JPH0152136B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は工作物の機械加工、測定作業等に用い
る傾斜テーブルに関し、特に工作物を取付けたテ
ーブルを傾斜させるときに傾斜角度に応じて変化
する負荷トルクとバランスする釣合トルクを付与
して傾斜駆動機構に過大負荷が掛るのを防止でき
るようにした傾斜テーブルに関する。

従来技術 従来より、傾斜テーブルは工作物の機械加工用
途や測定用途に用いられている。すなわち、機械
加工用途においては、工作機械のワークテーブル
上に傾斜テーブルを載置し、この傾斜テーブルの
テーブル上面に工作物を取付けてからハンドルを
手動燥作して又は電動機駆動によつてウオーム、
ウオームホイール機構を経て工作物共々テーブル
を所望角度だけ傾斜させ、機械の主軸により傾斜
させた工作物に機械加工を施すものである。

他方、測定用途においても、傾斜テーブルのテ
ーブル上面に工作物を取付け、手動ハンドル操作
によりウオーム、ウオームホイールを介して工作
物共々テーブルを角度目盛に従つて定角度ずつ傾
斜させながら工作物の測定を行つていた。これら
の両用途の場合に、工作物の重量が過大になると
テーブルの傾斜に従つてウオーム、ウオームホイ
ールの歯面に過大な負荷が掛り、変形を生じて傾
斜角度に誤差を発生する原因となり、かつ手動ハ
ンドル操作にも円滑性を欠くことからバランス荷
重をテーブルに懸下したり、油圧機構によつてウ
オーム、ウオームホイールの歯面に掛る負荷を軽
減することは行なわれていた。

解決しようとする問題点 然しながら、傾斜テーブルを回転駆動源を用い
て自動的に傾斜させるようにした場合には、工作
物の荷重が過大になると、回転駆動源の定格性能
を逸脱した負荷トルクが掛り、傾斜不可能に陥る
おそれがあり、また、これを見越して予め定格性
能の大きい回転駆動源を採用すると、徒らに該回
転駆動源が大形化する不都がある。

また、第６図に示すように傾斜テーブル２０と
工作物２１が一体となつた傾斜体を傾斜作動させ
るとき駆動機構に掛る負荷トルクＴと傾斜テーブ
ルの傾斜角度θとの関係は、前記傾動体の自重を
Ｗ、軸心Ａと傾動体の重心位置Ｇ間の距離をＲ、
傾斜角度θが0゜（テーブル面が水平）のとき重心
Ｇが軸心Ａを通る鉛直線から変位する角度をと
すると、 Ｔ＝Ｗ・Ｒ・sin（θ＋） となる。こゝでＷ，Ｒおよびは工作物の重量、
形状あるいは取付け位置によつて変化するので、
上式から明らかなように傾斜角度θに対応する負
荷トルクＴは工作物の種類によつて大きく変化す
る。

依つて本発明は、傾斜作動の駆動機構に掛かる
負荷トルクをワークテーブルまたはテーブル受台
の傾斜角度と対応させて予め演算、記憶する記憶
演算制御手段を設け、その演算結果から、当該負
荷トルクを相殺する釣合トルクの信号を送出する
マイクロコンピユータ利用の新規な負荷トルクの
バランス制御部を形成し、傾斜テーブルの実使用
時に、傾斜角度の検出値に対応する釣合トルクを
上記バランス制御部から取り出し、テーブル受台
にバランス手段で釣合トルクを付与してテーブル
規模に適合した定格性能を有する回転駆動源を有
した駆動機構によつて、常にテーブルの傾斜作動
を円滑かつ高精度で行い得るようにせんとするも
のである。

解決手段 本発明によれば、工作物の取付用ワークテーブ
ルを水平位置から傾動可能にした傾斜テーブルに
おいて、ベースと、上記ベースに横軸方向に軸承
したテーブル受台と、上記テーブル受台に取付け
た工作物取付用ワークテーブルと、上記テーブル
受台と共に上記ワークテーブルを傾斜させる回転
駆動源を含む駆動機構と、上記テーブル受台又は
ワークテーブルの傾斜角度を検出する角度検出装
置と、上記ワークテーブルの傾斜角度と負荷トル
ク相殺用の釣合トルクとの相関々係を予め記憶す
る記憶手段及び刻々の傾斜角度に応じて上記記憶
手段から対応する釣合トルクを演算してその信号
を出力する演算手段を具備したバランス制御部
と、上記ワークテーブルの傾斜使用時に、上記角
度検出装置の検出々力に対応した釣合トルクを上
記バランス制御部の演算手段からの出力に従つて
上記テーブル受台に付与するバランサーとを設
け、傾斜テーブル自体で負荷トルクを釣合補償す
るようにしたものである。つまり、本発明の傾斜
テーブルは、その構成として、ベースと、前記ベ
ースに横軸線方向に軸承したテーブル受台と、前
記テーブル受台に取付けた工作物取付用ワークテ
ーブルと、前記テーブル受台と共に前記ワークテ
ーブルを傾斜させる回転駆動源を含む駆動機構
と、前記テーブル受台又はワークテーブルの傾斜
角度を検出する角度検出装置と、前記ワークテー
ブルの傾斜角度に相関した信号を出力するバラン
ス制御部と、前記バランス制御部からの出力に応
じて釣合トルクを前記テーブル受台に付与する油
圧式バランサーとを具備していることを特徴とす
るものである。以下、本発明を添付図面に示す実
施例に基いて更に詳細に説明する。

実施例 第１図は本発明による傾斜テーブルの実施例に
おける機構を示す正面図、第２図および第３図は
同実施例の左側面および右側面図である。

第１図から第３図に示すように、本実施例によ
る傾斜テーブルはベース１０を備え、このベース
１０は工作機械のワークテーブルや測定用定盤に
載置、固定される台座部１２と、この台座部１２
の両側上方に起立した支持部１４，１６を有して
いる。また、同傾斜テーブルはベース１０の左、
右の支持部１４，１６に対して軸心Ａのまわりに
旋回傾斜が可能なように軸承されたテーブル受台
１８と、このテーブル受台１８の上面に取付けら
れたワークテーブル２０とを備え、この後者のワ
ークテーブル２０の上面は周知のＴ溝構造等を有
した工作物の取付面に形成されている。上記テー
ブル受台１８はワークテーブル２０上に載置され
る工作物とワークテーブル２０との重量や自重に
よつて予め適正に設計選択された回転軸受を介し
て上記の如くベース１０に軸承され、このテーブ
ル受台１８の旋回傾斜はベース１０上に取付けら
れた電動モータからなる回転駆動源２２より多段
の減速歯車機構を経て、上記軸心Ａを有する回転
軸に旋回傾斜の駆動力が伝達される構造になつて
いる。すなわち、上記回転駆動源２２とベース１
０およびテーブル受台１８間に配設されている上
記の減速歯車機構とによつて傾斜作動用の駆動機
構が形成され、テーブル受台１８の傾斜作動に伴
つてワークテーブル２０およびそのワークテーブ
ル２０上に取付けられた工作物も共に傾斜作動す
るようになつている。負荷トルク検出器２３は回
転駆動源２２の負荷電流値を検出し、負荷トルク
に相当する信号をバランス制御部４０へ送出す
る。第２図、第３図の一点鎖線で示したワークテ
ーブル２０は左・右に傾斜した状態を示したもの
である。また、テーブル受台１８およびワークテ
ーブル２０の傾斜作動は、ワークテーブル２０の
テーブル上面が水平位置から軸心Ａを中心にして
左、右に所望の傾斜角度だけ傾いた位置に達した
ときに停止され、かつその傾斜角度位置に維持さ
れるようにブレーキ装置が具備されており、この
ブレーキ装置はテーブル受台１８の一部に取付け
られたブレーキデイスク２６を油圧作動のブレー
キシユー（図示なし）により挾持するか又は該ブ
レーキデイスク２６にブレーキシユを圧接する周
知の構造を有し、望ましくはばね力によつてブレ
ーキシユーに挾持力又は圧接力を付与して制動作
用を行い、制動解除時は油圧力によつて上記ばね
力による挾持又は圧接を解除するブレーキ作動方
式が採られる。

更に、テーブル受台１８とワークテーブル２０
の傾斜角度は軸心Ａ上に設けた角度検出器２８に
よつて検出される。すなわち、軸心Ａ上において
ベース１０の右支持部１６とテーブル受台１８と
の間に設けた回転形ポテンシヨメータによつて上
記角度検出器２８が形成され、ワークテーブル２
０水平位置を基準として左、右の傾斜角度を電気
信号の形で検出するように構成されている。な
お、上記回転形ポテンシヨメータは実施例であ
り、その他回転形エンコーダや制御シンクロ等の
種々の回転角度検出器を本例の角度検出器２８と
して用いることが可能である。そして、この角度
検出器２８の検出した出力は後述するバランス制
御部４０に送出されている。なお、第２図におけ
る３０，３２はそれぞれ上述した傾斜作動用の駆
動機構における減速歯車の一部を示しており、軸
心Ｂ，Ｃはそれぞれ減速機構の軸心を示したもの
で、このように回転駆動源２２から軸心Ａに致る
伝動機構を多段の減速歯車機構で形成することに
より、小形の回転駆動源から、比較的大きな傾斜
作動用の駆動力を得て、重畳の大きな工作物も載
置可能な傾斜テーブルを形成しているものであ
る。こゝで、本発明によれば、工作物が取付けら
れたワークテーブル２０をテーブル受台１８と共
に水平位置から傾斜させるときにテーブル受台１
８の軸心Ａに関して作用する負荷トルクを相殺す
る釣合トルクをテーブル受台１８又はワークテー
ブル２０に付与するバランサーが備えられてお
り、該バランサーは圧力調整弁３５で作動圧力調
整可能な油圧モータ３４（第１図、第３図）をバ
ランス駆動源にして構成されている。すなわち、
上述の負荷トルクはテーブル受台１８、ワークテ
ーブル２０の各固定重量と大きさによつて異なる
工作物の重量との総和による荷重が三者の合成重
心（第６図のＧ点）に作用し、この合成重心に作
用する荷重によつて軸心Ａに関して作用するトル
クであるが、この負荷トルク値はテーブル受台１
８およびワークテーブル２０の傾斜角に応じてモ
ーメント腕の長さが変化するために変動する。依
つて、この変動する負荷トルクを相殺するために
上記油圧モータ３４が作動して釣合トルクを付与
するように構成したものである。第４図は油圧モ
ータ３４からテーブル受台１８に釣合トルクを付
与するバランス機構の１構造例を示したものであ
る。第４図において、既述の油圧モータ３４と結
合されてベース１０の一部に回転可能に支持され
た巻き上げドラム３６が設けられており、この巻
き上げドラム３６の巻胴にはバランス用ロープ３
８が巻回されている。このバランス用ロープ３８
の一端はテーブル受台１８に形成された係止点４
２に係止されている。

バランス制御部４０は、第５図に示すように、
マイクロコンピユータ等で構成される記憶演算制
御部５０と、角度信号入力回路５１と、負荷トル
ク信号入力回路５２と、データを手動で入力する
手動入力部５３と、記憶内容等を表示する表示部
５４と、増巾器、Ｄ／Ａ変換器等からなる釣合ト
ルク信号出力回路５５と、バランス制御部４０の
制御モードを切換え設定するためのモード設定器
５７とから構成される。而して、モード設定器５
７によつて負荷トルク測定モードが設定された時
は、先ず油圧モータ３４の出力トルクが、バラン
ス用ロープ３８を弛るませない程度に巻取るのに
必要な最小の値になるように所定の釣合トルク信
号によつて圧力調整弁３５を制御し、バランス機
構による釣合トルクが負荷トルクに対して無視で
きる程度にする。次いで、回転駆動源２２により
傾斜テーブルが傾斜作動すると、角度信号入力回
路５１を介して傾斜テーブルの角度位置を読み取
り、同時に回転駆動源２２の電動モータの負荷ト
ルクを負荷トルク信号入力回路５２を介して読み
取る。そして所定の複数個所の角度位置における
負荷トルクを所定のメモリに記憶する。尚、工作
物の形状取付位置などから、負荷トルクが容易に
推定できる場合は、上記負荷トルク測定モードを
実施しないで、手動入力部５３から直接負荷トル
クを入力し、記憶させることもできる。一方、モ
ード設定器５７によつて加工モードが設定された
時は、角度信号入力回路５１を介して傾斜テーブ
ルの角度位置を時々刻々読取り、該角度位置に対
応する釣合トルクを前記負荷トルク測定モードで
記憶したデータから直線近似等の補間演算によつ
て算出し、釣合トルク信号として圧力調整弁３５
を制御するのである。

本発明によれば、油圧モータ３４からバランス
用ロープ３８を介してテーブル受台１８又はワー
クテーブル２０に付与される釣合トルクの大きさ
は負荷トルクを相殺するように決定されるが、こ
の釣合トルクの大きさは加工開始前に予め測定し
て決定する。即ち、バランス制御部４０は、角度
検出器２８から送出された傾斜角度と共に傾斜作
動用の駆動機構における回転駆動源２２の負荷電
流値を入力として受け、これら傾斜角度と負荷電
流値との２つの入力に基いて傾斜角度に応じた所
要釣合トルクの大きさを演算決定してこれを記憶
する。加工時にはこの演算結果に見合う駆動力を
油圧モータ３４から発生させるように構成されて
いるものである。

以上に記載のように、本発明に依れば、傾斜テ
ーブルを回転駆動源が具備された駆動機構によつ
て自動的に傾斜作動させ、しかもこのとき、旋回
傾斜軸心まわりに傾斜角度に相関して掛る負荷ト
ルクを相殺する油圧式バランサーを設けたことに
よつて下記のような効果が得られる。

発明の効果 Γ 傾斜テーブルを自動傾斜させることができる
と共に傾斜作動用の駆動源に掛る負荷トルクを
釣合トルクで相殺しているから常に傾斜作動を
無理なく、高精度に行なわせることができる。

Γ 傾斜作動用の駆動源には常に適正レベルに低
減された負荷しか作用しないから駆動源の耐用
度が高く、従つて傾斜テーブル自体の耐用度も
高められることができる。

Γ 自動工作機械、例えばマシニングセンタと組
合せて本発明による傾斜テーブルを用いれば、
信頼度の高い自動加工を達成することができ
る。

上記マシニングセンター等の自動機構と組み合
わせて用いれば、自動機械に備えられたマイクロ
コンピユータを共用して傾斜テーブルの記憶手
段、演算手段を有したバランス制御部を構成で
き、また傾斜軸のNC制御を行う際に用いる角度
検出装置をそのまま本発明の傾斜テーブルに共用
することができ、故に、傾斜テーブルの負荷トル
ク補償手段を簡単な構成で低コストにより実現で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による傾斜テーブルの実施例に
おける機構を示した正面図、第２図は同実施例の
左側面図、第３図は同実施例の右側面図、第４図
は油圧式バランサーの構成の概略機構図、第５図
はバランス制御部のブロツク図、第６図は負荷ト
ルクの説明図である。 １０……ベース、１２……台座部、１４，１６
……支持部、１８……テーブル受台、２０……ワ
ークテーブル、２２……回転駆動源、２６……ブ
レーキデイスク、２８……角度検出器、３０，３
２……減速歯軸、３４……油圧モータ、３６……
巻き上げドラム、３８……バランス用ロープ、４
０……バランス制御部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ワークテーブルを水平位置から傾動可能にし
   た傾斜テーブルにおいて、 ベースと、 前記ベースに横軸方向に軸承したテーブル受台
   と、 前記テーブル受台に取付けた工作物取付用ワー
   クテーブルと、 前記テーブル受台と共に前記ワークテーブルを
   傾斜させる回転駆動源を含む駆動機構と、 前記テーブル受台又はワークテーブルの傾斜角
   度を検出する角度検出装置と、 前記ワークテーブルの傾斜角度と負荷トルク相
   殺用の釣合トルクとの相関々係を予め記憶する記
   憶手段および刻々の傾斜角度に応じて前記記憶手
   段から対応する釣合トルクを演算しその信号を出
   力する演算手段を具備したバランス制御部と、 前記ワークテーブルの傾斜使用時に、前記角度
   検出装置の検出々力に対応した釣合トルクを前記
   バランス制御部の演算手段からの出力に従つて前
   記テーブル受台に付与するバランサーとを具備し
   て構成されたことを特徴とする傾斜テーブル。 ２ 前記バランス制御部は、前記角度検出装置の
   検出角度と前記回転駆動源に掛かる負荷トルクと
   を入力パラメターとして前記ワークテーブルの傾
   斜角度に相関した負荷トルクを演算、記憶し、前
   記ワークテーブルの傾斜使用時に該負荷トルクを
   補償、相殺する前記釣合トルクの信号を送出する
   記憶演算制御部を具備して構成される請求の範囲
   １に記載の傾斜テーブル。 ３ 前記バランサーは、油圧モータと該油圧モー
   タによつて回転する巻き上げドラムと、前記ワー
   クテーブル又はテーブル受台に一端が係止され、
   前記巻上げドラムに巻回される引張ロープとを具
   備した油圧式バランサーにより構成される請求の
   範囲１又は２に記載の傾斜テーブル。