JPH0140616Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、鋳造工場等において溶湯を汲出す
際に用いられる浸漬型電磁ポンプに関する。

〔従来技術〕

鋳造工場等において、保持炉内の溶湯の汲出し
は、通常、浸漬型電磁ポンプを使用して行われ
る。この浸漬型電磁ポンプは、円筒状の誘導型ポ
ンプであり、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシ
ウムまたはこれらの合金類が溶融された溶湯（温
度300〜800℃）の中に本体下部を浸漬し、前記溶
湯を電磁誘導により汲上げ、本体上部から出湯す
る装置である。

第３図は、本出願人が先に開発した電磁ポンプ
１の構成を示す正断面図であり、電磁ポンプ１本
体の下部が溶湯２に浸漬され、電磁誘導によつて
汲上げられた溶湯２は出湯樋３から排出されるよ
うになつている。前記電磁ポンプ１の中心部に
は、耐火性の円柱体４が設けられ、この円柱体４
の内部には内部鉄心５が収納されている。また、
前記円柱体４の外側には軸心を共通にして、耐火
性円管６、この円管６の外周を覆う金属製の保護
管７、中空円筒状のケーシング８およびこのケー
シング８の外周を覆う耐火部材９が順次配設され
ている。また、前記保護管７の外周には、例え
ば、６個の櫛状外部鉄心１０，１０…が放射状に
配設されている。この外部鉄心１０は横断面が扇
形の柱状体で、同鉄心１０の保護管７に当接する
面には、電磁ポンプ１本体の軸方向と直交する凹
溝が刻設され、この凹溝に環状コイル１１が嵌装
されている。次に、円柱体４と円管６との間に
は、耐火物製の固定部材１２が設けられ、円柱体
４と円管６の軸心を合わせる様構成されている。
そして、円柱体４と円管６との間に溶湯汲上げ通
路１３が形成される。また、円管６は出湯樋３の
下部に設けられた円環状のフランジ１４を電磁ポ
ンプ１本体上部にボルトにより締付固定すること
により、同ポンプ１本体内部に押付固定される。

上述した構成において、汲上げ通路１３内の溶
湯の汲上げ方向に進行磁界が発生するように、コ
イル１１に３相交流電力を印加すると、溶湯２が
汲上げ通路１３を通り汲上げられ、出湯樋３から
出湯される。コイル１１への通電を停止すると、
出湯樋３内の溶湯が重力により、汲上げ通路１３
内へ戻され、前記電磁ポンプ１の周囲の溶湯レベ
ルａと同レベルａになり静止する。この場合、溶
湯の出湯および停止は、コイル１１への通電をオ
ン／オフすることにより行われる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上述した方法により、溶湯２の長時間の出湯停
止を行う場合、次のような問題がある。すなわ
ち、出湯停止中、電磁ポンプ１内溶湯が静止状態
にあると、汲上げ通路１３が比較的狭いために同
通路１３内溶湯の熱容量が小さいことと、電磁ポ
ンプ１底部からの熱伝導が小さいことにより、汲
上げ通路１３内溶湯の温度低下が生じ、これによ
り、遂には同溶湯が固化してしまう。

この考案は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、電磁ポンプから長時間出湯を行わない場合に
おいても、汲上げ通路内溶湯の温度低下を防止す
ることができ、従つて、同溶湯の固化を防止する
ことができる浸漬型電磁ポンプを提供することを
目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、３相交流電源ラインの内の２本の
ラインを、浸漬型電磁ポンプ内溶湯の出湯時と非
出湯時とにおいて交互に入れ換える切換手段を設
けたことを特徴とする。

〔作用〕

溶湯の出湯時と非出湯時とで２本の電源ライン
を交互に入れ換えることにより、非出湯時におい
て、出湯時と逆方向の進行磁界が汲上げ通路内に
発生する。これにより、非出湯時において溶湯が
汲上げ通路に殆んど残らず、また、残つた溶湯も
電磁ポンプ下方の高温溶湯に近いため温度の低下
が殆んどない。

〔実施例〕

第１図はこの考案の一実施例による浸漬型電磁
ポンプ１の構成を示す正断面図、第２図は電磁ポ
ンプ１のコイル１１へ電力を供給する電源回路２
０の構成を示す図である。なお、第１図の構成は
第３図と同等であり、構成の説明は省略する。

第２図において、Ｒ，Ｓ，Ｔは３相交流電圧が
供給される電源端子、２１はＲ，Ｓ，Ｔ各相の開
閉を連動により行う配線用遮断器、２３，２４は
逆並列接続されたサイリスタであり、これらのサ
イリスタ２３，２４がＲ，Ｓ，Ｔ各相に挿入され
ている。２５，２５，２６，２６、は電磁接触器
接点であり、各々、連動して開閉動作が行われ
る。２７は力率改善用コンデンサ、１は電磁ポン
プである。

以上の構成において、遮断器２１は通常は投入
された状態にある。電磁ポンプ１内溶湯を出湯す
る場合は、サイリスタ２３，２４をオンとすると
共に、接点２５，２５をオン状態、接点２６，２
６をオフ状態とする。これにより、３相交流電力
が電磁ポンプ１のコイル１１へ供給され、汲上げ
通路１３内の溶湯の汲上げ方向に進行磁界が発生
し、溶湯２が汲上げ通路１３を通り汲上げられ、
出湯樋３から出湯される。

次に、溶湯の出湯を停止する場合は、３相の内
の２相の相順を入れ換える。すなわち、接点２
５，２５をオフ状態、接点２６，２６をオン状態
とする。これにより、Ｓ相とＴ相が入れ換わり、
この結果、汲上げ通路１３内の溶湯の汲下げ方向
に進行磁界が発生し、前記溶湯は下方へ押し下げ
られ、溶湯２の静圧とつり合つた位置ｂ（第１図
参照）において静止する。

このように、上記実施例によれば、非出湯時に
おいて溶湯が汲上げ通路１３に殆んど残らず、ま
た、残つた溶湯も電磁ポンプ１下方の高温溶湯２
に近いため温度の低下が殆んどない。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案による浸漬型電
磁ポンプによれば、長時間出湯を停止した場合に
おいても、汲上げ通路内溶湯の温度低下および固
化を防止することができる。この結果、同ポンプ
の操業が安定化し、より使い易くなる効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の構成を示す正断
面図、第２図はコイル１１へ電力を供給する電源
回路２０の構成を示す図、第３図は本出願人が先
に開発した浸漬型電磁ポンプ１の構成を示す正断
面図である。 １……電磁ポンプ、２……溶湯、４……円柱
体、５……内部鉄心、６……円管、８……ケーシ
ング、１０……外部鉄心、１１……コイル、１３
汲上げ通路、２０……電源回路、２５，２６……
電磁接触器接点。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部鉄心を有する耐火物製円柱体と、この円柱
   体の周囲に順次同心円状に配設された耐火物製円
   管および中空円柱状のケーシングと、前記円管の
   外周に嵌装された環状の誘導コイルと、この誘導
   コイルを支持する櫛状の外部鉄心と、前記誘導コ
   イルへ３相交流電力を印加する電源回路とからな
   り、前記円柱体と前記円管との間に形成された溶
   湯汲上げ通路を介して電磁誘導により溶湯を汲上
   げる浸漬型電磁ポンプにおいて、３相交流電源ラ
   インの内の２本のラインを、前記溶湯の出湯時と
   非出湯時とにおいて交互に入れ換える切換手段を
   設けてなる浸漬型電磁ポンプ。