JPH0214769Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、インタロツクミシンにおける針糸天
秤装置に関するものである。

〔従来の技術〕

第８図に、従来のこの種の工業用インタロツク
ミシンの針糸天秤装置部の一例の要部破断斜視図
を示す。３０は針糸天秤、３１は二重環針、３２
は針棒、３３，３４は各糸案内である。天秤３０
は図のような形状を有して針棒運動と同時に図示
矢印方向に上下往復動して天秤の機能を果す。天
秤３０には開口３０ａ部を有し、外カム輪郭部３
０ｂと内カム輪郭部３０ｃとを有し、それぞれ外
カム部３０ｂの輪郭に沿つてロツク針糸S_Lが走
り、また開口３０ａ内の内カム部３０ｃには二重
環針糸S_Dが通過するように構成されている。

第９図は、このインタロツクミシンの要部破断
外観斜視図で、前記針糸天秤装置は、ミシン本体
（フレーム）Ｆに対してカバーＣにより保護され
ている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、この種の従来例の針糸天秤３０
は、第８図に示すような輪郭形状をしているた
め、二重環針糸S_Dを開口部３０ａ内の内カム部３
０ｃに通す際にはワンタツチでは糸を通せず手間
がかゝつた。かつ、第９図に示すように、天秤３
０の直前には保護のためカバーＣが配設されてい
るため、まづこれを開放（第９図矢印方向）して
行う必要があつた。

さらにまた、ロツク針糸S_Lと二重環針糸S_Dとの
繰出し量調整を単独に行うことができなかつた。

本考案は、以上のような従来例の問題点にかん
がみてなされたもので、二重環針糸の糸掛け操作
が容易で、かつ、前記両針糸の繰出し量調整を単
独に行い得るインタロツクミシンの針糸天秤機構
の提供を目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

このため、本考案においては、針糸天秤を、二
重環針糸がその外形輪郭部を通過するよう構成
し、かつ上記輪郭部には二重環針糸係合用のみぞ
部を設け、さらに、それぞれ二重環針糸とロツク
針糸用の糸掛け用各開口部を外形輪郭部に有する
天秤カバーと、その横に別体の二重環糸案内を配
設するよう構成することにより前記目的を達成し
ようとするものである。

〔作用〕

以上のような構成によつて、二重環針糸とロツ
ク針糸とを外部から容易に糸掛けすることがで
き、かつ、上記両糸の繰出し量の調整を単独に行
い得る。

〔実施例〕

以下に、本考案を実施例に基づいて説明する。
第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄに本考案に係る針糸天秤機
構の一実施例の正面図、側面図、上面図および下
面図、第２図は斜視図、第３図に針糸天秤（本
体）の輪郭形状を示す。

（構成） 上記各図において、１は針糸天秤（本体）、２
は天秤カバー、３はカバー２の横方向に別体に配
設された二重環糸案内で、１，２，３はいずれも
板金材料より形成されている。また、４は糸案内
で、ロツク針糸S_Lおよび二重環針糸S_Dは前記従来
例第８図と同一符号で表わす。T_LおよびT_Dは、
それぞれ、ロツク針糸S_Lおよび二重環針糸S_D用の
張力制御用糸調子器を示す。

なお、第１図ｂには、針糸天秤１の上昇および
下降位置をそれぞれ１_D，１_Lで示してある。

また、第３図におけるＡ部（一点鎖線）は、ロ
ツク針糸S_L用の天秤機能、Ｂ部（みぞ部もしくは
フツク部）は、二重環針糸S_D用の天秤機能を果す
部分を示す。

（動作） つぎに、以上のような構成における動作を説明
する。第４図ａ，ｂに、針糸天秤１が針棒と共に
上下方向に移動することにより、二重環針糸S_Dが
繰出される機能を示す。

図から明らかなように、糸掛けに関しては、天
秤カバー２の前部が開放しているため、ワンタツ
チで糸掛けが可能である。

針糸天秤１は第１図ｂに示す１_L，１，１_Dのよ
うな順序もしくは、第４図ａ，ｂの順序で移動す
る。二重環針糸S_Dは、二重環糸案内３のみぞ部を
通り、天秤１の係合みぞ部Ｂに掛かり、糸案内４
（第１図ａ，ｂ，ｄ）を通る。天秤１が上昇する
ことにより糸を引上げて所定量を繰出す。

二重環針糸S_Dの糸掛けは、天秤カバー２の下方
が前部に開放２ｂしているためワンタツチででき
る。また、二重環針糸S_Dの繰出し量は、二重環糸
案内３の取付け位置を、第１図ａに示す長円穴に
沿つて上下に調節することによつて容易に調整す
ることができる。天秤カバー２の上下位置調節に
よるロツク針糸S_L繰出し量の調整も、上記に準じ
て単独に行い得る。

（他の実施例） 第５図は、針糸天秤１の他の実施例１１の下部
輪郭部形状を示す。第３図におけるフツク状係合
みぞ部Ｂを図示Baのように変形したものであり、
さらに他の係合形状であつてもよい。

また、第６図に、針糸天秤機構の他の実施例の
斜視図を示す。前記実施例（第１図）の下端部に
あつた二重環針糸係合みぞ部Ｂを天秤上部のみぞ
およびカバー１２の開口部１２ｂに置き換えたも
ので、各部の基本符号は第１図と同一の一けた目
数字にサフイツス記号とで相当構成部分を表わ
す。天秤２１の動きおよび機能は前記実施例と同
様であるが、この実施例においては、天秤２１が
上下位置のどこにあつても糸掛けが可能であると
いう利点がある。天秤カバー１２の上部に刻設さ
れた二重環針糸用のみぞ１２ｂに、天秤２１上昇
時に天秤上部のみぞBbが二重環針糸S_Dを引掛け
て糸を繰出す。

さらにまた、他の実施例として、ロツク針糸S_L
の繰出しを、第１実施例と同様にフツク状の係合
みぞ等を用いて行うこともできる。

〔考案の効果〕

以上、実施例に基づいて説明してきたように、
本考案によれば、天秤カバーを開ける必要なしに
二重環針糸を針糸天秤へ糸掛けすることができ、
また、ロツク針糸、二重環針糸の繰出し量調整を
それぞれ単独に行うことができるようになつた。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄは、本考案に係る針糸天
秤機構の一実施例のそれぞれ正面図、側面図、上
面図および下面図、第２図はその斜視図、第３図
は針糸天秤本体の輪郭形状図、第４図ａ，ｂは、
二重環針糸の繰出し動作説明図、第５図は、針糸
天秤本体の他の形状例、第６図は、針糸天秤機構
の他の実施例の斜視図、第７図ａ，ｂはその二重
環繰出し動作説明図、第８図は、従来の針糸天秤
装置部の一例の斜視図、第９図は、そのミシン要
部外観斜視図である。 １，１１，２１……針糸天秤、Ｂ，Ba，Bb…
…係合みぞ（フツク）部、２，１２……天秤カバ
ー、２ａ，２ｂ，１２ａ，１２ｂ……開口部、３
……二重環糸案内、S_L……ロツク針糸、S_D……二
重環針糸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 糸締めタイミングの異なる二重環針糸とロツク
   針糸とを扱うインタロツクミシンにおいて、二つ
   の異なる天秤機能を有する部位を外形輪郭部に形
   成しかつ両天秤部位の形成方向に往復動可能とし
   た単一の天秤体と、天秤体の移動経路を覆う保護
   用の天秤カバーであつて、前記天秤体の少なくと
   も一方の天秤部位に対して開口する糸道を有する
   第一部材および他方の天秤部位に対して開口する
   糸道を有する第二部材と、天秤の移動方向に第一
   部材および第二部材の位置を各別に移動調節可能
   とした支持手段とを備えたインタロツクミシンの
   針糸天秤装置。