JPH0146544B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、構造物の補修方法、特にコンクリー
ト、石などにより形成されている構造物のクラツ
ク補修に適したクラツク等への接着材注入方法に
用いる注入装置に関する。

構造物に発生したクラツクの補修方法としては
パテ詰や接着材の注入方法が普通によく用いられ
ている。

最近では接着材注入による補修方法としてクラ
ツク上に適当間隔による注入パイプを取り付け、
該注入パイプ取り付け部以外の箇所をシールし、
シール材の硬化後注入ポンプを注入パイプに接続
し、接着材を注入するという方法が提案されてい
る（特許第251791号）。

この方法によれば、補修効果があることは認め
ることはできるものの、作業上に幾つかの難点を
見出す。たとえば接着材に粘性があるためクラツ
ク間隙に接着材を注入する速度を速めると接着材
注入箇所に注入圧力がかかりパンクしたり、さら
にクラツク幅を拡げたりする難点がある。そのた
め接着材を１注入箇所あたり３〜５分という低速
で注入する必要があり、作業者の熟練を必要とし
た。

そこで、本発明者等は先に被注入体に接着材を
注入するとき、被注入体にかかる接着材圧力を注
入パイプから注入ホースまでの間の任意の箇所に
設けた圧力緩衝部に接着材をプールすることによ
り緩和するとともに、さらにプールされた接着材
を被注入体に圧力緩衝部の接続圧力の変化により
注入する方法を開発した（特開昭56―2367号）。

本発明は、この開発に対する改良であり、その
構成を２股の一方の逆止弁を備えたポンプ側パイ
プとし、他方を接着材溜めを備えた接着材溜め側
パイプとし、注入パイプの接着材溜め側パイプの
端部には、内面に沿つて摺動するピストンを嵌挿
するとともにピストンに圧力を与える圧入具を着
脱自在に接続してなる接着材の注入装置とするも
のである。本発明によれば、先に開発した方法
が、圧力緩衝部に接着材をプールさせるため、接
着材の硬化後は、これの再使用が不能であるのに
比し、圧入具が接着材と別に用意されているた
め、圧入具の使い捨てはさけられる。

つぎに、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図はコンクリート橋梁床版下面等コンクリ
ート構造物に発生したクラツクＡに約20センチご
とに第２図に示すように注入パイプを座金及びパ
テ状接着材（シール材）を介して取り付けてあ
る。Ｂはこの注入パイプ等を表わす。取り付け箇
所以外のクラツク部はパテ状接着材でシールして
ある。

第１図及び第２図において、具体的には、座金
１ａ付注入パイプ１をクラツクに沿つて適当間隔
に固定し、注入される接着材が漏れないようシー
ル材１４で接着材注入口ａを残してクラツク表面
及びパイプまわりをシールする。注入パイプ１は
第３図ａに示すように２股２，３の接着材溜め側
パイプとポンプ側パイプにねじ部２ａ，３ａを有
し、一端に座金４を有し、２股の一方のポンプ側
パイプ３の端部は後述する逆止弁がパイプを密封
しないよう凹部３ｂを形成してある。注入パイプ
１を固定し、シール材が硬化後注入ホース４と注
入パイプ１の２股の一方のポンプ側パイプ３とを
間に逆止弁部５を介して接続するとともに一方の
接着材側パイプ２には接着材溜め６を接続する。
逆止弁部５は第３図ｂに示すように注入パイプ１
の２股の一方のポンプ側パイプ３のねじ３ａに螺
合するねじ５ａを有し、反対側内部中空５ｂを中
空５ｃより狭くし、中空５ｃにボール状弁５ｄを
入れて形成されている。接着材溜め６は第３図ｃ
に示すように注入パイプ１の２股の一方のポンプ
側パイプ２のねじ２ａに螺合するねじ６ａを有
し、反対側には後述する圧入具８のねじ１０ａに
螺合するねじ６ｂを有し、内部に内壁に沿つて摺
動自在のピストン７が嵌挿されている。接着材は
注入ホース４よりポンプにより逆止弁部５を経由
して注入パイプ１に送り込まれ、クラツクＡ及び
接着材溜め６に充填される。ボール状弁５ｄと２
股の一方のポンプ側パイプ３とはポンプ側パイプ
３の端部凹部３ｂとの間に間隙があるので接着材
の送り込みに影響を受けることはない。ついで予
めゴム風船のような圧入具８に気体を注入し、ふ
くらませ所定の圧力に達したらクリツプのような
ピン９で圧入具８の根元を閉じて密栓し接着材溜
め６のねじ部６ｂに接続片１０を介して接続す
る。圧入道具８は第３図ｄに示すように気体等を
入れたとき圧力が接続変化する一方を閉止したゴ
ムホースや風船のような持続変化部１２からな
り、この入口に接着材溜め６のねじ６ｂに螺合す
る接続片１０をバンドのような締め付け具１１で
締め付けて一体化している。ここで、圧力の接続
変化部は必ずしもふくらんだとき縮まろうとする
弾性復元力を有するものに限らず、外部からバネ
１３などを用いて押圧するような構造であつても
よく、またガスボンベのような構造のものであつ
てもよい。なお、圧入具８の接着材溜め６への取
り付けは接着材送り込み前にしておいてよいこと
はもちろんである。

ついで、ピン９をはずし、かつ、つぎの施工箇
所に移動し工程は進む。注入作業終了後も接着材
溜めに溜められた接着材は縮まろうとする圧入具
８の持続圧力により、ピストン７を持ち上げ、流
動性を失うまでクラツク浸部に浸透する。このと
き逆止弁部５のボール状弁５ｄが中空５ｂを閉塞
するので逆流しない。

なお、この実施例は構造物下面からのものであ
るが、この発明は、上面あるいは側面からのクラ
ツク等の補修にも実施可能であり、実施の態様に
あつてはピストンや逆止弁部等がなくとも良いも
のであり、各部の接続はねじ式によらなくてもよ
いこともちろんである。

本発明は上述のようにしてなるのでおよそつぎ
のような効果を有する。

注入ポンプ撤去後も接着材溜めに残溜した接
着材が圧入具の接続圧力により被注入体に注入
されるのでクラツク等への十分な接着材の注入
が可能になり作業時間の短縮につながる。

圧入具は、接着材側パイプに着脱可能に接続
しているので、取りはずすことにより、くり返
し使用でき、また接着材を一定量のみしか接着
材溜めに残溜させることができないので全体と
してロスが少なくてすむ。

なおこの発明は、コンクリートや石などの構造
物のクラツク補修に適することはもちろん鋼板注
入接着補強、空隙部充填補修など広く利用するこ
とのできるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はコンクリート橋床版下面等のコンクリ
ート構造物に発生したクラツクに本発明を応用す
る説明図、第２図はその詳細を示す拡大断面図、
第３図は本発明に用いる器具の一例を示す分解断
面図、第４図は圧入具８の接続変化部の別の実施
例を示す水平断面図である。 図面において、１は注入パイプ、２は接着材側
パイプ、３はポンプ側パイプ、６は接着材溜め、
８は圧入具である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ２股の一方を逆止弁を備えたポンプ側パイプ
   とし、他方を接着材溜めを備えた接着材溜め側パ
   イプとし、注入パイプの接着材溜め側パイプの端
   部には、内面に沿つて摺動するピストンを嵌挿す
   るとともにピストンに圧力を与える圧入具を着脱
   可能に接続してなる接着材の注入装置。