JPH0225119B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は試験後の防錆を容易化した熱交換器の
耐圧試験方法に関する。

一般に組立を終了した熱交換器は水圧水を注入
して耐圧試験を実施したのち据付までの比較的長
期間保管されるので、内部の防錆処理をおこなう
必要がある。この防錆処理として注入する水圧水
に水溶性防錆剤を混入しておく方法がある。しか
し、このような方法では耐圧試験を実施した後も
注入した水圧水を排出せず、熱交換器内を満水状
態にしておかなければ防錆効果が得られない。よ
つて熱交換器の保管、運搬がきわめて面倒であつ
た。

このような不具合を解消するため、水圧水を排
出した状態で防錆処理をおこなうことが考えられ
た。そのひとつとして、水圧水を排出したのち熱
交換器内を熱風で乾燥し、こののち内部に窒素ガ
スを封入するかあるいは内部に気化性防錆剤を投
入するものであつた。このため、熱交換器の熱風
乾燥に多くのエネルギと時間を要していた。たと
えば胴側内容3.5m³の熱交換器を乾燥するために
は80kW／時の電気加熱で230℃の熱風を14m³／
分の風量で送風し、乾燥終了まで４〜５時間を要
する。また、大型の熱交換器では乾燥終了までに
７〜８時間を要する。また、熱風乾燥の際には熱
交換器内各部の熱応力等にも考慮を払わなければ
ならず、面倒であつた。また、窒素ガスの封入を
おこなう場合には内部の空気を真空ポンプで排出
したのち窒素ガスを注入し、このような操作を３
〜４回繰返して内部の空気を窒素ガスと置換しな
ければならず、作業が面倒かつ非能率的であつ
た。

本発明は以上の事情にもとづいてなされたもの
で、その目的とするところは耐圧試験後において
水圧水を排出して容易に防錆処理をおこなうこと
ができる熱交換器の耐圧試験方法を提供すること
にある。

すなわち本発明は耐圧試験をおこなう熱交換器
内に水溶性油膜形防錆剤溶液を注入する過程と、
この水溶性油膜形防錆剤溶液を圧力水として耐圧
試験を実施する過程と、この耐圧試験終了後に上
記水溶性油膜形防錆剤溶液を排出して上記熱交換
器の内面に防錆皮膜を形成するものである。した
がつて、耐圧試験後に単に水圧水を排出するだけ
で簡単に防錆処理をおこなうことができ、作業が
容易かつ能率的となるものである。

以上本発明の一実施例を図を参照して説明す
る。図中１は耐圧試験をおこなう給水加熱器等の
熱交換器であつて、２はその胴、３は水室であ
る。そして、上記胴２には胴側管台４，５が設け
られ、また水室３には水室側管台６，７が設けら
れている。また、８は本発明の耐圧試験方法を実
施する装置であつて、水溶性油膜形防錆剤溶液を
貯溜するタンク９と、このタンク９内の防錆剤溶
液を圧送する圧送ポンプ１０、この圧送ポンプ１
０の下流側に設けられた弁１１、防錆剤溶液をタ
ンク９に戻す戻しポンプ１２、この戻しポンプ１
２の上流側に設けられた弁１３、上記タンク９、
圧送ポンプ１０、弁１１を接続する圧送管１４、
上記タンク９、戻しポンプ１２、弁１３を接続す
る戻し管１５等から構成されている。

次にこのような装置を用いておこなう本発明の
方法の一実施例を説明する。まず、たとえば胴側
管台４，５にそれぞれ盲板２０，２１を取付け、
これら盲板２０，２１に設けられた接続口に前記
の圧送管１４および戻し管１５を接続する。次に
弁１３を閉弁するとともに弁１１を開弁し、圧送
ポンプ１０を運転し、タンク９内の水溶性油膜形
防錆剤溶液を熱交換器１の胴側室間内に圧送し、
この防錆剤溶液を水圧水としてたとえば45Kg／cm²
で３時間加圧し、耐圧試験をおこなう。

上記水溶性油膜形防錆剤溶液はたとえば以下の
ものが使用される。すなわち、ここで使用される
水溶性油膜状防錆剤は、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等、
炭素数６〜12を有する脂肪族二塩基性酸をエチレ
ン基、またはメチレン基を２〜６有する多価アミ
ン例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエ
チレンヘキサミンなどのエチレンアミン、および
トリメチレンジアミン、テトラメチレンペンタミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテ
トラミン等のメチレンアミンで中和した時の化合
物である。そして、この水溶性油膜形防錆剤を10
〜50重量比の水溶液とし、これに水溶性防錆剤す
なわち、りん酸、重合りん酸、亜硝酸、硼酸、け
い酸等の各種アルカリ金属塩、または各種アミ
ン、アンモニウム塩、あるいは安息香酸、パラタ
ーシヤリ安息香酸、ニトロフタル酸、メルカプト
ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の有機
化合物の各種アルカリ金属塩またはエタノールア
ミン、ジシクロヘキシアルアミン等各種アンモニ
ウム塩を添加したものである。このような防錆剤
は20℃における粘度が10csでやや粘稠性を有して
おり、金属表面に数ミクロン〜10数ミクロンの厚
みで塗布することができ、この液状膜は長期の防
錆効果を発揮する。

そして、耐圧試験が終了したら弁１３を開弁
し、戻しポンプ１２を運転して熱交換器１内の防
錆剤溶液をタンク９内に戻す。次に盲板２０，２
１を取外して１〜２時間放置し、内部に残留して
いる防錆剤溶液を流下させる。そして、このよう
な操作によつて熱交換器１の胴側空間内面に10数
ミクロンの防錆剤の塗膜が形成される。

次に、水室側管台６，７に盲板を取付けて圧送
管１４、戻し管１５を接続し、前記と同様な操作
をおこない、この水室３側についても耐圧試験と
防錆を実施する。なお、水室３側すなわち細管内
面側は防錆剤溶液の排出が困難であるため、防錆
剤溶液を排出する際には熱交換器全体を傾斜させ
るとよい。

そして、このようにして耐圧試験と同時に防錆
処理を施した熱交換器１の管台に盲板を取付けて
約７箇月間保管した後に内部を検査したが、発錆
は認められなかつた。

上述の如く本発明は耐圧試験をおこなう熱交換
器内に水溶性油膜形防錆剤溶液を注入する過程
と、この水溶性油膜形防錆剤溶液を圧力水として
耐圧試験を実施する過程と、この耐圧試験終了後
に上記水溶性油膜形防錆剤溶液を排出して上記熱
交換器の内面に防錆皮膜を形成するものである。
したがつて、耐圧試験後に単に水圧水を排出する
だけで簡単に防錆処理をおこなうことができ、作
業が容易かつ能率的となる等その効果は大であ
る。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例に使用する装置の概略構
成図である。 １……熱交換器、８……耐圧試験装置、９……
タンク、１０……圧送ポンプ、１２……戻しポン
プ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 耐圧試験をおこなう熱交換器内に水溶性油膜
   形防錆剤溶液を注入する過程と、この水溶性油膜
   形防錆剤溶液を圧力水として耐圧試験を実施する
   過程と、この耐圧試験終了後に上記水溶性油膜形
   防錆剤溶液を排出して上記熱交換器の内面に防錆
   皮膜を形成することを特徴とする熱交換器の耐圧
   試験方法。