JPH0226989B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は定常投与装置に関し、詳しくは、医療
分野例えば患者の血管に液を注入する点滴装置に
おける定常投与装置に関する。

［発明の背景］ 点滴装置においては、実際上の要求として患者
へは一定の、すなわち定常の液量または点滴量を
給することが必要である。これにより患者は一定
状態下の薬物治療が受けられるのである。もし薬
物治療の速度が一定でなく、また、もし短かい半
減期の薬物が使用されるならば、患者は過剰治療
と不足治療とが交互に繰返される状態下に置かれ
ることは極く普通であり、その結果として過剰治
療による副影響および好ましからざる反応を受け
ることになるのもしばしばである。

点滴装置の一つの形式は高い位置に保持された
ピストンまたは袋の使用であり、該点滴装置にお
いては患者の血管におけるカニユール（患者にさ
しこむ注入管）へのホースに取り付けた調節可能
なクランプにより薬物の流量を調節する。かかる
点滴装置における流量は液のプレツシヤーヘツド
の変化によつて変り、流量は容器、袋またはビン
における液面レベルの低下に応じて減少する。

複雑な装置を手に入れることはできるが、これ
らの装置は電動装置を含み、しかもすべての電気
部品について、患者の心臓に有害と思われるマイ
クロアンペア単位の小電流の漏洩をも防止するよ
うに厳重な絶縁条件が満たされなければならな
い。

他の装置の例も知られており、例えば米国特許
3895741および4033479ならびに西独特許2731448
に開示されているが、これらの特許においては、
投与されるべき液体は柔軟な袋中に入れられ、ま
た、ピストンまたはダイヤフラム状の加圧手段が
液体を加圧して該液体を患者に投与、注入するよ
うになつている。

しかしながら、薬剤や他の液体を患者に注入す
る間は、注入速度は注意深くモニタしなければな
らないことのみならず、総注入量も注意深くコン
トロールすることが不可欠である。また、いかな
る場合も空気が注入されないようにすることも必
須である。

［発明の要約］ 本発明の目的は、投与装置すなわち患者に非経
口的に液体を投与するための点滴装置などの投与
装置であつてしかも投与速度のみならず投与量に
ついても慎重にコントロールできる投与装置を提
供することである。

他の目的は、特定速度で特定量を投与できるよ
うにあらかじめセツトできるような投与装置を提
供することである。

さらに他の目的は、携行可能でかつ投与が終了
したときに警報を発する投与装置を提供すること
である。

それ故に本発明によれば、出口手段を有する袋
であつて投与されるべき液体を入れた柔軟な袋を
支持するように作られたコンテナと、頭部および
これより直径が小さい長く伸びた本体を有する硬
質ピストンであつて、前記袋に圧力を加えてそこ
から前記液体を押し出す、加圧手段と、前記コン
テナに連結され、前記ピストンの一側面に密封さ
れた加圧部分を形成して、前記ピストンの他の側
面に前記柔軟な袋を位置させたまま前記ピストン
の長く伸びた本体を押し進める可撓性ダイヤフラ
ムと、流体圧力が前記密封加圧領域に伝わるよう
にする調節可能な圧力調整手段とを具備すること
を特徴とする非経口的液体の投与装置が提供され
る。

［好ましい実施態様］ 先ず第１図を参照して、定常的に薬液を投与す
るための投与装置１は、その一端に加圧ガス源用
の入口２を、また他端にはチユーブ４によりバブ
ルトラツプ５へ接続された出口３を備えている。
もう一つのチユーブ４は、それを注入針７に接続
する前にバブルトラツプ５を固定式の流量制限器
６に接続させている。

入口２は調節可能な減圧バルブ８に接続され、
減圧バルブ８は圧力調整手段として作用し、所望
に応じて調節することもまた前以つてセツトする
こともできるし、また圧力の選定は注入すべき液
体の粘度ならびに流量制限器６の大きさおよび長
さにより決定される。流量制限器６はその最も簡
単な形としてはある一定の大きさおよび長さを有
するチユーブでもよく、そのチユーブを通過する
流量は減圧バルブ８を経由して送られる加圧ガス
の圧力、投与される液体の粘度、および流量制限
器６によつて決まるようにする。

したがつて、種々の液体に対する望ましい流量
は前以つて計算することができ、次いで作業員は
その計算結果から望ましい加圧ガスの圧力および
正しい流量制限器６を選定することができる。

投与装置１は、第１図に示されるように、その
底部から投与（供給）することもできるし、ある
いは第２図に示すようにその頂部から投与するこ
ともできるが、第２図の投与装置を使用すること
により、該投与装置における液体のヘツド（水
頭）が変化することによる流量変化の問題を克服
することができる。

投与装置１は、基部１０、およびシリンダ部９
を有するコンテナを含み、基部１０とシリンダ部
９との間に可撓性ダイヤフラム１１を固定してい
る。シリンダ部９中に移動可能に配置されたピス
トン１２は加圧手段として、ダイヤフラム１１に
より支持されかつ移動せしめられるように作られ
ている。好ましくは、図示されているように、ピ
ストン１２はその頭部１４から垂れ下がつている
本体１３を有すると共に、ダイヤフラム１１はフ
ランジ１５のあたりで折り返している。

基部１０はそれに付帯せしめた調節可能な圧力
調整手段として作用する定圧（減圧）バルブ８を
有し、定圧バルブ８はダイヤフラム１１の下方の
圧力室１６に定常流体圧力を伝え加圧領域を形成
するように作られている。

シリンダ部９は、金属であろうと硬質プラスチ
ツク材であろうと、どんな適当な材料で作られて
いてもよく、また内部が見えるように透明である
ことが好ましい。

第２図に示されるように、シリンダ部９は縦方
向のスロツト１７を有し、スロツト１７はピスト
ン１２のストローク（行程）に相当する長さのシ
リンダ部９上方部分に沿つて延びている。

ピストン１２の頭部に付着せしめたスタツドま
たはスクリユウ１９により保持されているポイン
ター（とがつたもの）のような指針１８は、シリ
ンダ部９上の目盛付きスケールと協働する。

シリンダ部９の上方部分すなわちコンテナの上
部は患者へ投与かつ注入されるべき液体を入れた
柔軟な袋２０を収納するように作られており、袋
２０はシリンダ部９の端部に在る急速開放蓋２１
を経て挿入され、また袋２０の出口２２は急速開
放蓋２１を貫通している。

スロツト１７の上端近傍に移動防止部材２３が
設けられ、この移動防止部材２３には、袋２０が
空になつたときピストン１２が止まるようまた空
気が投与されないよう所望の時にピストン１２を
止めるために、警報装置または他の信号装置を組
み合わせることが好ましい。また、調節可能なス
トラツプをスロツト１７に沿つて位置せしめるこ
とにより、所望量の液体が投与され終つたときに
ピストン１２が停止するようにすることができ
る。

液体の投与量をもつと正確に示すようにした本
発明の他の態様を第３図に示す。この態様におい
ては、ピストン１２には、ラツク（の形状の部
材）２４がスタツドまたはリベツトにより取り付
けられており、ラツク２４はスロツト１７中で滑
動すなわちスライドできるように作られている。

ラツク２４は歯を有し、シヤフト２６を支える
ハウジング２５はシリンダ部９に取り付けられて
おり、また、このシヤフト２６上にラツク２４の
歯と係合するピニオン２７が取り付けられてい
る。

シヤフト２６の他端は、目盛２９上を移動する
ポインタ２８へ直接にまたは歯車装置を経て接続
され、これによりピストンの動きを拡大して示す
ことができる。

加圧ガス源としては、病院の手術室などにおい
てはO₂，N₂，CO₂を供給する通常のものや他の
流体圧力を供給するものを用いることができる。

柔軟な袋２０から患者への投与経路中に校正さ
れた流量制限器６が備えられ、したがつて、定常
圧力下において液体は定常ヘツドを保ち、また、
校正された流量制限器６は一定の貫通間隙を有す
るので、所望の定常流量が達成される。

校正された流量制限器６は所望の貫通孔または
貫通間隙を有する小さな円筒状のユニツトであれ
ばよく、流量を変えるためには流量制限器６を他
の所望値に校正された流量制限器６と取り換える
だけでよい。

そんなわけで、柔軟な袋２０中の液体に一定の
圧力をかけると、校正された流量制限器６中を流
過する液のヘツドが実際に一定になり、所望の一
定流量が確立されることが分るであろう。

このような形式の投与装置を用いることで、定
常流量は、ガスびんまたは或る加圧源からの通常
の加圧ガス供給源に接続することにより達成され
る。また、折りたたまれたダイヤフラム１１のお
かげでピストン１２はコンテナ中を自由に、かつ
くつつくことなしに動くことができる。

コンテナはガラスや硬質プラスチツク材のよう
な透明な材料で作られていてもよく、またはコン
テナ中の液体残量を装置使用者が容易に知り得る
ようにコンテナの一側に透明窓のような部分を設
けてもよい。

前記スロツト１７に係合するような調節可能な
停止手段を備えてもよく、またこの手段の最も簡
単な形は、スロツト１７を経てシリンダ部９の壁
の内部と係合する、スリーブまたは小さなナツ
ト、と係合するスタツドからなるものでよく、そ
れにより、該スタツドをゆるめることで該停止手
段を元へ戻すことができる。

さらに他の形式として、本投与装置はポータブ
ルユニツトに組み込むことができ、それによつて
患者は歩きながら薬物治療を受けることができ
る。空気または他のガスによる小さな加圧ガス源
あるいはスプリング負荷による加圧源も使用でき
る。ここで、前記負荷は例えば手動等のどんな手
段によつてでもあらかじめ張力をかけるかまたは
あらかじめ加圧することで“負荷”されてもよ
い。

上記携行用のものは小型軽量の投与装置であ
り、この場合もつと小さい小型サツクすなわち袋
の流体を注入することができる。

本発明のさらに他の態様として、ピストンを見
得るのぞき用スロツトまたは間隙に隣接するコン
テナ上に取り付けられた線状カリバー器を備える
こともできる。

該線状カリバー（caliper）はその固定アーム
が注入期間の初期におけるピストンの位置を示す
ようにコンテナ上に位置せしめることができる
が、調節可能に位置せしめることが好ましい。次
いで一定時間または所望時間経過後、カリバーの
可動アームはピストンの新位置を示すように位置
させることができ、また、かくしてカリバーの２
つのアーム間の距離を読み取ることができかつ適
当に目盛されているカリバー上の目盛を読み取る
ことによつて注入量を容易に決定することができ
る。

後日さらに読み取るためには、現在の読みを注
記しこれを後刻の読みと比較するか、またはその
代りにピストンの位置と一致するようにカリバー
の固定アームが位置されるようカリバーが位置ず
けられ、したがつて後の読みを前の読みと同様に
読み取ることができる。

該カリバーは、好ましくはスライドカリバーで
あり、ねじ留めあるいは他の方法でコンテナ壁に
固定されたブラケツトなどに取り付けることもで
きる。該カリバーは、その固定アームを注入期間
の初期のピストン上に所望に応じて位置せしめ得
るように、該ブラケツト中に調節可能に位置せし
めることができる。

ピストンの位置はピストン上の適当な点または
表面から読み取ることができる。またはその代り
にピストンに適当な線またはアーク等を付すこと
もできる。

線状カリバーがその目的に対して適当であると
して今まで述べてきたけれども、注入速度を容易
に計算できる他の型の測定器を備えてある一定期
間にわたりピストンの移動を測定することができ
る。

またピストンは、その周りのシリンダ部すなわ
ちケーシングに関連して調節可能な停止手段等と
組み合わせることができ、そうすることによりあ
る一定量の液を注入する場合、該所定量の液を注
入し終つたとき該ピストンがそれ以上移動しない
ように該停止手段をピストンに接触するごとく配
置することができる。このことは、例えば赤ん坊
のような患者にある一定量の薬を注入しなければ
ならずまたは注入が少しでも過剰になると該赤ん
坊すなわち患者に対して有害となる場合特に有利
であり、その停止手段を調節することによつて該
所定量は注入できるがそれ以上の注入は行なわれ
ないのである。これは、投与装置における安全装
置の一形式である。

同様に、該ケーシング（シリンダ部）上の突出
部（アバツトメント）に接触するように、例えば
ピストンの溝に作動する停止手段を調節可能に備
えることができるし、あるいはその代りとして、
該調節は該ケーシング上の可動突出部により可能
にすることもできる。またこれに関連して、空気
が患者中に注入されることを防止するために袋か
ら液体全部が投与されてしまう前に注入を終るこ
とが望ましい。そして、この点に関して注入があ
る一定限界を越えて進捗できないように投与装置
に停止手段を備え、これにより空気注入事故を防
止するよう袋内に常時十分な量の液体が在るよう
にすることができる。

本発明においては次のことを実現することがで
きる。すなわち従来のピストンは円形であるが本
発明で使用するピストンは円形以外の形状、例え
ば正方形等であつてもよく、そのためにもし注入
用液体が正方形の袋に詰められているとしても、
これは正方形のケーシング中に容易に入れること
ができる。

また、他の形式および形状のピストンも本発明
では使用することができる。

ピストンは、スプリングや空気圧のような適当
な形式のいずれによつても、あるいはおもりなど
のようないかなる駆動力によつても駆動すること
ができる。またこれに関して、投与装置を完全に
携行可能にするためには、小型二酸化炭素ボンベ
のような携帯用加圧流体源によつてピストンを推
し進めるようにしてもよい。このようにして本投
与装置は緊急時および救急車内等で使用するにし
ても、あるりいは患者をある地区から他の地区へ
病院側で輸送する際に使用するにしても、携行用
の投与装置として特に効果を発揮することができ
る。

流量を決定するための流量制限器はどんな形式
のものでもよいが、好ましい形式においては注射
器のチユーブ状部分かあるいは皮下注射針それ自
身で流量制限が行なわれうる。

また、本投与装置を経て患者体中に空気泡を入
れる事故を防止するため空気境界面（エアーイン
ターフエース）が得られるようにバブルトラツプ
を備えることも考慮すべきである。

また、本発明によれば、減圧バルブが設けられ
ており、かつこれは過剰圧力分のガスを大気中へ
吹き出すように作られているので、もし圧力増加
の事故があつても、この過剰圧力がピストン等に
加わり注入速度を増加させる可能性はない。

また、流体圧力が突然に下降または上昇した場
合に警報を発することもできるので、この警報が
鳴つたとき付添人は注入が中止されたことにつき
警告を受けたことになる。この警報装置は減圧バ
ルブ中に組みこむことが好ましい。

【図面の簡単な説明】

第１図は使用に際し連結された投与装置の線
図、第２図は定常的な投与装置の一例を示す図、
および第３図は上記投与装置の他の例を示す図で
ある。 １…（定常）投与装置、２…加圧ガス入口、５
…バブルトラツプ（気泡捕集器）、６…流量制限
器、７…注入針、８…減圧（定圧）バルブ、９…
シリンダ部、１１…可撓性ダイヤフラム、１２…
ピストン、１７…縦スロツト、１８…指示器、２
０…柔軟な袋、２７…ビニオン、２８…ポインタ
ー、２９…目盛。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 出口手段を有する袋であつて投与されるべき
   液体を入れた柔軟な該袋を支持するように作られ
   たコンテナと、 前記袋に係合する表面を有する頭部および該頭
   部より直径が小さく該頭部から長く伸びた本体を
   有する硬質ピストンであつて、前記袋に圧力を加
   えてそこから前記液体を押し出す、加圧手段と、 前記コンテナに連結され、前記ピストンの一側
   面に密封された加圧領域を形成し、前記コンテナ
   の壁と前記ピストンの長く延びた本体との間の空
   間において、前記ピストンの移動に応じて折れ曲
   がりかつその折れ曲がつた部分が移動することに
   より前記ピストンの移動に追従して前記加圧領域
   内の圧力を前記ピストンに伝える、可撓性ダイヤ
   フラムと、 流体圧力が前記密封加圧領域に伝わるようにす
   る調節可能な圧力調整手段と を具備することを特徴とする非経口的液体の投与
   装置。 ２ 前記出口手段は、前記液体が押し出される出
   口を前記袋上に備えるとともに該出口に接続する
   流量制限器を備える、特許請求の範囲第１項記載
   の投与装置。 ３ 前記コンテナの壁の少なくとも一部は透明で
   あり、それによつて前記ピストンおよび柔軟な袋
   を見ることができる、特許請求の範囲第１または
   ２項記載の投与装置。