JPH0210291Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、デイーゼルエンジン用燃料噴射ノズ
ルの改良に関し、サツクボリユームが小さく噴孔
部に焼付を生じない燃料噴射ノズルを提供すもの
である。

〔従来の技術〕

燃料噴射ノズルは、通常シリンダヘツドとピス
トンの頂部との間に形成される燃焼室中に向けて
シリンダヘツドに固定されている。

従つて、燃焼室中に燃料噴射ノズルの噴孔部を
臨ませている関係上、常にこの噴孔部は高温に晒
されており、この噴孔部において燃料の焼付を生
じ易く、燃料の噴射状態に不具合を生じ、エンジ
ンの出力の低下や排ガスの性状が悪化する欠点が
あつた。

特に、デイーゼルエンジンの排ガスのHCは、
燃料噴射ノズルの無駄容積（サツクボリユーム）、
即ちノズル部内に生じるデツドスペースに大きく
影響されるため、この燃料噴射ノズルにおいては
この無駄容積を極力減少することが望まれてい
る。

前記従来の燃料噴射ノズルの有する欠点を解消
するため、燃料噴射ノズルをセラミツク材により
形成する試みが従来から行われている。例えば特
公昭17−1312号公報の発明は、アルミナなどの磁
性材料でノズルを成形する際に、ノズル孔を設け
る部位に毛髪などの有機物質を配置し、焼成する
際に燃焼・消失させてノズルを形成するものであ
る。

〔考案の解決しようとする課題〕

しかしながら前記公報に開示されたノズルは、
針弁の先端を平坦とし、その直前に内側が平坦な
セラミツク製ノズル部材を配置し、周辺を弁の外
殻で保持するようにしている。従つて引例発明の
噴射ノズルは、長期間の使用により噴射時の高い
圧力によつてノズルが破損する危険がある。この
ように従来使用されているセラミツク材を燃料噴
射ノズルとして使用することに強度上の問題があ
り実現は困難であつた。

本考案は、前記従来の燃料噴射ノズルを有する
欠点を解消するために得られたものであつて、ノ
ズル部の強度を高くすることができ、しかも噴孔
部に燃料の焼付を生じ難く、更にノズルの無駄容
積を容易に低減できる構造の燃料噴射ノズルを提
供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

以上の目的を達成するための本考案のデイーゼ
ルエンジン用燃料噴射ノズルの構成は、先端をテ
ーパ状に形成した針弁と、セラミツク材からな
り、且つ燃料の噴孔部を設けたノズル部と、先端
に設けた燃料出口にノズル部を配置したホルダ本
体と、ノズル部を外側からホルダ本体に締め付け
る締付金具とを設け、ホルダ本体の前記燃料出口
の周囲内面にテーパ状の弁座部を設け、また針弁
とノズル部内面との間に微少間隙を設けたもので
ある。

前記構成のノズル部の針弁側内面は、当然テー
パ状に形成しており、従つて針弁によつて生じる
燃料の流れは、ノズル内面に対して斜め方向にな
り、垂直に加わる圧力をより低減させることがで
き、しかも外側から締付金具でノズルを締め付け
て燃料の噴射圧などで破損することを防止でき
る。従つて、セラミツク材を耐圧性とすることが
可能となり、従つて無駄容積を無くし、またノズ
ルの焼付を防止することができる。

〔実施例〕

次に図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

図は本考案に係る燃料噴射ノズルの要部を示す
断面図である。

１は針弁であつて、その先端をテーパ面に形成
して弁体部２を構成している。この針弁１の周囲
には、先端部を欠如して燃料出口を設け、その周
囲内面にテーパ状の弁座部４を設けた円筒状の金
属製のホルダ本体３を設けている。

前記ホルダ本体３の欠如した部分には、セラミ
ツク材料からなるノズル部５が接当してホルダ本
体３とノズル部５とで通常のノズルホルダの全体
を構成している。

そして前記ホルダ本体３とノズル部５とを覆う
ように締付金具７が設けられ、これの鍔部８に締
付金具９の鍔部１０を係合し、この締付金具９を
前記ホルダ本体３の外周に形成したねじ部１１に
螺合してノズル部５とホルダ本体３の先端部との
接合面を押圧して水密に接合している。

前記のようにノズルホルダの一部を構成するノ
ズル部５はセラミツク材より製作され、その内面
５Ａは前記針弁１の先端にある弁体部２のテーパ
面に合わせてテーパ状に形成されている。そして
この内面５Ａと前記弁体部２との間には微少間隙
１６が形成され、この弁体部２が直接に内面５Ａ
に当らないように構成されている。また、図示の
ように締付金具７によつてノズル部５の下部が押
圧されるような形状になつている。

ノズル部を構成するセラミツク材は、耐熱性の
ある材料であり、例えば、窒化珪素系のセラミツ
クが使用される。

このノズル部５には、内面５Ａにほぼ直交して
噴孔部１５が設けられている。また、この噴孔部
１５の前方に位置する締付金具７の部分には、穴
１７が設けられて、噴孔部１５より噴射される燃
料噴霧に障害がないようになつている。

ノズル部５の一部には切欠部１８が形成され、
ホルダ本体３の下部にも同様に溝部１９が設けら
れて両者に亙つてキー２０を挿入して両者の位置
を決めている。

またホルダ本体３と締付金具７との間にはキー
溝２５が設けられて、この溝２５にキー２６を挿
入して両者の位置を決めている。

本考案は、前記のように針弁１を収容するノズ
ルホルダを、金属製の円筒状のホルダ本体３とそ
の先端に位置するノズル部５とで構成し、このノ
ズル部５をセラミツク材で構成し、しかもこのノ
ズル部５の内面５Ａを前記針弁１の弁体部２の形
状に合わせてテーパ面に形成し、この内面５Ａと
弁体部２との間に微少間隙１６を持たせた点に特
徴がある。

〔考案の効果〕

本考案は前記のように構成することによつて次
のような作用効果を奏することができる。

Ａ ノズルホルダの噴孔部１５を設ける部分をセ
ラミツク材で構成したので、この噴孔部１５が
高温度に晒されても噴孔部に焼付きを生じな
い。

Ｂ ノズル部５と針弁１の弁体部２との間に微少
間隙１６を確保するようにしたので、無駄容積
即ちサツクボリユームをほぼ零にすることがで
きる。

このようにサツクボリユームをほぼ零にする
ことよつて、エンジンの排ガス中のHCを顕著
に減少することができる。

Ｃ ノズル部５の内面５Ａと針弁１の弁体部２と
の間に微少間隙１６を設けたので、弁体部２が
直接にノズル部５に接触することがなく、セラ
ミツク製のノズル部５に衝撃を与えることがな
く、耐久性に富み、ノズル部５の破損を防止す
ることができる。

しかも、本考案の燃料噴射ノズルは、比較的
に簡単な構造をしているので、コスト的にも有
利に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

図は、本考案の実施例に係るデイーゼルエンジ
ン用燃料噴射ノズルの要部を示す断面図である。 １……針弁、２……弁体部、３……ホルダ本
体、４……弁座部、５……ノズル部、５Ａ……内
面、７……締付金具、８……鍔部、９……ねじ
部、１０……鍔部、１１……ねじ部、１５……噴
孔部、１６……微少間隙、１７……穴、１８……
切欠部、１９……溝部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端をテーパ状に形成した針弁１と、セラミツ
   ク材からなり、且つ燃料の噴孔部１５を設けたノ
   ズル部５と、先端に設けた燃料出口にノズル部５
   を配置したホルダ本体３と、ノズル部５を外側か
   らホルダ本体３に締め付ける締付金具７とを設
   け、ホルダ本体３の前記燃料出口の周囲内面にテ
   ーパ状の弁座部４を設け、また針弁１とノズル部
   ５内面との間に微少間隙１６を設けたデイーゼル
   エンジン用燃料噴射ノズル。