JPH021771B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、内部に上方から下方への新気の流れ
と、これに代わつて下方から上方への排気の流れ
とを生じさせる互いに隣接して配列された多数の
通路を有し、これらの通路の間に乱流口を設けて
成るガラス溶融窯の直立蓄熱室用格子積（ないし
はチエツカーワーク）に関する。

［従来の技術］ 格子積の垂直通路の間で通路の壁体に比較的小
さな横開口を設け、この開口が通路の間の圧力の
平衡のために利用されることは公知である。

オーストリア特許第372364号又は特開昭58−
210495号公報によれば、通路の壁体の横開口は乱
流口として形成され、ガスの膨張室の働きをし、
流れの撹乱が生じるので蓄熱用壁体材料と流れ媒
質との間の熱伝達が促進される。その場合、格子
積の製造のために、八角形外周横断面と四角形内
周横断面を有し、貫通する通路を備えた角柱状の
耐火物製中空煉瓦が使用される。通路を規定する
少くとも１個の、好ましくはそれぞれの壁体が中
空煉瓦の底面に達する開口を具備することによつ
て、乱流口を形成することができる。格子積は同
じ大きさの煉瓦から成る。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は、与えられた蓄熱室容積のもので煉瓦
積系統が熱交換のために提供する伝熱面積と並ん
で、空気流通時の熱伝達が蓄熱室の効率にとつて
決定的に重要であるが、ガス流通時の熱伝達は副
次的な役割を演じるに過ぎないという知見から出
発する。

本発明の目的は、蓄熱室の構造を空気流通時に
支配する条件に適応させ、それによつて熱伝達を
改善することである。

［問題点を解決するための手段、作用、発明の効
果］ 本発明に基づき、それぞれ隣接して上下に並ん
だ２個の乱流口の垂直間隔が格子積の最下位区域
で最も大きく、格子積の上端に向かつて次第に減
少するように構成することによつて、上記の目的
が達成される。

熱は高温の煉瓦から低温の燃焼空気へほとんど
対流だけで伝達される。全対流熱伝達は吸込ない
しは押込によつて、すなわち力を消費して発生さ
れる強制的対流及び壁体と流動媒質の温度差によ
つて誘起される、浮揚作用に基づく自由対流から
成る。格子積の下部区域では煉瓦と空気の温度
差、それと共に浮揚作用が大きい。本発明に基づ
く格子積は格子積下部区域で大きな平滑な伝熱面
を与えるから、浮揚作用によつて誘起される対流
熱伝達が十分に効果を発揮する。

煉瓦と空気の間の温度差は上へ向かつて減少し
て行き、それと共に浮揚作用が低下する。本発明
に基づく格子積は上へ向かつて乱流口が増加し、
横向きの流れを受ける多数の伝熱面を有するの
で、これらの乱流口が流れを撹乱する。こうして
ひき起こされる乱流が格子積の上部区域の対流熱
伝達を促進する。

蓄熱室のガス流通時には排気から煉瓦への熱伝
達は主として放射によつて行われる。その効果に
とつて重要なのは通路の幅だけである。ガラス溶
融窯では排気は侵食性粉塵が多量に負荷され、こ
の粉塵は格子積の下部低温区域に沈着して付着物
を形成する傾向がある。付着物の発生は格子積の
老化とみなされる。本発明に基づく格子積におい
ては最下位区域の大きな、平滑な垂直面によつて
付着物の傾向の減少という付加的利点が与えられ
る。

この意味で格子積の最下層に乱流口を設けない
ことが望ましい。

本発明の実施態様として、２個の上下に重なる
乱流口の垂直間隔が乱流口を具備する最下位の格
子積区域で格子積の中段にある垂直間隔の３倍以
下、最下位の格子積区域で0.3倍以下であるなら
ば、上述の利点が特に効果を示す。

通常、格子積は上下に重なり合う耐火煉瓦層で
構成され、煉瓦は成形によつて乱流口を形成す
る。

異なる煉瓦寸法の数が少数で間に合うように、
２つの乱流口の垂直間隔が格子積の高さ方向に段
階的に減少することが望ましい。

本発明に基づく格子積の建造のために、オース
トリア特許第365545号又は特開昭55−149139号公
報及びオーストリア特許第372364号又は特開昭58
−210495号公報で公知の、八角形の、好ましくは
かどが尖つた外周横断面と四角形の、場合によつ
ては隅角部を丸め又は面取りした内周横断面及び
上下に延びる貫通路を有する角柱形耐火物中空煉
瓦が適当である。その場合、乱流口は中空煉瓦の
少くとも１個の、好ましくはそれぞれの側壁の、
中空煉瓦の底面に達する穴部から成る。

高い比伝熱面積を得るために、通路の水力直径
と煉瓦の壁体の厚さの比が３ないし５の値となる
ように中空煉瓦を形成することが好ましい。な
お、水力直径は 関係式： 通路断面積×４÷通路断面の周囲 から得られる。ガラス溶融窯の格子積では120な
いし200mmであることが好ましい。壁体の厚さは、
例えば、40mmである。

中空煉瓦の側壁の穴部の面積が通路の内面の面
積の0.2ないし0.6倍であるならば、燃焼空気の乱
流のために好都合な開口が得られる。

中空煉瓦を層毎に互い違いに重積し、１つの層
それぞれ４個の中空煉瓦の中央に次に高い層の中
空煉瓦が来るようにすれば、特に安定な格子積構
造が得られる。

［実施例］ 以下、図面を参照して本発明を図面に基づいて
説明する。

第１図はガラス溶融浴２を収容する耐火物張り
の溶解槽１を示す。図示しないバーナを配設した
通路３，３′が溶解槽１の両側で蓄熱室４，４′に
通じており、蓄熱室４，４′にそれぞれ格子積
（Gitterung）ないしはチエツカワーク５，５′が
配設される。操業時に溶解槽１は、まず、通路
３′内に配設されたバーナによつて加熱される。
その時排気（加熱気）は通路３を通り、格子積５
を経て導かれ、その充填煉瓦を熱する。この煉瓦
が十分に加熱されると切換えられ、槽窯１の加熱
は通路３に配設されたバーナによつて行われる。
その際、燃焼空気が開口６を経て蓄熱室４に入
り、熱を吸収しながら格子積５を通過し、排気は
通路３′を経て蓄熱室４′に入り、熱を放出しなが
ら格子積５′を貫流し、開口６′から退出する。格
子積５′の加熱の後、再び切換えられ、今度は、
新気が開口６′を通つて格子積５′に入り、通路
３′で今使用中のバーナの排気が格子積５を貫流
し加熱した後、開口６を経て排気される。

第２図は蓄熱室４の本発明の格子積５の一例を
略図で示す。明らかに格子積５は異なる高さの種
種の層から成り、各層の高さは下から上へと段階
的に減少する。等しい高さの層を同じ参照符号で
示す。下から上へと１段の層５１、２段の層５
２、２段の層５３、３段の層５４及び４段の層５
５が認められる。最下層１を除き各層に乱流口
（Verwirbelungsoeffnungen）１０が配設されて
いる。

本発明の好適な実施態様によれば、第３図に示
す寸法の割合の中空煉瓦７１，７２，７３，７
４，７５で格子積５を製造することができる。そ
の場合、各層は縁端区域を除きそれぞれ等しい寸
法の煉瓦から成る。最も丈の高い煉瓦７１は最下
層５１を組立てるために使用される。やや低い中
空煉瓦７２が次に高い丈の層５２に使用される。
格子積の中段にある層５３には中間の高さの中空
煉瓦７３が使用される。次に低い中空煉瓦７４が
その上の層５４に来る。最上層５５は最も低い中
空煉瓦７５で構成される。中空煉瓦７２，７３，
７４及び７５は格子積５に乱流口１０を形成する
穴部１１を具備する。乱流口１０は格子積５の上
へ行くに従つて次第に狭くなる。最下層５１を構
成する中空煉瓦７１では穴部１１がなくてもよい
ことを示すために、穴部１１を破線で示す。極め
て高い丈の中空煉瓦７１及び７２の製造は事情に
よつては困難をきたすから、この寸法のものは第
３図に破線で示唆するように低い煉瓦部材で組立
て、互い違いにせずにやぐら状に重ね合わせれば
よい。

第３図で明からなように、中空煉瓦７１，７
２，７３，７４及び７５は高さが相違するが、構
造は、原則として、同様である。そこで、第４
図、第５図、第６図に基づいて順次行う説明で
は、中間の高さの中空煉瓦７３を取り上げる。

中空煉瓦７３は中空煉瓦７１，７２，７４及び
７５と同様に八角形の外側輪廓線と横断面が大略
四角形の中心貫通路８及びおおむね一様な壁体の
厚さＳを有する。中空煉瓦７３を層毎に互に違い
に重積すれば、１つの層では中空煉瓦７３の通路
８の内面により、隣の層では４個の相接する中空
煉瓦７３の外面により形成された垂直の通路が生
じる。中空煉瓦７３は、穴部１１を具備する。図
示の実施例では、穴部１１は中空煉瓦７３の通路
８を規定する４個の内面のそれぞれから中空煉瓦
７３の外面まで伸び、中空煉瓦７３の底面側が開
放している。この穴部１１は格子積５に乱流口１
０を形成する。

格子積５の構造を容易にし、確実にするため
に、各煉瓦７３の頂端にこの面から上方に延びる
突起９が設けられている。これらの突起９は台形
に形成され、その斜面１２は穴部１１の下部縁端
区域をなす斜面１３に対応する形状になつてい
る。こうして格子積５の安定な構造が保証される
から、壁体厚さＳを薄くした煉瓦を使用すること
が可能となる。

本発明の格子積５の充填煉瓦には、格子積煉瓦
のために考えられるすべての耐火物を使用するこ
とができる。耐火物として、特にマグネシア、ク
ロム鉱石、マグネシウムアルミニウム・スピカ
ル、アルミナ及びこれらの材料の混合物と苦土カ
ンラン石又はシヤモツトが適当である。上記の混
合物、例えば、マグネシアクロム
（Magnesiachromit）の焼結又は溶融粒状材料
も、必要ならば使用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はガラス溶融窯の略図の縦断面図、第２
図は本発明に基づく格子積を有する蓄熱室の略図
の縦断面図、第３図は第２図の格子積を構成する
ための５種の寸法の中空煉瓦の正面図、第４図は
本発明の格子積の１つの層の平面図、第５図は第
３図の中空煉瓦の斜視図、第６図は本発明に基づ
く格子積の一部の斜視図を示す。 １…溶解槽、２…ガラス溶融浴、３，３′…通
路、４，４′…蓄熱室、５，５′…格子積、６…開
口、８…貫通路、９…突起、１０…乱流口、１１
…穴部、１２…斜面、５１，５２，５３，５４，
５５…層、７１，７２，７３，７４，７５…煉
瓦、Ｓ…壁体の厚さ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内部に上方から下方への新気の流れと反対に
   下方から上方への排気の流れとを生じさせる互い
   に隣接して配列された多数の通路を有し、これら
   の通路の間に乱流口を設けたガラス溶融窯の直立
   蓄熱室用格子積において、上下に隣接した２個の
   乱流口１０の垂直間隔が格子積の最下位区域で最
   も大きく、格子積の上端に向かつて次第に減少す
   る構成としたことを特徴とするガラス溶融窯の直
   立蓄熱室用格子積。 ２ 前記格子積の最下層５１に前記乱流口１０を
   設けないことを特徴とする特許請求の範囲第１項
   に記載のガラス溶融窯の直立蓄熱室用格子積。 ３ 前記乱流口の垂直間隔が、それらの乱流口１
   ０を具備する格子積最下位区域５１，５２で格子
   積の中段５３にある乱流口の垂直間隔の３倍以
   下、格子積の最上位区域５５で格子積の該中段５
   ３にある乱流口の垂直間隔の0.3倍以下であるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項
   に記載のガラス溶融窯の直立蓄熱室用格子積。 ４ 前記隣接する２つの乱流口１０の垂直間隔が
   格子積の高さ方向に段階的に減少することを特徴
   とする特許請求の範囲第１項ないし第３項のいず
   れかの１項に記載のガラス溶融窯の直立蓄熱室用
   格子積。 ５ 八角形の外周横断面と実質的に四角形の内周
   横断面を有し上方のものほど丈が減少する耐火物
   製角柱状中空煉瓦７１，７２，７３，７４，７５
   を、前記通路を構成する上下に延びる貫通路８を
   形成するように、組み合わせ、該中空煉瓦の少な
   くとも１個に当該１個の中空煉瓦の外側に通じる
   穴部１１を設けて形成することを特徴とする特許
   請求の範囲第１項ないし第４項のいずれかの１項
   に記載のガラス溶融窯の直立蓄熱室用格子積。 ６ 前記中空煉瓦７１，７２，７３，７４，７５
   の水力直径が120ないし200mmの場合、前記通路８
   の水力直径は中空煉瓦の該中空煉瓦の壁体の厚さ
   Ｓの３ないし５倍の値になることを特徴とする特
   許請求の範囲第５項に記載のガラス溶融窯の直立
   蓄熱室用格子積。 ７ 中間及び最小の高さの前記中空煉瓦７３，７
   ４，７５の前記穴部１１の面積が前記通路８の面
   積の0.2ないし0.6倍であることを特徴とする特許
   請求の範囲第５項又は第６項に記載のガラス溶融
   窯の直立蓄熱室用格子積。 ８ 前記中空煉瓦７１，７２，７３，７４，７５
   が層毎に互い違いに重積されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第５項ないし第７項のいずれ
   かの１項に記載のガラス溶融窯の直立蓄熱室用格
   子積。