JPH0221999B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は船の推進装置に係り、更に詳細にいえ
ば、プロペラのスラストを増大するかプロペラを
水中の障害物から保護するかもしくはその両方の
目的でプロペラを包囲するシユラウドを含む船外
機、船尾駆動ユニツト等の如き船の推進装置に係
るものである。

プロペラで駆動される船の推進装置が生じるス
ラストがプロペラを包囲しヴエンチユリ状の水の
流路を形成するいわゆるコルト型シユラウドすな
わちノズルを使用することにより増大できるとい
うことは知られている。最大の効率にするには、
このようなノズルの外形はノズルの入口または口
における直径より大としてはならない。比較的に
高い前進速度用に設計したノズルにおいては、ノ
ズルの外径をノズルの入口より大きくしないよう
にするにはかけられた荷重のすべてに耐えるに十
分な構造的強度を有しない薄いノズル断面を必要
とする。また、ノズルの後部は理想的には薄い後
縁部にまでテーパ状にする必要がある。しかしな
がら、このような形状を有するノズルは水中の障
害物に衝突すると損傷しやすい。１つの実際的な
折衷案として、一般にはたとえ流体の動的抗力が
増大しても他の部分より厚くまた鈍角の端部を有
する断面のノズルを使用する必要がある。

プロペラで駆動される船の推進装置用のコルト
型ノズルの例が1936年２月11日付の米国特許第
2030375号、1970年３月10日付の米国特許第
3499412号および1970年４月28日付の米国特許第
3508517号明細書に記載されている。同様なノズ
ルを含んでいるジエツトで推進される船の推進装
置が1966年３月３日付の米国特許第3249083号お
よび1970年２月10日付の米国特許第3494320号明
細書に記載されている。また船底すなわちビルジ
から水を圧送するサイホンとして作用するよう配
置されてプロペラを包囲するガードを記載した
1964年９月22日付の米国特許第3149605明細書も
参照されたい。

本発明の目的は、後縁部が鋭いテーパ状になつ
ておらず比較的厚く十分な機械的強度を有するに
もかかわらず、後縁部に大きな流体の抵抗が作用
しないシユラウドを備えた船の推進装置を提供す
ることである。

この目的を達成するため、本発明では、シユラ
ウドは下部ユニツトの運動経路を横切り延びてい
る後縁端面で終わる形態とし、またこの後縁端面
の背後の帯域にガスを供給する手段を設け、該手
段を、後縁端面に設けられシユラウドの後方にガ
スを放出する開口を含むものとした。

かかる構成をとる結果、本発明では、シユラウ
ドの後縁部分は鋭いテーパとする必要がないため
強度的に問題がなく、かつ後縁端面の開口より放
出されるガスにより大きな流体抵抗が発生するこ
とが阻止される。

第１図には船尾駆動ユニツトか船外機で良い船
の推進装置１０が部分的に示してあり、この装置
１０は通常では水面下に没している下部すなわち
歯車箱１４を有する推進ユニツトすなわち下部ユ
ニツト１２を含んでいる。歯車箱１４にはプロペ
ラ１８を支持しているプロペラ・シヤフトが回転
可能に支持されている。プロペラ・シヤフトは歯
車箱１４内に位置決めできる適当な伝動装置（図
示せず）を介して内燃機関に駆動接続されてい
る。プロペラ１８はハブ２０とそれから半径方向
に外方に延びている少くとも一連の羽根２２とを
含んでいる。ハブ２０は半径方向に外方に延びて
いるフレア２６で終るほぼ円筒形状の部分２４を
含んでいる。プロペラの羽根２２はそれぞれ第２
図に詳細に示してあるように平たいものが好まし
い外方先端部２８で終つている。

環状のシユラウドすなわちノズル３０が歯車箱
１４から延びプロペラ１８を包囲している。種々
の配置を使用できるが、図示した特定の構造で
は、シユラウド３０はプロペラのスラストを増大
させるためコルト型ノズルとして機能するよう配
置されている。シユラウドすなわちノズル３０
（第２図）はプロペラの羽根の先端部２８の円形
の運動通路の前方に位置決めされた丸味を付して
ある前端すなわち先端部分３２と鈍角すなわちほ
ぼ真直な後縁部３６で終る後端部分３４とを有
し、この後縁部３６はプロペラの羽根の先端部２
８の運動通路の後方に位置決めされ下部ユニツト
１２の運動方向を横切り延びている。ノズル３０
の内部側壁３８はコルト型ノズルの通常のヴエン
チユリ状輪郭を有する水流通路４０を形成し、下
部ユニツト１２が水中を前進中水はこの通路４０
を矢印４１で示した方向に流れる。この点に関し
て、内部側壁３８の内径はノズル３０の水の入口
すなわち前端部においてはプロペラの羽根の先端
部２８の運動通路の付近におけるより大きくプロ
ペラのスラストを増大させるため好ましいヴエン
チユリ効果を生じるようにしてある。

下部ユニツト１２が水中を運動する際に、特に
船が高速で航走する場合にノズル３０の鈍角の後
縁部の背後すなわち後部には低圧帯域が生じる。
この低圧帯域にガスを供給する手段が設けてあ
る。種々の配置を使用できるが、図示した特定の
構造では、このような手段はノズル３０の後端部
３４に設けた環状凹所４２を含んでいる。この環
状凹所４２は後方が低圧帯域に開放し、後縁部３
６から前方に延び適当なガス源に連通して接続さ
れている。

第１図と第２図とに示した具体例では、ノズル
３０の後縁部分３４は周囲がほぼ均一な厚味を有
していてガス源としてエンジンの排気が使用され
る。更に詳細にいえば、下部ユニツト１２は排気
通路（略図で示してある）を含み、この排気通路
はエンジンの排気と環状凹所４２とに連通して接
続されている。

運転すると、エンジンから排出された排気は環
状凹所４２を経てノズル３０の後縁部３６の背後
の低圧帯域に供給されそれによりこの帯域を通気
し船の推進装置１０に作用する抗力を減少する。
抗力をこのように減少すると船の推進装置１０が
生じるスラストを増大する結果となる。

ノズル３０の外部側壁５０の丸味を付した先端
部分３２から後縁部３６にまで延びている部分は
第２図に示してあるように後方に行くに従い内方
に僅かにテーパを付して圧力を幾分回復するよう
にすることが好ましい。

ノズル３０はプロペラのスラストを増大させる
ほかにまたプロペラが水中の障害物により損傷さ
れないよう保護するガードとしても作用する。ノ
ズル３０はこの目的に最善に役立つか運転中にノ
ズルにかけられる通常の荷重に耐えるかその両方
のため全長にわたり適当な厚味の断面を有してい
る必要がある。鈍角の後縁部により通常生じる抗
力が減少されるので、前記したように、ノズル３
０の後縁部分３６は抗力をあまり増大することな
く従来技術のノズルの薄い流線形の後部より可成
り大きい断面厚味を有することができる。もし所
望ならば、ノズルの断面厚味は丸味を付した先端
部分３２を除いてノズルの全長に沿いほぼ均一に
できる。また、外部の側壁５０の先端部分から後
縁部３６までの部分は滑かな円筒形状を有し下部
ユニツト１２の運動方向にほぼ平行にしてほぼ直
線に延びることができる。ノズルの前記した内部
と外部との輪郭は前記した理由で一般に好ましい
が、プロペラの特定の構造と作動条件とに対して
好適な圧力効果を得るためコルト型ノズルに対し
て他の種々の慣用の輪郭を使用できる。

排気通路４４はエンジンの排気の一部分がプロ
ペラの回転中プロペラのハブ２０の背後に生じた
低圧帯域すなわちハブ渦に供給されてそれを通気
するような配置にできる。第１図と第２図とに示
した特定の構造では、排気通路４４は略図で示し
てありプロペラのハブ２０を貫通して軸線方向に
延びているダクト５２を含んでいる。ある用途で
は、ハブ渦を通気する必要のないこともありまた
プロペラのハブ２０にはフレア２６の代りに流線
形のおおいを設けることができる。

ノズルの凹所４２から水を通り大気にガスが漏
洩するのを防止する手段が設けてある。第１図に
示した特定の構造では、このような手段はノズル
３０の上方できつ水線の付近で下部ユニツト１２
の後端部５４を後方に向け流線形にすることを含
む。この配置では、下部ユニツト１２が前方に運
動せしめられるに従い、水はノズル３０の上方で
後端部５４の背後に収斂すなわち閉じガスがノズ
ルの凹所４２から大気に上方に移動するのを防止
する障壁として作用する。

キヤビテーシヨン防止板５６を設けることによ
りノズルの凹所４２から水面を通りガスが漏洩す
ることを防止し、このキヤビテーシヨン防止板５
６はノズル３０の上方で下部ユニツト１２から延
び水線の下方でノズル３０の後縁部３６を越えて
後方に延びている後縁部５８を有している。キヤ
ビテーシヨン防止板５６は下部ユニツト１２の後
縁部５４の背後においてノズルの凹所４２からガ
スが通り大気に逸出することのある水流パターン
中の空所が生じるのを防止するようにしてある。

第３図に示した変形した構造では、ノズル３０
の後縁部３６の背後の低圧帯域を通気するガスと
して大気が使用される。下部ユニツト１２ａは環
状凹所４２と水面６４の上方に位置決めされた空
気取入れ口孔すなわちダクト６２とに連通してい
る空気またはガス通路６０を含んでいる。ノズル
の後縁部の背後に生じた大気圧より低い状態によ
り、大気圧の空気は空気取入れダクト６２と、ガ
ス通路６０と環状凹所４２とを経て低圧帯域に吸
入される。

第４図に示す変形した構造では、大気の空気は
ノズルの凹所４２に直接流れる、すなわち、内部
のダクトは省略されている。更に詳細にいえば、
下部ユニツト１２ｃの運動方向を横切り延びてい
る鈍角の表面７０がノズル３０ｃの上方できつ水
線（符号７２で示してある）の付近にして下部ユ
ニツト１２ｃの後端部分５４ｃに設けてある。下
部ユニツト１２ｃが水中を前方に運動せしめられ
るに従い、水面を割る空所帯域が図示した如く鈍
角の表面７０の背後に生じる。大気の空気はこの
空所帯域７４を通りノズル３０ｃの後縁部３６ｃ
の背後にある低圧帯域に向け流れることができ
る。

図示してあるように、ノズル３０ｃの後端部分
３４ｃは頂部における断面を厚くし底部における
断面を薄くして周囲の厚味に差を付すことが好ま
しい。このように差を付すと空所帯域７４に連通
する更に大きい面積の低圧帯域を生じ大気の空気
がノズルの凹所４２ｃの周囲に入りそのまわりに
流れるのを促進する。鈍角の表面７０にはノズル
の凹所４２ｃに開放し大気の空気がノズル４２ｃ
に流入するのを更に促進するよう前方に延びた凹
所７６を設けることができる。

以上、ガス供給手段をプロペラのスラストを増
大するように配置したコルト型ノズルに関連して
説明したが、プロペラのガードとしてのみ作用す
るようにしたシユラウドの後縁部に生じる抗力を
減少するにもこのガス供給手段を使用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の種々の特徴を備えた船の推進
装置の下部ユニツトの部分略図斜視部分図、第２
図は第１図のほぼ２―２線に沿い切断して示した
断面図、第３図はガス供給手段の変形例を示す立
面部分図、第４図は大気の空気の外部の流れを促
進する配置にした変形構造を示す第１図に似た斜
斜部分図である。 １０…推進装置、１２…下部ユニツト、１４…
下部、１８…プロペラ、２０…ハブ、２２…羽
根、２４…円筒形部分、２６…フレア、２８…外
部先端部、３０…シユラウド、３４…端部々分、
３６…後縁部、４０…通路、４２，４４…ガス供
給手段、５６…キヤビテーシヨン防止板、５８…
キヤビテーシヨン防止板の後端部、６０…ガス通
路、６２…ダクト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 通常では水中に没する下部を有する下部ユニ
   ツトと、下部ユニツトにより支持され外部先端部
   で終る少なくとも１つの半径方向に延びている羽
   根を有している回転可能なプロペラと、プロペラ
   の羽根を取り巻き水が流れる通路を形成し且つプ
   ロペラの羽根の先端部の運動通路の後方に位置決
   めされ下部ユニツトの運動通路を横切り延びてい
   る後縁端面で終る後端部分を有している環状のシ
   ユラウドと、下部ユニツトが水中を前進中シユラ
   ウドの前記後縁端面の背後の帯域にガスを供給す
   る手段とを備えて成り、該手段は前記後縁端面に
   設けられシユラウドの後方にガスを放出する開口
   を含んでいることを特徴とする船の推進装置。 ２ シユラウドの後縁端面がほぼ平坦である特許
   請求の範囲第１項の船の推進装置。 ３ ガス供給手段がシユラウドの後縁端面に設け
   られシユラウドの背後の帯域に後方に開放しシユ
   ラウドの後縁端面から前方に延びている環状凹所
   を有し、該環状凹所により前記開口が形成され、
   ガス供給手段はさらに、環状凹所をガス源に連通
   して接続する接続手段とを含んでいる特許請求の
   範囲第１項の船の推進装置。 ４ 前記接続手段が環状凹所と連通した出口を有
   して下部ユニツトに設けたガス通路を含んでいる
   特許請求の範囲第３項の船の推進装置。 ５ 下部ユニツトの前記下部が、シユラウドの上
   方に位置決めされ下部ユニツトが水中を前進中に
   自体の背後に水の障壁を形成して環状凹所からガ
   スが上方に移動するのを防止するため後方に向け
   流線形になつている後部を含んでいる特許請求の
   範囲第４項の船の推進装置。 ６ 更にまたシユラウドの上方に位置決めされて
   下部ユニツトの前記下部に設けられシユラウドの
   後縁端面を越えて後方に延びている後端部を有し
   ている横方向に延びているキヤビテーシヨン防止
   板を更に含んでいる特許請求の範囲第４項の船の
   推進装置。 ７ プロペラがエンジンに駆動接続され、ガス通
   路がエンジンに連通した排気通路を含んでいる特
   許請求の範囲第４項の船の推進装置。 ８ 更にまた水面の上方に位置決めされガス通路
   に連通している空気取入れダクトを含んでいる特
   許請求の範囲第４項の船の推進装置。 ９ シユラウドがプロペラのスラストを増大する
   ヴエンチユリ状水流通路を形成するコルト型ノズ
   ルであり、シユラウドの後縁端面がほぼ平坦であ
   る特許請求の範囲第１項の船の推進装置。 １０ シユラウドが先端部分と該先端部分から後
   縁端面にまで後方に行くに従い内方にテーパを付
   した外部側壁とを含んでいる特許請求の範囲第７
   項の船の推進装置。 １１ 更にまた半径方向に外方に延びているフレ
   アで後端が終る円筒形部分を有するプロペラ・ハ
   ブを含んでいる特許請求の範囲第１項の船の推進
   装置。 １２ 下部ユニツトの前記下部が後端部分を含
   み、ガス供給手段がシユラウドの後縁端面の背後
   の帯域に後方に開放してシユラウドの後端部分に
   設けた環状凹所を含み、更にまたシユラウドの上
   方に位置決めされ下部ユニツトの運動方向を横切
   り延び下部ユニツトの前進運動中シユラウドの後
   端部の背後で大気と環状凹所とに連通して水中に
   空所帯域を生じるよう後端部分に設けたほぼ平坦
   な表面を含んでいる特許請求の範囲第１項の船の
   推進装置。 １３ シユラウドが頂部と底部とを有し、シユラ
   ウドの断面厚味が底部においてより頂部における
   方が大である特許請求の範囲第１２項の船の推進
   装置。