JPH0160641B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 この発明は全般的に、羽根車と蒸気タービンの
軸の間の締まり焼ばめが弛んだ場合、蒸気タービ
ンの羽根車が相互に回転するのを防止する手段、
特に、隣接するタービン羽根車の間のキー溝に配
置される捕捉半径方向キーに関する。

或る蒸気タービンは、その半径方向外側部分に
蒸気タービンの羽根を持つタービン羽根車が、回
転子の軸の一体の一部分でない程の大形の回転子
を利用している。こういう蒸気タービンの回転子
の半径方向の寸法は、タービン羽根の寸法を除外
して、７又は８フイート程度になることがある。
この様な大形回転子は、その寸法のため、並びに
蒸気タービンの羽根に影響する蒸気の質と量の
為、かなりの応力を受けることがよく知られてい
る。

各々の羽根車は全体的に羽根車の半径方向内側
部分にハブ部分を持ち、各々のハブ部分を中孔が
通抜けている。軸の一体の一部分ではない羽根車
は、羽根車の中孔を構成するハブの半径方向内側
の面と軸の対応する面の間の締まり焼ばめによ
り、軸に固定することが出来る。通常の予想され
るタービンの運転中、この締まり焼ばめが、羽根
車が軸に対し、並びに軸に固定された他の羽根車
に対して、回転するのを防止する。

タービンの正しい運転を保証する為には、ター
ビン羽根車は軸に対する略一定の円周方向の位置
並びに軸上にある他の羽根車に対する一定の軸方
向の位置に保つことが要求される。こういう条件
は、境界を設定する間の超過速度の様な普通では
あるが定常状態ではない状態の間、制御作用の不
良又は暴走による超過速度の様な望ましくない異
常状態の間、並びに熱的に過渡的な期間の間を含
めて、タービンのあらゆる運転状態の間も充たさ
なければならない。

当業者であれば、一般的に羽根車のハブと呼ぶ
半径方向内側部分の様な羽根車の或る部分は、軸
に羽根車を締まり焼ばめにする為に、かなりの応
力を受けることが認識されよう。この応力が、タ
ービンの通常の運転、熱的に過渡的な状態に於け
る運転、又は避けることの出来ない不良な運転状
態によつて発生されるこの他の応力と組合さつ
て、羽根車のハブの一部分に、応力腐食ひゞ割れ
の微候を招く原因になるという疑いがある。応力
腐食ひゞ割れを生ずる正確なメカニズムは十分に
判つていないが、羽根車の中孔、一般的にはハブ
の面に於ける応力を最小限に抑え、こういうハブ
領域で、蒸気からの復水が溜まること並びに復水
並びに／又は蒸気中の酸素の濃度を最小限に抑え
るか或いはなくせば、応力腐食ひゞ割れが起る確
率は、なくならないとしても、低下すると考えら
れる。

米国特許第4029437号には、隣合う羽根車の隣
接するハブによつて形成されたキー溝に円筒形の
ボタンを配置することが記載されている。ボタン
とキー溝は、ハブの周縁と軸の面に隣接したハブ
の半径方向内側部分の中間にある。然し、研究に
よると、隣合つた羽根車のハブの向い合う軸方向
端面によつて形成されたキー溝の形がどうである
かが、この領域に於ける局部的な応力を減少する
上で重要な因子であることが判つた。公知の装置
で、キー、キー溝及びハブの関連部分の精密な幾
何学的な形を取上げたものはない。

発明の目的 この発明の目的は、蒸気の凝縮並びにキー止め
手段の周りに形成される復水の酸素含有量を最小
限に抑える為に、蒸気タービンを通る蒸気からキ
ー止め手段が実質的に隔離される様な、蒸気ター
ビンの羽根車を固定するキー止め手段を提供する
ことである。

この発明の別の目的は、キー並びにキー溝を取
巻くハブの領域の応力集中係数を最小限に抑える
為に、隣接する羽根車のハブの間に形成されるキ
ー溝に配置されるキーを提供することである。

この発明の別の目的は、固定しようとする羽根
車の軸方向の端に軸方向に隣接する羽根車がない
時、蒸気タービンの羽根車を軸に固定するキー止
め手段を提供することである。

発明の要約 この発明の１実施例では、蒸気タービンの回転
子が、回転自在の軸と、該軸に沿つて軸方向に隔
たる複数個の羽根車とを有する。羽根車は、羽根
車の半径方向内側の面と軸の間の締まり焼ばめに
よつて軸に固定される。各々の羽根車が、羽根車
の半径方向の一番外側の部分に円周方向に整合し
た複数個の蒸気タービン羽根を担持している。普
通、各々の羽根車は半径方向内側部分にハブ部分
を持ち、各々のハブが１対の軸方向端面を持つて
いる。円周方向の舌片が各々の軸方向端面の半径
方向の外周から軸方向に伸び、該舌片の軸方向外
側部分は、次に隣接する羽根車の隣接するハブに
設けられた対応する舌片に密に接近している。
各々の軸方向端面は軸方向に伸びる弓形に隔たつ
た１対のランドをも持つており、その間に略半径
方向の溝孔が形成される。ランドは半径方向には
軸方向端面の舌片とハブの半径方向内側部分の中
間に配置されている。隣接するハブの半径方向溝
孔が軸方向に整合していて、隣合つた羽根車の間
に略半径方向のキー溝を形成する。各々のキー溝
には、略Ｉ形梁形のキーが配置される。キーの凹
部がキー溝を形成する半径方向溝孔と合さる。キ
ーの上側及び下側の横方向延長部が、隣接するハ
ブの夫々の軸方向端面と接触する外面を持つてい
る。キーは上側及び下側の横方向延長部から伸び
る上側及び下側の半径方向末端を持ち、これが少
なくとも１つの舌片の半径方向内側部分と接触す
ると共に、軸の外面と密に接近している。キーの
前面及び後面が、キー溝を形成する半径方向溝孔
の前側及び後側側壁と夫々に接触し、こうして締
まり焼ばめが弛んだ場合、１つの羽根車が隣接す
る羽根車に対して回転することを防止する。この
発明の要旨は特許請求の範囲に具体的に且つ明確
に記載してあるが、この発明自体の構成並びにそ
の他の目的及び利点は、以下図面について説明す
る所から最もよく理解されよう。

詳しい説明 この発明は全般的に、締まり焼ばめによつて軸
に固定された蒸気タービンの羽根車が、羽根車と
軸の間に締まり焼ばめが弛んだ場合、軸上の他の
羽根車並びに軸自体に対して回転するのを防止す
る手段、特に軸に設けられた隣接する羽根車によ
つて構成されたキー溝に配置されるキーに関す
る。

第１図は蒸気タービン回転子１０の部分的な軸
断面図を示す。回転子１０が回転自在の軸１２、
並びに軸１２に沿つて軸方向に隔たる羽根車１
４，１６，１８の様な複数個の羽根車を持つてい
る。羽根車１４，１６，１８は、各々の羽根車の
半径方向内側の面と軸１２の間の締まり焼ばめに
よつて、軸１２に固定又は固着されている。例え
ば夫々羽根車１６，１８の内側の面２０，２２
が、軸１２の隣接部分に焼ばめになつている。羽
根車１４，１６，１８がその半径方向の一番外側
部分に複数個の蒸気タービン羽根を担持してい
る。第１図に示す様に、蒸気タービン羽根２４，
２６，２８が、羽根車の半径方向の一番外側部分
であり溝継手によつて夫々羽根車１４，１６，１
８に固定されている。矢印１５は回転子１０を通
る蒸気の流れの全体的な方向を表わしており、こ
の明細書で云う「上流側」又は「外側」及び「下
流側」又は「内側」と云う言葉は、この蒸気の流
れに対して云う。

羽根車１６，１８が夫々ハブ３０，３２を持つ
ている。ハブ３０，３２は夫々羽根車１６，１８
の両方の軸方向の端から軸方向に伸びている。こ
の明細書で云う「軸方向」並びに「半径方向」と
云う言葉は、軸１２の軸方向並びに半径方向を指
す。ハブ３０がその夫々の軸方向の端に略円周方
向の軸方向端面３４，３６を持つている。ハブ３
２が軸方向端面３８を持つと共に、端面３８の右
側に別の軸方向端面（図に示してない）を持つて
いる。端面３４，３６，３８は全体的にその範囲
全体にわたつて略半径方向である。端面３６，３
８が隣接する羽根車１６，１８の向い合う軸方向
端面である。円周方向の舌片４０，４２，４４が
夫々軸方向端面３４，３６，３８の半径方向外周
から軸方向に伸びている。舌片４４が舌片４２に
向つて軸方向に伸びる。第１図には、隣接すハブ
３０，３２の間に構成されたキー溝５２に配置さ
れる略Ｉ形梁形のキー５０が全体的に示されてい
る。同様に、ハブ３０及び羽根車１４のハブ３１
の間に構成されたキー溝５６にキー５４が配置さ
れる。

第２図では、同様な部分には第１図と同じ参照
数字を用いているが、回転子１０の一部分の拡大
軸断面図が示されている。舌片４４の軸方向外側
部分６０が舌片４２の軸方向外側部分６２に接近
している。こういう意味で、キー５０がキー溝５
２に捕捉されていて、回転子の環境から実質的に
隔離されている。隣接する羽根車１６，１８は軸
方向に互いに隔たつて、部分６０，６２の間にす
き間６４を形成する。すき間６４が軸１２を円周
方向に取巻き、それと略同心である。すき間６４
は、キー溝５２と羽根車１６，１８の羽根２６，
２８に影響を与える蒸気との間の唯一の開口であ
る。すき間６４に沿つた半径方向の差圧はごく小
さく、すき間６４に沿つた半径方向の温度勾配も
同様である。従つて、キー５０は回転子１０の周
囲環境から実質的に隔離され、キー溝の周囲の凝
縮が最小限に抑えられる。すき間６４はキー溝５
２に復水が出来た場合、この復水中の酸素の濃度
を下げる為に、酸素がキー溝５２から半径方向外
向きに流れる連通路になる。

端面３８から１対の相隔たるランドが軸方向に
伸びている。この１つをランド７０として示す。
同様な１対の相隔たるランドがハブ３０の端面３
６から軸方向に伸びている。この１つをランド８
０として示す。第２図に示してあつても、参照数
字を付していない同様なランドが、第２図に示し
た他の軸方向端面から伸びている。ハブ３２は２
番取り肩９０を持つている。他のハブも同様な応
力除去用の肩を持つているが、これは図面に示し
てあつても参照数字を付していない。

キー５０は略Ｉ形梁の形をしている。この明細
書で云う「Ｉ形梁の形」とは、それを軸１２の軸
方向に見た時、全体的にＩ形梁の形をした構造で
あることを意味する。キー５０は軸１２の半径方
向断面で見た時、小さな円弧にわたる様な縦方向
の外観を持つている。Ｉ形梁形のキー５０が上側
の横方向延長部１１０，１１２及び下側の横方向
延長部１１４，１１６を持つている。この明細書
で云う「横方向延長部」とは、Ｉ字形の左右に伸
びる構造を指す。横方向延長部１１０，１１４が
軸方向に、即ちキー１０の本体部分１１８の右側
又は下流側に伸びる。横方向延長部１１２，１１
６が本体部分１１８の左側又は上流側に軸方向に
伸びる。上側の横方向延長部１１０，１１２は下
側の横方向延長部１１４，１１６から夫々半径方
向に隔たつている。延長部１１０，１１２は、
夫々軸方向端面３８，３６の半径方向外側部分と
接触する外面１２０，１２２を持つている。同様
に、下側の横方向延長部１１４，１１６が、夫々
軸方向端面３８，３６の半径方向内側部分と接触
する軸方向外側の面を持つている。延長部１１
０，１１２，１１４，１１６と軸方向端面の間の
軸方向の接触により、キー５０はキー溝５２内で
軸方向に移動することが出来ない。更にキー５０
が外側又は上側及び内側又は下側の半径方向末端
１３０，１３２を持つている。外側及び内側の半
径方向末端１３０，１３２が軸１２の半径方向に
伸びている。末端１３０は延長部１１０，１１２
の半径方向の外側の縁から伸びていて、キー溝５
２内の動作位置にある時、舌片４２の半径方向内
側部分１３４と接触する。末端１３０には、キー
溝５２内の動作位置にある時、軸１２と密に近接
する様に、延長部１１４又は１１６の半径方向内
側の縁から伸びる。末端１３０，１３２が部分１
３４及び軸１２と夫々半径方向に接触することに
より、キー５０はキー溝５２内で実質的に半径方
向に移動出来ない。末端１３０が半径方向外面１
３４を持ち、これが舌片４２と接触することによ
り、キー５０がキー溝５２内に「捕捉」される。
末端１３０の半径方向外側の面１３４は、舌片４
２及び４４の両方に同時に接触する様に、又はキ
ー溝５２及びすき間６４の間のガス連通路が保た
れている限り、舌片４４だけと接触する様に修正
することが出来る。末端１３０がキー５０の本体
１１８の少なくとも一部と半径方向に整合してい
て、キー５０の下側の半径方向末端１３２の少な
くとも一部分と半径方向に整合している。更にこ
の実施例では、末端１３０は末端１３２に較べ
て、軸方向の寸法又は拡がりが一層小さい。

第３図は隣接する羽根車１６，１８の分解、切
欠き斜視図である。同様な部分には第１図及び第
２図と同じ参照数字を用いている。対のランド７
０，７２が面３８から軸方向に伸びていて弓形に
隔たつていることがはつきりと示されている。ラ
ンド７０，７２は舌片４４及び面２２から半径方
向に隔たつている。こうしてランド７０，７２は
軸方向端面３８の半径方向の中間位置にあつて、
それと一体であつてもよい。半径方向溝孔７４が
ランド７０，７２の間に構成されている。ランド
７０，７２は円周方向に整合していて、両方のラ
ンドは略同じ半径方向の寸法又は拡がりを持つ。
半径方向溝孔７４は向い合う軸方向端面３６にあ
る対応する半経方向溝孔（図面に示してない）と
軸方向に整合している。この別の溝孔はランド８
０（第２図）及び軸方向端面３６から軸方向に伸
びる別のランド（図に示してない）によつて構成
されており、面３６から伸びるランドはランド７
０，７２と同様である。半径方向溝孔７４が、向
い合う面３６に部分的にはランド８０によつて形
成された軸方向に整合する対応する溝孔と共に、
キー溝５２を構成する。この明細書に云う「軸方
向に整合した溝孔」とは、軸方向に互に隣接して
いるか、或いは向い合う軸方向端面に設けられた
溝孔を云う。この様な軸方向の整合は、キー５０
を受入れることが出来る様に溝孔が整合するま
で、一方の羽根車を隣接する羽根車に対して回転
することによつて達成し得る。キー５０の延長部
１１０，１１４の間にある凹部１４０がキー溝５
２の半径方向溝孔７４と合さる。同様に、キー５
０の延長部１１２，１１６の間にある凹部が、向
い合う面３６上の部分的にランド８０によつて形
成された半径方向溝孔と合さる。

半径方向溝孔７４が前側側壁１５０及び後側側
壁１５２を有する。この明細書で云う「前側」及
び「後側」は、軸１２の回転方向に対するこれら
の壁の位置を指す。この明細書では、第３図に示
す下流側の向きに見た時、軸１２は時計廻りに回
転すると仮定する。ブレースと呼ぶ境界区域１５
４がランド７０及び軸方向端面３８の間にあつて
隅肉となり、ランド７０の後側の縁と端面３８の
間の移行領域となる。同様に、別のブレースと呼
ぶ境界区域１５６がランド７２と端面３８の間に
あり、ランド７２の前側の縁と端面３８の間の移
行領域となる流線型隅肉を構成する。この明細書
で云う「流線型」と云う言葉、曲率半径が連続的
に変化する曲線を指す。流線型隅肉と対比して、
単純な半径方向の弯曲隅肉は、１つの曲率半径し
か持つていない。流線型隅肉は切欠き、凹部又は
突起の領域に於ける応力集中係数を小さくすると
見積られている。ランド７０の前側の縁及び軸方
向端壁７５の間にある境界区域１５８と、ランド
７２の後側の縁及び溝孔７４の軸方向端壁７５の
間にある境界区域１６０は、夫々流線型隅肉を構
成して、移行領域となる。溝孔７４の端壁７５は
端面３８と一緒であつてよい。流線型隅肉１５
４，１５６，１５８，１６０と、弓形の面３８全
体に対するランド７０，７２の限られた弓形の寸
法又は範囲とが、半径方向溝孔７４がある領域に
於ける応力集中係数を最小限に抑え、こうしてキ
ー溝５２の領域に於ける応力集中係数を減らす助
けになると見積られる。

第４ａ図は第２図の線４−４′から矢印方向に
見たキー５０、キー溝５２及びハブ３０，３２の
一部分の半円形の半径方向部分断面図である。こ
れまでと同様な部分には第４ａ図でも同じ参照数
字を用いている。第４ａ図は舌片４２の半径方向
内側の面から軸１２の半径方向外側の面までのキ
ー５０の半径方向の範囲を示している。キー５０
がキー５０の半径方向末端１３０の半径方向外側
部分１３４で、舌片４２の半径方向内側の面と接
触する。キー５０の半径方向末端１３２は軸１２
と密に接近している。半径方向溝孔７４（第２
図）の前側側壁１５０がキー５０の前面１７０と
接触する。同様に、キー５０の後面１７２が半径
方向溝孔７４（第２図）の後側側壁１５２と接触
する。キー５０の前面１７０が、キー溝５２の一
部分を形成する向い合う端面３６（第２図）の半
径方向溝孔（図に示してない）の前側側壁とも接
触することに注意されたい。キー５０の後面１７
２も、キー溝５２の一部分を構成する向い合う端
面３６（第２図）の半径方向溝孔（図面に示して
ない）の後側側壁と接触する。キー５０の前面及
び後面１５０，１５２とキー溝５２を形成する向
い合つた半径方向溝孔の前側及び後側側壁の間の
円周方向に整合したこういう接触領域が、隣接す
る羽根車の内の１つと軸１２の間の締まり焼ばめ
が弛んだ場合、隣接する羽根車１６，１８（第２
図）が相対的に回転するのを防止する。

第４ｂ図は第２図の線４″−４から矢印の方
向に見た、キー５０をキー溝５２から取除いた時
の半円形の半径方向部分断面図である。第４ｂ図
はランド７０，７２並びに隣接区域１５４，１５
６，１５８，１６０の流線型隅肉が限られた弓形
の拡がりを持つことをはつきりと示している。

第５図は第４ａ図の線５−５′から矢印の方向
に見た、半径方向溝孔７４内にあるキー５０の切
欠き部分断面図である。これまでと同じ部分には
第５図でも同じ参照数字を用いている。第５図は
ランド７０，７２と端面３８の間の隣接区域１５
４，１５８，１６０，１５６の流線型隅肉をはつ
きりと示している。更に、キー５０の前面１７０
と溝孔７４の前側側壁１５０の間の接触、及びキ
ー５０の後面１７２と溝孔７４の後側側壁１５２
の間の接触もはつきりと示されている。キー５０
が流線型部分１５．８，１６０にも、半径方向溝
孔７４の端壁７５にも接触しないことに注意され
たい。この様に接触しないことは、端面３８に対
する局部的な応力を減少すると考えられる。

第６図は別の実施例の略Ｉ形梁形のキー２００
を示す。第６図でも、これまでと同様な部分に
は、同じ参照数字を用いている。キー２００が本
体１１８からキー２００の凹部１４０の中まで伸
びて、キー２００の横方向延長部１１０，１１４
に架橋する補強リブ１８０を持つている。同様
に、補強リブ１８２が横方向延長部１１２，１１
６に架橋されている。リブ１８０，１８２はキー
２００の大体縦方向の中間に配置されている。

第７図には、一番上流側又は最初の蒸気タービ
ン羽根車１４を含む蒸気タービン回転子１０の部
分的な軸断面図が示されている。フランジ１８２
が軸１２から半径方向に伸びているが、それと一
体であつてよい、この代りに、フランジ１８２
は、そのリングと軸１２の間の軸方向並びに回転
方向の相対運動が出来ない様に、軸１２に固定し
たリング又はカラーで構成してもよい。フランジ
１８２がハブ１８０の軸方向端面１９０と向い合
う軸方向端面１９２を持つている。キー５０を受
入れる為の（ハブ３０，３２（第２図）の間のキ
ー溝５２（第２図）と同様な）略半径方向のキー
溝１９５がハブ１８０及びフランジ１８２の間に
構成される。この為、夫々ハブ１８０及びフラン
ジ１８２の向い合う各々の軸方向端面１９０，１
９２の半径方向溝孔（図に示してないが、第３図
のハブ３２の半径方向溝孔７４と同様）を軸方向
に整合させる。ハブ１８０の端面１９０の半径方
向溝孔（図に示してない）は軸方向に伸びる１対
のランドによつて形成される。１つのランドを参
照数字１９６で示してある。前に述べた様に、
（ランド７０，７２、溝孔７４及び隅肉１５４，
１５６，１５８，１６０（第３図）と同様な）対
応する流線型隅肉（図面に示してない）がある。
フランジ１８２の軸方向端面１９２に設けられる
半径方向溝孔（図に示してない）は軸方向に伸び
る１対のランドによつて形成される。その１つを
参照数字１９８で示してある。前に述べた様に、
（ランド７０，７２、溝孔７４及び隅肉１５４，
１５６，１５８，１６０（第３図）と同様な）対
応する流線型の隅肉（図に示してない）がある。
ハブ１８０及びフランジ１８２が夫々面１９０，
１９２から軸方向に伸びる舌片１８４，１８６を
持つている。

キー５０をキー溝１９５内の動作位置に配置し
た時、羽根車１４と軸１２の間の相対運動が防止
されることは前に述べた通りである。フランジ１
８２は、キー溝１９５内の動作位置に配置された
時、キー５０が前に述べた様に軸１２に対して半
径方向に移動しない様に、フランジ１８２の面１
９２に半径方向の溝孔（図に示してない）並びに
舌片１８６を適切に設けることが出来る様にする
のに十分な距離だけ、軸１２の円周から半径方向
に伸びている。これまで説明した全ての変更並び
に交代的な実施例が、ハブ１８０及びフランジ１
８２の間のキー溝及びその中に配置されるキーに
も適用される。

当業者であれば、回転子の或る形では、この発
明を１対の隣接する羽根車だけに利用すればよい
ことが理解されよう。当業者であれば、構造的な
完全さに影響を与えずに、キーの質量を減少する
為に、その中に通抜けの孔又は空所（完全には通
抜けない）を設けること等により、キーから材料
を除くことによつてその質量を減少する必要があ
ることが理解されよう。当業者であれば、上側及
び下側の半径方向末端は、単に横方向延長部の半
径方向上側及び半径方向下側の面にしてもよいこ
とが理解されよう。こうすると、上側及び下側の
横方向延長部の半径方向の寸法は、図示のものよ
りかなり大きくなる。各々のハブは端面に複数個
のランドを持つていて、複数個の半径方向溝孔を
構成していてもよい。こうすると、幾つかのキー
が、個別の羽根車と軸の間の焼ばめが弛んだ場
合、隣接する羽根車が相対的に回転することを防
止する。

以上、蒸気タービンの羽根車を固定するキー止
め手段として、蒸気の復水、並びにキー止め手段
の周りに復水が生じた場合、その酸素含有量を最
小限に抑える為に、蒸気タービンを流れる蒸気か
ら実質的に隔離されたキー止め手段を例示し且つ
説明した。キー並びにキー溝を取巻くハブの領域
に於ける応力集中係数を減少する為に、羽根車の
ハブによつて形成されるキー溝に配置されるキー
も例示し且つ説明した。固定しようとする羽根車
の軸方向の端に対して軸方向に隣接する羽根車が
ない時、蒸気タービンの羽根車を軸に固定するキ
ー止め手段も例示して説明した。

例としてこの発明の或る好ましい特徴だけを例
示したが、当業者にはいろいろな変更が考えられ
よう。特許請求の範囲の記載は、この発明の範囲
内に入る全ての変更を包括するものと承知された
い。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による３つの隣接する羽根車
を持つ蒸気タービン回転子の軸断面図、第２図は
キーを対応するキー溝に配置した、第１図の羽根
車のハブ部分の拡大軸断面図、第３図は２つの隣
接する羽根車並びにこの発明によるその間に介在
配置されるキーの分解斜視図、第４ａ図は第２図
の線４−４′から見たキー、キー溝、ハブ及び軸
の一部分の半円形の半径断面図、第４ｂ図は第２
図の線４″−４から見たキーのない場合の半円
形の半径断面図、第５図は第４ａ図の線５−５′
から半径方向内向きに見た部分的な断面図、第６
図はこの発明の別の実施例のキーを示す図、第７
図はこの発明による端の羽根車を含む蒸気タービ
ン回転子の軸断面図である。 主な符号の説明、１２：軸、１４，１６，１
８：羽根車、２２：半径方向内側の面、２４，２
６，２８：羽根、３０，３１，３２：ハブ、３
４，３６，３８：軸方向端面、４２，４４：舌
片、５０，５４：キー、５２，５６：キー溝、７
０，７２：ランド、７４：半径方向溝孔、１１
０，１１２，１１４，１１６：横方向延長部、１
３０，１３２：半径方向末端、１４０：凹部、１
５０：前側側壁、１５２：後側側壁、１７０：前
面、１７２：後面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転自在の軸と、該軸に沿つて軸方向に隔た
   つていて、当該羽根車の半径方向内面と前記軸の
   間の締まり焼ばめによつて夫々前記軸に固定され
   た複数個の羽根車とを有し、該複数個の羽根車の
   内の各羽根車は半径方向の一番外側部分に円周方
   向に整合した複数個の蒸気タービン羽根を担持し
   ており、少なくとも２つの隣接した羽根車の各々
   は、前記羽根車の半径方向内側部分にあつて、当
   該ハブの各々の軸方向の端に略円周方向の軸方向
   端面を持ち、その為前記少なくとも２つの隣接す
   る羽根車の内の１つの軸方向端面が前記少なくと
   も２つの隣接する羽根車の内の隣接した羽根車の
   軸方向端面と向い合つて、対応する向い合つた１
   対の軸方向端面を形成する様なハブ部分と、前記
   隣接する相手の羽根車の軸方向端面と向い合う軸
   方向端面から軸方向に伸びていて、当該舌片の軸
   方向外側部分が前記隣接する相手の羽根車の向い
   合う軸方向端面に設けられた舌片の対応する軸方
   向外側部分にごく接近している様な円周方向の舌
   片と、該舌片を持つ軸方向端面に設けられていて
   略半径方向の溝孔をその間に形成し、各対の当該
   ランドが前記舌片の半径方向内側部分及び前記ハ
   ブの半径方向内側部分の中間に配置されていて、
   前記１対の軸方向端面に各々の向い合う端面に設
   けられた半径方向の溝孔が軸方向に整合して前記
   少なくとも２つの隣接する羽根車の間に略半径方
   向のキー溝を形成している様な１対の軸方向に伸
   びる弓形に隔たつたランドと、略Ｉ形梁形のキー
   とを有し、該キーは該キーから反対向きに伸びる
   上側及び下側の横方向延長部を持つていて前記キ
   ー溝に配置され、更に前記キーが前面及び後面及
   び前記上側及び下側の横方向延長部の中間にある
   夫々の凹部を持つており、前記キーの夫々の凹部
   は前記キー溝を形成する対応する半径方向溝孔と
   合さり、前記キーの夫々上側及び下側の横方向延
   長部は前記１対の対応する向い合う軸方向端面の
   夫々の軸方向端面の半径方向外側及び内側部分と
   接触する夫々の外面を持ち、更に前記キーが前記
   上側及び下側の横方向延長部から半径方向に伸び
   る上側及び下側の半径方向末端を持ち、該上側の
   半径方向末端は前記１対の対応する向い合う軸方
   向端面の内の少なくとも１つの舌片の半径方向内
   側部分に接触すると共に、前記下側の半径方向末
   端は前記軸に密に接近しており、前記キーの前面
   及び後面が前記キー溝の前側及び後側側壁と夫々
   接触し、該キーが前記隣接する羽根車の内の一方
   が他方に対して回転するのを防止する様にした蒸
   気タービンの回転子。 ２ 回転自在の軸と、該軸に沿つて軸方向に隔た
   つていて、当該羽根車の半径方向内側の面と軸の
   間の締まり焼ばめによつて夫々前記軸に固定され
   た複数個の羽根車とを有し、該複数個の羽根車の
   各々の羽根車は各々の羽根車の半径方向の一番外
   側部分に円周方向に整合した複数個の蒸気タービ
   ン羽根を担持しており、各々の羽根車は、該羽根
   車の半径方向内側部分にあつて、各々の軸方向の
   端に略円周方向の軸方向端面を持ち、この為、１
   つの羽根車の軸方向端面が次に隣接する羽根車の
   軸方向端面と向い合つて１対の対応する向い合つ
   た軸方向端面を形成する様なハブ部分と、前記１
   対の対応する向い合つた軸方向端面の各々の半径
   方向外周から軸方向に伸びていて、各々当該舌片
   の軸方向外側部分が前記１対の対応する向い合つ
   た軸方向端面の他方に設けられた舌片の軸方向外
   側部分と密に接近している様な円周方向の舌片
   と、複数個の略Ｉ形梁形のキーとを有し、前記１
   対の対応する向い合つた軸方向端面の各々は軸方
   向に伸びる１対の弓形に隔たるランドを持ち、該
   １対のランドの間に略半径方向の溝孔が形成さ
   れ、前記１対のランドは半径方向には夫々の舌片
   の半径方向内側部分及び夫々のハブの半径方向内
   側部分の中間に配置されており、前記１対の対応
   する向い合つた軸方向端面の夫々の半径方向の溝
   孔が軸方向に整合して前記１対の対応する軸方向
   端面の各々の間に略半径方向のキー溝を形成し、
   前記キーは該キーから反対向きに伸びる上側及び
   下側の横方向延長部を夫々持つており、前記複数
   個のキーの内の１つが各々のキー溝に夫々配置さ
   れ、更に各々のキーは前面及び後面及び夫々の上
   側及び下側の横方向延長部の中間にある夫々の凹
   部を持つており、各々のキーの夫々の凹部が前記
   キー溝を形成する対応する半径方向溝孔と合さ
   り、前記キーの夫々の上側及び下側の横方向延長
   部は前記１対の対応する向い合つた軸方向端面の
   夫々の軸方向端面の半径方向外側及び内側部分と
   接触する外面を持つており、夫々のキーが更に
   夫々の上側及び下側の横方向延長部から半径方向
   に伸びる上側及び下側の半径方向末端を持ち、
   夫々の上側の末端は前記１対の対応する向い合つ
   た軸方向端面の少なくとも１つの舌片の半径方向
   内側部分に接触すると共に、夫々の下側の末端は
   前記軸に密に接近しており、夫々のキーの前面及
   び後面が夫々のキー溝の前側及び後側側壁に夫々
   接触し、夫々のキーが１つの羽根車が隣接する羽
   根車に対して回転するのを防止する様にした蒸気
   タービンの回転子。 ３ 特許請求の範囲２に記載した蒸気タービンの
   回転子に於て、夫々のキーの上側の半径方向末端
   が該キーの一体の部材であり、夫々の上側の半径
   方向末端が軸方向に狭い拡がりを持ち、夫々の上
   側の末端が１つの舌片の半径方向内側部分と半径
   方向に整合すると共に、夫々のキーの本体の少な
   くとも一部分と整合すると共に、夫々の整合した
   下側の半径方向末端の少なくとも一部分とも整合
   しており、前記下側の整合した半径方向末端が
   夫々の上側の半径方向末端よりも軸方向の拡がり
   が大きく、夫々の下側の半径方向末端が夫々のキ
   ーの本体の少なくとも一部分と半径方向に整合し
   ている蒸気タービンの回転子。 ４ 特許請求の範囲２に記載した蒸気タービンの
   回転子に於て、前記１対のランドが円周方向に整
   合しており、夫々１対のランドの両方のランドが
   略同様な半径方向の拡がりを持つ蒸気タービンの
   回転子。 ５ 特許請求の範囲２に記載した蒸気タービンの
   回転子に於て、前記１対のランドの各々及び夫々
   の軸方向端面の間の境界区域が夫々流線型隅肉を
   構成し、夫々の半径方向溝孔の前側及び後側側壁
   と夫々の軸方向端面の間の境界区域が夫々流線型
   隅肉を構成している蒸気タービンの回転子。 ６ 特許請求の範囲２に記載した蒸気タービンの
   回転子に於て、前記軸が半径方向に伸びるフラン
   ジを持ち、該フランジは、該フランジの軸方向端
   面から、前記複数個の羽根車の内、該フランジに
   隣接した次の羽根車に向つて軸方向に伸びる円周
   方向の舌片を持ち、該フランジの前記軸方向端面
   が、前記複数個の羽根車の内、該フランジに隣接
   した次の羽根車の軸方向端面と向い合い、前記フ
   ランジの舌片の軸方向外側部分が、前記複数個の
   羽根車の内、前記フランジの軸方向端面に隣接し
   た１つの羽根車から伸びる対応する舌片と密に接
   近しており、前記フランジの軸方向端面が軸方向
   に伸びる弓形に隔たつた１対のランドを持ち、該
   フランジの１対のランドの間に略半径方向の溝孔
   が形成され、前記フランジの１対のランドが半径
   方向には該フランジの舌片の半径方向内側部分及
   び該フランジの半径方向内側部分の中間に配置さ
   れており、前記複数個の羽根車の内、前記フラン
   ジに隣接する１つの羽根車のハブに設けられた半
   径方向溝孔が前記フランジの半径方向溝孔と軸方
   向に整合して、その間に略半径方向のキー溝を形
   成し、略Ｉ形梁形のキーを有し、該キーは、該キ
   ーから反対向きに伸びる上側及び下側の横方向延
   長部を持つていて、前記キー溝に配置され、更に
   前記キーは前面及び後面及び夫々の上側及び下側
   の横方向延長部の中間にある夫々の凹部を持つて
   おり、該キーの夫々の凹部が前記キー溝を形成す
   る対応する半径方向溝孔と合さり、前記キーの
   夫々上側及び下側の横方向延長部は夫々外面を持
   ち、該外面が前記フランジ及び該フランジに隣接
   するハブの向い合う軸方向端面の半径方向外側及
   び内側部分と接触し、更に前記キーが上側及び下
   側の横方向延長部から夫々半径方向に伸びる上側
   及び下側の半径方向末端を持ち、該上側の半径方
   向末端が前記フランジ及び前記フランジに隣接し
   た軸方向端面の少なくとも１つの舌片の半径方向
   内側部分に接触し、前記下側の末端が前記軸に密
   に接近しており、前記キーの夫々前面及び後面が
   前記キー溝の前側及び後側側壁と夫々接触し、該
   キーが前記フランジに隣接する羽根車が軸に対し
   て回転するのを防止する様にした蒸気タービンの
   回転子。 ７ 特許請求の範囲２に記載した蒸気タービンの
   回転子に於て、各々の軸方向端面が軸方向に伸び
   る弓形に隔たつた複数個のランドを持つていて、
   該ランドの間に複数個の半径方向溝孔が形成さ
   れ、該複数個の半径方向溝孔の各々がキー溝と軸
   方向に整合していて、略Ｉ形梁形の複数個のキー
   が夫々キー溝の中に配置されて、前記締まり焼ば
   めが弛んだ場合、前記複数個の羽根車の内の１つ
   が別の羽根車に対して回転するのを防止する様に
   した蒸気タービンの回転子。 ８ 軸と、該軸に沿つて軸方向に隔たつていて、
   当該羽根車の半径方向内側の面及び前記軸の間の
   締まり焼ばめによつて夫々前記軸に固定された少
   なくとも２つの羽根車と、該羽根車の半径方向内
   側部分にあつて、当該ハブの各々の端に略円周方
   向の軸方向端面を持つハブ部分と、前記軸方向端
   面から他方の羽根車の向い合う軸方向端面に向つ
   て軸方向に伸びる円周方向の舌片と、該舌片を持
   つ軸方向端面に設けられた１対の軸方向に伸び
   る、弓形に隔たつたランドと、該１対のランドの
   間に配置された略Ｉ形梁形のキーと、キー溝を羽
   根車の外部環境と結合して酸素の濃縮を防止する
   連通手段とを有する蒸気タービンの回転子。