ド
   アサツシユは、上下方向の中央部において上下
   に分断されているドアガラスのガイド装置。 (3) 実用新案登録請求の範囲第１項または第２項
   において、ドアガラスの前後の上下には、ドア
   サツシユの上下ガイド溝と摺接する合成樹脂製
   のスライドピースが固定されているドアガラス
   のガイド装置。