JPH019320Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は人工衛星に搭載される高出力進行波
管の消費電力の低減、すなわち能率向上を図る為
の輻射冷却形コレクタの重量軽減に関するもので
ある。

進行波管に於いては、電子銃から射出された電
子ビームは遅波回路で入力結合部から入力された
高周波と相互作用して、これを増巾した後、コレ
クタに捕捉される。即ち電子ビームのエネルギー
は高周波の増巾に費やされて高周波出力として出
力取出部から取出され、残りの大部分はコレクタ
に於いて熱損失として費やされる。従つてコレク
タに於いて熱損失として消費される電力を出来る
だけ少なくして能率の向上を図ることは、消費電
力の低減のために、更にコレクタの冷却を容易に
するために望ましいことである。特に人工衛星に
搭載される進行波管では所要電源の小形軽量化及
び衛星本体の温度上昇を防ぐために能率向上が厳
しく要求される。人工衛星に搭載される高出力の
進行波管では能率の大巾な向上を図る為、コレク
タ電極を複数個に分割してそれぞれ異なつた電圧
を印加することにより、高周波との相互作用を終
えて速度分布を持つようになつた電子ビームをそ
れぞれの速度に応じて分別して出来るだけ熱損失
を発生しないように捕捉する多段コレクタが一般
に採用される。

多段コレクタの性能を示す指標としてのコレク
タ効率、即ち高周波との相互作用を終えてコレク
タへ入射する電子ビームの持つているエネルギー
いわゆるスペントビームエネルギーに対するコレ
クタ電源に回収されるエネルギーとの比として定
義される値はコレクタの分割段数によつてその最
大限界値が理論的に求められ分割段数の多いもの
ほど大きくなることが知られている。実際には３
〜10段のものが用いられている。このような進行
波管は人工衛星上では衛星本体の温度上昇を防ぐ
ため、コレクタで発生した熱を直接宇宙空間に輻
射によつて放散するようにコレクタを衛星外壁の
外に出して進行波管ボデイを衛星外壁内に固定す
るという形で据えつけられる。従つてこのような
進行波管ではコレクタで発生した熱が進行波管ボ
デーへ伝わらないように断熱すること、各コレク
タ電極の電気絶縁各コレクタ電極で発生した熱の
放散、コレクタの機械的支持及び小形軽量化など
が重要な問題である。

このような多段コレクタの従来のものは薄い金
属板で所要の形状に作つた各コレクタ電極をセラ
ミツク等の棒で作つた磁器製絶縁体を中心軸対称
の数ケ所に設備して中心軸方向に所要の間隔で支
持し、この外側に底面を有する円筒形の金属製真
空外囲器をステンレス製ベローズなどの低熱伝導
部材を介してボデイに接続して真空外囲器を設け
たものである。この構造に於いて各コレクタ電極
で発生した熱は主に輻射によつて真空外囲器に伝
達され、更に真空外囲器から宇宙空間に輻射によ
つて放散される。しかしながらこのような多段コ
レクタは宇宙空間への輻射放熱面である真空外囲
器への各コレクタ電極からの熱の伝達を輻射によ
り行つているので、各コレクタ電極の輻射表面積
を大きくするためコレクタ電極の外形寸法を大き
くせざるを得ず重量が増加するという欠点があつ
た。

この考案はこのような従来の欠点を取り除いた
多段コレクタを提供するものである。

コレクタ電極の構造は高周波との相互作用を終
えた電子を捕捉する円錐部分と前記円錐部分を支
持し且つ各コレクタ電極と電気絶縁する磁器製絶
縁体と接触する円周部分から構成されている。従
来この種のコレクタ電極の支持体部分は円板状で
ある為重量が増加するという欠点がありこの考案
は支持体部の磁器製絶縁体と接触しない円周部分
に切欠け部分を設けてコレクタ電極の重量を軽減
するものである。

次にこの考案を図面に示す実施例によつて説明
する。第１図には進行波の多段コレクタの中心軸
を通る断面を示し、第２図にはコレクタ電極がＡ
−A′断面により示されている。第１図にはボデ
ー１にコレクタを支持する支持板２がろう付され
この支持板２にステンレス製ベローズ３及びステ
ンレス製支持体４を介して支持板５がろう付され
この支持体５の外縁部にはステンレス製ベローズ
３及び薄肉金属円筒６がろう付されこの薄肉金属
円筒６の他端部に薄肉金属板７がアーク溶接され
真空外囲気が構成されている。金属板で所要の形
状に作られた第１ないし第４の各コレクタ電極そ
れぞれ８，９，１０，１１はセラミツク円柱１２
により中心軸対称の数個所で中心軸方向に所要の
間隔を保たれて固定されると共に各コレクタ電極
８，９，１０，１１はセラミツク円柱１２により
電気絶縁され第１コレクタ側のセラミツク円柱１
２を介して支持体５に固定されている。このよう
な進行波管の多段コレクタに用いるコレクタ電極
は第２図に示すように高周波との相互作用を終え
た電子を捕捉する円錐部分２１とこの円錐部分２
１を支える支持体部分２２により構成されてい
る。この支持体部分２２のセラミツク円柱１２の
間の支持体として不要な部分に重量を軽減する為
に台形の切欠け２３があけられている。

尚上記実施例は、４段のコレクタ電極に台形の
切欠けの場合の実施例であるがこの考案がコレク
タ電極数及び切欠けの形状により制限されるもの
ではない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の多段コレクタの実施例の断
面である。第２図は第１図の多段コレクタのＡ−
A′方向の断面を示す。 １……ボデー、２……支持板、３……ベロー
ズ、４……支持体、５……支持板、６……金属円
筒、７……金属円板、８，９，１０，１１……第
１、第２、第３、第４コレクタ電極、１２……セ
ラミツク円柱、２１……円錐部分、２２……支持
体部分、２３……切欠け部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 輻射放熱面が断熱されてボデイに接続されて成
   るコレクタ真空外囲器の中にボデイに対して断熱
   され且つ磁器製絶縁体により前記コレクタ真空外
   囲器および複数のコレクタ電極が互いに電気絶縁
   され支持されている進行波管の多段コレクタに於
   いて、前記コレクタ電極の円錐部分及び磁器製絶
   縁体と接触する部分を除く円周部分に切欠けを有
   することを特徴とする進行波管の多段コレクタ。