JPH0225478B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、放射性物質の熱を除去し易くした、
放射性物質例えば原子炉燃料に対する中性子防護
装置に関する。本発明は特に放射性物質の貯蔵容
器に適用される。

原子炉燃料のような高度に放射性の物質は、伝
播されないようにする必要のある放射線及び常時
除去すべき熱量を発生するため、貯蔵及び運搬が
困難である。

これら容器は、密封された厚みの大きな円筒形
の包囲体により一般に形成される。この包囲体は
放射線に対する障壁となると共に、放射性物質に
よつて生じた熱を排出させるために、不時の衝撃
に対し大きな耐力をもつように設計しなければな
らない。

放射線防護については、一般に、包囲体だけで
は充分でなく、中性子吸収材料例えば特別の樹脂
から成る比較的厚い層が包囲体のまわりに設けら
れることが多い。

容器中に閉込められた放射性物質により常時発
生する熱の除去については、一般に、自然対流に
より周囲空気に放熱するための多数の冷却フイン
又は冷却板が円筒形の包囲体の全周に分布して配
設される。しかし、中性子吸収材料は一般に熱に
対し不良導体であり、多くは円筒形の包囲体と冷
却フインとの間に介在されるため、熱の除去を困
難にする。

特に容器が原子炉燃料の運搬に用いられる場合
には、それら容器は、周囲の水分又は風雨に曝露
される。このような状態の下では、円筒形の包囲
体を包囲する中性子吸収樹脂材料はその水分と接
触し、樹脂が或る程度老化した時に発生するき裂
に水分が浸透することが屡々確認されている。こ
の容器は、その表面を洗浄し乾燥した後にも、樹
脂中に浸透して放射性になつた水が非常に長い間
に放出されて放射線汚染をひき起こすため、相当
に危険である。

特に円筒形の包囲体のまわりに厚い樹脂層を適
用する作業は非常に困難であり、乾燥の際の収縮
によるはげ落ちが生ずる。また、この構造の容器
には、老化が早くなることと、き裂の原因となる
不時の衝撃を受け易いことなどの欠点もある。

本発明の目的は、これらすべての欠陥を除去す
ることにある。

本発明は、放射性物質を閉込める容器の包囲体
の外側壁のまわりに配設された基本的には中性子
吸収材料から成る中性子防護装置を対象としてい
る。

本発明の１つの特徴によれば、中性子防護装置
は、その全長に亘り一定の形状の、大体において
１枚の彎曲した薄板状の複数の同種の要素から成
り、これら要素は包囲体の全周に亘り規則的に配
設されると共に、閉ざされた空所を包囲体のまわ
りに形成するように包囲体に連結され、空所の壁
部のうち３つは上記要素によつて形成され、空所
中には中性子吸収材料が充てんされる。

本発明の別の特徴によれば、各々の要素即ち条
片は包囲体と平行に延長し、細長い矩形状であ
り、側部縁と平行な折曲線に従つて或る角度だけ
折曲される。これら条片は、円筒形の包囲体のま
わりに並置され、一方の側部縁は円筒形の包囲体
に全長に亘り連結され、他方の側部縁は次の条片
に全長に亘り連結される。

本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を
参照する以下の説明によつて一層明らかとなろ
う。

第１図には厚みの大きな円筒形の鋼製の包囲体
１が図示され、この包囲体は円筒形内部空所２を
画定し、この内部空所２中に原子炉燃料要素のよ
うな放射性要素を配設することができる。円筒形
の包囲体１の厚みは、大部分の放射線の伝播を防
止するように、またすべての可能な偶発的な衝撃
に対する大きな機械的耐性をもつように充分に大
きくしてある。包囲体１の外面３上には、円筒形
の包囲体１の母線に従つて一連の溶接帯ないし溶
接線５が所定の間隔で形成される。円筒形の包囲
体１のまわりには、一連の熱伝導性材料例えば銅
の薄板から成る要素が配設される。各々の要素は
円筒形の包囲体１の長さにほぼ等しい長さの長方
形の条片４により形成される。各々の条片４の一
方の側部縁６は対応する溶接帯ないし溶接線５に
沿つて溶接部１５により溶接される。条片４は側
部縁６から平たん部分７に従つて外方に延長し、
次に折曲線８に従つて長手方向に折曲され、円周
面内に位置された後、折曲線８と平行な第２の折
曲線９に従つて別の方向に折曲され、次に折曲線
８，９に平行な第３の折曲線１０に従つて、折曲
線８に沿う第１折曲部分と同様に折曲され、円周
部分１１を形成する。折曲線８，９，１０が互に
近接しているため、条片４は、平たん部分７と円
周部分１１との２面体を大体において形成する。
より正確には、部分７，１１に共通の領域内に、
やはり２面体の形状の、寸法の小さい溝２５が形
成される。条片４は次の条片４に溶接される側部
縁１２を有し、この側部縁１２は、折曲線９によ
り形成された溝２５に嵌合される。この実施例に
よれば、溝２５の径方向の寸法は、条片４の円周
部分１１の厚みに等しいため、条片４の円周部分
１１の外面１３は互に他のものの延長上に位置さ
れ、突出部のない真円筒形の１つの壁部を形成す
る。次に１つの条片４の側部縁１２を後続する条
片４に溶接部１４において溶接し、溝２５の残留
空所を満たし、完全に封止された円筒形の壁部を
形成する。この例では、条片４は打抜き折曲げた
薄板から形成されるが、鍛造、成形又は機械切削
した素材により条片４を形成してもよい。

全体の条片４を取付けるには、第１の条片４を
円筒形の包囲体１に、より正確には溶接線５に溶
接し、次に第１図において条片４の左側にある次
の条片４を溶接する。このようにして全部の条片
４を反時計方向に順次取付ける。この取付けは屋
根の上に瓦を次々に並べることと同様であり、最
後の瓦の一方の縁部は屋根の構造上に載置され、
他の縁部は以前に取付けた瓦に取付けられる。

ここに、溶接部１４，１５は、他の条片４によ
つて近接が妨げられないため、容易に形成でき
る。また、側部縁６，１２によつて或る１つの条
片４を溶接した時に、円筒形の包囲体１の外面
３、条片４の部分７，１１の内面並びに先行する
条片４の部分７の外面によつて密封空所１６が画
定される。

更に、各々の条片４の溶接部１５，１４は、溶
接作業を妨げる条片４がないため、容易に形成で
きる。しかし、最初に溶接した条片４に接合され
る最後の条片４については問題が生ずる。この問
題を解決するために、第１の条片４１を最初に溶
接する。この条片４１は条片４と同様であるが条
片４のように円周部分１１は備えていない。最後
の条片４２（他の条片４と全く同様のもの）を円
筒形の包囲体１に溶接することは条片４１と条片
４２との間に自由な空所が残されていることによ
り可能になる。その場合全体の構造は、通常の条
片４の円周部分１１と同じ形状の条片４３によつ
て完成される。条片４３は条片４の円周部分１１
の全体によつて形成された密封外側壁の構造を完
全なものにする。

この組立て段階において、一端側から自由に近
接できる密封空所１６に、それ自体として既知の
中性子吸収材料を充てんする。

上述した容器の構造は、並置されたすべての空
所１６を満たすように中性子吸収材料が円筒形の
包囲体１の全周に配設してあるため、特に有効で
ある。中性子吸収材料は円筒形の包囲体１の全周
に亘りほぼ連続した１つの層を形成するが、この
層は、条片４の金属部分７により中断される。そ
のため第１図に示すように、平たん部分７は正確
に径方向１７に従つて配設せずに、径方向１７に
対し或る小さな角度αをもつて配設する。

本発明による容器は、放射線に対して良好な保
護を与えるだけでなく、空所２中に収容した放射
性要素によつて生ずる熱を有効に排除することも
できる。即ち、円筒形の包囲体１は、条片４のす
べての平たん部分７によつて、条片４の円周部分
１１により形成された外側の円周壁部に連結され
ている。そのため円筒形の包囲体１の熱は容易に
条片４の平たん部分７に伝達され、次に周囲空気
と直接接触している条片４の円周部分１１に伝達
される。円周部分１１により形成された外側壁の
熱を例えば自然対流によつて放出すると、円筒形
の包囲体１から大きな熱出力が取出される。この
外側壁を有効に冷却するために、多数の径方向フ
イン１８を条片４の円周部分１１に配設する。空
所１６に中性子吸収材料を充てんする前にフイン
１８を円周部分１１に溶接することが望ましい。

第２図に示すように、中性子吸収材料を満たし
た長手方向の空所１６の両端は、中性子吸収材料
によりそれ自身満たされた環状空所１９，２０に
開口する。環状板２１，２２は円筒形の包囲体１
の端部２３，２４と円周部分１１の端部とを気密
に連結する。このように中性子吸収材料を密封さ
れた包囲体の中に完全に封込めたので、容器をプ
ールに浸漬させた場合に、中性子吸収材料の内部
に水が侵入するおそれがなくなる。更に、大気中
に放置した場合に比べて中性子吸収材料の老化に
至る期間が非常に長くなる。

平たん部分７は、第３図に示すように、容器の
全長に亘り延長させてもよい。この場合には環状
板２１，２２は不要になり、包囲体１の端部２
３，２４のみにより空所１６の両端を閉止する。

冷却用のフイン１８は条片４と一体に成形して
もよく、この場合には条片４の側部縁１２から径
方向外方に延びる延長部を各々の条片４に形成す
るだけでよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による防護装置を備えた容器の
部分的な径方向断面図、第２図は第１図の容器の
部分的な縦断面図、第３図は本発明の変形実施例
に従う容器の部分的な縦断面図である。 符号の説明 １……円筒形の包囲体、４……条
片（要素）、１６……空所。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 放射性物質を閉込める容器の包囲体の外側壁
   のまわりに配設された、基本的に中性子吸収材料
   から成る中性子防護装置において、その全長に亘
   り一定の形状の、大体において１枚の彎曲した薄
   板状の複数の同種の要素４からなり、これら要素
   ４は包囲体１の全周に亘り規則的に配設されると
   共に、閉ざされた空所１６を包囲体１のまわりに
   形成するように包囲体１に連結され、空所１６の
   壁部のうち３つは要素４によつて形成され、空所
   １６中には中性子吸収材料が充てんされているこ
   とを特徴とする中性子保護装置。 ２ 各々の要素４が円筒形の包囲体１の軸線と平
   行に延長し、細長い短形ないし帯状であり、側部
   線６，１２と平行な折曲線８に従う或る角度の折
   曲部を有し、要素４は包囲体１のまわりに並置さ
   れ、各々の要素４の一方の側部縁６は全長に亘り
   包囲体１に連結してあり、各々の要素４の他の側
   部縁は全長に亘り次の要素４に、該次の要素４の
   折曲線８の近傍において連結してあることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項に記載の中性子防護
   装置。 ３ 要素４を介し形成された空所１６を中性子吸
   収材料により完全に充てんし、要素４の端部に嵌
   合してこれらに溶接され中性子吸収材料を空所１
   ６の内部に閉込める要素２１，２２を設けたこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項又は第３項に
   記載の中性子防護装置。 ４ 円筒形の包囲体１と折曲線８との間に延長す
   る各々の要素４の平たん部分７を径方向１７に対
   し角度α傾斜させて、包囲体１の外方に向う前部
   の放射線が中性子吸収材料域に遭遇するように
   し、折曲線８と次の要素４に連結される側部縁１
   ２との間に延長する各々の要素４の部分１１が円
   筒の一部の形状を有することにより、要素４の全
   ての部分１１の集合体が包囲体１のまわりに同心
   状に配された１つの完全な円筒壁を形成し、この
   円筒壁が中性子吸収材料により満たされた環状空
   所を形成することを特徴とする特許請求の範囲第
   ２項又は第４項に記載の中性子防護装置。 ５ 各々の要素４の凸面が２面体状の溝２５を有
   し、この溝は折曲線８に沿つて配され、次の要素
   ４の側部縁１２を受入れ、要素４の部分１１の外
   面１３が互に他のものの延長上に配され、凸部の
   ない完全な封止された円筒壁を形成することを特
   徴とする特許請求の範囲第４項記載の中性子防護
   装置。 ６ 上記要素４と冷却フイン１８とを、打抜き折
   曲げた熱の良導体例えば銅の薄板から成形し、包
   囲体１に電気溶接により一連の溶接線５を形成
   し、これら溶接線は円筒形の包囲体１のまわりに
   平行に規則的に包囲体１の母線に従つて配設し、
   要素４はそれら溶接線５上に溶接１５したことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項ないし第５項の
   いずれかに記載の中性子防護装置。