JPH0237393B2 - Emarujonabura - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、油中水滴型のエマルジヨン油に関す
るものである。

石油系燃料油に水を注入した油中水滴型のエマ
ルジヨン燃料が、燃焼に際し、カーボンエミツシ
ヨン等の媒じんの発生が少なく公害防止の観点か
ら理論的に優れたものであることは知られてい
る。これは、油中水滴型エマルジヨン燃料をバー
ナより燃焼室に入れて燃焼させれば、沸点差によ
り、油滴内の水滴粒子の沸騰が先行し、油滴が破
砕されて再微細化し、燃焼が促進され、完全燃焼
が実現されるからに他ならない。

それ故このようなエマルジヨン燃料が得られれ
ば、更にその使用により、燃焼室のクリーン化が
促進され、清掃回数の減少とか、熱伝導率の向上
とかの付随的効果が生じることは、いうまでもな
いこととして、他方低質油のエマルジヨン化を実
現し、燃料油の高質油から低質油への転換を図り
得るならば、上記のような利点に加えて、その経
済上の有利性もまた極めて大きいものとなること
が理解されるであろう。

しかるに今までのところ乳化剤を使用すること
なくしては、安定な油中水滴型のエマルジヨン燃
料は得られていない。乳化剤の使用は、前期効果
を半減させるものであつて、これを避けることが
極めて重要である。

しかして本発明は、前記理論上の効果を充分に
獲得したエマルジヨン燃料を、一切乳化剤を使用
することなく、安定した油中水滴型のエマルジヨ
ンとして提供することを目的としてなしたもので
ある。更に詳細には、油中に適正サイズの水滴を
均一かつ適正割合で分散させた高品質のエマルジ
ヨン燃料を提供することを目的とするものであ
る。

しかして本発明は、油中に、加水率２〜７％で
粒径２〜７ミクロンの水滴粒子を乳化剤等を添加
することなく、均一に分散してなるエマルジヨン
油である。

油としては、軽油及び重油のいずれでも利用す
ることができる。軽油はいうまでもなく、重油
中、第１種及び第２種重油に於ては、従来乳化剤
なくして水滴の添加が不可能であつたが、本発明
にあつては、軽油以下の全てに於て安定したエマ
ルジヨン油が得られる。その理由としては、加水
率、分散される水滴粒径及びその均一性とが関係
している。まず加水率が７％を越えると油との分
離が起こりやすくなるが、これを境としてこれ以
下では安定性が向上する。加水率は低ければ低い
程安定性が増すが、２％未満となると、既述の燃
焼の際の油滴破砕効果が失なわれるという別の理
由があり、これにより限定される。上限７％にも
この理由は関係しており、２％以上では上記油滴
破砕効果は得られるのであるが、７％を越える程
になると水滴粒子沸騰のために必要以上に熱が奪
われることになり、熱効率が低下するという問題
が生じてくる。

水滴粒径は、小さければ小さい程安定性は向上
する。したがつてこれ以下であれば安定性が得ら
れる上限が７ミクロンであり、下限の２ミクロン
は、これ以下になると、前記燃焼の際の油滴破砕
効果が充分に得られなくなるという点から限定さ
れるものである。更に水滴粒子が油中に均一に分
散していることは、エマルジヨンの安定性にとつ
て重要であることはいうまでもない。

したがつて本発明のエマルジヨン油は上記のよ
うな構成であるから、乳化剤等の添加なくして非
常に安定であるとともに、前記燃焼の際の油滴破
砕効果を最もよく実現し得かつ熱損失が少ないの
で、所期の目的をことごとく達成できる。

次に本発明のエマルジヨン油の製法を説明す
る。

これは、たとえば、油流体にノズルを通して水
を噴射させ、次いでこうして生成したエマルジヨ
ンを超音波の音場中を通過させることによるエマ
ルジヨンの製法である。このようにすれば、油中
に適正サイズの水滴が均一に分散された高品質の
エマルジヨンが容易に製造できる。ノズルによる
水の油中への噴射は、公知の装置を使用すること
によつても行ない得る。たとえば油流体をノズル
室内に圧入し、他方その油流体中に、ノズル室に
配置した適宜数のノズルにより水を噴射するごと
くである。ここで重要なことは、ノズルの差圧を
７バール前後とすることであり、本発明者は、
種々の実験の結果これを知り得た。またこの場
合、ノズルにより噴射圧入される水は、油に対し
て、当然ながら２〜７％の範囲にとどめなければ
ならない。このとき油質に応じて油温を一定に保
てば、粘度が一定に保たれ、ノズルの差圧を一定
としたとき、自動的に加水率が定まるものであ
る。

次いでこうして生成したエマルジヨンを、パイ
プラインを通じて超音波室に導入し、超音波の音
場中を通過させる。超音波の周波数及び超音波室
に於ける油の通過時間は、前段で形成されたエマ
ルジヨン中の水滴の径及びその分布状態を考慮し
て定められる。既述のように最終的なエマルジヨ
ンに於ける水滴の径は、２〜７ミクロンでなけれ
ばならない。

このようにして本発明の油中水滴型エマルジヨ
ン燃料を生成させることができる。また別の方法
としては、上記のような第一段の油中への水のノ
ズルによる噴射と、こうして生成したエマルジヨ
ンを第二段のノズルにより別の容器中に噴射させ
るエマルジヨンの製法も有力である。

第３種重油につき本発明を適用した加水率５〜
６％の油中水滴型エマルジヨンは、常温常圧で保
管し生成後２年間経過しているが未だ安定状態を
保持している。

第１種及び第２種重油について本発明を適用し
た加水率5.5％のエマルジヨンは、常温常圧下で
保管し生成後１年間を経過しているが未だ完全な
安定状態を保持している。

したがつて本発明によれば、初めに述べたエマ
ルジヨンの有利性を充分に満足し得るとともに、
その安定性が完全というに等しいまでに高められ
たため、分離によつて生じるかも知れない事故の
恐れが消滅し、所期の目的が充分に達成できるも
のである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 油中に加水率２〜７％で粒径２〜７ミクロン
   の水滴粒子を乳化剤等を添加することなく均一に
   分散してなる水と油のエマルジヨン油。