JPH0222109Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、等速自在継手の内輪の鍛造型に関
するものである。

従来技術を説明する前に、等速自在継手の代表
例として、周知のバーフイールド型等速自在継手
を第１図にしたがつて簡単に述べておくと、従動
軸１０のスプライン部１１に内輪２０を取付け、
内輪２０と駆動軸１２の外輪１３との間にはケー
ジ１４にて保持された通常６個のボール１５が各
輪１３，２０の各ボール溝１３ａ，２０ａを介し
て配設されており、駆動軸１２と従動軸１０は折
れ角に関係なく等速性を保つようになつている。
しかして、前記の内輪２０は、第２図および第３
図に示すように、外周にボール溝２０ａ〜２０ａ
を形出した鍛造成形品２１に対し、その軸方向に
中央部を打抜く打抜き加工、および従動軸１０の
スプライン部１１に嵌合するスプラインを形成す
る研削加工などの各種の機械加工を施して製造さ
れる。

［従来技術］ 上記した内輪２０の鍛造成形品２１は、従来、
第４図に略示するように、中央にポンチ１８を備
えた上型１６と、中央にポンチ１９を備えた下型
１７とを主体とする鍛造型により、その上型１６
を下型１７に型合わせして、素材２４を閉塞鍛造
することによつて成形されていた（例えば、特開
昭52−5645号公報）。しかし、このような鍛造型
にあつては、各型１６，１７に対し軸方向に加わ
る型打ち荷重と半径方向に加わる型打ち荷重との
方向および大きさが異なる２つの荷重が加わるこ
とにより、各型１６，１７の各凹部６ａ，７ａの
底面６ｂ，７ｂと側面６ｃ，７ｃとのつながる隅
角部分に型割れCRを起こし易く、型寿命が比較
的短かいという欠点があつた。なお、型割れCR
を起こした型１６，１７により閉塞鍛造を行う
と、鍛造成形品２１にバリができたり、ボール溝
２０ａ〜２０ａのピツチ誤差が増大したりする
等、後の機械加工上の不具合の原因となるため、
型１６，１７の交換を余儀無くされる。

［考案の目的］ そこで、この考案は、上記した従来の欠点に鑑
みて案出したもので、その目的とするところは、
等速自在継手の内輪を閉塞鍛造する上型および下
型の型打ち荷重による型割れを防止することので
きる鍛造型を提供し、もつて型寿命の延長を図る
ことにある。

［考案の構成］ 上記した目的を達成するためのこの考案は、上
型を下型に型合わせすることにより、素材を閉塞
鍛造して等速自在継手の内輪の鍛造成形品とする
等速自在継手の内輪の鍛造型であつて、しかも、
前記の上型および下型は、軸方向の型打ち荷重を
受ける底面支持インサート型と、半径方向の型打
ち荷重を受ける側面支持インサート型と、これら
両インサート型を圧入したホルダとからそれぞれ
構成し、この上型と下型との各インサート型の集
合によつて前記の鍛造成形品に対応する空洞部が
形成され、さらに、底面支持インサート型と側面
支持インサート型は、前記空洞部の上下端面と同
一平面をなす分割面をもつて分割されていること
を要旨とするもので、方向および大きさの異なる
軸方向の型打ち荷重と半径方向の型打ち荷重が各
インサート型にて個別に受承されるところに特長
がある。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を説明する。鍛造型
の断面を示した第５図、下型の平面を示した第６
図において、鍛造型は、中央にポンチ３１を備え
た上型３０と、中央にポンチ４１を備えた下型４
０とを主体として成る。上型３０の凹部３２と下
型４０の凹部４２とは両型３０，４０の型合せに
より鍛造成形品２１（第２図および第３図参照。）
に対応する空洞部Ａを形成するようになつてい
る。しかして、上型３０および下型４０は、凹部
３２，４２の底面３３，４３を通る半径方向の面
において、その各底面３３，４３を含む円板状の
底面支持インサート型３５，４５と、凹部３２，
４２の側面３４，４４を含む略環状の側面支持イ
ンサート型３６，４６とにそれぞれ分割されてお
り、かつ両インサート型３５および３６，４５お
よび４６をそれぞれ圧入した環状のホルダ３７，
４７とから構成されている。さらに、前記底面支
持インサート型３５，４５と側面支持インサート
型３６，４６は、前記空洞部Ａの上下端面、すな
わち前記底面３３，４３と同一平面をなす分割面
をもつて分割されている。なお、ホルダ３７，４
７に対し側面支持インサート型３６，４６は底面
支持インサート型３５，４５よりも大なる圧入代
をもつて圧入され、その圧入効果により支持剛性
が高められ、一層の型割れ防止対策が施されてい
る。

上記した鍛造型によれば、従来と同様に、上型
３０を下型４０に型合わせして、素材を閉塞鍛造
することによつて鍛造成形品２１が成形される。
しかして、上型３０と下型４０との型合せ時にお
ける軸方向の型打ち荷重は底面支持インサート型
３５，４５にて受承されるとともに半径方向の型
打ち荷重は側面支持インサート型３６，４７にて
受承されることになる。したがつて、方向および
大きさの異なる軸方向の型打ち荷重と半径方向の
型打ち荷重が各インサート型３５および３６，４
５および４６に個別に受承される。

［考案の効果］ すなわち、この考案は、前述した構成を要旨と
するものであるから、上型および下型各インサー
ト型に軸方向の型打ち荷重と半径方向の型打ち荷
重を個別に受承させることができ、大きさおよび
方向の異なる型打ち荷重による型割れを防止する
ことができる。これによつて、従来に比し、型寿
命を大幅に延長することが可能である。

さらに、本考案によれば、底面支持インサート
型と側面支持インサート型がホルダに圧入されて
いるため、その圧入効果によつて両インサート型
の支持剛性が高められて補強される結果、一層の
型割れ防止効果が得られる。

また、底面支持インサート型と側面支持インサ
ート型は、前記空洞部の上下端面と同一平面をな
す分割面をもつて分割されていることにより、底
面支持インサート型は鍛造成形品の端面のみを成
形すれば良いと共に側面支持インサート型は鍛造
成形品の側面のみを成形すれば良く、また底面支
持インサート型及び側面支持インサート型の接合
面（分割面）も単なる平面で良いことから、底面
支持インサート型と側面支持インサート型との位
置合わせが容易になされるだけでなく、各支持イ
ンサート型の設計及び製作が容易となる効果も認
められる。例えば、インサート型が内外のインサ
ート型として分割されるような場合では、鍛造成
形品の形状を考慮して縦バリの生じにくい位置に
て分割する必要があるので、各支持インサート型
の鍛造成形品の成形形状及び型形状が複雑とな
り、両分割型の位置合わせも難しく、型の設計及
び製作が難しい不具合が生じるが、本考案では、
上記したような理由から前記不具合が改善され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はバーフイールド型等速自在継手の断面
図、第２図は内輪の鍛造成形品の平面図、第３図
は第２図の−線断面図、第４図は従来の鍛造
型を示す断面略示図、第５図および第６図はこの
考案の一実施例を示すもので、第５図は鍛造型の
断面略示図、第６図は下型の平面図である。 ２０……内輪、２１……鍛造成形品、３０……
上型、３５……底面支持インサート型、３６……
側面支持インサート型、３７……ホルダ、４０…
…下型、４５……底面支持インサート型、４６…
…側面支持インサート型、４７……ホルダ、Ａ…
…空洞部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上型を下型に型合わせすることにより、素材を
   閉塞鍛造して等速自在継手の内輪の鍛造成形品と
   する等速自在継手の内輪の鍛造型であつて、しか
   も、前記の上型および下型は、軸方向の型打ち荷
   重を受ける底面支持インサート型と、半径方向の
   型打ち荷重を受ける側面支持インサート型と、こ
   れら両インサート型を圧入したホルダとからそれ
   ぞれ構成し、この上型と下型との各インサート型
   の集合によつて前記の鍛造成形品に対応する空洞
   部が形成され、さらに、底面支持インサート型と
   側面支持インサート型は、前記空洞部の上下端面
   と同一平面をなす分割面をもつて分割されている
   ことを特徴とする等速自在継手の内輪の鍛造型。