JPH0226673Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は写真植字機及びその類似機における送
り装置に係り、特に異なる単位系での送り指令に
よつても、オペレータに対して換算等の煩雑な作
業を何等行なわせしめることなく、かつ誤差の累
積もない写真植字機及びその類似機における送り
装置に関するものである。

従来、この種の送り装置に、駆動源としてパル
スモータを使用しているが、このパルスモータは
１パルスを供与する毎に一定角度だけ回転する如
く構成されているものであるから、通常１パルス
の移動量を決定する場合、常用する単位系に最も
都合の良いように定めている。しかし、この単位
系とは別の異なつた単位系にて送り指令や送り量
を表示すると、単位系間の換算、例えば１インチ
＝2.54cm等の換算を行う必要があるが、このよう
な単位系間の換算を行つた場合には、１パルスで
送り得ない端数が生じ、従つてこの端数を切上げ
るか、あるいは切下げて送りを行わねばならず、
この結果単純に換算を繰り返えして送りを行うと
誤差が累積されるに至る。

そこで、これを解消すべく、異種の単位系で送
りを指令する場合、送りを行う毎にこの異種の単
位系で送りを開始した座標を基準としてその都度
次回の送り量を決定し、単位系間の換算に伴い生
じた端数を前回の送り量又は次回の送り量等何れ
かの送り量に吸収させて、誤差の累積化を防止す
る方式が提案されたが、送りを行う毎に異種の単
位系で送りを開始点を基準として次回の送り量を
決定することから、その演算が複雑化し、これに
伴いソフトウエア、更には回路設計等多岐にわた
つて複雑化を招くに至り、植字の高速化に障害を
来たし、又コスト高となる等種々の問題を有して
いた。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、演
算方式がきわめて簡易で、、これに伴い回路構成
も簡易でかつ低廉に製作でき、しかも異種の単位
系で送りを指令する場合にあつても誤差が累積さ
れない写真植字機及びその類似機における送り装
置を提供せんとするものである。第１図におい
て、５はｎ個の異なつた単位系を随意に切換え設
定可能な単位切換スイツチ、１は、この単位切換
スイツチ５にて設定した単位系で送り量を指令す
るキーボードである。キーボード１による指令は
エンコーダ２を介してレジスタ３に記憶され、こ
の記憶値が演算入力選択回路８を介して演算回路
９に入力されるようになつている。この演算入力
選択回路８には単位切換スイツチ５からの単位系
設定と、換算値メモリ４からの第１単位系を基準
とした単位系間の換算値と第１及び第２レジスタ
６，７の内容が入力され、演算回路９が第１及び
第２レジスタ６，７と協動して設定単位系による
キーボード１で指令して送り量を演算し、この演
算値に基づきパルスモータ制御回路１０が歩進パ
ルスを発生してパルスモータ駆動回路１１を介し
パルスモータ１２を駆動するようになつている。
単位切換スイツチ５の単位設定信号は制御回路１
３及び現在位置カウンタ１４と演算入力選択回路
８に入力されるようになつている。制御回路は、
前記演算入力選択回路８と演算回路９との動作を
制御するものである。１５は表示用レジスタで基
準となる第１単位系以外の単位系で送り指令を行
つた場合、この異種の単位系で表示装置１６に現
在位置を表示させるべくなつている。

本実施例においては、送り装置の機械系が級数
（レンズ級数）又はミリメーター単位（第１の単
位系）で移動体の移動量を入力した場合に、誤差
が生じないようにパルスモータ１２のギア比が設
定されているものとする。その他の単位で誤差が
生じないようにパルスモータ１２のギア比を設定
してもよいことはもとよりである。

まずミリメータ単位（第１の単位系）で送り量
を指令し、その送り結果の表示を行う場合には、
キーボード１、更には図示しないレンズ級数検出
器等からの情報がエンコーダ２に送り込まれ、こ
のエンコーダ２にて送り量の情報としてバイナリ
コードに変換されてレジスタ３に記憶される。こ
の記憶値が演算入力選択回路８を介して演算回路
９に送られる。第１の単位系での送り指令である
から、キーボード１に指令した送り量に基づき、
演算回路９からパルスモータ制御回路１０に送り
込まれて、送り量に相当する数のパルスを発生さ
せ、パルスモータ駆動回路及び現在位置カウンタ
１４に送り込み、パルスモータ１２を駆動して移
動体を所定の位置まで移動させると共に、移動体
の現在位置を現在位置カウンタ１４にて計数し、
表示装置１６に表示させる。

今、第２図に示す如き区間P₀〜P₃をインチに
より指令して送るとする。まず前述の如き方法に
て移動体を第２図P₀点に移動させる。次いで単
位切換スイツチ５をインチにセツトする。単位切
換スイツチ５からの信号は制御回路１３、演算入
力選択回路８及び現在位置カウンタ１４に送ら
れ、現在位置カウンタ１４をリセツトすると共
に、演算回路９を介して第２レジスタ７と表示用
レジスタ１５をリセツトする。次に第１回の送り
区間P₀〜P₁をインチ単位系でキーボード１から
入力させると、この入力値はエンコーダ２でその
入力数値に対応するバイナリコードに変換され、
レジスタ３に送られて記憶される。制御回路１３
はそのレジスタ３に記憶されている区間P₀〜P₁
の送り量（インチ単位系）を演算入力選択回路８
に読み出させ、演算回路９を経て被乗数とすべく
第１レジスタ６に記憶させ、一方演算入力選択回
路８を介して送り込まれる予めセツトされた換算
メモリ４の換算値と、前記の如く第１レジスタ６
に記憶された区間P₀〜P₁の送り量とを乗算して、
その値を新たに第１レジスタ６に記憶させる。次
いで第１レジスタ６の小数部分と第２レジスタ７
の値（最初は０となつている）を加算して、その
結果を新たに記憶させる。第１レジスタ６の値の
整数部分をパルスモーター制御回路１０に送り込
み、この整数値に対応させてパルスモータに供与
させる数のパルスを発生させ、パルスモータ駆動
回路１１でパルスモータ１２を駆動させて移動体
を第１回目のP₁点にまで移動させる。次に移動
体をP₂点に移動させるべく、区間P₁〜P₂の距離
をインチ単位系でキーボード１から入力させる
と、この数値はエンコーダ２でバイナリコードに
変換されてレジスタ３に記憶される。制御回路１
３はこのレジスタ３に記憶されているP₁〜P₂間
の送り量（インチ単位系）を演算入力選択回路８
に読み出させ、演算回路９を経て被乗数とすべく
第１レジスタ６に記憶させる。更に制御回路１３
は換算値メモリ４の換算値を演算入力選択回路８
に読み出させ、この換算値と第１レジスタに記憶
されているP₁〜P₂間の送り量と乗算し、この値
を新たに第１レジスタ６に記憶させる。次に第１
レジスタ６の小数部分と第２レジスタ７の値とを
加算して、その加算値の小数部分を新たに第２レ
ジスタ７に記憶させ、かつその加算値が１を越え
た場合、すなわち１に達した場合には、第１レジ
スタ６の内容を１（整数値）だけ増す。この第１
レジスタ６の整数部分をパルスモータ制御回路１
０に送り込み、この整数値に対応する数のパルス
を発生せしめ、パルスモータ駆動回路１１にてパ
ルスモータ１２を駆動して移動体をP₂点にまで
移動させる。以後区間P₂〜P₃……間の距離をイ
ンチ単位系にて入力させれば、前記と同様に移動
体を所定の位置に移動させることができる。

前記動作を１パルスで１／16mm移動する機械を
例示して説明すれば、まず、移動体が１パルスで
１／16mm＝0.0625mm移動し、又１インチ＝25.4mm
とすると換算値メモリ４には１インチ送るのに必
要なパルス数25.4／0.0625＝406.4の値が予め記憶
されている。インチ送りを行うべく単位切換スイ
ツチ５をインチ単位系にセツトすると、現在位置
カウンタ１４、第２レジスタ７、表示用レジスタ
１５をリセツトする。次いでP₀〜P₁間の距離を
インチ単位系でキーボード１から0.2とすると、
エンコーダ２でバイナリコードに変換されてレジ
スタ３に記憶され、更に被乗数として第１レジス
タ６に記憶される。制御回路１３は換算値メモリ
４の値406.4と第１レジスタ６に記憶されている
P₀〜P₁間の送り量0.2を乗算して、その値81.28を
第１レジスタ６に新たに記憶させる。次いで第１
レジスタ６の小数部分0.28と第２レジスタ７の値
０とを加算して、その値0.28を第２レジスタ７に
新たに記憶させる。第１レジスタ６の整数部分81
をパルスモータ制御回路１０に送つて、P₀〜P₁
間を移動させるのに要するパルス数81個を発生さ
せ、パルスモータ駆動回路１１でパルスモータ１
２を駆動して、移動体をP₁点に移動させる。次
いで移動体をP₂点に移動させるべくP₁〜P₂間の
距離0.15インチをキーボード１から入力すると、
この数値はエンコーダ２にてバイナリコードに変
換された後レジスタ３に送り込まれて記憶され
る。更にこのレジスタ３の内容を被乗数とすべく
第１レジスタ６に記憶させる。制御回路１３は、
換算値メモリ４の値406.4と第１レジスタ６の内
容0.15を乗算して、その値60.96を第１レジスタ
６に新たに記憶させる。次いで第１レジスタ６の
小数部分0.96と第２レジスタ７の内容0.28を加算
して、その値1.24の小数部分0.24を第２レジスタ
７に新たに記憶させる。又加算値が１に達するこ
とから、第１レジスタ６の内容を１だけ増加させ
て、61.96とし、その整数部分61をパルスモータ
制御回路１０に送り、P₁〜P₂間を移動させるの
に要するパルス数61個を発生させ、パルスモータ
駆動回路１１にてパルスモータ１２を駆動させ、
これにより移動体をP₂点にまで移動させる。更
に移動体をP₃点に移動させるには、P₂〜P₃間の
距離0.3インチを入力させれば前述と同様に補正
しながら送りが行われる。

次にインチ単位系による送り動作時の現在位置
を表示する場合について説明すれば、P₀点から
P₁点まで移動させると、現在位置カウンタ１４
にはP₀〜P₁間の距離がミリメートル単位系で81
（パルス）と記憶されている。この記憶値を演算
入力選択回路８を介して演算回路９に入力して、
換算値406.4で除算させた値0.20を表示用レジス
タ１５に記憶させ、0.2インチと表示装置１６に
表示させる。次いで移動体をP₂点まで移動させ
ると、現在位置カウンタ１４にはP₀〜P₁間のパ
ルス数81とP₁〜P₂間パルス数61を加えた値142が
記憶されている。。この値を演算入力選択回路８
を介して演算回路９に入力して、換算値406.4で
除算させた値0.35を表示用レジスタ１５に記憶さ
せ、0.35インチと表示装置１６に表示させる。

本実施例においては、ミリメータとインチとの
単位系について示したが、移動体の任意の位置
で、単位系を切換えて送りを行つても常に累積誤
差のない送りと表示ができ、又単位切換スイツチ
と換算値メモリを増加させることでｎ個の異なつ
た単位系で随意に送りを行うことができる。

以上の如く本考案に係る写真植字機及びその類
似機における送り装置によれば、異なる単位系で
送りを行う時に送り量の端数値、即ち誤差値が１
（パルス）に達すると１パルス余分に送ることに
より送り量の端数値を送り毎に随意に吸収させ
て、送り誤差が累積されることを防止し、しかも
この送り制御によつても演算方式が頗る簡単であ
るから、ソフトウエアや回路設計がきわめて簡易
であり、かつコストも頗る低廉である等多大な効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る写真植字機及びその類似
機における送り装置の一実施例を示すブロツク
図、第２図はその異なつた単位系で送る場合の送
り量の説明図である。 １……キーボード、２……エンコーダ、３……
レジスタ、４……換算値メモリ、５……単位切換
スイツチ、６……第１レジスタ、７……第２レジ
スタ、８……演算入力選択回路、９……演算回
路、１０……パルスモータ制御回路、１１……パ
ルスモータ駆動回路、１２……パルスモータ、１
３……制御回路、１４……現在位置カウンタ、１
５……表示用レジスタ、１６……表示装置、P₀
〜P₃……送り区間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. パルスモータにより駆動され、かつこのパルス
   モータに供与される１パルス毎に感材等の移動体
   が第１の単位系で定めた最小送り単位だけ移動す
   る如く構成された送り系と、ｎ個の異なつた単位
   系を切換えるよう指令する単位切換指令回路と第
   １の単位系及び異種の単位系間の換算値を記憶す
   るメモリと、前記パルスモータに供与する歩進パ
   ルスを計数して移動体の現在位置を記憶する現在
   位置カウンタと、現座標から次回の移動座標まで
   の送り量を異種の単位系にて第１レジスタに記憶
   させ、その第１レジスタに記憶された値に単位系
   間の換算値を乗じた値を新たに第１レジスタに記
   憶させ、第１レジスタの小数部分と、第２レジス
   タに記憶されている前回までの第１の単位系に換
   算された送り量の小数部分とを加算して新たに第
   ２レジスタに記憶させ、その加算結果が１に達す
   れば第１のレジスタの値を１だけ増加させ、この
   第１のレジスタの値の整数部分に対応するパルス
   をパルスモータ駆動回路に供与する送り制御回路
   とからなる制御系を有したことを特徴とする写真
   植字機及びその類似機における送り装置。