JPH0153034B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、微生物培養測定装置における培養セ
ル装置に係り、特に複数個の微生物培養セルを備
えた培養セル装置の改良に関するものである。

従来、この種の培養セル装置としては、例え
ば、第１図及び第２図に示すように、プリント基
板１上に円筒状のウエル本体２を装着したものが
あつた。これは基板上において、ウエルの内底部
位置、即ち第１図に示すように、プリント基板１
上の各破線内３に、一対の電極４，５をプリント
するとともに、これらの電極４，５とコネクタ差
込部６との間に、導電的に接続する配線７をプリ
ントし、この基板上の所定位置にウエル本体２を
接着剤で固着し、その上方開口に蓋８を被せたも
のであつた。

しかしながら、このような従来の培養セル装置
にあつては、プリント基板１とウエル本体２とが
接着剤等によつて固着されているため、微生物培
養測定前に通常行われる２気圧、120℃雰囲気中
での滅菌工程において、プリント基板１とウエル
本体２との熱膨張率の違いなどから繰返し使用し
ている内に両者が離脱したり破損したりすること
があり、またプリント配線が剥離する等の欠点が
あつた。更に、従来の装置にあつては、電極４，
５がウエル本体２の底面に配線されたものであつ
たから、培地中において生長する微生物の代謝物
の一部がウエル底部に堆積し、この堆積物が培地
のインピーダンス値に影響を与えることによつて
正確な測定を妨げる結果ともなつていた。

本発明に係る培養セル装置は、従来の欠点を解
消すべくなされたもので、繰り返し使用に耐える
とともに、常に正確な測定結果を得ることがで
き、また取扱いも簡便である培養セル装置を提供
せんとするものである。

本発明に係る培養セル装置の基本的な構成は、
セルボードに多数の有底の培養室を配列して設
け、これらの培養室の底部近傍に電極を配置する
とともに、この電極と導通する外部接続用のコン
タクトをセルボードの外部に設けたことを特徴と
するものである。

以下添付図面に示す実施例に基いて本発明を詳
細に説明する。

第３図において、この培養セル装置は、培養セ
ル本体９と、この培養セル本体９の上面を被い隠
す蓋体１０とで構成されており、この培養セル本
体９には、耐衝撃性、耐熱性及び耐薬品性等の特
性を有する合成樹脂材を所定寸法の直方体形状に
成形したセルボード１１が用いられている。セル
ボード１１には種々の合成樹脂材を用いることが
できるが、特に上記特性に優れたポリカーボネー
ト樹脂材を使用することによつて本装置の再利用
が完全となる。

セルボード１１には、その下面にまで貫通しな
いように穿設した平断面方形の培養室Ｃが縦横方
向に格子状に多数配列して形成され、この実施例
においては、第４図に示すように、同一形状の培
養室Ｃが横方向に８列、縦方向に12個ずつ整列し
て設けられている。これらの培養室Ｃは、各々が
独立した測定セルとして使用できるものである
が、この実施例においては、横方向の１列目と２
列目、３列目と４列目というように、２列ずつが
対となつて測定に供される。尚、各培養室Ｃを平
断面方形としたのは、各培養室Ｃにおける電極の
配置誤差を少なくするためである。

これらの培養室Ｃ内に配置される一対の電極１
２，１３は、第４図乃至第６図に示されるよう
に、金、白金又はステンレス等の耐蝕性の金属線
が用いられており、培地及び微生物等からの影響
を防止している。一方の電極１２は、各々同一列
を構成する12個の培養室Ｃの共通電極となるもの
であり、線径が一定な長尺な線材を各培養室Ｃの
隔壁１４に貫通させて封じ込め、夫々の培養室Ｃ
において底面１５よりやや上方に浮かせた位置に
張り渡され、またこの線材の一端部は、セルボー
ド１１の端部上面に埋設した外部接続用のコンタ
クト片１６に接続している。他方の電極１３は、
縦方向に隣接する２個の培養室Ｃの共通電極とな
るものであり、前記の電極１２と同一の線材が用
いられており、隣接する２個の培養室Ｃに掛け渡
された両端部が、一方の電極１２と平行に、か
つ、同一高さ位置に張り渡され、また隔壁１４内
に封じ込まれた中間部は、セルボード１１の上面
に埋設された外部接続用のコンタクト片１７に接
続している。尚、各培養室Ｃの測定条件を同一に
するために、電極１２，１３は、全て同一高さ位
置に配置されている。また電極１２，１３が従来
のように培養室Ｃの底面１５に接していないの
で、微生物からの代謝物が電極１２，１３上に堆
積することがなく、これらの影響を受けることな
く正確なインピーダンスの変化を測定することが
できる。この実施例にあつては、電極が金属線に
よつて構成されているが、金属薄板等を使用する
ことも可能である。

尚、第４図においては、上から第１列目と第２
列目に一方の電極１２が、また左から第１番目乃
至第３番目に他方の電極１３が配置された状態を
図示し、他の部分については省略してあるが、実
際は、これら図示された電極１２，１３と同様の
電極が配置されている。

以上のような構成からなる培養セル本体９の上
面に被着される蓋体１０には、第３図乃至第５図
に示すように、培養セル本体９の上面に設けられ
た複数個のコンタクト片１６，１７に夫々対応し
て、貫通孔１８が設けられており、また下面に
は、蓋体１０を被着したときに各培養室Ｃの上端
開口を密閉するための突起体１９が突出形成され
ている。

従つて、このような構成からなる培養セル装置
を用いて各種の微生物の培養測定を行なう場合に
は、先ず全ての培養室Ｃ内に培地を一定量注入
し、次にサンプルセル列及びリフアレンスセル列
の２列で１組となつている内の片側列の12個の培
養室Ｃに各々種類の異なる微生物を注入し、その
後蓋体１０を被せ、適宜の恒温槽（図示せず）に
入れて微生物の生長を促す。インピーダンスの測
定を行なう場合には、第３図に示すように、蓋体
１０に設けられた各貫通孔１８から外部接続用の
接触子（図示せず）が挿入して培養セル本体９の
各コンタクト片１６，１７に弾接し、例えば第４
図に示すように、第１列目においてコンタクト片
１６と１７との間における培養室C₁の培地のイ
ンピーダンスを測定するとともに、第２列目にお
いてコンタクト片１７と１６′との間における培
養室C₁₃の培地のインピーダンスを測定し、微生
物の生長率をインピーダンスの変化としてみてい
く。また２番目の培養室C₂及びC₁₄における微生
物の生長についてもコンタクト片１６と１７′と
の間、コンタクト片１７′と１６′との間における
インピーダンスの比として計ることができる。こ
のように基準培地のインピーダンス変化を夫々の
培養室Ｃについて測定するのは、各培養室Ｃの測
定時間及び測定温度のずれによつて生ずる基準値
の相違を補正しようとするものである。尚、同一
種類の微生物の濃度を段階的に変化させることに
よつて各濃度の相違によるインピーダンスの変化
を得ることも可能である。また、この実施例にお
いては、培養室Ｃを２列毎にリフアレンスセル及
びサンプルセルとの１組として使用したが、外部
装置の切替によつて個々的に使用することもで
き、更に電極１２の配線を変れることによつても
可能である。

以上説明したように、本発明に係る培養セル装
置によれば、培養室をセルボード自体に形成した
から、従来のように培養室の脱離やプリント配線
の剥離等の生ずる虞れがなく、繰り返し使用に充
分耐え得るものとなつた。

また培養室内における電極を培養室底面に密着
しないように設けたから、微生物の代謝物の一部
が電極上に堆積することがなく、正確なインピー
ダンス測定を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の培養セル装置の一実施例を示す
平面図、第２図はウエルの側断面図、第３図は本
発明に係る培養セル装置の一例を示す斜視図、第
４図は培養セル本体の平面図、第５図は培養セル
装置の分解断面図、第６図は培養室の構成を示す
斜視説明図である。 ４，５，１２，１３……電極、１１……セルボ
ード、１６，１７……コンタクト片、Ｃ……培養
室。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ セルボードに多数の有底培養室を配列して設
   け、これらの培養室の内部底面近傍に一対の電極
   を配置するとともに、この電極と導通する接続用
   のコンタクト片をセルボードの外面に設けたこと
   を特徴とする微生物培養測定装置における培養セ
   ル装置。 ２ セルボードは耐熱性及び耐薬品性の合成樹脂
   材からなる特許請求の範囲第１項記載の培養セル
   装置。 ３ 一対の電極は、その一方が一方向に配列され
   た複数の培養室に貫通して設けられ、他方の電極
   が前記方向と垂直方向に隣接して設けられる培養
   室との間に掛け渡されていることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の培養セル装置。 ４ 一対の電極は、一定の径を有する線材で構成
   されたことを特徴とする特許請求の範囲第１項又
   は第３項記載の培養セル装置。