JPH0216049Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は内燃機関のシリンダヘツドとシリンダ
ブロツクとの間に設けられるシリンダヘツドガス
ケツト、特にシリンダボア等の開口部周囲にグロ
メツトを取付けたガスケツトに関するものであ
る。

従来の技術 内燃機関のシリンダヘツドガスケツトは通常特
に強い負荷にさらされるので、燃焼室部に長期の
持久性のある十分なシール機能を得るために、シ
リンダボア等の開口部の周囲に金属環すなわちグ
ロメツトを取付けて、燃焼ガスがシリンダブロツ
クとシリンダヘツドの隙間から洩れるのを防止し
ている。そしてこのグロメツトは直接高温ガスに
さらされるため及び耐腐食性、コスト面等から、
一般的にステンレス系の材料が用いられている。
またガスシール性、加工性、締付時のなじみ性、
ガスケツト基材（アスベスト系の材料を用いるこ
とが多い）との締付時の面圧バランスの面から、
通常、自動車用内燃機関の場合その板厚は0.25〜
0.30mmが上限である。

考案が解決しようとする問題点 最近の内燃機関は高出力化の傾向にあり、その
ため燃焼温度はより高くなり、この高温の燃焼ガ
スに直接さらされるグロメツトは、上記の板厚で
はその耐熱強度限界を越えてしまい、その結果グ
ロメツトに亀裂が生じることがある。しかし現在
の技術ではグロメツトの材料としてステンレス系
の材料以上に優れた材料は見当らず、その対策が
望まれている。

本考案は従来のグロメツト材料として用いられ
ているステンレス系材料をそのまま用いしかもそ
の板厚を増すことなく、耐熱性を向上させること
のできるシリンダヘツドガスケツトを提供して上
記の問題点を解決しようとするものである。

問題点を解決するための技術手段 本考案は上記問題点を解決するため、シリンダ
ボア、水穴等の開口部に対応する位置に穴が設け
られたアスベストの基材と、該基材の前記穴に対
応する位置に穴が設けられたグロメツトからな
り、該グロメツトが前記基材の穴の周縁の上下両
面を被覆固定するよう前記基材に取付けられ、こ
れらグロメツトと基材とをシリンダヘツドとシリ
ンダブロツクとの間に介在させてなる内燃機関の
シリンダヘツドガスケツトにおいて、前記基材の
上下両面と前記グロメツトの各内面との間に、一
部がシリンダヘツド及びシリンダブロツクの低温
部に接する、前記グロメツト材料より熱伝導率の
良好な材料をそれぞれ重ね合わせて設け、これら
材料の１つはそのシリンダボア側端部がグロメツ
トの内壁に接触しかつ前記基材の端縁に沿つて内
方に折り曲げられていることを特徴とするもので
ある。

実施例 本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図は本考案を渦流室式デーゼルエンジンに
適用したシリンダヘツドガスケツトの例を示し、
第２図は上記実施例におけるガスケツトの断面構
造を示すものである。

図中、１はシリンダボア５の周囲に取付けたボ
アグロメツトで従来例と同様にステンレス鋼を用
い、かつその厚さを0.25〜0.30mmとしている。こ
のグロメツト１はシリンダボア５の周囲に取付け
るものであるからシリンダボア５を取巻くよう全
体が円環状に形成されている。２はガスケツトを
構成するアスベストシートの基材であり、シリン
ダボア５に対応する位置にこれと略同じ大きさの
穴が開けられている。ボアグロメツト１は第２図
に示すようにガスケツト基材２の上記穴の周縁に
取付け固定するため、その上下両端部を外側に折
り曲げこの折り曲げ部をガスケツト基材２の上下
両面部に圧着その他の方法で固着している。３
ａ，３ｂはグロメツト１の内面に密着して重ね合
わせた熱伝導板である。この熱伝導板３ａ，３ｂ
はグロメツト１を構成するステンレス鋼よりも遥
かに熱伝導率の良好な銅板にて構成する。熱伝導
板３ａは第２図に示すようにガスケツト基材２の
上側すなわちシリンダヘツド側に取付けられ、噴
炎に近い、特に高温となる渦流室下方に位置する
ボアグロメツト１のａ部の受ける熱を、この熱伝
導板３ａを通して、燃焼室から離れたエンジン冷
却水、シリンダヘツド側の低温部に逃がすように
している。そのため、この熱伝導板３ａはその先
端部が水孔６の位置まで延長されており（第２
図）燃焼室側の熱を低温のエンジン冷却水、シリ
ンダヘツド側に効率的に逃がすようにしている。
熱伝導板３ｂはガスケツト基材２の下側すなわち
シリンダブロツク側のシリンダボア５の略全周に
わたつて取付けられ、またその燃焼室側の先端部
はボアグロメツト１の内壁に接触しかつ基材２の
端縁に沿つて内方に（第２図で上方に）折り曲げ
られており、ボアグロメツト１の受ける熱をこの
熱伝導板３ｂを通して、燃焼室から離れたシリン
ダブロツク側の低温部に逃がすようにしている。
４はエンジン冷却水の通る水穴６の周囲に取付け
た水穴グロメツトで、ボアグロメツト１と同様
に、厚さ0.25〜0.30mmのステンレス鋼板で構成さ
れ、水穴６と対応する位置に設けられたガスケツ
ト基材２の穴の周囲に、その上下の両端を折り曲
げることにより固着されている。この水穴グロメ
ツト４にもその内面に熱伝導板３ａが密着して重
ね合わされており、水穴グロメツト４の受けた熱
をこの熱伝導板３ａを通して、燃焼室から離れた
エンジン冷却水、シリンダヘツド側の低温部に逃
がすようにしている。

図中７はヘツドボルト穴である。

なお、上記実施例において、熱伝導板として銅
板を用いているが、これに限られるものではな
く、グロメツト材料より良好な熱伝導率を有する
材料であればよく、例えば銅板に代えてアルミニ
ウム板を用いてもよい。

本実施例は上記の構成により、内燃機関の作動
中、グロメツト１，４が高温にさらされても、こ
れに直接接する銅板等の高熱伝導板３ａ，３ｂを
通してその熱を、燃焼室から離れたシリンダヘツ
ド又はシリンダブロツクのより低温側に逃がし、
そのためグロメツト１，４が過熱されて亀裂を生
ずるのを阻止する。

考案の効果 本考案は以上説明したように、グロメツトの内
面に接してこれより良好な熱伝導率の材料を重ね
合わせているので、グロメツトが高温にさらされ
ても、この熱を迅速に外部に逃がすことができ、
その過熱を阻止することが可能となる。そのため
グロメツトの材料は従来と同様のものを用いかつ
その厚さも従来と同様の厚さであつても、従来よ
り遥かに耐熱性の向上したシリンダヘツドガスケ
ツトを得ることができる。また耐熱性の向上によ
りグロメツトの熱によるへたり、グロメツト近傍
のガスケツト基材のへたりが生ぜず、ガスシール
性が飛躍的に向上するものとなる。

また本考案においてはアスベスト基材の上下両
面とグロメツトの各内面との間にそれぞれ熱伝導
率の良好な材料を重ね合わせているので、アスベ
スト基材への熱伝導をきわめて小さく抑えること
ができ、基材全体の熱によるへたりを小さくする
ことができる。さらにグロメツト及び基材全体の
温度を効率的に下げるとともに、グロメツトの穴
周縁部における各部分の温度差、すなわち温度勾
配を小さくすることができ、そのため冷却加熱の
繰返しによるグロメツトの熱応力が小さくなるの
で、グロメツトの耐熱耐久性が大幅に向上するも
のとなる。

さらに、前記基材とグロメツトとの間に介在さ
せた熱伝導率の良好な材料の１つは基材の燃焼室
用の開口端より内側まで延び、その端部がグロメ
ツトの内壁に接触しつつ基材の端縁に沿つて内方
に折り曲げられているので、前記材料がシリンダ
ヘツドとシリンダブロツクの熱膨張によりずれて
しまうことが防止され、また最も熱負荷の高い燃
焼室近傍のグロメツトから熱を効率良く逃がすこ
とが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の全体構造を示す平面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ線に沿う拡大断面図
である。 １……ボアグロメツト、２……ガスケツト基
材、３ａ，３ｂ……熱伝導板、４……水穴グロメ
ツト、５……シリンダボア、６……水穴（冷却水
通路）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダボア、水穴等の開口部に対応する位置
   に穴が設けられたアスベストの基材と、該基材の
   前記穴に対応する位置に穴が設けられたグロメツ
   トからなり、該グロメツトが前記基材の穴の周縁
   の上下両面を被覆固定するよう前記基材に取付け
   られ、これらグロメツトと基材とをシリンダヘツ
   ドとシリンダブロツクとの間に介在させてなる内
   燃機関のシリンダヘツドガスケツトにおいて、前
   記基材の上下両面と前記グロメツトの各内面との
   間に、一部がシリンダヘツド及びシリンダブロツ
   クの低温部に接する、前記グロメツト材料より熱
   伝導率の良好な材料をそれぞれ重ね合わせて設
   け、これら材料の１つはそのシリンダボア側端部
   がグロメツトの内壁に接触しかつ前記基材の端縁
   に沿つて内方に折り曲げられていることを特徴と
   するシリンダヘツドガスケツト。