JPH0215754B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は一般的に流体シール、特に弁棒とボン
ネツトその他の弁棒を囲む要素との間に高圧の流
体シールを与えるためのパツキン組立体に関す
る。

エラストマ材料で構成される弁棒パツキンは
様々な条件に対して有効であると判つているけれ
ども、高圧ガス環境においてはかかるパツキンは
所要の密封機能を与えない。これはいわゆる「爆
発的減圧」と称する現象によるものである。エラ
ストマ材料の代りに非エラストマ材を用いると、
「爆発的減圧」の問題は無くなるが、非エラスト
マ材は圧力を受けるとクリープを生じ、圧力を取
去つても元の状態に戻らない、つまり記憶を持た
ない。クリープの問題および非エラストマ材と金
属製パツキン・グランドと弁棒との間に熱膨張係
数の違いにより、在来の非エラストマ材の弁棒パ
ツキンは圧力と温度のサイクルを受けた後で漏れ
を生ずる。

上記の問題解決のために、密封リツプを対向す
る金属表面に偏倚するようにばね付勢装置が非エ
ラストマ材のリツプシールに設けられた。金属表
面が極く滑らかである場合には、かかる設計は有
効であるが、密封リツプに掻き傷その他の微細な
損傷があると、漏れが生ずる。ばね付勢シールは
それを包むためのカートリツジその他のキヤリヤ
が無いと、それを直列に積み重ねて信頼性を上げ
ることができないし、キヤリヤは望ましくない追
加部品となつて、価格を高め、系内にいま一つの
潜在的漏れ通路を生じ、またパツキン・グランド
およびパツキン室の大形化を必要とする。

前記その他の問題は本発明により解決される。
広く考えれば、本発明を取入れた弁棒パツキン
は、Ｖリング・シール要素の積み重ね組立体と、
シール要素の間に介在する特殊バツクアツプ付勢
リングと、ほぼＴ形断面形態を有するアダプタ・
リングにより機能位置に保持されるばね付勢リツ
プシールと、を含む。組立体の一端にＴアダプタ
リングを設け、他端にＶリングシール要素のバツ
クアツプリングを設けて組立体を弁棒パツキン室
の中に装着すると、リツプシールリングとＶリン
グシール要素とが半径方向に圧縮されて弁棒と室
壁の間の初期シールとなる。組立体が弁内圧を受
けると、Ｖリングシール要素とリツプシールリン
グは更に圧縮され変形してシール要素、バツクア
ツプ付勢リングおよびリツプシールリングの間に
まだ存在する可能性のある環形空間を満たし、そ
れにより弁棒と室壁の間に実質的に無空の動的パ
ツキンを確立する。このパツキンは通常15000psi
（1055Kg／cm²）以上の高圧と250〓（121.1℃）以
上の高温の下で数千回もの仕切弁行程サイクル
（弁開→弁閉→弁開を１サイクルとする）に耐え
ることができる。さらに本発明による弁棒パツキ
ン組立体ははみ出しが無く、圧力および／または
温度の変動に耐え、化学薬品の持つ腐食性に対し
強い耐性を有する。

以下に添付図面を参照しつつ実施例により本発
明を記載する。

本発明による弁棒パツキン組立体１０は、第１
図に示す如く、昇降弁棒仕切弁１２に使用され
て、弁棒１４とボンネツト１６の間に高圧、高温
用動的シールを与える。弁１２の中で、パツキン
組立体１０はボンネツト１６の中のパツキン室１
８の中に封じ込められ、パツキン・グランドナツ
ト２０はパツキン組立体１０を室１８内の機能位
置に保持する。さらにねじ付きリテーナ・スリー
ブ２４によりボンネツト１６が取外し自在に取付
けられる本体２２と、図示の上方すなわち「弁
開」位置と弁を通る矢印２８が示す流れを遮断す
る下方すなわち「弁閉」位置の間で縦方向に移動
運動するように弁棒１４に結合されたゲート要素
２６と、を弁１２が含んでいる。在来のやり方
で、ゲート２６は弁棒１４に適宜結合されている
ので、ハンドル３０その他弁を作動する適当な装
置を働かす時、弁棒と共にゲートが上下する。

第２図乃至第４図でより明らかに示される如
く、パツキン組立体１０は、積重ねて配列され弁
ゲート２６に向つて倒立姿勢にある複数のＶリン
グ・シール要素と、逆さでＶリング・シール要素
３２の間および下方に介在するほぼＹ形の同様に
複数の特殊バツクアツプ付勢リング３４と、最下
位のバツクアツプ付勢リング３４ａの下方にある
ばね付勢されたリツプシールリング３６と、倒立
Ｔ形にほぼ似た断面形状を有する下部アダプタリ
ング３８と、倒立Ｖ形下部壁４０ａを有して隣接
のＶリング３２に対してバツクアツプ（後押し）
機能を与え、グランドナツト２０およびスペーサ
リング４２（第３図および第４図）と協働して、
弁ゲート２６が閉位置から開位置に移動する間に
パツキン組立体１０が室１８内の正しい位置から
脱出するのを防ぐ保持機能を与え、さらに弁棒１
４の案内軸受として働く上部アダプタリング４０
と、を含む。

Ｖリング・シール要素３２およびリツプシール
リング３６の望ましい組成はガラス（15％）と２
硫化モリブテン（５％）を含んだポリテトラフロ
ロエチレン（PTFE）であり、特殊バツクアツプ
付勢リング３４の望ましい組成はカーボングラフ
アイト（20％）を含んだPTFEである。リツプシ
ールリングのＵ形付勢ばね４４の機能的完全性を
保存するために、ばねの望ましい材料はNACE
（全国腐食技術者協会）承認の金属、例えば
ELIGILOYであり、これはElgin National
IndustriesのWelby Clock Division（ウエルビー
時計事業部）の合金製品である。上部および下部
アダプタリング４０，３８の望ましい組成は40％
のガラスと2.5〜５％のPPS（ポリフエニレン・サ
ルフアイド）を含むガラス含有PEEK（ポリエー
テル・エーテルケトン）である。

第２図に示す如く、Ｖリング・シール要素３２
の表面３２ｂが垂直線となす角度はバツクアツプ
付勢リング３４の対向面３４ｂがなす角度よりも
大きいから、組立体１０をパツキン室１８の中に
装着する前には、要素３２とリング３４の間に比
較的小さな環状空間すなわち空隙５０が生ずる。
同様に装着前は要素３２とリング３４のそれぞれ
の対向面３２ｃ，３４ｃが垂直線となす角度は異
るので、それらの間にも小さな環状空間すなわち
空隙５２が生ずる。また第２図に示す如く、組立
体１０を弁１２に装着する前には、Ｖリング・シ
ール要素３２と隣接のバツクアツプ付勢リング３
４の間、最上位のシール要素３２とアダプタリン
グ４０の間、および最下位のバツクアツプ付勢リ
ング３４ａとリツプシールリング３６の間、にそ
れぞれ中央環状空間すなわち空隙５４が存在す
る。

第３図に示す如く、正しい寸法の弁棒１４を包
囲する正しい寸法のパツキン室１８に弁棒パツキ
ン組立体１０が装着された時、Ｖリング・シール
要素３２とバツクアツプ付勢リング３４が半径方
向に圧縮される結果、環状空間つまり空隙５０，
５２は消えるが、環状空間つまり空隙５４は残
る。第３図に示す装着時、シール要素３２、バツ
クアツプ付勢リング３４ならびに弁ボンネツト１
６および弁棒１４の隣接面は断面がほぼ３角形の
環状空間つまり空隙５６を画成する。さらに、弁
に装着された時、リツプシール・リング３６は半
径方向に圧縮されるので、下向きの付勢ばね４４
の縁４４ａは下部アダプタリング３８の中央直立
レグ３８ａの方にたわむ。

第４図に示す如く、パツキン組立体１０が高い
弁内圧を受ける時には、リツプシール３６のリツ
プ３６ａは半径方向に膨れて弁棒１４およびパツ
キン室１８との間に初期圧力シールを生じ、よつ
てリツプシールはピストンとして働くことにな
り、バツクアツプ付勢リング３４およびＶリン
グ・シール要素３２に軸方向の力を伝達し、この
力がリング３４およびシール要素３２をアダプタ
リング４０の方へ移動させる。この移動によりＶ
リング・シール要素３２の変形が生じて環状空間
５４，５６をふさいで、シール要素３２、バツク
アツプ付勢リング３４、リツプシールリング３
６、上部アダプタリング４０、弁棒１４およびパ
ツキン室１８の壁の間に無空の関係を生ずる。圧
力が上るに従い、Ｖリング・シール要素３２に伝
わる軸方向力は増し、そのためにＶリング・シー
ル要素が弁棒およびパツキン室壁に及ぼす密封力
が増し、250〓（121.1℃）以上の温度と15000psi
（1055Kg／cm²）以上の圧力の下で数千回の弁棒の
移動サイクルに耐える流体密封性の動的シールを
与える。

本発明を実施するために考えられる最良の形態
を開示し記載したけれども、本発明の主題と見な
されることから逸脱することなく変形および変更
を行い得ることは明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による弁棒パツキン組立体を装
着した仕切弁の、部分縦断面を示す説明斜視図、
第２図は第１図の如き弁に装着する前の、本発明
による弁棒パツキン組立体の、右半分を正面図
で、また左半部を縦断面図で示す、拡大図、第３
図は、弁棒を囲む位置における第２図の弁棒パツ
キン組立体を示す、第１図の弁の部分拡大図、第
４図は、高い弁内圧を受けた時のパツキン組立体
を示す、第３図の類似図。 １０……パツキン組立体、１２……仕切弁、１
４……弁棒、１８……パツキン室、３２……シー
ルリング要素、３４……バツクアツプ付勢リン
グ、３６……リツプシール・リング、３８，４０
……アダプタリング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 各々がほぼＶ形断面形状を有する複数のシー
   ルリング要素と、 前記シールリング要素の間に介在してそれらと
   支持関係にあり、ほぼＹ形断面形状を有する複数
   のバツクアツプ付勢リングと、前記バツクアツプ
   付勢リングの一つに隣接し、中央基部とそこから
   延びる１対の密封リツプを含み、ほぼＵ形断面形
   状を有する、ばね付勢されたリツプシール・リン
   グと、 ほぼＴ形断面形状を有し、中央が延びて前記リ
   ツプシール・リングと支持関係に入つていて、パ
   ツキン組立体が弁棒および周囲の弁要素の間で機
   能位置にあつて前記弁棒が移動サイクルを行う時
   に前記シール・リングの変位を防ぐようにする、
   アダプタリングと、 を含む、積重ね配列形式の弁棒パツキン組立体。 ２ 前記シールリング要素と支持関係にある第２
   のアダプタリングを含む、特許請求の範囲第１項
   に記載の弁棒パツキン組立体。 ３ 前記第２のアダプタリングが、ほぼＶ形断面
   形状を有して１個のシールリング要素に接してい
   る放射面、を有する、特許請求の範囲第２項に記
   載の弁棒パツキン組立体。 ４ パツキン組立体が正しい寸法の弁パツキン室
   内の機能位置に正しく装着された時に消滅する環
   状空隙を、前記シールリング要素の放射面と前記
   バツクアツプ付勢リングの放射面とが画成する、
   特許請求の範囲第１項に記載の弁棒パツキン組立
   体。 ５ 前記リツプシール・リングが及ぼす軸方向の
   ピストン棒の力に応答して前記バツクアツプ付勢
   リングおよび隣接の前記シールリング要素が移動
   して対向する弁要素表面との流体密封シールを生
   ずる、特許請求の範囲第１項に記載の弁棒パツキ
   ン組立体。