JPH0141917Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本案は圧縮機の吸込装置の改良構造に関する。

(ロ) 従来技術 一般に冷媒用の密閉型圧縮機は第１図乃至第３
図に示すように構成されている。以下説明する
と、１は密閉容器であり、この容器内には枠体２
と、この枠体の上部に装着された圧縮機部３と、
枠体の下部に装着された電動機部４と、この両機
部を連結した回転軸５と、底部に貯溜された潤滑
油６とが収納されている。７は密閉容器１に固着
され図示しない外部冷凍回路から器内に冷媒ガス
を導入せしめる導入管である。８は圧縮機部３の
シリンダブロツク９に穿設された孔１０内に、該
ブロツクの吸入室１１と密閉容器１内の空間１２
とを連通するように圧入された吸入管である。こ
の吸入管８は孔１０への圧入部分をプレス加工に
より潰し、該圧入部分の断面形状を略楕用形とす
ることにより、局部的な圧入面８１と、この圧入
面に作用する潰し部８２の弾力を得てその圧入性
を向上するものであつた。

しかしながらこのように構成された圧縮機は、
その吸入装置において以下に説明するような問題
があつた。

導入管７を介して密閉容器１内に導入された冷
媒ガスは、該容器内に充満した後、吸入管８から
シリンダブロツク９の吸入室１１に流入される。
一方、密閉容器１の底部に貯溜された潤滑油６
は、回転軸５の遠心ポンプ作用により汲み上げら
れ、該回転軸の各摺動部を潤滑した後、その上端
からシリンダブロツク９等に振り掛けられてい
る。ここで、シリンダブロツク９に振り掛けられ
た後、該ブロツクの側壁を伝つて落下する潤滑油
６はその途中で吸入管８に出合う。この吸入管８
に出合つた潤滑油６は、密閉容器１内の空間１２
とシリンダブロツク９の吸入室１１内との圧力差
により、吸入管８の潰し部８２と孔１０とで形成
された隙間１３から吸入室１１内に入り込む。こ
のように、潤滑油６は吸入室１１内に流入すると
圧縮機部３でオイル圧縮を起こし、弁板、パツキ
ン等が破損され、あるいは、冷凍回路の冷却不良
を招くという問題が生ずる。

(ハ) 考案の目的 本案は斯る点に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、シリンダブロツクの孔に
圧入される吸入管の圧入作業性を良好にしつつ、
シリンダブロツクの側壁を伝つて流れてくる潤滑
油が、吸入管と前記孔との間の隙間から吸入室内
に流入するのを防ぎ、以つて、圧縮機のオイル圧
縮による弁板、パツキン等の破損及び冷凍回路の
冷却不良を防止することである。

(ニ) 考案の構成 斯る本案の構成は、内部に吸入室を有するシリ
ンダブロツクと、このシリンダブロツクの側壁に
穿設された孔に圧入される吸入管を具備した圧縮
機において、前記吸入管に、その圧入部分に形成
された弾力部と孔の開口縁にその終端部が密接さ
れた拡管部とを具備せしめたものであり、前記弾
力部によつて吸入管の孔への圧入性を向上する一
方、拡管部を孔の開口縁に密接することによつ
て、吸入管と孔とで形成される隙間から吸入室内
に潤滑油が入り込むのを防止したものである。

(ホ) 実施例 以下本案の実施例を図面に基づいて説明する。

９′は内部に吸入室１１′を有するシリンダブロ
ツクである。１０′はシリンダブロツク９′の側壁
に形成され、前記吸入室１１′と密閉容器内の空
間１２′とを連通する孔である。８′はこの孔１
０′内に圧入された吸入管である。６′はシリンダ
ブロツク９′の壁面を伝つて吸入管８′の装着部付
近を流下する潤滑油である。

而して、吸入管８′は、孔１０′への圧入部分に
プレス加工により径方向に潰されて断面略楕円形
に形成された潰し部８２′と、シリンダブロツク
９′の側壁から露出する部分に拡管加工により孔
１０′より大径に形成された拡管部８３′と、この
拡管部の始端部にカーリング加工により形成され
たフランジ部８４′とから構成されている。

このように構成された吸入管８′をシリンダブ
ロツク９′の孔１０′に圧入した場合、該吸入管の
各部の作用を以下に説明する。

まず、潰し部８２′では、プレス加工により楕
円の長軸方向に形成された圧入面８１′が孔１
０′内に局部的に密着すると共に該潰し部の有す
る弾力が圧入面８１′に作用しており、吸入管
８′の圧入性及び圧入による面圧が確保されてい
る。

次に、拡管部８３′では、テーパ形状に形成さ
れた該拡管部の終端部８５′が孔１０′の開口縁１
０′ａに密着されており、吸入管８′の潰し部８
２′と孔１０′との間に生ずる隙間１３′を閉塞す
ることにより、シリンダブロツク９′の壁面を伝
つて吸入管８′の装着部付近に流下してきた潤滑
油６′が吸入管８′の潰し部８２′と孔１０′との間
に生ずる隙間１３′を介して吸入室１１′内に入り
込まないようにしている。尚、終端部８５′は吸
入管８′の圧入深さの位置決めをする作用もして
いる。

また、フランジ部８４′では、シリンダブロツ
ク９′の壁面及び拡管部８３′を伝つて流れてきた
潤滑油６′が吸入管８′の入口から入り込まないよ
うにしている。

(ヘ) 考案の効果 以上のように本案は、内部に吸入室を有するシ
リンダブロツクと、このシリンダブロツクの側壁
に穿設された孔に圧入される吸入管を具備した圧
縮機において、前記吸入管は、その圧入部分に形
成された弾力部と、孔の開口縁に終端部が密接さ
れた拡管部とが形成されているので、前記吸入管
は、弾力部の潰し部による弾力によつて孔内に圧
入性良く挿入でき、かつ、圧入された後も潰し部
の弾力が圧入面に作用することから、吸入管を孔
内で確実に固定できる。また、拡管部はその終端
部が吸入管の圧入深さの位置決めとなると共に該
終端部が孔の開口縁に当接した位置で前述した潰
し部の弾力の作用により該終端部を孔の開口縁に
密着状態に保持させ、これにより、吸入管と孔と
の間に生ずる隙間を閉塞し、シリンダブロツクの
壁面を伝つて吸入管の装着部付近に流下してきた
潤滑油が前記隙間を介して吸入室内に入り込むの
を防いでいる。このようにして、圧縮機のオイル
圧縮による弁板、パツキン等の破損及び冷凍回路
の冷却不良を防止するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は従来例を示し、第１図は密
閉型圧縮機の説明図、第２図は吸込装置の要部縦
断面図、第３図は第２図におけるＡ−A′セクシ
ヨンでの断面図、第４図及び第５図は本案の一実
施例を示し、第４図は吸入装置の要部縦断面図、
第５図は第４図におけるＢ−B′セクシヨンでの
断面図である。 ６′……潤滑油、８′……吸入管、９′……シリ
ンダブロツク、１０′……孔、１１′……吸入室、
８１′……圧入面、８２′……潰し部、８３′……
拡管部、８５′……終端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部に吸入室を有するシリンダブロツクと、こ
   のシリンダブロツクの側壁に穿設された孔に圧入
   された吸入管を具備した圧縮機において、前記吸
   入管は、その圧入部分に前記孔径より稍大きく形
   成された弾力部と、孔の開口縁に終端部が全周に
   亘つて密接された拡管部とが一体形成されている
   ことを特徴する圧縮機の吸込装置。