JPH02104466A - 繊維強化摺動部材の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、エンジンのシリンダ用ライナ一部材等の耐摩
耗性が良好であることが要求される摺動部材を、繊維強
化複合部材として得る際に用いられる、繊維強化摺動部
材の製造方法に関する。

（従来の技術） 車両等のエンジンにおいては、所定の機械的強度を具え
ることに加えて、良好な放熱特性を有し、かつ、軽量化
が図られたものとされることが、−船釣に望まれるとこ
ろとなる。斯かる観点から、従来、エンジンにおける外
殻構成部分であるシリンダブロックやシリンダヘッド等
を、アルミニウム合金材料で形成することが知られてい
る。

エンジンにおけるシリンダブロックがアルミニウム合金
製とされるにあたっては、シリンダブロックにおけるピ
ストンに対する摺動面部となるシリンダボアの内表面部
が、耐摩耗性が良好であることが要求される部分となる
ので、斯かる部分の耐摩耗性を他の部分に比して向上さ
せることが必要とされる。そのため、例えば、特開昭６
２−１８７５６１号公報に示される如く、シリンダブロ
ックをアルミニウム合金材料による鋳造品として得るに
あたり、炭素繊維とアルミナ繊維との混合繊維により成
形された円筒状繊維成形体をシリンダ用ライナーとして
用い、そのシリンダ用ライナーがシリンダボアの内表面
部を形成する部分に配されるようにアルミニウム合金材
料を用いた鋳造を行うことにより、シリンダボアの内表
面部の耐摩耗性を改善することが提案されている。

しかしながら、上述の如くにシリンダ用ライナーが円筒
状繊維成形体とされる場合には、円筒状繊維成形体は破
壊され易いものとなるので、その取扱いが面倒なものと
なってしまう。そこで、シリンダブロックをアルミニウ
ム合金材料による鋳造品として形成するにあたって用い
るに適し、取扱いが容易とされるシリンダ用ライナーを
、例えば、円筒状繊維成形体を鋳型内に配し、その鋳型
内にアルミニウム合金材料の溶湯を加圧注湯した後、ア
ルミニウム合金材料の溶湯を冷却凝固させて、アルミニ
ウム合金地内に強化繊維が分散ゼしめられた複合合金材
料で成る円筒状の繊維強化複合部材を形成することによ
り得ることが考えられている。

（発明が解決しようとする課題） 上述の如くに円筒状の繊維強化複合部材として形成され
たシリンダ用ライナーは、その摺動面部となる内表面部
における耐摩耗性が、アルミニウム合金地内に分散せし
められた強化繊維材によって向上せしめられるものとさ
れるが、アルミニウム合金地内に分散せしめられた強化
繊維材のうち、内表面部においてその表面に平行となる
方向に伸びるものは、内表面部から離脱し易い状態にお
かれていることになり、鋳造された繊維強化複合部材に
研削仕上加工が施される際、あるいは、シリンダ用ライ
ナーが実際の使用に供され、内表面部に対してピストン
が摺動するとき、内表面部から離脱せしめられる虞があ
る。そして、円筒状の繊維強化複合部材とされたシリン
ダ用ライナーの内表面部からの強化繊維材の離脱が生じ
ると、内表面部における耐摩耗性の向上が充分に図れな
いことになってしまう。

斯かる点に鑑み、本発明は、エンジンにおけるシリンダ
用ライナー等の耐摩耗性が良好であることが要求される
摺動面部を有するものとされる摺動部材を、合金地に強
化繊維材が分散せしめられたものとされる複合合金材料
で形成された繊維強化複合部材として得るにあたり、得
られる摺動部材における摺動面部を、その表面からの強
化繊維材の脱落が抑制されて、耐摩耗性の向上が効果的
に図られたものとなすことができる、繊維強化摺動部材
の製造方法を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上述の目的を達成すべく、本発明に係る繊維強化摺動部
材の製造方法は、合金地内に強化繊維材が分散せしめら
れたものとされる複合合金材料で形成された摺動部材の
素材を用意し、その摺動面形成部に研削加工を施して研
削面を形成した後、研削面が形成された摺動面形成部に
エツチング処理を施して、摺動面形成部にエツチング作
用の結果骨られる新たな面を形成し、さらに、新たな面
が形成された摺動面形成部に研磨材を用いての研磨を施
し、エツチング処理により形成された新たな面から脱落
し易いものとされていた強化繊維材を摺動面形成部から
除去して、摺動面部が設けられた繊維強化摺動部材を得
る。

（作　用） 上述の如くの本発明に係る繊維強化摺動部材の製造方法
により製造された繊維強化摺動部材は、合金地内に強化
繊維材が分散せしめられたものとされる複合合金材料で
形成され、その摺動面部が、研削加工、エツチング処理
、及び、研磨材が用いられての研磨が施されることによ
り、その表面から脱落する虞がある強化繊維材が予め充
分に取り去られるとともに、表面から脱落する虞のない
強化繊維材が臨ましめられるものとされる。従って、本
発明に係る繊維強化摺動部材の製造方法によれば、表面
からの強化繊維材の脱落が抑制されるとともに、表面か
ら脱落する虞のない強化繊維材が臨ましめられるものと
されて、耐摩耗性が効果的に向上せしめられた摺動面部
を有する繊維強化摺動部材が得られることになる。

（実施例） 以下、本発明に係る繊維強化摺動部材の製造方法の一例
、及び、それにより得られる繊維強化摺動部材について
、図面を参照して述べる。

この例は、本発明に係る繊維強化摺動部材の製造方法が
、エンジンのシリンダブロックの形成に使用されるシリ
ンダ用ライナーを、複合合金材料製のものとして得るに
適用されたものとなされており、その実施にあたっては
、先ず、合金地内に強化繊維材が分散せしめられたもの
とされる複合合金材料で形成されたシリンダ用ライナー
素材を用意する。斯かるシリンダ用ライナー素材は、例
えば、９５重量％の酸化アルミニウムと５重量％の酸化
シリコンとを含む組成を有し、繊維径が約３μｍとされ
たアルミナ短繊維を用いて、体積率が、例えば、１５％
とされる円筒状の繊維成形体を形成し、形成された繊維
成形体を、例えば、約５００°Ｃに予熱された状態で高
圧鋳造装置における鋳型内に配して、その鋳型内に、例
えば、約７５０°Ｃとされたアルミニウム合金材料の溶
湯を７００ｋｇ１０Ｊ程度の圧力をもって加圧注湯し、
その後、鋳型内のアルミニウム合金材料の溶湯を冷却凝
固させて得る。

このようにされて得られるシリンダ用ライナー素材は、
例えば、第４図に示される如くに、円筒状のものとされ
る。そして、斯かるシリンダ用ライナー素材は、筒状体
１０における内面部１０ａが、夫々が筒状体１００部分
部分歪示す第１図〜第３図が参照されて、以下に述べら
れる如くの各処理が順次節されることにより摺動面部を
形成するものとされて、シリンダ用ライナーとされる。

従って、シリンダ用ライナー素材を構成する筒状体１０
における内面部１０ａは、摺動面形成部とされることに
なる。また、筒状体ｌＯは、第１図〜第３図に示される
如く、アルミニウム合金地１２中にアルミナ短繊維１３
が分散せしめられて成る複合合金材料で形成されたもの
とされる。

上述の如くにして用意されたシリンダ用ライナー素材の
筒状体１０における内面部１０ａに対して、最大高さが
０．５μｍ程度となる表面粗さを有するものとなるよう
にする研削仕上げ加工を施し、内面部１０ａを、第２図
に示される如くの、平滑な研削面１１を有するものとす
る。研削面１１には、筒状体１０を形成するアルミニウ
ム合金地１２中に散在するアルミナ短繊維１３のうちの
内面部１０ａに位置するものが臨むものとなる。そして
、研削面１１に臨むアルミナ短繊維１３のうち、例えば
、第２図において（１３ａ）として示される如くの、内
面部１０ａに対する研削仕上げ加工によって大部分が削
り取られたものは、研削面１１から脱落し易い状態にお
かれたものとされる。

次に、研削面１１が形成された内面部１０ａに対して、
その表面に、純度７０％の硝酸を１５容量％及び純度８
０％の燐酸を８０容量％含み、残部が水である混合水溶
液を、６０°Ｃまで加熱して塗布し、約２０秒間保持す
ることによるエツチング処理を施し、内面部１０ａを研
削面１１から０゜４〜０．５μｍ程度腐食させた後、内
面部１０ａを水洗して溶出物及び混合水溶液の除去を行
う。その結果、第３図に示される如くに、内面部１０ａ
に、エツチング処理により浸食された面１４が形成され
、内面部１０ａに対するエツチング処理前に研削面１１
から脱落し易い状態におかれたアルミナ短繊維１３　（
１３ａ）は、この面１４から一層脱落し易い状態におか
れるもの、あるいは、面１４から離脱せしめられて除去
されるものとされ、さらに、内面部１０ａに堅固に保持
されて研削面１１に臨むものとされていたアルミナ短繊
維１３が、その先端を面１４から突出させるものとされ
る。

続いて、エツチング処理が施されて面１４が形成された
内面部１０ａに対して、例えば、シリコン粉末もしくは
アルミナ粉末を含んだ研磨油を用いての別布研磨を施し
、第１図に示される如くに、エツチング処理により面１
４から極めて脱落し易いものとされたアルミナ短繊維１
３　（１３ａ）を面１４より除去し、また、内面部１０
ａに堅固に保持されてその先端部を面１４から突出させ
るものとされたアルミナ短繊維１３に対しては、その先
端部を研磨して面取りが施されたものとなす。

また、同時に、内面部１０ａを形成するアルミニウム合
金地１２に形成された面１４を平滑化する。

このようにして、シリンダ用ライナー素材を構成する筒
状体１０における内面部１０ａを、第１図に示される如
くに、平滑化されるとともに、そこから脱落し易いもの
とされたアルミナ短繊維１３が予め除去されて、内面部
１０ａに堅固に保持されたアルミナ短繊維１３の先端部
が研磨された状態で露出するものとされた面１４を有す
るものとし、その内面部１０ａをピストンに対しての摺
動面部とする繊維強化複合合金製のシリンダ用ライナー
を得る。従って、得られた繊維強化複合合金製のシリン
ダ用ライナーは、その摺動面部が、その表面からの強化
繊維材の脱落が抑制されるとともに、表面から脱落する
虞のない強化繊維材が臨ましめられるものとされて、耐
摩耗性に優れたものとされることになる。

次に、本発明に係る繊維強化摺動部材の製造方法に従っ
て、試験用試料として得られた、摺動面部を有する繊維
強化複合合金部材（以下、部材Ａという）と、本発明に
係る繊維強化摺動部材の製造方法とは異なる製造方法に
従って、比較用試料として得られた、部材Ａと同様な形
状に形成され、摺動面部を有するものとされた繊維強化
複合合金部材（以下、比較例Ｓａという）との比較につ
いて述べる。

比較例Ｓａは、上述の如くにして本発明に係る繊維強化
摺動部材の製造方法の一例が実施されるとき、その途中
工程で得られるシリンダ用ライナー素材と同様な繊維強
化摺動部材の素材を用意し、その摺動面形成部に対して
研削仕上げ加工のみを施して得たものである。

そして、部材Ａからその摺動面部を含むように切り出さ
れたディスク２０と比較例Ｓａからその摺動面部を含む
ように切り出されたディスク２２を用いて摩耗試験を行
った。

斯かる摩耗試験は、第５図に示される如く、試験機に固
定されたディスク２０及び２２における摺動面２０ａ及
び２２ａに対して、潤滑油が供給されたもとで、ホルダ
２４の下面側に同一円周上に等間隔をおいて配された４
本のピン２６の端面２６ａが当接せしめられ、回動押圧
手段により、ホルダ２４が、４本のピン２６を、ディス
ク２０の摺動面２０ａ及びディスク２２の摺動面２２ａ
に、総合面圧が１１０　ｋｇ／＋Ｊ１となるように押圧
荷重Ｐをもって押し付けるとともに、摺動速度５ｍ／Ｓ
をもって、総摺動距離が１８ｋｍとなるまで連続回転さ
せるものとされて行われた。ピン２６は、例えば、ねず
み鋳鉄により、底面が１辺を５園とする正方形とされた
直方体状に形成されたものとされた。

潤滑油としては、使用済の清浄度が低下したエンジン油
を１００°Ｃに加熱したものが用いられ、ディスク２０
及び２２における夫々の摺動面２０ａ及び２２ａに対し
て、０．３１７ｍ１ｎが供給されるものとされた。この
ように清浄度が低下したエンジン油が用られたのは、デ
ィスク２０及び２２における摩耗を促進させるためであ
る。

そして、斯かる摩耗試験の結果、比較例Ｓａから切り出
されたディスク２２が試験に供された場合は、ピン２６
の摩耗量が３ｍｇでディスク２２の摩耗量が１９．４■
であったのに対し、部材Ａから切り出されたディスク２
０が試験に供された場合は、ピン２６の摩耗量が０．２
ｍｇでディスク２０の摩耗量が６．５■であって、耐摩
耗性の点で部材Ａが比較例Ｓａより明らかに優れている
ことが確認された。

なお、上述の例は、エンジンにおけるシリンダブロック
の形成に際して用いられるシリンダ用ライナーの製造に
適用されているが、本発明に係る繊維強化摺動部材の製
造方法は、斯かる例に限られることなく、耐摩耗性が良
好であることが要求される摺動面部を有するものとされ
る摺動部材を、繊維強化複合合金製として得るにあたっ
て広く適用され得るものである。

（発明の効果） 以上の説明から明らかな如く、本発明に係る繊維強化摺
動部材の製造方法によれば、エンジンにおけるシリンダ
用ライナー等の耐摩耗性が良好であることが要求される
摺動面部を有するものとされる摺動部材を、繊維強化複
合合金材料をもって得るにあたり、その摺動面部が、表
面からの強化繊維材の脱落が抑制されるとともに、表面
から脱落する虞のない強化繊維材が臨ましめられるもの
とされて、強化繊維材による強化が効果的に作用し、耐
摩耗性に優れたものとされた繊維強化摺動部材を得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本発明に係る繊維強化１習動部材の製
造方法の一例における各工程の説明に供されるシリンダ
用ライナー素材の部分断面図、第４図は本発明に係る繊
維強化摺動部材の製造方法の一例の実施にあたってその
途中工程で得られるシリンダ用ライナー素材を示す斜視
図、第５図は１γ耗試験の説明に供される図である。 図中、１０は筒状体、１０ａは内面部、１２はアルミニ
ウム合金地、１３及び１３ａはアルミナ短繊維である。 第１図第２図　第３図 １３．１３ａ：アルミナ風織雄 第４図　　　第５図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 合金地内に強化繊維材が分散せしめられたものとされる
   複合合金材料で形成された摺動部材の素材を用意し、該
   摺動部材の素材における摺動面形成部に研削加工を施し
   て研削面を形成する工程と、上記研削面が形成された上
   記摺動面形成部にエッチング処理を施して、上記摺動面
   形成部にエッチング作用の結果得られる新たな面を形成
   する工程と、 上記新たな面が形成された上記摺動面形成部に研磨材を
   用いての研磨を施し、上記新たな面から脱落し易いもの
   とされていた強化繊維材を上記摺動面形成部から除去し
   て、摺動面部が設けられた繊維強化摺動部材を得る工程
   と、 を含むことを特徴とする繊維強化摺動部材の製造方法。