JPH0157988B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、負圧による吸引力を利用した金型鋳
造装置に関する。

従来の技術及び発明が解決しようとする問題点 従来、アルミニウム等の軽金属のダイカスト鋳
造において、製品の中に気泡が混入するのを防止
する手段の１つとして、金型のキヤビテイ内の空
気を真空ポンプで引き抜きつつ、湯を圧入する真
空ダイカスト法が採用されているが、キヤビテイ
に湯が充満すると同時にエアー抜き孔に介設した
開閉弁を閉じる必要があつて、閉じるタイミング
が早過ぎるとキヤビテイ内に残つた空気が気泡と
なつて製品中に混入するおそれがあり、逆に閉じ
るタイミングが遅過ぎると湯が開閉弁の中に混入
して故障するおそれがある。このため、各種の開
閉弁が提案されているが、数分の一秒というタイ
ミングで確実に作動させることは困難でであつ
て、従来の真空ダイカスト法には、製品の品質及
び作業の確実性の面において限界があつた。

問題点を解決するための手段 本発明は、このような問題点を解決するための
手段として、複数の割り型が互いに接合して内部
に成形用のキヤビテイを構成する金型の前記キヤ
ビテイの上方に該キヤビテイに連通する注湯口を
形成して該注湯口の周りに湯溜りを形成するとと
もに該注湯口を開放可能に閉塞する閉塞体を設
け、かつ、前記キヤビテイの下端部を真空ポンプ
に連通するエアー抜き孔を前記金型に形成して該
エアー抜き孔に開閉弁を介設した構成とした。

発明の作用及び効果 本発明の負圧吸引金型鋳造装置は、上記構成に
なり、注湯口を閉塞体で閉塞し、エアー抜き孔の
開閉弁を開いた状態で、真空ポンプにより空気を
引き抜いてキヤビテイ内を所定の減圧度に減圧し
た後、開閉弁を閉じ、次いで、湯溜りに湯を注い
で注湯口を開くと、その湯がキヤビテイ内に吸い
込まれて充満し、冷却により固化して製品が鋳造
されるのであり、負圧の状態で鋳造が行なわれる
から、気泡やばりのない製品が得られるととも
に、湯溜りに湯を注ぐようにしたからダイカスト
マシンのような大掛りな加圧注入装置を必要とせ
ず、設備費が低く、さらに、エアー抜き孔の開閉
弁を閉じてから湯が注がれるから、その開閉弁の
中に湯が流入するおそれがなく、確実に作動する
効果を奏する。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説
明する。

第１図は本発明の第１実施例を示し、図示しな
いフレームに固設された固定盤１に、図示しない
駆動装置により水平方向に往復駆動される可動盤
２が対設され、固定盤１に固定された固定型３に
対して、可動盤２に取付足５によつて取り付けら
れた可動型４が接離可能に向き合つており、図に
実線で示すように、可動盤２とともに可動型４が
前進して固定型３に当接したときに、固定型３の
凹部３１と可動型４の凸部４０の間に略半球形の
キヤビテイＣが構成されるようになつており、可
動盤２の中央に摺動自由に挿入されたロツド６の
先端に押出板７が固定され、この押出板７に、可
動型４を貫通してキヤビテイＣ内に臨む数本の押
し出しピン８が取り付けられている。

固定型３の前面上部には、ボス３２が突成され
てその中に、底面に円錐形の注湯口３４の形成さ
れた湯溜り３３が形成され、固定型３の可動型４
との接合面の上部に、注湯口３４と凹部３１を結
ぶ湯道３５が形成されており、固定型３の下部に
は前面から後面へ貫通するエアー抜き孔３６が形
成されていて、その前端部に円錐形のシート面３
７が形成され、固定型３の可動型４との接合面の
下部に、凹部３１とエアー抜き孔３６を結ぶ溝３
８が形成されており、さらに、固定型３の可動型
４との接合面の全周縁に耐熱ゴム製のシール３９
が埋められてその先端部が接合面上へ突出してい
る。

固定盤１には、図示しない真空ポンプに接続さ
れて固定型３のエアー抜き孔３６に連通する通気
孔１１が形成され、上端面に取り付けた負圧計１
２を通気孔１１に連通する連通孔１３が形成され
ているとともに、背面の下部に装着されたソレノ
イド１４により駆動されるプランジヤ１５が通気
孔１１を貫通して、エアー抜き孔３６内に収容さ
れた弁杆１６に連結されており、ソレノイド１４
の励磁によりプランジヤ１５とともに弁杆１６が
前進し、先端の円錐部１７がシート面に密着して
エアー抜き孔３６を閉塞するようになつている。

可動型４の背面の各押し出しピン８の周りは金
具４１により固定されたシール４２により囲まれ
て密封されている。

固定型３の上面に、ボス３２を跨ぐように立設
されたブラケツト５１にエアーまたは油圧駆動の
シリンダ５２が下向きに取り付けられ、そのピス
トンロツド５３の下端に形成された円錐形の弁体
５４が注湯口３４に接離可能に対応している。

次に、本実施例の作動を説明する。

可動型４が固定型３に当接した状態において、
シリンダ５２のピストンロツド５３が下降して弁
体５４で注湯口３４を閉塞した後、図示しない真
空ポンプの吸入口を開くと、エアー抜き孔３６及
び通気孔１１を通つてキヤビテイＣ内の空気が吸
い出される。このとき、固定型３と可動型４の接
合部及び押し出しピン８の周りは、夫々、シール
３９，４２により密封されているため、キヤビテ
イＣ内は急速に減圧されるのであつて、負圧計１
２により所定の減圧度、例えば、１〜5Torr程度
に減圧されたときに、ソレノイド１４を励磁する
と弁杆１６が突出してエアー抜き孔３６が閉塞さ
れ、キヤビテイＣ内は負圧状態で保たれる。ここ
で、トリベ９を傾けて、アルミニウム等の軽合金
を溶解した湯ａを湯溜り３３内に注ぎ込み、次い
で、シリンダ５２のピストンロツド５３を上昇さ
せて注湯口３４を開くと、湯溜り３３内の湯は負
圧によりキヤビテイＣ内に吸い込まれて充満す
る。このとき、湯ａの一部はキヤビテイＣを通過
してエアー抜き孔３６の前端付近に達するが、弁
杆１６により閉塞されているため、それより後方
への進入は阻止される。キヤビテイＣ内の湯ａが
冷却されて固化した後、可動型４が後退し、押し
出しピン８の前進により製品が可動型４から外さ
れる。

第２図に示す本発明の第２実施例は、湯溜り３
３の底面に形成した注湯口３４を、弁体５４に替
えて、湯溜り３３の底面に密着する形状に成形し
たアルミニウム箔等の薄板１０で閉塞するように
したものであつて、湯溜り３３に湯を注ぐと、そ
の温度により薄板１０が溶解して注湯口３４が開
き、湯ａがキヤビテイＣ内に吸い込まれるのであ
り、上記第１実施例より構造が簡単となる利点が
ある。

なお、本発明の実施例にあたつては、キヤビテ
イの内を高度の負圧に維持することが重要である
ため、可動中子を使用する場合には、その周りに
もシールを取り付けて気密を保つことが望まし
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例の断面図、第２図
は第２実施例の注湯口付近の断面図である。 ３：固定型、４：可動型、１０：薄板、１６：
弁杆、３３：湯溜り、３４：注湯口、３６：エア
ー抜き孔、５４：弁体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数の割り型が互いに接合して内部に成形用
   のキヤビテイを構成する金型の前記キヤビテイの
   上方に該キヤビテイに連通する注湯口を形成して
   該注湯口の周りに湯溜りを形成するとともに該注
   湯口を開放可能に閉塞する閉塞体を設け、かつ、
   前記キヤビテイの下端部を真空ポンプに連通する
   エアー抜き孔を前記金型に形成して該エアー抜き
   孔に開閉弁を介設したことを特徴とする負圧吸引
   金型鋳造装置。 ２ 前記閉塞体が、アクチユエータにより駆動さ
   れて前記注湯口に接離する弁体であることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の負圧吸引金型
   鋳造装置。 ３ 前記閉塞体が、注湯により溶解する薄板であ
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   負圧吸引金型鋳造装置。