JPH0212297Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、インタンク式タービン型燃料ポンプ
に関する。

〈従来の技術〉 燃料タンク内の燃料を機関への燃料供給部であ
る燃料噴射弁や気化器等に供給するための燃料ポ
ンプとしては、最近、タービン型燃料ポンプ（非
容積型の円周流ポンプ）が使用される傾向にある
（実願昭60−38952号参照）。

このタービン型燃料ポンプ６は、第２図及び第
３図に示すように、ポンプハウジング７内をシヤ
フト８回りに回転するインペラ９により、吸込口
１０から燃料を吸込み、流路１１を経て、吐出口
１２より吐出するものである。そして、このター
ビン型燃料ポンプ６では、耐熱流量特性の向上の
ため、前記流路１１の途中にベーパー抜き孔１３
を設けている。

尚、第２図及び第３図において、１４は吸込口
１０に接続されたフイルター、１５は燃料タンク
１外への燃料の導出パイプである。

また、自動車において、実開昭59−110373号公
報等にみられるように、燃料タンク内にタービン
型燃料ポンプ等の電動式の燃料ポンプを配設した
ものがある。

この種のインタンク式タービン型燃料ポンプに
あつては、第４図に示すように、燃料タンク１の
底壁１ａに環状の仕切壁２を立設し、この仕切壁
２により隔てられる外側部分３と内側部分４とを
オリフイス５を介して連通させ、前記内側部分４
に燃料ポンプ６を配設して、内側部分４内の燃料
を吸い込むと共にベーパー抜き孔１３から排出さ
れるリターン燃料を内側部分４に放出していた
（実願昭59−172316号参照）。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかしながら、このような従来のインタンク式
タービン型燃料ポンプにあつては、タービン型燃
料ポンプ６のベーパー抜き孔１３からのベーパー
を含む比較的高温のリターン燃料が仕切壁２で囲
まれる内側部分４に戻されるようになつていたた
め、内側部分４にベーパーが溜まつてしまうと共
に、ベーパー抜き孔１３から噴出された燃料がす
ぐさま燃料ポンプ６により吸い込まれてベーパー
抜き孔１３から排出されるように循環を繰り返す
ため、内側部分４の燃料温度が上昇し、ベーパー
の発生に拍車をかけるという問題があつた。

また、ベーパー抜き孔１３から排出されるリタ
ーン燃料が、燃料タンク１の底壁１ａに向けて放
出されるため、底壁１ａに衝突して燃料タンク１
のビビリ音が発生し騒音が大きいという問題もあ
つた。

かかる不都合は、ベーパー抜き孔１３に接続さ
せたパイプの開口先端を仕切壁の外側部分に臨ま
させるようにすることによつて解決される場合も
あるが、吸入流量の大きいタービン型燃料ポンプ
の場合には、仕切り壁の内側部分と外側部分との
液面に差が生じることがあるという問題があつ
た。

本考案は、このような従来の問題点に鑑みなさ
れたものであり、タービン型燃料ポンプの吸入流
量とは無関係に燃料タンクの仕切壁の内側部分に
ベーパーが溜まつたり、内側部分の燃料温度が上
昇することを防止して、インタンク式タービン型
燃料ポンプの耐熱流量特性を向上させると共に、
ベーパー抜き孔から排出されるリターン燃料によ
る騒音を低減させることを目的とする。

〈問題点を解決するための手段〉 そのため本考案では、仕切壁に設けた開口部
に、該仕切壁に略平行でかつ略水平な軸を回転軸
として回転自在に支持される羽根車を設ける一
方、ベーパ抜き孔から排出される燃料が前記羽根
車の回転軸上方に向けて放出されて羽根車を回転
させるように案内するパイプをベーパー抜き孔に
接続させるようにする。

〈作用〉 かかるインタンク式タービン型燃料ポンプによ
ると、ベーパー抜き孔から排出される燃料によつ
て羽根車が回転し、羽根に回転駆動力を与えた燃
料は羽根に案内されて仕切壁の外側部分に放出さ
れる。一方、仕切壁の外側部分の燃料が、羽根車
の回転によつて強制的に内側部分に導入される。

従つて、ベーパー抜き孔から排出される比較的
高温の燃料がすぐさま燃料ポンプによつて吸込ま
れることがなく、また外側部分の比較的低温の燃
料を積極的に内側部分に導入させることができる
ので、内側部分の燃料温度を低く保つことができ
かつベーパーが溜まることを防止できる。

また、ベーパー抜き孔から排出されるリターン
燃料が羽根車に衝突するため、リターン燃料が燃
料タンクの底壁に衝突する場合に比ベて騒音が低
減する。

〈実施例〉 以下に本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。尚、従来例と同一要素には同一符号を付し
てある。

第１図に示すように、タービン型燃料ポンプ６
は燃料タンク１に内蔵されて、その吸込口１０及
びベーパー抜き孔１３が、燃料タンク１の底壁１
ａに立設される環状の仕切壁２によつて囲まれる
内側部分４に設置されるようにしてある。

ここで、仕切壁２には開口部２０が設けられ、
この開口部２０に羽根車２１を仕切壁２に略平行
でかつ略水平な軸を回転軸として回転自在に支持
してある。即ち、開口部２０の水平方向両端の中
央付近にそれぞれ軸受け部（図示省略）を設け、
この軸受け部に羽根車２１の回転軸２１ａを嵌合
させてあり、羽根車２１の各羽根２１ｂは回転軸
２１ａ方向に平行に平板状に延設される。

そして、羽根車２１を図で反時計回りに回転さ
せるように、ベーパー抜き孔１３にパイプ２２を
接続してパイプ２２先端２２ａから排出されるリ
ターン燃料が仕切壁２の内側部分４から回転軸２
１ａの上方に向け羽根車２１近傍で噴出されるよ
うにしてある。

このように、羽根車２１及びパイプ２２を設け
ることにより、仕切壁２内側部分４の燃料温度上
昇を抑制することができると共に、ベーパー抜き
孔１３から排出されるリターン燃料による騒音を
低減させることができる。

即ち、ベーパー抜き孔１３から排出されるリタ
ーン燃料は、パイプ２２の先端２２ａから排出さ
れると、羽根車２１の回転軸２１ａより上方に位
置される羽根２１ｂに衝突して羽根車２１に図で
反時計方向の回転駆動力を与えると共に、羽根車
２１の回転により羽根２１ｂに案内されて回転軸
２１ａの上方から仕切壁２の外側部分３に放出さ
れる。一方、仕切壁２の外側部分３の燃料が、羽
根車２１の回転によつて回転軸２１ａの下方から
内側部分４に導入される。

このように、比較的温度の高いリターン燃料が
外側部分３に放出されると共に、外側部分３の比
較的温度の低い燃料が羽根車２１の回転によつて
強制的に内側部分４に導入される。従つて、ベー
パー抜き孔１３から排出されるリターン燃料がす
ぐさま燃料ポンプ６によつて吸い込まれることが
なく、内側部分４の燃料温度を低く保つことがで
き、かつ内側部分４にベーパーが溜まることを防
止できる。また、羽根車２１によつて外側部分３
の燃料が内側部分４に強制的に導入されるため、
流量の大きいタービン型燃料ポンプ６を使用して
も内側部分４と外側部分３との液面に差が生じる
ことを避けることができる。

更に、ベーパー抜き孔１３から排出されるリタ
ーン燃料が、燃料タンク１の底壁１ａのような固
定面に衝突するものではなく、羽根車２１の羽根
２１ｂに衝突してその運動エネルギーが羽根車２
１の回転駆動エネルギーに変換さるため、リター
ン燃料による騒音を低減させることができる。

〈考案の効果〉 以上説明したように本考案によると、仕切壁に
設けた開口部に、該仕切壁に略平行でかつ略水平
な軸を回転軸として回転自在に支持される羽根車
を設ける一方、ベーパー抜き孔から排出される燃
料が前記羽根車の回転軸上方に向けて放出されて
羽根車を回転させるように案内するパイプをベー
パー抜き孔に接続させたことにより、仕切壁内側
部分の燃料温度を低く保つことができると共に、
ベーパーが内側部分に溜まることが防止でき、イ
ンタンク式タービン型燃料ポンプの耐熱流量特性
を一層向上させることができるという効果が得ら
れる。

また、ベーパー抜き孔から排出される燃料の運
動エネルギーが羽根車の回転駆動に用いられるた
め、リターン燃料による騒音を低減させることが
できるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す燃料タンクの断
面図、第２図はタービン型燃料ポンプの断面図、
（第３図の−断面図）、第３図は第２図の−
断面図、第４図は従来例を示す燃料タンクの断
面図である。 １……燃料タンク、１ａ……底壁、２……仕切
壁、３……外側部分、４……内側部分、６……タ
ービン型燃料ポンプ、１０……吸込口、１３……
ベーパー抜き孔、２０……開口部、２１……羽根
車、２１ａ……回転軸、２１ｂ……羽根、２２…
…パイプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクに内蔵されるタービン型燃料ポンプ
   であつて、その吸込口及び本体に設けられたベー
   パ抜き孔を燃料タンク底壁に立設される仕切壁で
   囲まれる内側部分に位置させたインタンク式ター
   ビン型燃料ポンプにおいて、前記仕切壁に設けた
   開口部に、該仕切壁に略平行でかつ略水平な軸を
   回転軸として回転自在に支持される羽根車を設け
   る一方、タービン型ベーパ抜き孔から排出される
   燃料が前記羽根車の回転軸上方に向けて放出され
   て羽根車を回転させるように案内するパイプをベ
   ーパー抜き孔に接続させたことを特徴とするイン
   タンク式タービン型燃料ポンプ。