JPH0232850B2 - Kairoshadankinohikihazushisochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は回路遮断器の引外し装置に関し、特
に、電子式の不足電圧継電器と電子式の過電流継
電器の両方を組合わせて使用するような引外し装
置に関する。

従来の技術 従来、回路遮断器の引外し装置としては、不足
電圧引外し装置、電圧引外し装置および磁束切換
磁気引外し装置などがあり、これらを組合わせて
使用していた。たとえば、回路遮断器に不足電圧
引外し装置と磁束切換磁気引外し装置の両方を備
え、回路遮断器の挿入された主回路の電圧が所定
の値よりも低くなつた場合には、不足電圧引外し
装置により回路遮断器を引外し、主回路の電流が
所定の値を越えた場合には、過電流継電器の引外
し信号により、磁束切換磁気引外し装置により回
路遮断器を引外すように組合わせて使用してい
た。しかしながら、回路遮断器に、上述のような
２つの引外し装置を装備することは不経済であ
り、特に電子式の不足電圧継電器により機能する
不足電圧引外し装置の場合は、過電流継電器の引
外し信号を利用することで、容易に引外し動作を
させることが可能となる。そこで、不足電圧引外
し装置に両方の機能を持たせて、回路遮断器を引
外す手段が用いられている。

発明が解決しようとする問題点 ところで、上述のように不足電圧引外し装置を
過電流継電器の引外し信号により、引外し動作さ
せるには、通常、不足電圧引外し装置の励磁コイ
ルに流れている電流を遮断する手段により、吸引
状態にある引外し装置の可動鉄片を釈放し、この
動作に連動して回路遮断器を引外している。しか
し、電磁装置に設けられている励磁コイルの電流
を切るときに発生する逆起電力により、可動鉄片
の磁束は急速には減少せず、引外し動作が通常の
磁束切換磁気引外し装置を使用する場合より遅れ
るという欠点があつた。

それゆえに、この発明の主たる目的は、電子式
の不足電圧継電器により制御させる不足電圧引外
し装置を過電流継電器の引外し信号により動作さ
せる場合に、これを瞬時に動作させることのでき
るような回路遮断器の引外し装置を提供すること
である。

問題点を解決するための手段 一方、従来より使用されている回路遮断器の電
子式過電流引外し装置は、通常、電子式過電流継
電器と磁束切換磁気引外し装置が組合わされて使
用されている。この磁束切換磁気引外し装置は、
一般に固定継鉄に対して、接極あるいは開離する
可動接極子を含む。そして、可動接極子の接極状
態で、これを吸引保持する磁気回路を形成する永
久磁石と、電子式過電流継電器からの引外し信号
により励磁され、永久磁石の磁束を相殺する方向
へ磁束を発生する励磁コイルとから構成されてい
る。この発明の引外し装置は、上述の磁束切換磁
気引外し装置の励磁コイルの機能を不足電圧引外
し装置に持たせたものである。

すなわち、この発明に係る電磁石引外し装置は
可動鉄心と、ヨークを含む固定部材と、永久磁石
と、永久磁石の磁束と同方向の磁束を発生する第
１のコイルおよび減磁する方向に電流を流す第２
のコイルを含む励磁コイルとによつて構成し、電
子式不足電圧継電器は回路遮断器の挿入された主
回路の電圧に相当する電圧と予め定める基準電圧
とを比較する比較手段と、比較手段の判別結果に
応じて第１のコイルに吸引信号を与えるかあるい
は与えている吸引信号を遮断するスイツチング手
段とによつて構成し、電子式過電流継電器は主回
路の電流が予め定める電流−時間特性の値に到達
したときに電子式不足電圧継電器に引外し指令を
出力する引外し指令手段と、引外し指令と同時に
第２のコイルに瞬時に電流を流す手段とから構成
される。

作 用 この発明では、比較手段が、主回路の電圧が基
準電圧よりも高いことを判別したことに応じて第
１のコイルに吸引信号を与え、基準電圧よりも低
ければ第１のコイルに与えている吸引信号を遮断
し、主回路の電流が予め定める電流−時間特性の
値に到達したときに電子式不足電圧継電器に対し
て引外し指令を与えるとともに、第２のコイルに
瞬時に電流を流すことによつて、電磁石引外し装
置を引外すようにしたものである。

実施例 第２図はこの発明の一実施例に用いられる電磁
石引外し装置を示す縦断面図であり、特に、第２
図ａは吸引保持している状態を示し、第２図ｂは
開離状態を示す図である。

まず、第２図を参照して、電磁石引外し装置の
構成について説明する。ヨークを構成する固定部
材１は磁性材料からなり、この固定部材１内には
可動鉄心４をガイドする可動鉄心ガイド筒２が設
けられる。この可動鉄心ガイド筒２には励磁コイ
ル３が巻回される。この励磁コイル３は可動鉄心
４を固定部材１に吸引保持させる第１のコイル３
１と、過電流引外し信号により可動鉄心４を固定
部材１から引外しさせるための第２のコイル３２
とからなり、それぞれの接続点として中間点Ｐが
設けられている。固定部材１内には、棒状の可動
鉄心４を挾むように、所定の位置に永久磁石５，
５′と、可動鉄心４を回路遮断器の引外し動作す
る位置まで移動させるための弾性体６が設けられ
る。可動鉄心ガイド８は可動鉄心４をガイドする
とともに永久磁石５，５′の位置決めも兼ねてい
る。可動鉄心４の先端部には、円筒形状の作動キ
ヤツプ９が設けられ、これに関連して引外しレバ
ー１０が取付けられている。

第２図ａにおいて、可動鉄心４を吸引保持する
場合には、可動鉄心４を手動により押込むと、永
久磁石５，５′から空隙ｇ、可動鉄心４および固
定部材１を通つて永久磁石５，５′に戻る磁気回
路の磁束と、励磁コイル３１により永久磁石５，
５′の磁束と同方向に作用する磁束による吸引力
が弾性体６による開離力に打ち勝つことにより、
可動鉄心４が固定部材１内に保持される。

励磁コイル３の第１のコイル３１の励磁電流が
遮断されてこれによる磁束が消滅すると、永久磁
石５，５′による磁束だけでは可動鉄心４が弾性
体６により開離する力に打ち勝つことができなく
なり、第２図ｂに示すように開離状態になる。

第１図はこの発明の一実施例の電気回路図であ
る。次に、第１図を参照して、この発明の一実施
例の電気的構成について説明する。電圧入力回路
１１は主回路に接続された変圧器を含んで構成さ
れる。すなわち、変圧器の１次巻線は主回路に接
続され、２次巻線からは主回路の電圧を降圧した
電圧が出力される。変圧器の２次巻線の電圧は入
力設定回路１２に与えられる。この入力設定回路
１２は２次巻線に生じた電圧を全波整流して直流
電圧とし、たとえば100Vまたは110Vのように主
回路の電路電圧が異なる場合に、整流した直流電
圧を一定値とし、その一定値の直流電圧を平均化
して、平均化した直流電圧を比較回路１３に与え
る。

比較回路１３は平均化された直流電圧と予め定
める基準電圧とを比較するものである。この基準
電圧は規定値以下に相当する電圧に選ばれる。そ
して、比較回路１３は基準電圧と平均化された直
流電圧とを比較し、直流電圧が基準電圧よりも大
きければ吸引指令信号をトランジスタ１５のベー
スに与える。しかし、直流電圧が基準電圧よりも
低くなれば、引外し信号を限時回路１４に与え
る。限時回路１４は引外し指令信号を一定時間遅
延するものであつて、その遅延時間経過後に引外
し信号をトランジスタ１５のベースに与える。ト
ランジスタ１５のコレクタは励磁コイル３に含ま
れる第１のコイルの一端に接続され、第１のコイ
ル３１の他端は電圧入力回路１１に接続される。

トランジスタ１５のベースにはフオトカプラ１
６を構成するフオトトランジスタ１８が接続され
る。フオトカプラ１６を構成する発光ダイオード
１７のカソードは出力端子T_Nに接続され、その
アノードは抵抗１９を介して出力端子T_Pに接続
される。励磁コイル３に含まれる第２のコイル３
２はその一端が出力端子T_Nに接続され、他端は
第１のコイル３１の他端に接続される。出力端子
T_Pはダイオード２４を介して電圧入力回路１１
に接続されるとともに、制御電源回路２１に接続
される。

制御電源回路２１は電流−時間特性継電回路２
０に制御電圧を与える。電流−時間特性継電回路
２０は主回路に流れる電流が予め定める電流−時
間特性の値に到達したときに、引外し信号を引外
し指令回路２２に与える。引外し指令回路２２は
引外し信号に応じて引外し指令信号をサイリスタ
２３のゲートに与える。サイリスタ２３のアノー
ドは出力端子T_Nに接続され、そのカソードは制
御電源回路２１に接続される。これらの電流−時
間特性継電回路２０と制御電源回路２１と引外し
指令回路２２とサイリスタ２３とによつて電子式
過電流継電器が構成される。

次に、第１図および第２図を参照して、この発
明の一実施例の動作について説明する。主回路の
電圧が規定値以上であれば、比較回路１３は平均
化された直流電圧が基準電圧よりも大きいものと
判別し、ハイレベルの吸引信号をトランジスタ１
５のベースに与える。応じて、トランジスタ１５
が導通し、不足電圧引外し装置の励磁コイル３に
含まれる第１のコイルに電流Ifが流れる。第１の
コイル３１に電流が流れると、永久磁石５，５′
の磁束を増加する方向に磁束が発生する。そし
て、作動キヤツプ９を手動的に押圧して、可動鉄
心４を押込むと、可動鉄心４は弾性体６による開
離力に打ち勝つて固定部材１に吸引保持される。

この状態において、主回路の電圧が規定値以下
に達すると、比較回路１３は平均化された直流電
圧が基準電圧よりも小さくなつたものと判別し、
ローレベルの引外し信号を限時回路１４に与え
る。限時回路１４はその引外し信号を一定時間遅
延してトランジスタ１５のベースに与える。トラ
ンジスタ１５は引外し信号が与えられると、非導
通になり、第１のコイル３１に流れていた電流が
遮断される。すると、可動鉄心４は第１のコイル
３１による磁束がなくなつたために、弾性体６の
開離力により引外される。そして、第２図ｂに示
すように作動キヤツプ９は引外しレバー１０と連
動して、回路遮断器の開閉機構の釈放装置を釈放
し、回路遮断器を開路させる。

一方、前述の比較回路１３が、主回路の電圧が
規定値以上であることを判別してトランジスタ１
５に吸引信号を与えて、トランジスタ１５を介し
て第１のコイル３１に電流Ifが流れ、可動鉄心４
が固定部材１に吸引保持されている状態におい
て、主回路に過電流が発生したものとする。する
と、電流−時間特性継電回路２０は予め定める電
流−時間特性の値に到達したときに引外し信号を
引外し指令回路２２に与える。引外し指令回路２
２はその引外し信号に応じてサイリスタ２３のゲ
ートに引外し指令信号を与える。応じて、サイリ
スタ２３が導通し、励磁コイル３に含まれる第２
のコイル３２に電流を流す。それによつて、第２
のコイル３２から、第１のコイル３１に流れる電
流によつて生じた磁束を減少させる方向に磁束が
発生される。

さらに、制御電源回路２１から抵抗１９を介し
て発光ダイオード１７に電流Itが流れる。発光ダ
イオード１７に電流が流れると、フオトトランジ
スタ１８が導通し、トランジスタ１５のベースを
ローレベルにする。その結果、トランジスタ１５
が非導通となり、第１のコイル３１に電流が流れ
なくなる。その結果、可動鉄心４は第１のコイル
３１に電流が流れなくなり、第２のコイル３２に
電流が流れて永久磁石５，５′の磁束と逆方向の
磁束が発生するため、瞬時に引外される。その結
果、可動鉄心４に取付けられている作動キヤツプ
９が引外しレバー１０と連動して、回路遮断器の
開閉機構の釈放装置を瞬時に釈放し、回路遮断器
を開路させる。

発明の効果 以上のように、この発明によれば、可動鉄心を
固定部材に吸引保持する永久磁石と励磁コイルに
含まれる第１のコイルの磁束による吸引力が可動
鉄心を開離する弾性体の力に打ち勝つている状態
において、第１のコイルの電流を遮断することに
より、磁束を減少させて可動鉄心を開離させると
ともに、第２のコイルにより第１のコイルの磁束
とは逆方向に磁束を発生させるようにしたので、
開離力を高めることができ、瞬時に可動鉄心を開
離させることができる。それによつて、可動鉄心
に連動する回路遮断器も速やかに引き外すことが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の電気回路図であ
る。第２図はこの発明の一実施例に用いられる電
磁石引外し装置を示す縦断面図であり、特に第２
図ａは吸引保持している状態を示し、第２図ｂは
開離状態を示す。 図において、１は固定部材、２は可動鉄心ガイ
ド筒、３は励磁コイル、４は可動鉄心、５，５′
は永久磁石、６は弾性体、９は作動キヤツプ、１
０は引き外しレバー、１１は電圧入力回路、１２
は入力設定回路、１３は比較回路、１４は限時回
路、１５はトランジスタ、１６はフオトカプラ、
１９は抵抗、２０は電流−時間特性継電回路、２
１は制御電源回路、２２は引外し指令回路、２３
はサイリスタ、３１は第１のコイル、３２は第２
のコイルを示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電磁石引外し装置と、電子式不足電圧継電器
   と、電子式過電流継電器とによつて構成された回
   路遮断器の引外し装置であつて、 前記電磁石引外し装置は、 可動鉄心と、 前記可動鉄心が接触するヨークを含む固定部材
   と、 前記可動鉄心を前記固定部材に吸引保持するた
   めの永久磁石と、 前記永久磁石の磁束を増加する方向に電流を流
   す第１のコイルおよび減磁する方向に電流を流す
   第２のコイルに分割する中間リード端子の設けら
   れた励磁コイルと、 前記可動鉄心を前記固定部材から開離する弾性
   部材とを含み、 前記電子式不足電圧継電器は、 回路遮断器の挿入された主回路の電圧に相当す
   る電圧と予め定める電圧に相当する基準電圧とを
   比較する比較手段と、 前記比較手段が、前記主回路の電圧に相当する
   電圧が前記基準電圧よりも高いことを判別したこ
   とに応じて、前記第１のコイルに吸引信号を与
   え、前記主回路の電圧に相当する電圧が前記基準
   電圧よりも低いことを判別したことに応じて、前
   記第１のコイルに与えている吸引信号を遮断する
   スイツチング手段とを含み、 前記電子式過電流継電器は、 前記主回路の電流が予め定める電流−時間特性
   の値に到達したときに、前記電子式不足電圧継電
   器に引外し指令を出力する引外し指令手段と、 前記引外し指令手段からの引外し指令に応じ
   て、前記第２のコイルに瞬時に電流を流す手段と
   を含む、回路遮断器の引外し装置。 ２ 前記スイツチング手段は、前記電子式過電流
   継電器からの引外し指令に応じて、前記第１のコ
   イルに与えている吸引信号を遮断するようにし
   た、特許請求の範囲第１項記載の回路遮断器の引
   外し装置。