JPH0140439Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《考案の目的》 〈産業上の利用分野〉 本考案は茶畝の刈ならし機に関するものであ
る。

〈考案の背景〉 茶樹は一番茶あるいは二番茶というように茶期
ごとに摘採した数日後に次の育成を促進させるた
めと、その育成が一様に叢生してその摘採作業が
能率よく行えるように、樹面を整えるいわゆる刈
ならし作業や更には数年ごとに樹勢を回復させる
ために茶葉の叢生する部分すべてを一様に刈り取
つてしまう剪枝作業を必要とする。

これらの作業では刈り取つた茶葉や茶茎は回収
の必要はないものの、これを茶樹上に放置すると
茶樹は呼吸作用を阻害されて次の成育が遅れたり
甚だしきは茶樹自体が立ち枯れてしまう場合もあ
る。このため従来から刈ならし機の後方には刈り
取られた茶葉や茶茎等を茶畝間に滑落するように
案内する刈落板を設けることが行われている。

ところでこの種の刈ならし機の多くはバリカン
式の刃を具えているから、上下一対の刈刃に過重
な摩擦を生じさせてその円滑な作動を妨げてはな
らず、従つてこれに耐える構造を要求されてい
る。もとよりこれに応えるには刈刃を支持する基
板の厚さを増して剛性を高めればよいのである
が、単なるこのような対策では刈ならし機全体の
重量が増加し、その作業性や使い勝手が著しく悪
くなるという問題を生じている。

〈開発を試みた技術的事項〉 本考案はこのような背景に鑑みなされたもので
あつて、この種の二人用茶葉刈ならし機における
問題点を総合的に解決しようとしたものであつ
て、特に刈り取つた茶葉や茶茎を案内する刈落板
が設けられていることに着眼し、このものの構成
を新規なものとすることを中心として軽量化、剛
性の向上等の総合的な改良を試みたものである。

《考案の構成》 〈目的達成の手段〉 即ち本考案たる二人用茶葉刈ならし機は、中央
が上方に湾曲した基板に対し、上下一対のバリカ
ン型刈刃を摺動自在に支持させ、それらの一方の
側に前記刈刃の駆動用のエンジンを取り付けた刈
ならし機において、前記基板上方にはそれにほぼ
平行で且つ端部において接続される一本の支杆を
配設するとともに、刈ならし機のエンジン側とそ
の反対側たる裾側とには把手を設け、更に前記刈
刃後方には刈刃の湾曲に従つて、湾曲した刈落板
を設け、この刈落板はその奥行寸法をエンジン側
において小さく、裾側において刈り取つた茶茎が
排出されるに必要な程度に大きくなるように設定
し、且つ刈落板の後端縁には立上り部を形成した
ことを特徴としてなるものであり、もつて前記目
的を達成しようとするものである。

〈実施例〉 以下本考案を図示の実施例に基づいて具体的に
説明する。符号１は本考案たる刈ならし機であつ
て、いわゆるバリカン型の二人用のものである。
この刈ならし機１における基板２は茶畝Ａの上面
が曲面上に整枝されていることに因み、中央が上
方に湾曲した形状をとるものであり、帯状の鋼板
等によつて構成される。この基板２の下方には上
下一対の刈刃３，４が摺動自在に取り付けられて
いるものであつて、具体的には基板２に対し植設
されているピン５によつて、刈刃３，４が枢支さ
れているものである。この刈ならし機１の一方の
側にはエンジンＥを設けるものであつて、このエ
ンジンＥの回転は減速機及び偏心軸等を主体とし
た駆動部６を介して刈刃３，４に伝達され、これ
らのうち少なくとも一方または双方を往復動させ
るように作用するものである。更に基板２の上方
にはこれにほぼ平行して沿うように支杆７を設け
る。この支杆７は一例としてアルミ合金等の軽合
金パイプを一本設けたものであつて、基板２とは
その両端部においてブラケツト８を介して接続さ
れる。更に刈ならし機１にはその両側即ちエンジ
ンＥ側とその反対側たる裾側とに対向的に把手
９，１０を設けるものであつて、この実施例では
支杆７に対し各把手９，１０を固定する。一方基
板２の後方即ち刈刃３，４の設けられている側と
反対の側には刈落板１１を設ける。この刈落板１
１は例えばアルミ板等の金属板によつて形成され
たものであつて、刈刃３，４ないしはこれを支持
する基板２の湾曲に従つて湾曲した載面部１２を
構成し、更にその載面部１２の後端縁は例えばほ
ぼ45゜程度に屈曲させ、立上り部１３を形成する。
そして刈落板１１の奥行寸法を実質的に構成する
載面部１２における奥行寸法ｌはエンジン側にお
いて寸法を小さく、裾側にゆくに従い大きくなる
ように裾広がり状に構成する。尚、裾側における
奥行寸法を第４図に示したが、特に符号l₀とする
ものであり、この裾側における奥行き寸法l₀は後
述するように裾側に刈り取られた茶茎等が集中し
て排出されていることに因み、刈刃３，４の有効
作用幅が決定していればおのずと刈取量も決定さ
れるわけであるから、必然的にこの裾側の奥行寸
法l₀についても刈り落とした茶茎が排出されるに
必要な程度に寸法設定がなされる。

本考案たる二人用茶葉刈ならし機は以上述べた
ような具体的な構造を有するものであつて、次の
ように作用する。まず使用にあたつてはエンジン
Ｅを始動し、常法に従い刈刃３，４のいずれか一
方あるいは双方に往復運動を生起させ、この刈刃
３，４によつて茶樹の剪断ができるような状態と
する。しかる後二人の作業者が刈ならし機１にお
ける左右の把手９，１０を持ち、第３図に示すよ
うに刈ならし機１を茶畝Ａの上面にあてがい、所
望の寸法で茶畝Ａ面を刈り揃えるようにしてゆく
のである。このような操作において刈り取られた
茶葉や茶茎は刈刃３，４の上方から基板２を乗り
越えて、その後方の刈落板１の載面部１２に至
り、その傾斜に沿つて裾側に落下し、茶畝Ａの間
に案内されるように落とされるのである。因みに
この種の茶葉刈ならし作業は一つの茶畝当たり往
復作業によつて、左半分と右半分との茶畝面を刈
り揃えるようにするが、いずれの場合もエンジン
Ｅの設けられている側を茶畝中央に合わせて行う
ものであるから、刈り取られた茶葉や茶茎は載面
部１２を滑降して裾側に落下してゆく。また裾側
にゆくに従い載面部１２に刈り取られてくる茶茎
等の量が加算的に多くなるが、載面部１２の作用
幅たる奥行寸法ｌが裾側で増加しているから、こ
こに茶葉が詰まることなく円滑に滑落してゆくの
である。そして更に載面部１２の後方には立上り
部１３が形成されているから、これによつて刈落
板１１の後方からの茶茎等の落下は全くなく、立
上り部１３に案内されて確実に裾側に案内され、
茶畝Ａ間に集積するように落下するのである。因
みにこのような作動中、エンジン自体が一定の振
動を生起しているので、その振動が刈落板１１に
も伝えられ、それが微細な振動を起こして載面部
１２における茶茎等の滑降が一層促進されるもの
である。

ところでこのような作業中において、本考案に
あつては二人の作業者による刈ならし機１の支持
がバランスを欠き全体に捩じられるような状態と
なつた場合、その捩じり応力は基板２及び刈落板
１１に伝わるが、この刈落板１１はその後縁部の
立上り部１３によつて補強されているような状態
となつているから、その剛性が極めて高く基板２
が仮に薄いものであつても、それを刈落板１１が
強度的に補償し、基板２に対しての捩じり等を可
及的少なくし、刈刃３，４の円滑な往復動を確保
するものである。このことは更に基板２に対して
これにほぼ沿うように支杆７が設けられているこ
とによつても一層助長されるものである。また本
実施例のように把手９，１０が支杆７に対して接
続されている場合には把手９，１０の間で生ずる
捩じり応力等も支杆７によつて殆ど吸収されるも
のであるから、前述した基板２、延いては刈刃
３，４に掛かる捩じり応力はより一層小さなもの
となり、円滑な作動を期待し得るものである。尚
本考案にいう刈ならし機とは畝面を単に整えるい
わゆる整枝作業を行うもののほか、更に根本近く
における茶茎を切り落とす、いわゆる剪枝作業を
行うものも含むものである。

《考案の効果》 以上述べたように本考案によれば、まず基板２
に沿うように一本の支杆７が設けられているか
ら、これによつて、例えば基板２を軽量化すべく
薄い鋼板によつて構成したとしてもその強度低下
を充分に補うことができ、従来型に比べ強度低下
が全くない状態でより軽量化が達成できる。そし
てこの支杆７が一本のみ設けられているというこ
とは作業者が充分刈刃３，４の作動状態を目視で
きることを意味し、均一な刈ならし作業が達成で
きる。更に本考案にあつては刈落板１１を基板２
あるいは刈刃３，４の湾曲に従つて湾曲させた状
態で尚且つ立上り部１３を設けたものであるか
ら、刈落板１１自体も充分な剛性を発揮し、基板
２の強度を補う作用をし、更に先の効果を助長す
るものである。特に本考案における刈落板１１と
その端縁部に形成されている立上り部１３とは剛
性面と作業面との双方で次のような効果を発揮す
る。まず剛性面では従来は第４図に骨格的に図示
するように裾側における奥行寸法l₀のまま仮想線
の如く刈落板１１がその幅のままエンジン側まで
形成されたいわば矩形状を成していたから、刈刃
側からの距離はl₀のままで一定であり、本来この
寸法が短ければより剛性が高くなるにも拘らず、
必ずしもそれを達成できないでいたのに対し、本
願考案では必要でない部分（エンジン側に寄るに
従い奥行寸法を長くとる必要はなくなる）につい
ては奥行寸法l₀を可及的に短くしたから、従来の
矩形状の刈落板における場合に比べてより剛性が
高められたものである。また作業上の効果につい
ては第４図の説明図において従来型のような矩形
状の刈落板１１の場合にはエンジン側の先端側コ
ーナー部Ｐにおいて、これが茶畝と当接し、茶樹
を傷めたり、刈ならし機の作業中の姿勢を不安定
にしたりしていたが、本願考案のようにあたかも
コーナー部Ｐを除去したような形態であると、そ
のような恐れが全くなく安定した作業がなし得
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案たる二人用茶葉刈ならし機の一
実施例を示す斜視図、第２図は同上縦断側面図、
第３図は作業形態を説明する骨格的側面図、第４
図は本考案と従来型とを比較して説明する骨格的
平面図である。 １；刈ならし機、２；基板、３，４；刈刃、
６；駆動部、７；支杆、９，１０；把手、１１；
刈落板、１２；載面部、１３；立上り部、Ａ；茶
畝、Ｅ；エンジン、ｌ；奥行寸法。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 中央が上方に湾曲した基板に対し、上下一対
   のバリカン型刈刃を摺動自在に支持させ、それ
   らの一方の側に前記刈刃の駆動用のエンジンを
   取り付けた刈ならし機において、前記基板上方
   にはそれにほぼ平行で且つ端部において接続さ
   れる一本の支杆を配設するとともに、刈ならし
   機のエンジン側とその反対側たる裾側とには把
   手を設け、更に前記刈刃後方には刈刃の湾曲に
   従つて、湾曲した刈落板を設け、この刈落板は
   その奥行寸法をエンジン側において小さく、裾
   側において刈り取つた茶茎が排出されるに必要
   な程度に大きくなるように設定し、且つ刈落板
   の後端縁には立上り部を形成したことを特徴と
   する二人用茶葉刈ならし機。 (2) 前記把手は支杆に対し取り付けられているこ
   とを特徴とする前記実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の二人用茶葉刈ならし機。