JPS6217970Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は進行波管、クライストロンのような電
子ビーム直進形マイクロ波管のコレクタの構造の
改良に関する。

ビーム直進形マイクロ波管は周知のように陰極
から放出された電子ビームがヘリツクスなどの遅
波回路や多空胴の高周波回路部を通過したあとコ
レクタによつて補捉される。コレクタの構造には
コレクタ電極を高周波回路部から絶縁しこの電位
よりも低い電位にして用いるものがある。これに
よつてコレクタによつて消費される電力を低減し
ているが、コレクタに発する熱が高周波回路部に
輻射、あるいは伝導してしまい易い。このように
して高周波回路部の温度が上昇すると、高周波回
路部の熱変形を生じたり、ビーム集束用磁気回路
の永久磁石の熱減磁を生じてしまうなどの不都合
がある。このコレクタから高周波回路部への熱輻
射を防止する目的で両者の間に熱遮蔽板を配置
し、この熱遮蔽板の端部を高周波回路部の端部の
ポールピースなどに接続した構造も知られている
が、この場合も熱遮蔽板に伝わる熱の一部は依然
としてポールピースを経て高周波回路部に伝わ
り、磁石の減磁などをひき起してしまう。コレク
タや高周波回路部を強制冷却できる場合はこのよ
うな不都合もそれほど問題にならない。しかし一
方、衛星塔載用マイクロ波管では、コレクタから
の熱放散は外囲器への伝導および輻射作用で衛星
本体へ熱伝達するしかなく、高周波回路部の温度
上昇防止にはあらたな工夫が要求される。

本考案は以上のような事情のもとでなされたも
ので、電子ビーム直進形マイクロ波管のコレクタ
構造として、コレクタ電極に発する熱を大部分そ
の外囲器に伝え、高周波回路部へ伝導しないよう
にした構造を提供するものである。

以下第１図に示す実施例を詳細に説明する。こ
れはとくに衛星塔載用マイクロ波管に好適な構造
である。高周波回路部１１は遅波回路を収容する
真空気密容器１２、その外周に配列された複数の
円筒状永久磁石１３、磁性シム板１４、および円
板状端ポールピース１５を有してなる。高周波回
路部１１の端部にはコレクタ１６が連設されてい
る。コレクタ１６は、まず、互いに接合されて真
空気密壁のそれぞれ一部をなす断面Ｌ字状の金属
円筒１７、コレクタ電極接続リード用気密端子１
８、熱伝導率が低く且つ熱伝導路長が長大になる
ように形成した蛇腹１９（本考案ではこれを高熱
抵抗部材と定義する）、円板２０、コレクタ真空
外囲器２１を有している。蛇腹１９は一端がポー
ルピース１５に接合された断面Ｌ字状の支持体２
２に機械的に保持され、他端が円板２０に接合さ
れている。この蛇腹１９の内側には少し離して円
筒状のスペーサ２３、このスペーサが当接する絶
縁円板２４が配置されており、これによつて蛇腹
１９の大気圧による収縮変形を防止し且つコレク
タの機械的強度を高めている。コレクタ１６は次
にコレクタ外囲器２１の内部に収容された複数の
良熱伝導性セラミツク絶縁体２５，２６、これら
に保持された銅製の複数の円錐形状コレクタ電極
２７ａ，２７ｂ…および有底円筒状端コレクタ電
極２７ｅを有してなる。このコレクタ電極は中央
孔２８が高周波回路部側から順次径大になつてお
り、各々が絶縁されてベリリアのような良熱伝性
のセラミツク絶縁体２５に順次積層され固定され
ている。最上段のコレクタ電極２７ｅは２７ｄと
接続され、絶縁体２６で保持されている。複数の
リング状セラミツク絶縁体２５は円周上の４箇所
に縦列にあけられた孔２５ａを有し支持棒２９に
より所定間隔に積層固定されている。そして各コ
レクタ電極２７ａ…を夫々に対応する支持棒２９
を介して各気密端子１８の貫通リード１８ａに電
気的に接続している。この図では下から２番目の
コレクタ電極２７ｂを電気的にリード１８ａに接
続した位置を示しており、支持棒２９とこのコレ
クタ電極２７ｂとの間をセラミツク絶縁体２５間
に挿入した導電円板３０で電気的に接続してい
る。このようなやり方で他の孔部分で他のコレク
タ電極とその部分を貫通する支持棒とを電気的に
接続する。このように支持棒は複数のセラミツク
絶縁体およびコレクタ電極の間隔を保つためと、
各コレクタ電極と気密端子のリードとを電気的に
接続するためのものである。またこうして、各コ
レクタ電極は絶縁体２５を介してコレクタ外囲器
２１に伝熱的に接続されている。

さてそこで、高周波回路部１１の端部真空気密
壁すなわちポールピース１５および金属円筒１７
からなる気密壁と、これに最も近接している第１
コレクタ電極２７ａとの間に、銅製の円錐形状の
熱遮蔽板３１を配置してある。この熱遮蔽板３１
は中央孔３２が第１コレクタ電極２７ａの中央孔
２８および高周波回路部の容器１２の開口端の外
径寸法よりもわずかに径大としてあり、ここに電
子が当らないようにしつつこのコレクタ電極から
ポールピース１５および金属円筒１７への熱輻射
を遮断している。そしてこの熱遮蔽板３１の外端
部３３は最下端のセラミツク絶縁体２５近傍でコ
レクタ真空外囲器２１および円板２０に伝熱的に
接合され機械的に保持されている。この多段形コ
レクタ電極２７ａ…には図の下段側から高周波回
路部よりも低く且つ順次低い電位が与えられる。

以上の本考案コレクタ構造は、高周波回路部と
コレクタ部とを蛇腹すなわち高熱抵抗部材で熱的
に事実上分離するとともに内部のコレクタ電極と
高周波回路部との間に外端部がコレクタ真空外囲
器に熱的に接合された熱遮蔽板を介在してあるた
め、コレクタ電極で発する熱が高周波回路部へ直
接輻射することは防止されるとともにこの熱遮蔽
板に至る熱はコレクタ外囲器に伝達され、このコ
レクタ外囲器が接続される衛星本体に有効に放散
される。このように本考案によればコレクタから
高周波回路部への熱伝導を大きく抑制できる。事
実、数百ワツト程度のコレクタ損失でコレクタ電
極は約500℃に達し、本考案における熱遮蔽板が
ない場合は高周波回路部のポールピースが約140
℃になつていたものが本考案による同ポールピー
スは約95℃に低減することができた。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す半縦断面図であ
る。 １１……高周波回路部、１６……コレクタ部、
２７ａ，２７ｂ……コレクタ電極、１９……高熱
抵抗部材（蛇腹）、２１……コレクタ真空外囲
器、２５，２６……セラミツク絶縁体、３１……
熱遮蔽板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 高周波回路部１１の端部真空気密壁１５，１７
   と、この端部真空気密壁１５，１７の外周部に接
   続されて真空気密壁の一部をなす高熱抵抗部材１
   ９と、高熱抵抗部材１９に接続されたコレクタ真
   空外囲器２１と、このコレクタ真空外囲器の内側
   に電気絶縁体２５，２６を介して配設されたコレ
   クタ電極２７ａ〜７ｅとを具備し、 上記高周波回路部１１の端部真空気密壁１５，
   １７とこれに近接するコレクタ電極２７ａとの間
   に、その中央孔３２が前記コレクタ電極２７ａの
   中央孔２８よりも大きい寸法を有する熱遮蔽板３
   １が配設されるとともに、この熱遮蔽板３１の端
   部３３が上記コレクタ真空外囲器２１に伝熱的に
   接合されてなることを特徴とするマイクロ波管の
   コレクタ構造。