JPH021050Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、スライダーによつて開閉されるスラ
イドフアスナーの本体、特に対向内縁部に頭部を
咬合状態とした合成樹脂製務歯列を有する左右テ
ープの部分の改良に関するものである。

［従来の技術］ スライドフアスナーの本体を形成する左右テー
プとしては、耐摩耗性等の要請から合成繊維製の
テープが盛んに用いられている。また務歯列がポ
リエステル、ナイロン等の合成樹脂によつて形成
されている場合には、染色の場合の色合せを容易
にする必要等から、それと同一種類の合成繊維に
よる布を用いることが望ましい。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、上記合成繊維製のテープを用いたス
ライドフアスナーには下記のような問題点があ
る。

すなわち、衣類あるいは袋物の開閉部に上記の
スライドフアスナーを取り付ける際、該袋物等の
主体がビニール等の熱可塑性合成樹脂シートによ
り形成されている時には、加熱あるいは高周波ウ
エイダー等の溶着により取り付けることが行なわ
れているが、従来の合成繊維製のテープと上記シ
ート体とを単に溶着させたのでは、有効な溶着力
が得られず簡単にはがれてしまう。これは、合成
繊維の表面が平滑であるためである。

また、テープを綿等の天然繊維で形成した場合
には、そ表面に凹凸あるいは枝毛があり、シート
主体との溶着時にシート主体の内部に天然繊維の
一部が入り込んで一体化するため剥離の虞れはな
いが、耐摩耗性等の点で問題があり、また上述し
たように務歯列が合成樹脂製の場合には、合成樹
脂（合成繊維）用の染料と天然繊維用の染料と
は、染料の種類と染色の方式が全く異なるため、
テープと務歯との色合せが困難となる。しかも染
色堅牢度も低いものになり易く、染色操作も繁雑
となる。

すなわち、ポリエステルのような合成樹脂（繊
維）の場合には分散染料が用いられ、綿のような
天然繊維の場合には直接染料又は反応染料が用い
られる。

また上述のような点に鑑み、テープとシートと
の間に、熱可塑性合成樹脂シートを介在させて溶
着させる方法も行なわれているが、該シートの取
り扱いが面倒で、該シートがづれたりすると有効
な溶着は行なわれず、また美観を損なわせるとい
う問題点があつた。

本考案は、以上の点に鑑みてなしたもので、テ
ープと合成樹脂製務歯列との色彩が常に一致し、
しかも、合成樹脂シート本体との溶着力が強力な
取り扱い並びに製造の容易なスライドフアスナー
の本体を提供することを目的としている。

［問題点を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために、本考案の合成樹
脂製務歯列を有するスライドフアスナーの本体
は、その左右テープが、その緯糸と内方部分の経
糸は合成繊維により形成され外方部分の経糸は天
然繊維により形成された織布により形成されてい
ること特徴としている。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を、図に基づいて説明
する。

第１図及び第２図に示すように、実施例のスラ
イドフアスナーの本体１は、左右テープ２，２の
対向内縁部に、プラスチツクコイル状の務歯列
３，３の基部が縫着糸４，４により縫着されて取
り付けられ、左右務歯列３，３の頭部どうしは咬
合状態とされている。上記務歯列３と縫着糸４
は、合成樹脂、例えば、ポリエステル又はナイロ
ン系の樹脂が用いられている。

しかして、上記左右のテープ２は、第３図に示
すように、斜文織、平織等の織布により形成され
緯糸２ａと内方部分の経糸２ｂは、上記務歯列並
びに縫着糸と同糸の合成繊維により形成され、テ
ープ２の外方部分の経糸２ｃは、天然繊維望まし
くは綿糸により形成されている。

尚、上記緯糸２ａと内方部分の経糸２ｂは合成
繊維を主体とする混紡であつても良く、上記外方
部分の経糸２ｃは天然繊維を主体とする混紡であ
つてもさしつかえない。

上記のスライドフアスナー本体１は、第４図に
示すように、スライダー５及び下止具６等が付設
された上でビニール系等の熱可塑性合成樹脂製の
衣類、袋物等の開閉部７のシート主体８の裏面
に、加熱あるいは高周波ウエルダー等による溶着
により取り付けられる。

上記の溶着時に、テープ２の外方部分の経糸２
ｃ表面の凹凸あるいは枝毛が、シート主体８の溶
融時に主体８の内部に入り込んで一体化するた
め、該溶着は極めて強固であつて、はがれること
がない。

また、上記外方部分の経糸２ｃは天然繊維であ
り、テープ２の他の部分並びに務歯列３及び縫着
糸４に用いる合成樹脂用の分散染料では染まらな
いが、シート主体８の裏側になるため美観を損ね
るということはなく、またこの染まらないことに
よるテープ２の内方と外方の色彩の相違を、ツー
トンカラーとして利用することも可能である。

［作用効果］ 上記本考案のスライドフアスナー本体によれ
ば、左右テープの内方部分は合成繊維により形成
されているところから、該テープ部分と合成樹脂
製務歯との色合せは容易であり、且つ十分な耐摩
耗性がある。また左右テープの外方部分の経糸に
は天然繊維が用いられているところから、袋物等
熱可塑性合成樹脂シート主体との溶着は天然繊維
外周の枝毛等がシート主体内に一体に入り込み強
力で、しかも該作業は簡単である。また、テープ
の天然繊維の部分は、テープの合成繊維の部分の
分散染料による染色時に染色されないが、この天
然繊維の部分はシート体の裏面に溶着されるとこ
ろから染色をされなくてもさしつかえなく、美感
を損なう虞れもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係るスライドフアスナー本
体の平面図、第２図は、同断面図、第３図は、同
テープの織構造を示す平面図、第４図は、同スラ
イドフアスナー本体が取る付けられた袋物の斜視
図である。 １……スライドフアスナー本体、２……テー
プ、３……務歯列、２ａ……緯糸、２ｂ……内方
部分の経糸、２ｃ……外方部分の経糸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 左右のテープの対向内縁部に、頭部を咬合状
   態とした左右の合成樹脂製の務歯列が形成され
   たスライドフアスナーの本体において、 前記左右テープは、その緯糸と内方部分の経
   糸は合成繊維系繊維により形成され外方部分の
   経糸は天然繊維系繊維により形成された織布に
   より形成されていることを特徴とするスライド
   フアスナーの本体。 (2) 上記合成繊維系繊維は、合成繊維を主体とす
   る混紡により、また上記天然繊維系繊維は、天
   然繊維を主体とする混紡により形成されている
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のスライド
   フアスナーの本体。