JPH0227093B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、放電によつて金属を加工する放電
加工装置に関する。

従来、放電加工装置には第１図に図例するもの
がある。すなわち、内部に加工液２を貯留してい
る加工槽１内にて電極３を主軸４に加工送り自在
に装着しておき、同様に該加工槽内に配置してあ
る工作物５に放電加工を施工するものであり、前
記加工槽および工作物をテーブル６に装着してＹ
方向に移動自在にし、また該テーブルをサドル７
に支承しておいてＸ方向にも移動自在にし、さら
に前記主軸は、ベツド１０に固設したコルム９に
支持されたヘツド８に保持させてその送り動作を
案内させている。なお、前記サドル７もまたベツ
ド１０上に配置してある。

したがつて、この従来放電加工装置において
は、加工液２内に配設してある電極３および工作
物５間に図示しない電源から放電エネルギを供給
することによつて前記工作物に放電加工を施工す
るが、その際の放電エネルギのために加工液２の
液温が上昇し、その液温によつて加工槽１および
テーブル６が直接に熱せられることになり、その
結果前記加工液、加工槽およびテーブルの温度が
放電加工装置本体周辺の気温よりも高くなる。そ
の温度上昇は加工開始時から供給加工エネルギ量
とともに徐々に増大して放電加工装置本体の最大
の加熱源となつている。このようにして温度が上
昇した加工液２の上面、加工槽１およびテーブル
６の表面から放熱１１が起るが、その幅射熱によ
つて熱源に面しているコラム内側面９ａおよびサ
ドル上面７ａが加熱されてその表面温度が上昇す
ることになり、このように放電加工に応じて熱源
に面した装置構造本体の表面が他の部位表面に比
較してその温度が上昇すると、第１図に二点鎖線
で示したように、コラム内側面９ａに熱歪が生じ
て電極３の位置が加工初期の位置よりε量だけ位
置ずれを起こすので、工作物５の加工精度が劣化
することになる。また、サドル上面７ａも同様に
テーブル６からの幅射熱による温度上昇のためそ
の上下面に温度差が生じて山形状に変形すること
になり、そのためこの変形したサドル７上でテー
ブル６を送ると工作物５に大きな送り誤差が発生
するなどの欠点があつた。

前述した欠点を除去するためには、加工液２の
温度上昇を抑制する必要があるが、一般に行なわ
れている方法には、図示していない加工液を循環
させる加工液供給装置に液冷却装置を付設するも
のがある。しかし、装置周辺の外気温が変化した
場合には、機械構造物の各部分の熱容量の相違か
ら、例えば厚い肉厚部分と薄い部分等において熱
的時定数に差異が生じて構造物内において温度勾
配が起るために熱歪が発生する。また、外気温が
変化しない場合でも、機械構造物への部分的日光
直射等による幅射熱、あるいは該構造物に付設し
たモータ等の局部的な発熱等のために、部分的温
度上昇が起つて構造物に熱歪が生じることにな
り、そのために電極および工作物間の相対的位置
ずれが時間経過とともに起る欠点がある。

この発明は、このような現状からなされたもの
であつて、装置構造物の各部分に貯留した冷却液
を循環させて装置各部分の温度差の発生を抑制す
ることにより従来装置の欠点を排除した放電加工
装置を提供することを目的としている。

つぎに、この発明の実施例を図面によつて説明
すれば、第２図において、電極３、工作物５およ
び加工液２を内蔵している加工槽１を支持したテ
ーブル６、該テーブルを支承しているサドル７、
前記電極を主軸４とともに保持したヘツド８、該
ヘツドを支持するコラム９、ならびに該コラムと
サドル７を配置したベツド１０の主要装置構造物
の夫々を各々密閉容器に構成するとともに、前記
テーブルとサドルとをフレキシブルホース１４に
より、前記サドルとベツドとをフレキシブルホー
ス１５によつて夫々内部連通させる。また前記ヘ
ツドとテーブルとを循環ポンプ１７を介してフレ
キシブルホース１６によつて内部連通し、さらに
前記テーブル等主要装置構造物内には熱容量の大
きい水等の冷却液１３を前記循環ポンプによつて
矢印２０方向に循環可能に充填するとともに、前
記ベツド内に冷却液１３の循環流動を良好にし、
かつ液温の拡散のための撹拌フアン１８を配設し
て外部のモータ１９によつて回転自在にさせてな
るものである。

したがつて、この発明によれば、熱容量の大き
い水等の冷却液１３が循環ポンプ１７および撹拌
フアン１８によつて矢印２０の方向に循環してい
るので、各主要装置構造物の内部の液温を均一に
保持することができ、そのために加工槽１からの
幅射熱１１、外部からの輻射熱１２、加工液２か
ら直接にテーブル６に伝達される熱および装置構
造物周囲の外気温の変化等による構造物の受入熱
量の変化に対して、熱容量の大きい冷却液１３に
接しているので、主要構造物の温度変化を小さく
できるとともに、各構造物間内の冷却液１３は連
通して循環しているから、前記構造物への受入熱
量は短時間のうちに分散して該各構造物間での温
度勾配が生じることがなく、その熱変形が小さく
てしかも各構造物全体が均一温度で変化するため
に熱変形は相似的であるから、従来装置のような
部分的な熱歪による電極３および工作物５間に相
対的位置ずれが起ることがない。このように、装
置主要構造物の熱容量を大幅に増大するととも
に、温度の均一化を達成できるから、外気温度変
化、構造物熱変化等に対して装置全体の温度変化
率が小さくなるので、精度の高い放電加工を容易
に実現でき、従来熱歪削減対策のために行なわれ
ている発熱源の部分的強制冷却および恒温室内装
置設置のように、前者強制冷却の場合には冷却温
度制御機構付設を必要とし、後者の恒温室内設置
の室内全体の温度制御の場合にはその設備および
稼働費が多大であつて、出費面から比較してもこ
の発明の利用価値は極めて高い。

なお、外気温変化および部分的熱受入量が非常
に大きく、しかも主要装置構造物の各膨脹係数の
差異から全体的な温度上昇によつて熱歪が発生す
る場合には、第３図に図示するように、冷却液１
３の循環経路内に液温制御装置２１を組込むこと
によつて装置構造物の温度を定温に制御すれば、
さらに高精度の放電加工を実現できることは詳述
するまでもない。

上述したように、この発明は、テーブル等主要
装置構造物を夫々密閉構造に構成して内部を相互
に連通させるとともに、内部に冷却液を強制循環
させることによつて、熱容量の各々異なる個々の
構造物を一個の熱容量の大きい構造物に変換させ
て熱的時定数を増大させるとともに、各構造物間
での熱伝導性を増大させられるから、各構造物間
での温度勾配を無くして均一な温度に保持でき、
熱変形および熱歪を少なくし、したがつて高精度
の放電加工を実現できるので、その産業上の利用
価値は極めて高い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、放電加工装置の従来例を示す熱歪に
よる変形状態を重ね画きしてあらわした側面図、
第２図は、この発明の実施例を示す要部を縦切断
してあらわした側面図、第３図は、この発明の他
の実施例を示す要部を縦切断してあらわした側面
図である。 １……加工槽、２……加工液、３……電極、４
……主軸、５……工作物、６……テーブル、７…
…サドル、８……ヘツド、９…コラム、１０……
ベツド、１３……冷却液、１７……循環ポンプ、
１８……撹拌フアン、２１……液温制御装置。な
お、図中同符号は、同一または相当部分を示すも
のとする。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 装置構造体の各部分を連結する循環経路とこ
   の循環経路の途中に設けられた循環ポンプとを有
   し、前記循環ポンプにより前記循環経路に冷却液
   を循環させて前記装置構造体の各部分における温
   度差を低減させる放電加工装置において、 前記装置構造体の各部分の内部に形成された前
   記冷却液の貯留空間と、それぞれの前記貯留空間
   を連通させて前記循環経路を形成する連通手段と
   を有することを特徴とする放電加工装置。 ２ 前記貯留空間内の冷却液を撹拌フアンで撹拌
   させる特許請求の範囲第１項記載の放電加工装
   置。 ３ 前記循環経路の冷却液を、冷却制御装置を経
   由させる特許請求の範囲第１項記載の放電加工装
   置。