JPH0220376Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、複数の押しピンの長さを種々変え
て、膨大な数の鍵との組み合わせが可能な軸方向
ピンタンブラー錠に関する。

軸方向ピンタンブラー錠は、回動軸に嵌挿され
る複数の押しピンが種々その長さを変えられてお
り、その押しピンの長さパターンに対応するピン
溝を形成した鍵だけが開錠できるものである。

しかし、従来の軸方向ピンタンブラー錠は、外
筒の前端内周にキー溝を有する鍔部が形成され、
その鍔部内周によつてキー穴が形成され、このキ
ー穴には、外筒に対して回動自在に装着されてい
る回動軸のキー溝を有する円柱部が配置され、さ
らに、回動軸のフランジ部に嵌挿されている所定
長さの押しピンが端部を外周鍔部裏面に当接させ
るとともにその一部をキー穴からのぞかせている
ものであり、このキー穴は円筒状のものを差し込
める形状であつた。そのため、最近一つの不正器
具によつて種々のパターンの軸方向ピンタンブラ
ー錠が不正に開錠される問題が起きている。この
不正器具は、内周に回動軸円柱部のキー溝に対応
する突起を設け、外周に軸方向ピンタンブラー錠
の押しピンに対応して軸方向に摺動可能なピアノ
線などの棒状体を配設した軸方向ピンタンブラー
錠のキー穴に対応する大きさの円筒物であり、こ
の器具をキー穴に差し込み、端部から棒状体を押
しピンの長さに対応させて出し入れし、軸方向ピ
ンタンブラー錠の施錠状態を解き、そのまま器具
を回して不正に開錠できるものであつた。

この考案は、上述の問題点を解決できるもの
で、既述の不正器具をキー穴に挿入することがで
きず、あるいは、挿入させてもその不正器具を開
錠方向へ回すことができず、不正器具によつて開
錠されない軸方向ピンタンブラー錠を提供するこ
とを目的とする。

この考案の要旨は、前端内周に鍔部を設けてキ
ー穴が形成されている外筒と、複数のロツクピン
が前方へ付勢されて嵌挿されている外筒内後端で
固着される内筒と、前端には外周にキー溝を有し
キー穴に配置される円柱部が形成されるとともに
後端にはアームが固着され、さらに中間部におい
てフランジ部が形成されフランジ部内に一端をロ
ツクピンに当接させ他端一部を鍔部裏面に当接さ
せてキー穴からのぞかせる所定長さの押しピンが
嵌挿されている内外筒内に回動自在に装着される
回動軸とから構成される軸方向ピンタンブラー錠
において、外筒の鍔部内周に突出部を形成したこ
とを特徴とする軸方向ピンタンブラー錠にある。

以下、この考案の実施例を図例に基づいて説明
する。

第１図はこの考案における実施例の軸方向ピン
タンブラー錠を示す分解斜視図、第２図は同実施
例の縦断面図、第３図は同実施例の正面図、第４
ａ図，第４ｂ図はそれぞれ同実施例に対応する鍵
の正面図・側面図である。

実施例の軸方向ピンタンブラー錠は、外筒１、
内筒４、及び回動軸３から構成され、外筒１に
は、その前端内周に鍔部１ｅが形成され、鍔部１
ｅ内周にキー溝１ｂが形成されてキー穴１ａが形
成されている。外筒１内後端には固定ピン１０に
よつて内筒４が固着されている。

内筒４には、所定位置に前方を開孔させた複数
のロツクピン穴４ａが穿設され、それぞれのロツ
クピン穴４ａにはばね６によつて前方へ付勢され
軸方向へ摺動可能なロツクピン５が嵌挿されてい
る。

外筒１及び内筒４内には回動自在に回動軸３が
装着され、回動軸３は、前端のキー溝３ｂが形成
されている円柱部３ｄをキー穴１ａに配置させて
る。また、回動軸３の後端には、ワツシヤ１１及
びナツト１２によつて制限板７と相手部材に係止
されるアーム８が固着されている。この制限板７
は外筒１後端に突設されているストツパ１ｃに当
接することによつて、回動軸３の回動角度を約90
度に制限するものである。さらに、回動軸３の中
間部にはフランジ部３ａが形成され、フランジ部
３ａには、内筒４のロツクピン穴４ａに対応して
押しピン穴３ｃが軸方向に貫通して穿設され、こ
の押しピン穴３ｃにはそれぞれ所定の長さの押し
ピン２が嵌挿されている。そして、この押しピン
２はそれぞれ一端をロツクピン５の端部に当接さ
せ、他端を外筒鍔部１ｅ裏面に当接させるととも
にその他端一部をキー穴１ａからのぞかせてい
る。

以上の構成は、従来の軸方向ピンタンブラー錠
と同様の構成であるが、実施例の軸方向ピンタン
ブラー錠には、外筒１においてその鍔部１ｅ内周
のキー溝１ｂ両側に、キー穴１ａを狭くする突出
部１ｄが形成されている。

そして、実施例の軸方向ピンタンブラー錠に対
応する鍵９は、先端にキー穴１ａにほぼ対応する
円筒部９ｄが形成され、この円筒部９ｄ外周には
回動軸３の押しピン２に対応するピン溝９ｃが形
成されるとともに外筒鍔部１ｅのキー溝１ｂに対
応する突起９ａが形成され、円筒部９ｄ内周には
回動軸３のキー溝３ｂに対応する突起９ｂが形成
され、円筒部９ｄ後方には把持部９ｆが形成され
ている。以上の構成は従来の軸方向ピンタンブラ
ー錠の鍵と同様であるが、この実施例の軸方向ピ
ンタンブラー錠に対応する鍵９は、円筒部９ｄの
外周に外筒鍔部１ｅの突出部１ｄに対応して、円
筒部９ｄの一部を切り欠いた切欠部９ｇが形成さ
れ、さらに、円筒部９ｄ後方に環状溝９ｅが形成
されているものである。

つぎに、この軸方向ピンタンブラー錠の使用態
様について説明する。

施錠状態においては、ロツクピン５前端がばね
６によつて回動軸３のフランジ部３ａ内に挿入さ
れており、回動軸３は回動できない。

鍵９の円筒部９ｄをキー穴１ａに対応させて押
し込むと、回動軸３のキー溝３ｂに円筒部９ｄの
突起９ｂが係合し、また、ピン溝９ｃがそれぞれ
所定長さの押しピン２を後方へ移動させ、全ての
ロツクピン５前端と押しピン２後端とを内筒４と
フランジ部３ａとの当接面と一致させて施錠状態
を解かせる。この時、外筒鍔部１ｅ内周には突出
部１ｄが形成されているが、鍵９の円筒部９ｄに
は切欠部９ｇが形成されており、円滑に鍵９を挿
入させることができ、そして、鍔部内周の突出部
１ｄを環状溝９ｅの位置へ配置させることができ
る。

その後、鍵９を回せば、突起９ｂがキー溝３ｂ
に係合され、環状溝９ｅ内に鍔部内周の突出部１
ｄが位置しているので、回動軸３が回動できて、
アーム８を解錠位置へ回動させることができる。
なお、この解錠位置では、鍵９の突起９ａが鍔部
１ｅ裏面に、また、鍵９の環状溝９ｅの縁が鍔部
内周の突出部１ｄに当接することとなり、キー穴
１ａから鍵９が抜けず、軸方向ピンタンブラー錠
が装着されている扉などを鍵９の把持部９ｆを把
手として使用して開けることができる。

そして、施錠する場合には、元の位置まで鍵９
を回動させ、引き抜けば、ロツクピン５がそれぞ
ればね６によつて回動軸のフランジ部３ａ内に進
入し、元の施錠状態となる。

したがつて、この実施例の軸方向ピンタンブラ
ー錠は、外筒鍔部１ｅ内周に突出部１ｄが形成さ
れており、既述の外周に棒状体を配設している円
筒状の不正器具を挿入させようとしても、突出部
１ｄに邪魔されて挿入できず、また、突出部１ｄ
に対応する切欠部を不正器具の外周に設けたとし
ても、棒状体が突出部１ｄに当たつて不正器具を
回すことができず、軸方向ピンタンブラー錠を不
正に開錠させることができない。

なお、図例では、鍔部１ｅ内周の突出部１ｄを
キー溝１ｂの両側に設けたものを示したが、どち
らか一方に設けたものでも同様の効果を奏し、さ
らに、押しピン２の摺動作用に影響を与えなけれ
ばキー溝１ｂの近傍でなくとも他の位置に形成し
てもよい。

また、図例では、鍔部１ｅ内周にキー溝１ｂを
形成したものを示したが、これは、鍵９の挿入位
置の目印となるように形成されているだけで、設
けなくとも同様の効果を奏する。

この考案は、以上のように、外筒の鍔部内周に
突出部を形成したので、円筒状の不正器具をキー
穴に挿入することができず、あるいは挿入されて
もその不正器具を開錠方向へ回すことができず、
不正器具によつて開錠されることを防止すること
ができる。また、従来の軸方向ピンタンブラー錠
と比べて鍔部内周に突出部を設けるだけですみ、
鍵も切欠部と環状溝を設けるだけですみ、安価に
不正器具によつて開錠されない軸方向ピンタンブ
ラー錠を製造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案における実施例の軸方向ピン
タンブラー錠を示す分解斜視図、第２図は同実施
例の縦断面図、第３図は同実施例の正面図、第４
ａ図、第４ｂ図はそれぞれ同実施例に対応する鍵
の正面図・側面図である。 １……外筒、１ａ……キー穴、１ｅ……鍔部、
１ｄ……突出部、２……押しピン、３……回動
軸、３ａ……フランジ部、３ｂ……キー溝、３ｄ
……円柱部、４……内筒、５……ロツクピン、８
……アーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前端内周に鍔部を設けてキー穴が形成されてい
   る外筒と、複数のロツクピンが前方へ付勢されて
   嵌挿されている前記外筒内後端で固着される内筒
   と、前端には外周にキー溝を有し前記キー穴に配
   置される円柱部が形成されるとともに後端にはア
   ームが固着され、さらに中間部においてフランジ
   部が形成され該フランジ部内に一端を前記ロツク
   ピンに当接させ他端一部を前記鍔部裏面に当接さ
   せて前記キー穴からのぞかせる所定長さの押しピ
   ンが嵌挿されている前記内外筒内に回動自在に装
   着される回動軸とから構成される軸方向ピンタン
   ブラー錠において、前記外筒の鍔部内周に突出部
   を形成したことを特徴とする軸方向ピンタンブラ
   ー錠。