JPH0226430Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、携帯用などとして特に好適に用い
られる金属製魔法瓶に関する。

「従来技術およびその問題点」 一般に金属製魔法瓶は、金属製の内筒と金属製
の外筒とが口部の端部で接合一体化され、内外筒
間の空間が真空断熱層とされたものである。この
ような金属製魔法瓶に使用される金属材料として
は、従来、一般に耐食性に優れたステンレス鋼が
用いられているが、その作業性の容易性から内
筒、外筒は口部端で接合されている。そしてこの
ような内外筒が接合一体化されている口部端部
は、いわゆる金属接触腐食によつて腐食し易い状
態となつており、このため、従来、このような口
部端部に、ゴム等からなるシール部材を嵌着して
水分や内容液の付着を阻止し、内外筒が接合され
た口部端部の腐食を防止することが行なわれてい
る。

しかし、このようにシール部材を口部端部に取
り付けた魔法瓶にあつては、シール部材と口部
端部とを液密に嵌合させる必要があるので、口部
端部およびこの口部端部に嵌合するシール部材等
の寸法精度が要求される。内外筒が接合されて
なる口部端部に対してシール部材が液密に密着さ
れていない場合、気付かぬ間に口部端部の腐食が
進行する等の問題があり、このため、このような
構造の魔法瓶の製造には寸法、形状の管理に多大
の労力を要していた。

「考案の目的」 この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、
内外筒が接合されてなる口部端部の腐食を充分に
防止でき、製造時の口部端部の寸法管理が容易な
金属製魔法瓶を提供することを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 以下、上記問題点を解決するための手段を実施
例に沿つて詳しく説明する。

第１図はこの考案の金属製魔法瓶の一実施例を
示すもので、図中符号１は内筒、符号２は外筒で
ある。内筒１及び外筒２は金属製のものであつ
て、内筒１には内容液を収容する内容液収容部３
と、この収容部３よりも小径に形成された上端開
口側の口部４とが設けられている。また、上記金
属製外筒２の上部側は徐々に縮径されており、そ
の上端部には上記内筒１の口部４が内接する口部
５が形成されている。この外筒２の口部５は上記
内筒２の口部４よりも幅狭に形成されており、こ
れら口部４，５は、開口端面が一致された状態で
ろう付け等により接合一体化され、この金属製魔
法瓶の口部端部６とされている。また、この外筒
２の底部は底板２ｂにより形成され、底板２ｂの
中央の真空引口２ｃは閉止板２ｄにより閉止され
ており、内外筒１，２間の空間は真空排気されて
真空断熱層７とされている。

この金属製魔法瓶にあつては、この口部端部６
にほうろう層８が形成されている。このほうろう
層８は、口部端部６先端の口部接合端部６ａとこ
れを含む口部の内筒内面１ａおよび口部の外筒外
面２ａに形成されている。このほうろう層８は、
口部端部６を保護しこの端部６の腐食を防止する
もので、常法のほうろう加工処理により0.1〜１
mm程度の厚さに形成される。ほうろう層８を形成
するには種々のほうろうを用いることができる
が、耐食性が特に優れたガラス材料などが好まし
く用いられる。また、この口部端部６の施ユウ
は、この部分をユウ薬中に浸漬することにより簡
便に行われる。

「考案の具体的作用効果」 このような金属製魔法瓶は、内筒１の口部４と
外筒２の口部５が接合一体化されてなる口部端部
６にほうろう層８を設けたので、口部端部６は耐
食性に優れたほうろう層８によつて保護され、こ
の部分への内容液や水分等の付着は阻止される。
従つて、内筒１と外筒２とが異なる金属で作成さ
れて口部端部６の金属が異種金属接触腐食により
腐食し易い状態にある金属製魔法瓶であつても、
口部端部６の腐食は防止され、耐食性に優れた魔
法瓶となる。

また、ほうろう層８を形成するには、魔法瓶の
口部端部６を釉薬中に浸漬したり、口部端部６に
スプレー等により釉薬を施せば、ほうろう層８は
自ずと口部端部６の金属の形状に沿つて密着、形
成されるから、従来のシール部材を用いた金属製
魔法瓶のように、シール部材や魔法瓶口部の形
状、寸法を精度良く加工する必要がない。よつ
て、この構造の金属製魔法瓶は、製造に際しての
寸法、形状の管理が容易なものとなる。

「考案の効果」 以上説明したように、この考案の魔法瓶は、内
外筒が接合された口部接合端部、あるいはこれを
含む口部の内筒内面および口部の外筒外面にほう
ろう層を形成したものなので、内外筒が接合され
た口部端部は耐食性に優れたほうろう層によつて
保護され、この部分への内容液や水分の付着は防
止される。従つて、魔法瓶の口部端部の耐食性が
大幅に向上され、魔法瓶の内外筒を異種金属によ
り製造することが出来、そして口部端部がいわゆ
る異種金属接触腐食による腐食が生じることがな
く、耐食性に優れた魔法瓶となる。

また、このほうろう層は自ずと口部端部６の金
属に密着形成されるので、このための口部端部６
の寸法管理が不要であり、魔法瓶の製造が容易と
なる。

さらに、ほうろう層を内筒口部にかけて形成し
た場合には、内筒口部の強度をほうろう層で補う
ことにより、口部の金属の肉厚を薄くしこの口部
の熱伝導を減少せしめて、魔法瓶の保温性能を向
上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す断面図であ
る。 １……内筒、１ａ……内面、２……外筒、２ａ
……外面、４……口部、５……口部、６……口部
端部、６ａ……口部接合端部、７……真空断熱
層、８……ほうろう層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 金属製の内筒と金属製の外筒とが口部端部で接
   合一体化され、内外筒間の空間が真空断熱層とさ
   れた金属製魔法瓶において、 内外筒が接合された口部接合端部、あるいはこ
   れを含む口部の内筒内面および口部の外筒外面に
   ほうろう層を形成したことを特徴とする金属製魔
   法瓶。