JPH0216081Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は流動床ボイラに係り、特に流動媒体が
風箱へ脱落するのを防ぐ媒体脱落防止装置に関す
るものである。

〔考案の背景〕

近年、流動床ボイラは各種燃料を燃焼するのに
適しており、火力発電所のボイラを始め、廃棄物
焼却炉等に使用されている。

石炭だき流動床ボイラについては、炉内に流動
媒体を充填し高温の空気を分散板ノズルより吹き
上げ流動層状態を作り出し、この中へ粉砕した石
炭を投入し燃焼させる装置である。流動床ボイラ
の特色は粉砕した石炭と流動媒体とがむらなく接
触するので極めて均一に効率よく石炭を燃やすこ
とができる。其の上、炉内の温度を約830℃付近
で燃焼した場合、窒素酸化物の発生が少なく、媒
体に石灰石、ドロマイト等を使うことで硫黄酸化
物の発生も防止することができ、またクリンカー
の生成も抑えることができるので公害防止の面か
ら有利である。またあらゆる炭種に利用できるた
め、扱いにくい燃料比の高い外国炭も十分に燃焼
することができ、最近のエネルギーの効率化の点
から大に重要視されている。しかし以下に記すよ
うに流動媒体が風箱へ脱落し長期連続運転に支障
を来たす短所がある。

従来の流動床ボイラの流動媒体の脱落防止装置
は第１図に示すようであり、流動媒体２は風箱８
より分散板ノズル５から空気の導入により分散板
３上で流動層となり、粉砕された石炭を給炭管７
より投入して流動燃焼する。流動燃焼の運転過程
において給炭管７の熱膨張による伸び又はボイラ
自体の振動等により、給炭管７と分散板３とのシ
ール機構の役目をしているキヤスター１０が損傷
穴明きされ、流動媒体２がキヤスター損傷部より
風箱８へ脱落する。このように従来の流動床ボイ
ラにおいては風箱に流動媒体が脱落するので、定
期的に休缶して風箱に堆積した流動媒体を取り除
かねばならず、その上減少した媒体を補給しなけ
ればならなかつた。従つて従来の流動媒体脱落装
置は不十分で、ボイラのメンテナンスが大変であ
り、且つ常時流動媒体の脱落を監視する必要があ
り、流動床ボイラを効率よく連続運転するために
優れた媒体脱落防止装置が要望されていた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、上記した従来技術の欠点を無
くすために、流動床ボイラの分散板を貫通する貫
通管が垂直及び水平方向に移動でき且つ分散板の
貫通部から流動媒体が脱落しないようにした分散
板と貫通管とのシール機構を提供することであ
る。

〔考案の概要〕

本考案の流動床ボイラの媒体脱落防止装置は、
流動床ボイラの分散板貫通部の風箱側で貫通管に
よつて中心を貫通された円筒形ボツクスを分散板
に取り付け、この円筒形ボツクス内には大リング
プレート及び小リングプレートを貫通管を中心と
して同心円状に上下方向に各数個を交互に重ね合
せ、前記大リングプレートの外径を円筒形ボツク
ス内径に略々等しくして円筒形ボツクス内面に密
着させ、且つ内径を小リングプレート外径より若
干小さく形成し、また前記小リングプレートの外
径を大リングプレート内径より若干大きく形成
し、且つ内径を貫通管外径に略々等しくして貫通
管に密着させてあることを特徴とするものであ
る。

即ち、本考案のシール機構は円筒形ボツクス内
に大リングプレートと小リングプレートを固定す
ることなく交互に重ね合せ、大リングプレートの
外径は円筒形ボツクス内面に密着し小リングプレ
ートの内径は貫通管に密着した構造である。

〔考案の実施例〕

本考案の実施例を第２図に示す流動床ボイラの
媒体脱落防止装置に基づいて説明する。１は流動
床ボイラの炉壁である。流動媒体２は水管６の付
いた分散板３上で分散板ノズル５より空気を導入
することにより流動する。７は粉砕石炭と媒体を
搬送する為の給炭管であり、８はボイラの下部の
風箱である。９は円筒形ボツクスで分散板貫通部
４の風箱８側に分散板３に固定して取付けられ、
給炭管７がその円筒形ボツクス９の中心を貫通
し、大リングプレート１１と小リングプレート１
２を給炭管７を中心として同心円状に円筒形ボツ
クス９内に各数個挿入する。リングプレートの大
きさについては、大リングプレート１１の外径は
円筒形ボツクス９の内径に略等しく円筒形ボツク
ス内面に密着し、且つ内径は小リングプレート１
２の外径より若干小さい。また小リングプレート
１２の外径は大リングプレート１１の内径より若
干大きく、且つ内径は給炭管７の外径と略等しく
給炭管７に密着している。そしてこれらの大リン
グプレート１１と小リングプレート１２を交互に
重ね合せて円筒形ボツクス内に配置する。円筒形
ボツクスの下面には底板13を取り付けボツクス内
のリングプレートを支持する。

尚、大リングプレートの外径は円筒形ボツクス
内径に略等しいか或るいは僅かに小さくしてある
ので、大リングプレートは円筒形ボツクス内面に
殆ど密着して接触しており、隙間は約１mm以下が
好ましく、同様に小リングプレートの内径は給炭
管外径と略等しいか或るいは僅かに大きくしてあ
るので、小リングプレートは給炭管に殆ど密着し
て接触しており、隙間は約１mm以下が好ましい。
一方、大リングプレートの内径と給炭管との間及
び小リングプレートの外径と円筒形ボツクスとの
間は若干空間ができるようしてある。また大リン
グプレートと小リングプレートを固定することな
く交互に重ね合せて配置してある。従つて大リン
グプレート、小リングプレートは給炭管、円筒形
ボツクスに対して伸縮、滑りができる。

また円筒形ボツクスの底板はボツクス側壁に取
りはずしできる構造で取り付けてもよく、またボ
ツクスと一体に形成してもよい。

給炭管７の熱膨張による垂直方向の伸びのスト
レスは給炭管と小リングプレートの内径との接触
面及び円筒形ボツクスと大リングプレートの外径
との接触面での応力の緩和、滑りにより取り除か
れ、またボイラの振動による水平方向の移動のス
トレスは給炭管を介して大リングプレート、小リ
ングプレート同志の滑りにより取り除かれる。

流動媒体の脱落防止については、流動媒体は分
散板貫通部４より落下するが、円筒形ボツクス内
の小リングプレートと大リングプレートとの重ね
合せの面で阻止し、しかも重ね合せの面が数組の
構成であるので脱落を十分防止できる。尚、媒体
が小リングプレートと給炭管との接触面の隙間及
び大リングプレートと円筒形ボツクス内面との接
触面の隙間に充填しマテリアルシールとなる。こ
のような機構により流動媒体が風箱へ脱落するの
を完全に防止することができる。

更に分散板貫通部４の上部の適当な高さの位置
で貫通管にカバープレート１４を設置することに
より流動媒体の静定化に役立ち媒体脱落防止に一
層有効である。

また、貫通管としては給炭管の他に、媒体排出
管、給灰管等があるが、これらの貫通管について
も前記の給炭管と同様に本考案の媒体脱落防止装
置を設けることができる。

〔考案の効果〕

本考案の媒体脱落防止装置によれば、流動媒体
が流動層から風箱へ脱落することを十分に防止に
できるほか、貫通管の垂直方向、水平方向の伸
び、移動に対して円滑に対応し貫通管、円筒形ボ
ツクス、及びボツクス内の大リングプレート、小
リングプレートを損傷、破壊することがない。従
つて流動床ボイラを休転して風箱を清掃したり、
媒体を新に補給する必要は無く、長期にわたつて
連続運転を実施できる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の流動床ボイラの媒体脱落防止装
置を示し、第２図は本考案になる流動床ボイラの
媒体脱落防止装置を示す。 １……炉壁、２……流動媒体、３……分散板、
４……分散板貫通部、５……分散板ノズル、６…
…水管、７……給炭管、８……風箱、９……円筒
形ボツクス、１０……キヤスター、１１……大リ
ングプレート、１２……小リングプレート、１３
……ボツクス底板、１４……カバープレート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流動床ボイラの分散板貫通部の風箱側で貫通管
   によつて中心を貫通された円筒形ボツクスを分散
   板に取り付け、この円筒形ボツクス内には大リン
   グプレート及び小リングプレートを貫通管を中心
   として同心円状に上下方向に各数個を交互に重ね
   合せ、前記大リングプレートの外径を円筒形ボツ
   クス内径に略々等しくして円筒形ボツクス内面に
   密着させ、且つ内径を小リングプレート外径より
   若干小さく形成し、また前記小リングプレートの
   外径を大リングプレート内径より若干大きく形成
   させ、且つ内径を貫通管外径に略々等しくして貫
   通管に密着させてあることを特徴とする流動床ボ
   イラの媒体脱落防止装置。